血と束縛と

北川とも

文字の大きさ
上 下
419 / 1,268
第20話

(8)

しおりを挟む
 どこか楽しげな口調で呟いた賢吾に両膝の裏を掴まれ、足を抱え上げられる。何をされるのかと身構える間もなく、柔らかな膨らみに舌が這わされた。唇を噛んで声を堪えた和彦だが、淫らな愛撫にすぐに理性は陥落する。
 熱い口腔に含まれて舐られると、はしたなく腰を揺すり、放埓に声を上げて感じてしまう。刺激が強すぎてつらくなってくるが、和彦がいくら賢吾の頭を押し退けようとしても、愛撫がとまることはない。
「はっ……、やめ……、つらい、んだ」
 和彦は必死に訴えながら、押し寄せてくる快感に爪先を突っ張らせる。顔を上げた賢吾に再び足の指を舐められ、柔らかな膨らみを指で刺激される。弱みを弄られると、意識しないまま上擦った声が出る。賢吾がそんなことをしないと知ってはいるが、容赦なく潰されるかもしれないという恐れは、一方で強烈に甘美だ。
「うあっ、あっ、あっ、あぁっ」
「涎を垂らしっぱなしだな、先生。そんなに、ここを弄られるのはいいか?」
「……うる、さっ……」
 震えを帯びた声で言ったところで、賢吾を悦ばせるだけだ。涙が滲んだ目で和彦が睨みつけると、今にも舌なめずりしそうな表情を浮かべた賢吾が、広げた両足の間に再び顔を埋める。ただし、次に濃厚な愛撫を施されたのは――。
「んんっ」
 全身を駆け抜ける快美さに、和彦は必死に布団を握り締めた。
 賢吾の舌が内奥の入り口に這わされ、蠢く。繊細な部分を、繊細な動きでくすぐられると、身悶えたくなるような感覚が湧き起こる。はしたないからと、必死に声を押し殺していた和彦だが、舌が内奥に入り込んでくると、身悶えながら喘ぎ声をこぼす。
 すっかり反り返ったものを賢吾に舐め上げられ、内奥には今度は指が挿入される。しっかりと、付け根まで。
「これだけ可愛がってやったんだ。しっかり俺を甘やかして、感じさせてくれよ、先生」
 和彦の内奥を指で解した賢吾が、耳元にそんな囁きを注ぎ込んでくる。すぐに囁きの意味を理解した和彦は、手の甲で涙を拭ってから応じた。
「……ぼくはいつでも、あんたに甘いだろ」
「本当に、減らず口だ。少なくとも、この状況で言うことじゃねーな」
 笑いを含んだ声で言った賢吾が、熱い欲望を内奥の入り口に押し当て、一気に挿入してきた。苦痛とも愉悦ともいえる感覚が下肢から押し寄せ、きつく目を閉じた和彦は喉を反らす。
 もう少し優しく動けと言いたかったが、賢吾の欲望を襞と粘膜に擦りつけられ、その逞しさを体の内で感じていると、容赦ない激しさが愛しくなってくる。傲慢なこの男に求められているという事実が、和彦の官能をより深いものにする。
「あっ、ああっ――。賢吾、さんっ……」
「いい具合だ、先生。いやらしい襞で俺のものをしゃぶりながら、尻全体でグイグイ締め上げてくる」
 賢吾は露骨なことを言いながら、和彦が何を求めてくるかわかっているように、思わせぶりな手つきで帯を解き、浴衣を脱いだ。背を見ることは叶わないが、肩にのしかかる大蛇の刺青の一部を見て、それだけで和彦は喉を鳴らす。
 両手を伸ばして、肩から腕にかけて刺青を撫でる。すると賢吾は、和彦の欲望を握り、ゆっくりと上下に扱き始めた。
「うあっ、あっ、あっ……、いっ、いぃ」
 内奥深くを抉られながら欲望を扱かれ、大蛇の刺青に触れる。和彦にとってはどれも、強い快感を引き出される行為で、奔放に乱れることを自分でも抑えられない。賢吾は、そんな和彦を見下ろし、唇に薄い笑みを刻んでいた。
「出したいか?」
 短く問われ、和彦は夢中で頷く。欲望を扱く賢吾の手の動きが速くなり、手荒い愛撫に呆気なく翻弄される。強い眼差しで見つめられながら、精を噴き上げて下腹部を濡らしていた。さらに精を搾り取ろうとするかのように柔らかな膨らみを揉みしだかれ、悲鳴を上げて和彦は身を捩る。しかし内奥は、確かに歓喜していた。
 淫らな蠕動を味わうように、賢吾がやっと覆い被さってくる。和彦は必死に広い背に両腕を回し、大蛇を抱き締めた。
「――いやらしい、オンナだ」
 賢吾の声と言葉に鼓膜を愛撫される。追い討ちをかけるように内奥に熱い精を注ぎ込まれ、和彦は全身を駆け抜ける絶頂感に、恍惚としていた。

しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...