444 / 1,267
第21話
(6)
しおりを挟む
賢吾の指は休みなく動き、和彦の内奥の入り口を解すように擦り始める。唾液を施されながら刺激されているうちに、柔らかくなりかけた肉をこじ開けるようにして、指が内奥に侵入してきた。
「あぁっ――」
自分でもわかるほど必死に、賢吾の指を締め付ける。物欲しげな内奥の蠢動を楽しんでいるのか、賢吾の指が緩やかに出し入れされ、襞と粘膜を軽く擦り上げられる。和彦は息を喘がせながら敷布団の上で身を捩り、そのたびに浴衣がはだけていく。
「こっちの肉も美味そうだ」
低い声でそう言って、賢吾が胸元に顔を伏せる。触れられないまま硬く凝った胸の突起をいきなり口腔に含まれ、きつく吸い上げられた。
「んうっ」
はしたなく濡れた音を立てて突起を愛撫しながら、賢吾は執拗に内奥を指でまさぐる。その指の動きに合わせて、和彦も声を抑えられなくなっていた。
爪先を突っ張らせ、腰をもじつかせながら、背を反らし上げ、賢吾から与えられる快感を味わう。そんな和彦の様子を、賢吾は射抜くほど強い眼差しで見つめてくる。
「……気持ちいいか、先生?」
鼓膜に刻みつけるように囁かれ、和彦は頷く。寄せられた唇を甘えるように吸い、すぐに濃厚に舌を絡ませ合う。
内奥から指が引き抜かれ、熱く逞しい欲望が待ちかねていたように押し当てられた。性急に内奥を押し広げられる苦痛すら、大蛇と繋がっていく精神的愉悦の前では些細なことだった。
「あっ、あっ、頼、む――、ゆっくり、してくれ……」
押し入ってくる欲望の感触をじっくりと味わいたくて、和彦はつい恥知らずな頼みを口にする。興奮したのか、内奥で賢吾のものが力強く脈打ち、一際大きくなったようだった。和彦は上擦った声を上げ、腰を揺すって反応してしまう。
病み上がりであることなど関係ない。求められて、和彦の体は悦んでいた。
和彦の頼みを聞き入れる気はないらしく、両足をしっかりと抱え上げた賢吾は大胆に腰を使い、内奥深くを犯し始める。突き上げられるたびに和彦は身を震わせ、声を上げ、反り返った欲望の先端から透明なしずくを垂らす。
「本当に、いやらしくて、いいオンナだ……。寝込んだばかりだっていうのに、こんなに俺に尽くしてくれるんだ。着物ぐらい、安いもんだ」
「――言っておくけど、先生は俺のオンナでもあるんだからな」
不貞腐れたような声が突然上がり、和彦はビクリと肩を震わせる。ぎこちなく横を見ると、いつから起きていたのか、千尋がすぐ側までにじり寄っていた。このときになって和彦は、自分が声を押し殺す配慮をとうに忘れていたことに気づく。
咄嗟に顔を背けようとしたが、すかさず千尋の手が頬にかかり、噛みつく勢いで唇を塞がれた。口腔に千尋の熱い舌が入り込み、敏感な粘膜を舐め回される。同時に賢吾には、内奥の襞と粘膜を丹念に擦り上げられていた。
猛々しい獣に体を貪られる代わりに、目も眩むような快感を与えられる感覚はたまらなかった。
和彦は急速に快感の高みへと駆け上がり、察した千尋が唇を離した瞬間に、堪えきれない歓喜の声を上げていた。
「ああっ、あっ、んあっ、あっ……ん」
賢吾と千尋は、奔放に乱れる和彦をじっと見つめていた。興奮して強い光を放つ目は怖くもあり、優しくもある。向けられる眼差しにすら、和彦は反応してしまう。
「……先生、もうイク?」
甘えるような声で千尋に問われ、頭の中が真っ白に染まるのを感じながら夢中で頷く。すると、内奥深くを抉るように突き上げられた。一度目で全身が快感に痺れ、二度目で瞼の裏で閃光が走る。一拍遅れて、下腹部が濡れるのを認識した。二人の男たちが見ている前で精を放ったのだ。
和彦のその姿に刺激されるものがあったのか、ふいに賢吾が内奥から欲望が引き抜く。そして傲慢な表情で、和彦の胸元に向けて精を迸らせた。
賢吾としては、〈オンナ〉を精で汚すことで所有欲を満たしたのかもしれない。被虐的な悦びに浸りながら和彦は、そんなことをぼんやりと考える。
「さあ先生、甘ったれの子犬が待ちかねているぞ」
和彦の頬を手荒く撫でてから、賢吾が笑いを含んだ声で囁いてくる。意味を理解したときには、弛緩した和彦の体はうつ伏せにされ、腰を抱え上げられた。挑んできたのは、すっかり興奮した千尋だ。
「千尋、待っ――」
「優しくするね、先生」
言葉とは裏腹に、蕩けた内奥の入り口に余裕なく熱いものが押し当てられた。
「あうっ」
ぐっと内奥に挿入され、声を洩らした和彦は背をしならせる。賢吾の形に馴染んだはずの場所は、すでにもう千尋のものをきつく締め付け、快感を求めると同時に、甘やかし始める。千尋の息遣いが弾み、乱暴に腰を突き上げられた。
「うっ、うあっ……」
「先生の中、すごく、熱い。熱のせいかな。それとも、オヤジがめちゃくちゃにしたから?」
意地の悪い問いかけに答えられるはずもなく、和彦は唇を引き結ぶ。すると、いつの間にか枕元に移動した賢吾に顔を覗き込まれ、唇を指で割り開かれた。
口腔に入り込んだ指が蠢き、粘膜や舌を擦られる。内奥での律動を繰り返されながらそんなことをされると、唇の端から唾液が滴り落ちる。賢吾は目を細めて言った。
「いやらしくて、いい顔だ。加虐心をそそられて、めちゃくちゃにしたくなる」
賢吾のその言葉に刺激されたのは、和彦の表情を見ることができない千尋だ。腰を抱え込まれ、内奥深くを硬い欲望で丹念に突かれると、腰から背にかけて痺れるような快感が這い上がってくる。
和彦が味わっている肉の愉悦を、千尋は繋がっている部分から感じているようだった。突然、千尋の動きが激しくなる。
「あっ、あぁっ」
腰を掴まれて乱暴に前後に揺すられる。賢吾が見ている前で和彦は、千尋の律動に翻弄され、放埓に声を上げて感じていた。
千尋は、まるで賢吾に張り合うように内奥から欲望を引き抜く。次に和彦が感じたのは、背に飛び散る生温かな液体の感触だった。
千尋が背に向けて精を放ったのだと知ったとき、和彦はゾクゾクするような興奮と充足感を味わう。
それと、この男たちに所有されているという安堵感も――。
「あぁっ――」
自分でもわかるほど必死に、賢吾の指を締め付ける。物欲しげな内奥の蠢動を楽しんでいるのか、賢吾の指が緩やかに出し入れされ、襞と粘膜を軽く擦り上げられる。和彦は息を喘がせながら敷布団の上で身を捩り、そのたびに浴衣がはだけていく。
「こっちの肉も美味そうだ」
低い声でそう言って、賢吾が胸元に顔を伏せる。触れられないまま硬く凝った胸の突起をいきなり口腔に含まれ、きつく吸い上げられた。
「んうっ」
はしたなく濡れた音を立てて突起を愛撫しながら、賢吾は執拗に内奥を指でまさぐる。その指の動きに合わせて、和彦も声を抑えられなくなっていた。
爪先を突っ張らせ、腰をもじつかせながら、背を反らし上げ、賢吾から与えられる快感を味わう。そんな和彦の様子を、賢吾は射抜くほど強い眼差しで見つめてくる。
「……気持ちいいか、先生?」
鼓膜に刻みつけるように囁かれ、和彦は頷く。寄せられた唇を甘えるように吸い、すぐに濃厚に舌を絡ませ合う。
内奥から指が引き抜かれ、熱く逞しい欲望が待ちかねていたように押し当てられた。性急に内奥を押し広げられる苦痛すら、大蛇と繋がっていく精神的愉悦の前では些細なことだった。
「あっ、あっ、頼、む――、ゆっくり、してくれ……」
押し入ってくる欲望の感触をじっくりと味わいたくて、和彦はつい恥知らずな頼みを口にする。興奮したのか、内奥で賢吾のものが力強く脈打ち、一際大きくなったようだった。和彦は上擦った声を上げ、腰を揺すって反応してしまう。
病み上がりであることなど関係ない。求められて、和彦の体は悦んでいた。
和彦の頼みを聞き入れる気はないらしく、両足をしっかりと抱え上げた賢吾は大胆に腰を使い、内奥深くを犯し始める。突き上げられるたびに和彦は身を震わせ、声を上げ、反り返った欲望の先端から透明なしずくを垂らす。
「本当に、いやらしくて、いいオンナだ……。寝込んだばかりだっていうのに、こんなに俺に尽くしてくれるんだ。着物ぐらい、安いもんだ」
「――言っておくけど、先生は俺のオンナでもあるんだからな」
不貞腐れたような声が突然上がり、和彦はビクリと肩を震わせる。ぎこちなく横を見ると、いつから起きていたのか、千尋がすぐ側までにじり寄っていた。このときになって和彦は、自分が声を押し殺す配慮をとうに忘れていたことに気づく。
咄嗟に顔を背けようとしたが、すかさず千尋の手が頬にかかり、噛みつく勢いで唇を塞がれた。口腔に千尋の熱い舌が入り込み、敏感な粘膜を舐め回される。同時に賢吾には、内奥の襞と粘膜を丹念に擦り上げられていた。
猛々しい獣に体を貪られる代わりに、目も眩むような快感を与えられる感覚はたまらなかった。
和彦は急速に快感の高みへと駆け上がり、察した千尋が唇を離した瞬間に、堪えきれない歓喜の声を上げていた。
「ああっ、あっ、んあっ、あっ……ん」
賢吾と千尋は、奔放に乱れる和彦をじっと見つめていた。興奮して強い光を放つ目は怖くもあり、優しくもある。向けられる眼差しにすら、和彦は反応してしまう。
「……先生、もうイク?」
甘えるような声で千尋に問われ、頭の中が真っ白に染まるのを感じながら夢中で頷く。すると、内奥深くを抉るように突き上げられた。一度目で全身が快感に痺れ、二度目で瞼の裏で閃光が走る。一拍遅れて、下腹部が濡れるのを認識した。二人の男たちが見ている前で精を放ったのだ。
和彦のその姿に刺激されるものがあったのか、ふいに賢吾が内奥から欲望が引き抜く。そして傲慢な表情で、和彦の胸元に向けて精を迸らせた。
賢吾としては、〈オンナ〉を精で汚すことで所有欲を満たしたのかもしれない。被虐的な悦びに浸りながら和彦は、そんなことをぼんやりと考える。
「さあ先生、甘ったれの子犬が待ちかねているぞ」
和彦の頬を手荒く撫でてから、賢吾が笑いを含んだ声で囁いてくる。意味を理解したときには、弛緩した和彦の体はうつ伏せにされ、腰を抱え上げられた。挑んできたのは、すっかり興奮した千尋だ。
「千尋、待っ――」
「優しくするね、先生」
言葉とは裏腹に、蕩けた内奥の入り口に余裕なく熱いものが押し当てられた。
「あうっ」
ぐっと内奥に挿入され、声を洩らした和彦は背をしならせる。賢吾の形に馴染んだはずの場所は、すでにもう千尋のものをきつく締め付け、快感を求めると同時に、甘やかし始める。千尋の息遣いが弾み、乱暴に腰を突き上げられた。
「うっ、うあっ……」
「先生の中、すごく、熱い。熱のせいかな。それとも、オヤジがめちゃくちゃにしたから?」
意地の悪い問いかけに答えられるはずもなく、和彦は唇を引き結ぶ。すると、いつの間にか枕元に移動した賢吾に顔を覗き込まれ、唇を指で割り開かれた。
口腔に入り込んだ指が蠢き、粘膜や舌を擦られる。内奥での律動を繰り返されながらそんなことをされると、唇の端から唾液が滴り落ちる。賢吾は目を細めて言った。
「いやらしくて、いい顔だ。加虐心をそそられて、めちゃくちゃにしたくなる」
賢吾のその言葉に刺激されたのは、和彦の表情を見ることができない千尋だ。腰を抱え込まれ、内奥深くを硬い欲望で丹念に突かれると、腰から背にかけて痺れるような快感が這い上がってくる。
和彦が味わっている肉の愉悦を、千尋は繋がっている部分から感じているようだった。突然、千尋の動きが激しくなる。
「あっ、あぁっ」
腰を掴まれて乱暴に前後に揺すられる。賢吾が見ている前で和彦は、千尋の律動に翻弄され、放埓に声を上げて感じていた。
千尋は、まるで賢吾に張り合うように内奥から欲望を引き抜く。次に和彦が感じたのは、背に飛び散る生温かな液体の感触だった。
千尋が背に向けて精を放ったのだと知ったとき、和彦はゾクゾクするような興奮と充足感を味わう。
それと、この男たちに所有されているという安堵感も――。
28
お気に入りに追加
1,359
あなたにおすすめの小説
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる