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第19話
(23)
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「こういうところに来て、いいと思えるのは、浴槽が広いことだな」
和彦の言葉に、三田村が生まじめな顔で応じる。
「大胆な発言だ」
「――大胆っていうのは、こういうことを言うんだ、三田村」
和彦は、三田村の両足の間に顔を伏せると、すでに熱くなっている欲望に唇を押し当てた。
「先生っ……」
三田村が驚いたような声を上げ、遠慮がちに頭に手をかけてきたが、かまわず和彦は行為を続ける。
片手で三田村のものを扱き上げながら、先端を優しく吸い、舌を這わせる。三田村はいつも、和彦がこの行為に及ぶとき、最初は遠慮がちで、申し訳なさそうな反応すら見せる。和彦は、そんな三田村を唇と舌で変化させていくのが好きだった。
何度も大きく息を吐き出す三田村の反応をうかがいながら、逞しさを増していく欲望を丹念に舐め上げ、唇で締め付けるようにして扱き、口腔の粘膜でしっとりと包み込む。
行為の間も湯は溜まり続け、伏せた顔が浸かるまでそう時間は残っていない。和彦の口淫が熱を帯びようとしたとき、思いがけない三田村の言葉が降ってきた。
「――先生、顔が見たい」
三田村の掠れた囁きに、和彦は羞恥で全身を熱くしながら、小さく首を横に振る。すると、三田村の手があごにかかった。
「見たいんだ。俺を感じさせてくれている先生の顔が」
そうせがまれ、三田村の欲望を口腔で愛撫しながら、顔をわずかに上向かせる。三田村が唇に笑みを湛えているのを見て、このまま消えたくすらなったが、狂おしいほどの欲望の前に羞恥心は呆気なく消えてしまう。
和彦は、三田村を見上げながら、愛撫を続けていた。
この男には、自分のあさましい部分を見る権利があると思った。和彦にとって、ただ一人の〈オトコ〉だからだ。
三田村が苦しげな表情を浮かべた次の瞬間、口腔深くまで呑み込んだ欲望が爆ぜ、熱い精を迸らせる。和彦はすべて受け止めて、嚥下していた。
顔が湯に浸かるギリギリの瞬間まで、まだ硬さを失わない欲望に愛撫を施し、三田村に引き起こされる。和彦の体はバスタブに押し付けられ、背後から三田村に挑まれた。
「三田、村っ……」
「つらいだろうが、我慢してくれ」
和彦が口腔で育てた欲望が、内奥をこじ開け始める。バスタブの縁に必死にすがりつきながら、それでも和彦は三田村を受け入れる。解されないままの挿入はつらくはあるが、三田村の荒々しさを喜ぶ気持ちのほうが上回っていた。
「あっ、うあっ、ああっ」
突き上げられるたびに、腰が揺れる。双丘を限界まで割り開かれ、繋がる部分を三田村に見つめられているのがわかった。その三田村の視線を受け、内奥の入り口がひくついていることすら。
「んうっ――」
深くしっかりと繋がると、三田村の両手が体中に這わされる。和彦は小さく声を洩らして、内奥からじわじわと湧き起こる肉の悦びと、愛撫の心地よさに身を委ねる。
バスタブに湯が溜まるにつれ、体にかかる負担が軽くなっていた。背後から緩やかに突き上げられるたびに、簡単に腰が揺れ、背をしならせる。前屈みとなった三田村が、背をじっくりと舐めてくれ、たまらず和彦は伸びやかな喘ぎ声を上げる。
「体、温まってきた」
三田村が耳に唇を押し当て、囁いてくる。ささやかな感触にすら感じた和彦は、首をすくめて応じた。
「……中が、すごく熱いんだ……」
「ああ、俺も感じている。先生の中が熱い」
バスタブの縁を掴む和彦の手に、三田村の手が重なってくる。もう片方の手が両足の間に差し込まれ、和彦のものは大きな手に包み込まれた。
和彦は押し寄せてくる快感の波を予期して、震えを帯びた吐息を洩らした。
三田村の腕に頭をのせ、背に回したてのひらで虎の刺青を撫でるというのは、和彦にとっては至福の時間だ。三田村は、そんな和彦の顔を見つめながら、目を細めている。
「なんだか、嬉しそうだな」
三田村の表情に気づいて和彦がそう指摘すると、あっさりと頷かれた。
「先生が満足そうな顔をしているから、見ているこっちも嬉しくなる」
和彦はちらりと笑みをこぼすと、目の前の三田村の唇に、自分の唇を重ねる。ベッドに移動して、たっぷりと時間をかけ、何度となく繋がって極め合ったあとだというのに、もう三田村が欲しくなっていた。ただ、気持ちはそうでも、体が欲望に追いつかない。
「気持ちよかったんだから、そういう顔にもなるだろ」
小さな声で和彦が言うと、三田村が動揺したように視線をさまよわせた。和彦は声を洩らして笑ったあと、三田村のあごの傷跡を舌先でなぞる。
「――こういう時間が持ててよかった」
吐息交じりに三田村が洩らし、まだ濡れている和彦の髪を指先で梳いてくれる。
和彦の言葉に、三田村が生まじめな顔で応じる。
「大胆な発言だ」
「――大胆っていうのは、こういうことを言うんだ、三田村」
和彦は、三田村の両足の間に顔を伏せると、すでに熱くなっている欲望に唇を押し当てた。
「先生っ……」
三田村が驚いたような声を上げ、遠慮がちに頭に手をかけてきたが、かまわず和彦は行為を続ける。
片手で三田村のものを扱き上げながら、先端を優しく吸い、舌を這わせる。三田村はいつも、和彦がこの行為に及ぶとき、最初は遠慮がちで、申し訳なさそうな反応すら見せる。和彦は、そんな三田村を唇と舌で変化させていくのが好きだった。
何度も大きく息を吐き出す三田村の反応をうかがいながら、逞しさを増していく欲望を丹念に舐め上げ、唇で締め付けるようにして扱き、口腔の粘膜でしっとりと包み込む。
行為の間も湯は溜まり続け、伏せた顔が浸かるまでそう時間は残っていない。和彦の口淫が熱を帯びようとしたとき、思いがけない三田村の言葉が降ってきた。
「――先生、顔が見たい」
三田村の掠れた囁きに、和彦は羞恥で全身を熱くしながら、小さく首を横に振る。すると、三田村の手があごにかかった。
「見たいんだ。俺を感じさせてくれている先生の顔が」
そうせがまれ、三田村の欲望を口腔で愛撫しながら、顔をわずかに上向かせる。三田村が唇に笑みを湛えているのを見て、このまま消えたくすらなったが、狂おしいほどの欲望の前に羞恥心は呆気なく消えてしまう。
和彦は、三田村を見上げながら、愛撫を続けていた。
この男には、自分のあさましい部分を見る権利があると思った。和彦にとって、ただ一人の〈オトコ〉だからだ。
三田村が苦しげな表情を浮かべた次の瞬間、口腔深くまで呑み込んだ欲望が爆ぜ、熱い精を迸らせる。和彦はすべて受け止めて、嚥下していた。
顔が湯に浸かるギリギリの瞬間まで、まだ硬さを失わない欲望に愛撫を施し、三田村に引き起こされる。和彦の体はバスタブに押し付けられ、背後から三田村に挑まれた。
「三田、村っ……」
「つらいだろうが、我慢してくれ」
和彦が口腔で育てた欲望が、内奥をこじ開け始める。バスタブの縁に必死にすがりつきながら、それでも和彦は三田村を受け入れる。解されないままの挿入はつらくはあるが、三田村の荒々しさを喜ぶ気持ちのほうが上回っていた。
「あっ、うあっ、ああっ」
突き上げられるたびに、腰が揺れる。双丘を限界まで割り開かれ、繋がる部分を三田村に見つめられているのがわかった。その三田村の視線を受け、内奥の入り口がひくついていることすら。
「んうっ――」
深くしっかりと繋がると、三田村の両手が体中に這わされる。和彦は小さく声を洩らして、内奥からじわじわと湧き起こる肉の悦びと、愛撫の心地よさに身を委ねる。
バスタブに湯が溜まるにつれ、体にかかる負担が軽くなっていた。背後から緩やかに突き上げられるたびに、簡単に腰が揺れ、背をしならせる。前屈みとなった三田村が、背をじっくりと舐めてくれ、たまらず和彦は伸びやかな喘ぎ声を上げる。
「体、温まってきた」
三田村が耳に唇を押し当て、囁いてくる。ささやかな感触にすら感じた和彦は、首をすくめて応じた。
「……中が、すごく熱いんだ……」
「ああ、俺も感じている。先生の中が熱い」
バスタブの縁を掴む和彦の手に、三田村の手が重なってくる。もう片方の手が両足の間に差し込まれ、和彦のものは大きな手に包み込まれた。
和彦は押し寄せてくる快感の波を予期して、震えを帯びた吐息を洩らした。
三田村の腕に頭をのせ、背に回したてのひらで虎の刺青を撫でるというのは、和彦にとっては至福の時間だ。三田村は、そんな和彦の顔を見つめながら、目を細めている。
「なんだか、嬉しそうだな」
三田村の表情に気づいて和彦がそう指摘すると、あっさりと頷かれた。
「先生が満足そうな顔をしているから、見ているこっちも嬉しくなる」
和彦はちらりと笑みをこぼすと、目の前の三田村の唇に、自分の唇を重ねる。ベッドに移動して、たっぷりと時間をかけ、何度となく繋がって極め合ったあとだというのに、もう三田村が欲しくなっていた。ただ、気持ちはそうでも、体が欲望に追いつかない。
「気持ちよかったんだから、そういう顔にもなるだろ」
小さな声で和彦が言うと、三田村が動揺したように視線をさまよわせた。和彦は声を洩らして笑ったあと、三田村のあごの傷跡を舌先でなぞる。
「――こういう時間が持ててよかった」
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