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第20話
(21)
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相手の手に、発情して熱くなった体をまさぐられていた。それどころか、繋がってひくつく部分を指先でなぞられる。おそらく、しっかり見つめられてもいるだろう。和彦が相手の姿を見られないというのに、相手は和彦の痴態のすべてを目に焼き付けているのだ。
「あっ、あっ、んあっ――」
頭の芯が溶けていくような肉の愉悦に、声が抑えられない。和彦の恥知らずな声に刺激を受けたように、緩やかに内奥を突き上げられる。それだけで深い感覚が波のように広がっていた。
背後から貫かれ、しっかりと繋がった姿勢のまま、一度律動は止まる。和彦は大きく荒い呼吸を繰り返しながら、体の中心からじわじわと広がる肉の快感を、より明確なものとして実感していた。
内奥深くに埋め込まれた熱い欲望を、きつく締め付ける。あさましいとわかってはいるが、どうしようもできない。物欲しげな襞と粘膜が勝手に蠢き、欲望に奉仕する。その奉仕に対する褒美のように、さらに愛撫が与えられた。
「はっ、あぁっ……」
腰から背にかけて撫で回され、胸元にも触れられる。敏感に凝った胸の突起を摘み上げられると、意識しないまま和彦は腰を揺らす。すかさず、内奥深くで息を潜めていた欲望が動き、強い疼きが背筋を這い上がっていた。
「はあっ――、あっ、うくっ……ん」
内奥に受け入れたものと、一つに溶け合ったような感覚を覚えていた。ただ、違和感はあった。
他の男たちと体を重ねながら感じる、荒い息遣いも、貪るような口づけも、濃厚な汗の匂いもない。体を繋いではいるが、体を重ねているわけではないのだ。これは、対等なセックスではない。
相手の存在を体に刻みつけられ、相手好みの快感で調教されているようだ。
胸元を撫でていた手が、みぞおちから腹部を撫でて、両足の間に差し込まれる。和彦は喉を鳴らすと、枕の端を両手で掴んだ。再び反り返り、熱くなって震えるものを優しい手つきで扱かれ、身悶えるほどの快感が腰に広がる。
ここでふいに、繋がりを解かれた。肩を掴まれた和彦は促されるまま、素直に仰向けとなり、両足を抱え上げられる。淫らに喘ぐ内奥を、すぐにまたこじ開けられ、欲望を呑み込まされた。
「あぁっ――」
下腹部に、生温かな液体が散るのを感じる。そして、強烈な絶頂感も。相手が見ている前で、二度目の精を放ったのだ。
羞恥と恍惚、消えることのない肉の悦びへの飢えに、和彦は息を喘がせながら身を震わせる。もう許してほしいと、哀願もしたかもしれない。意識が惑乱して、どうすればいいのかわからなくなっていた。
唯一はっきりしているのは、蠢き続ける内奥に、熱く逞しい欲望はまだしっかりと埋め込まれているということだ。
ゆっくりと小刻みに内奥を擦り上げられたかと思うと、不意打ちのように欲望が引き抜かれる。激しくひくつく内奥の入り口に指先が這わされ、そんなささやかな刺激にすら、和彦は啜り泣きのような声を洩らして反応してしまう。
相手は、和彦の好む愛撫だけでなく、あらゆる反応を知りたがっているようだった。羞恥に身を強張らせる様も、淫らに煩悶し、奔放に乱れる様どころか、己のあさましさに打ちのめされる姿すらも――。
「うっ、くうっ……ん」
一息に、内奥深くまで欲望が押し入り、抉るように突き上げられる。頭の先から爪先まで、肉の愉悦が満ちていた。
「あっ、あぁっ――」
喉を反らして悦びの声を上げた和彦は、理屈ではなく、本能でこう認めていた。
自分は、今受け入れている相手の〈オンナ〉なのだと。
まるで魔が差すように、目隠しを取りたくなった。枕を握り締めていた手を離しかけたが、しっかりと埋め込まれた欲望が蠢き、目も眩むような快感に和彦は悦びの声を溢れさせた。
熱い精を内奥深くに注ぎ込まれる瞬間まで。
和彦はベッドにしどけなく横たわっていた。目隠しをしたままのため、いまだ何も見ることはできず、ただ、耳を澄ませる。
室内を人が歩く気配がしていたが、今はベッドの傍らで何かしている物音がする。おそらく、衣類を身につけているのだ。
気にはなるが、相手が部屋を出ていくまで、行儀よく待っているしかない――。
そう思っていた和彦だが、ふいにベッドが揺れて驚く。何事かと体を硬くしていると、汗で湿った髪を指で梳かれた。
そこに誰がいるのかわかっているが、それでも目隠しを取って顔を見たかった。掛け軸に画かれた若武者の姿は、情欲が鎮まると同時に瞼の裏から消えている。今は、ある人物の顔がはっきりと頭に描かれていた。
和彦はのろのろと目隠しに手をかける。あと一押しあれば目隠しをずらせたが、その前に手を掴まれ、あっさりとベッドに押さえつけられた。
「あっ、あっ、んあっ――」
頭の芯が溶けていくような肉の愉悦に、声が抑えられない。和彦の恥知らずな声に刺激を受けたように、緩やかに内奥を突き上げられる。それだけで深い感覚が波のように広がっていた。
背後から貫かれ、しっかりと繋がった姿勢のまま、一度律動は止まる。和彦は大きく荒い呼吸を繰り返しながら、体の中心からじわじわと広がる肉の快感を、より明確なものとして実感していた。
内奥深くに埋め込まれた熱い欲望を、きつく締め付ける。あさましいとわかってはいるが、どうしようもできない。物欲しげな襞と粘膜が勝手に蠢き、欲望に奉仕する。その奉仕に対する褒美のように、さらに愛撫が与えられた。
「はっ、あぁっ……」
腰から背にかけて撫で回され、胸元にも触れられる。敏感に凝った胸の突起を摘み上げられると、意識しないまま和彦は腰を揺らす。すかさず、内奥深くで息を潜めていた欲望が動き、強い疼きが背筋を這い上がっていた。
「はあっ――、あっ、うくっ……ん」
内奥に受け入れたものと、一つに溶け合ったような感覚を覚えていた。ただ、違和感はあった。
他の男たちと体を重ねながら感じる、荒い息遣いも、貪るような口づけも、濃厚な汗の匂いもない。体を繋いではいるが、体を重ねているわけではないのだ。これは、対等なセックスではない。
相手の存在を体に刻みつけられ、相手好みの快感で調教されているようだ。
胸元を撫でていた手が、みぞおちから腹部を撫でて、両足の間に差し込まれる。和彦は喉を鳴らすと、枕の端を両手で掴んだ。再び反り返り、熱くなって震えるものを優しい手つきで扱かれ、身悶えるほどの快感が腰に広がる。
ここでふいに、繋がりを解かれた。肩を掴まれた和彦は促されるまま、素直に仰向けとなり、両足を抱え上げられる。淫らに喘ぐ内奥を、すぐにまたこじ開けられ、欲望を呑み込まされた。
「あぁっ――」
下腹部に、生温かな液体が散るのを感じる。そして、強烈な絶頂感も。相手が見ている前で、二度目の精を放ったのだ。
羞恥と恍惚、消えることのない肉の悦びへの飢えに、和彦は息を喘がせながら身を震わせる。もう許してほしいと、哀願もしたかもしれない。意識が惑乱して、どうすればいいのかわからなくなっていた。
唯一はっきりしているのは、蠢き続ける内奥に、熱く逞しい欲望はまだしっかりと埋め込まれているということだ。
ゆっくりと小刻みに内奥を擦り上げられたかと思うと、不意打ちのように欲望が引き抜かれる。激しくひくつく内奥の入り口に指先が這わされ、そんなささやかな刺激にすら、和彦は啜り泣きのような声を洩らして反応してしまう。
相手は、和彦の好む愛撫だけでなく、あらゆる反応を知りたがっているようだった。羞恥に身を強張らせる様も、淫らに煩悶し、奔放に乱れる様どころか、己のあさましさに打ちのめされる姿すらも――。
「うっ、くうっ……ん」
一息に、内奥深くまで欲望が押し入り、抉るように突き上げられる。頭の先から爪先まで、肉の愉悦が満ちていた。
「あっ、あぁっ――」
喉を反らして悦びの声を上げた和彦は、理屈ではなく、本能でこう認めていた。
自分は、今受け入れている相手の〈オンナ〉なのだと。
まるで魔が差すように、目隠しを取りたくなった。枕を握り締めていた手を離しかけたが、しっかりと埋め込まれた欲望が蠢き、目も眩むような快感に和彦は悦びの声を溢れさせた。
熱い精を内奥深くに注ぎ込まれる瞬間まで。
和彦はベッドにしどけなく横たわっていた。目隠しをしたままのため、いまだ何も見ることはできず、ただ、耳を澄ませる。
室内を人が歩く気配がしていたが、今はベッドの傍らで何かしている物音がする。おそらく、衣類を身につけているのだ。
気にはなるが、相手が部屋を出ていくまで、行儀よく待っているしかない――。
そう思っていた和彦だが、ふいにベッドが揺れて驚く。何事かと体を硬くしていると、汗で湿った髪を指で梳かれた。
そこに誰がいるのかわかっているが、それでも目隠しを取って顔を見たかった。掛け軸に画かれた若武者の姿は、情欲が鎮まると同時に瞼の裏から消えている。今は、ある人物の顔がはっきりと頭に描かれていた。
和彦はのろのろと目隠しに手をかける。あと一押しあれば目隠しをずらせたが、その前に手を掴まれ、あっさりとベッドに押さえつけられた。
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