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第18話
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この部屋に泊まったとき、習慣のように体を重ねているが、与えられる感覚に慣れる気配はまったくない。いつでも和彦は、三田村の感触を新鮮に感じ、適度に緊張もしていた。まるで、つき合い始めたばかりの恋人同士のように。
三田村が一度繋がりを解き、促されるまま和彦は仰向けとなる。ようやく三田村と向き合い、抱き合えると思ったが、和彦が両腕を伸ばす前に三田村に足を抱え上げられ、性急に再び繋がる。
「ああっ」
和彦が喉を反らして声を上げたときには、大きく腰を突き上げられ、とっくに蕩けた襞と粘膜を強く刺激される。身を捩りたくなるような快感に、下肢どころか、瞬く間に全身を支配されていた。
「――……先生」
顔を覗き込んできた三田村に唇を吸われ、無意識に甘えるような声を洩らす。深く唇が重なると、夢中で口づけを貪る。和彦は両腕を三田村の背に回そうとしたが、それは許されなかった。
三田村に両手を握られて、ベッドに押さえつけられる。そのまましっかりとてのひらを重ね、指を絡め合っていた。
「あっ、あっ、あっ……うぅ。んっ、んうっ」
三田村の激しい律動に腰が弾み、声が洩れる。いつもならしっかりと三田村にしがみつくところを、両手をベッドに押さえつけられているせいで、もどかしさが奇妙な高揚感へと変わる。その高揚感は、和彦の感度を確実に高めていた。
「三田村っ……、早く、撫で、たい――」
口づけの合間に和彦が訴えると、三田村が微かな笑みを唇に刻む。次の瞬間、握り合っていた手が離れ、すぐに和彦は三田村の背に両腕を回してしがみつく。すると、それを待っていたように、三田村にきつく抱き締められて体を起こされた。
「うあっ」
三田村の腰を跨いだ姿勢で、繋がったまま向き合う。三田村に腰を掴まれた和彦は緩やかに揺さぶられ、自らも腰を前後に動かしていた。
舌を絡め合いながら、自分の狂おしい欲望を果たすように、三田村の背を ――虎の刺青を撫で回す。和彦の手の動きに興奮を煽られているのか、三田村の体は燃えそうに熱い。もちろん、和彦の内奥深くに収まったものも。
「先生……」
ハスキーな声をさらに掠れさせて、三田村が和彦を呼ぶ。和彦は深い吐息を洩らしてから、三田村と唇を啄み、きつく抱き合う。これ以上なくしっかりと繋がっているというのに、まだ足りない。できることなら、狂おしい欲望を抱えたまま、三田村と溶け合ってしまいたかった。
「んうっ」
三田村のものを貪欲に呑み込み、ひくつく内奥の入り口を、指先でなぞられる。感じた羞恥は瞬く間に痺れるような法悦となり、和彦は三田村の腕の中で身悶える。
「……すごく、気持ちいい」
三田村の顔を覗き込んでそう囁くと、あごの傷跡を舐め上げる。すると、双丘に三田村の手がかかり、強い欲望を表すように鷲掴まれていた。
下から突き上げられ、和彦は顔を仰向かせながら奔放に乱れる。それでも、三田村の背の虎を撫でることはやめない。
「あっ……ん、あっ、うあっ」
三田村の動きに合わせて、すでに限界まで高ぶった和彦のものが、三田村の引き締まった腹部で擦り上げられる。さらに強い快感を欲して、和彦は自ら大胆に腰を上下に動かしていた。
「――三田、村、もうっ……」
和彦が訴えると、心得たように三田村に腰を掴まれ、強く内奥を突き上げられる。このまま絶頂にたどり着けると思ったが、思いがけない邪魔が入った。
テーブルの上に置いた三田村の携帯電話が鳴り始める。二人は反射的に間近で顔を見合わせ、一瞬にして事態を理解する。仕事が休みの三田村が、和彦とともに過ごしていることを組は把握している。それでも携帯電話を鳴らすということは――。
「先生、電話だ」
三田村が動きを止めようとしたが、和彦はしがみついてそれを拒む。
「嫌だ……。やめたくない」
「だが――」
和彦が三田村の背にぐっと爪を立てると、数秒の間を置いて、激しい律動が再開された。
携帯電話の着信音に追い立てられるように、和彦は夢中で腰を揺らし、熱くなって震えるものを三田村の腹部に擦りつける。自分の欲望を果たしたいという思いの一方で、三田村に早く電話を取らせたいという思いもあった。
「はっ、あうっ」
ようやく和彦は絶頂を迎え、噴き上げた精で三田村の腹部を汚す。まだ、携帯電話は鳴り続けていた。
「……電話、まだ間に合う……」
息を喘がせながらの和彦の言葉に、三田村は表情を引き締めたまま答えなかった。その代わり、和彦の体は再びベッドに押し付けられた。
三田村は、今度は自分の欲望を果たそうとしていた。和彦は携帯電話を気にはかけたが、押し寄せてくる愉悦を手放すことはできなかった。
三田村が一度繋がりを解き、促されるまま和彦は仰向けとなる。ようやく三田村と向き合い、抱き合えると思ったが、和彦が両腕を伸ばす前に三田村に足を抱え上げられ、性急に再び繋がる。
「ああっ」
和彦が喉を反らして声を上げたときには、大きく腰を突き上げられ、とっくに蕩けた襞と粘膜を強く刺激される。身を捩りたくなるような快感に、下肢どころか、瞬く間に全身を支配されていた。
「――……先生」
顔を覗き込んできた三田村に唇を吸われ、無意識に甘えるような声を洩らす。深く唇が重なると、夢中で口づけを貪る。和彦は両腕を三田村の背に回そうとしたが、それは許されなかった。
三田村に両手を握られて、ベッドに押さえつけられる。そのまましっかりとてのひらを重ね、指を絡め合っていた。
「あっ、あっ、あっ……うぅ。んっ、んうっ」
三田村の激しい律動に腰が弾み、声が洩れる。いつもならしっかりと三田村にしがみつくところを、両手をベッドに押さえつけられているせいで、もどかしさが奇妙な高揚感へと変わる。その高揚感は、和彦の感度を確実に高めていた。
「三田村っ……、早く、撫で、たい――」
口づけの合間に和彦が訴えると、三田村が微かな笑みを唇に刻む。次の瞬間、握り合っていた手が離れ、すぐに和彦は三田村の背に両腕を回してしがみつく。すると、それを待っていたように、三田村にきつく抱き締められて体を起こされた。
「うあっ」
三田村の腰を跨いだ姿勢で、繋がったまま向き合う。三田村に腰を掴まれた和彦は緩やかに揺さぶられ、自らも腰を前後に動かしていた。
舌を絡め合いながら、自分の狂おしい欲望を果たすように、三田村の背を ――虎の刺青を撫で回す。和彦の手の動きに興奮を煽られているのか、三田村の体は燃えそうに熱い。もちろん、和彦の内奥深くに収まったものも。
「先生……」
ハスキーな声をさらに掠れさせて、三田村が和彦を呼ぶ。和彦は深い吐息を洩らしてから、三田村と唇を啄み、きつく抱き合う。これ以上なくしっかりと繋がっているというのに、まだ足りない。できることなら、狂おしい欲望を抱えたまま、三田村と溶け合ってしまいたかった。
「んうっ」
三田村のものを貪欲に呑み込み、ひくつく内奥の入り口を、指先でなぞられる。感じた羞恥は瞬く間に痺れるような法悦となり、和彦は三田村の腕の中で身悶える。
「……すごく、気持ちいい」
三田村の顔を覗き込んでそう囁くと、あごの傷跡を舐め上げる。すると、双丘に三田村の手がかかり、強い欲望を表すように鷲掴まれていた。
下から突き上げられ、和彦は顔を仰向かせながら奔放に乱れる。それでも、三田村の背の虎を撫でることはやめない。
「あっ……ん、あっ、うあっ」
三田村の動きに合わせて、すでに限界まで高ぶった和彦のものが、三田村の引き締まった腹部で擦り上げられる。さらに強い快感を欲して、和彦は自ら大胆に腰を上下に動かしていた。
「――三田、村、もうっ……」
和彦が訴えると、心得たように三田村に腰を掴まれ、強く内奥を突き上げられる。このまま絶頂にたどり着けると思ったが、思いがけない邪魔が入った。
テーブルの上に置いた三田村の携帯電話が鳴り始める。二人は反射的に間近で顔を見合わせ、一瞬にして事態を理解する。仕事が休みの三田村が、和彦とともに過ごしていることを組は把握している。それでも携帯電話を鳴らすということは――。
「先生、電話だ」
三田村が動きを止めようとしたが、和彦はしがみついてそれを拒む。
「嫌だ……。やめたくない」
「だが――」
和彦が三田村の背にぐっと爪を立てると、数秒の間を置いて、激しい律動が再開された。
携帯電話の着信音に追い立てられるように、和彦は夢中で腰を揺らし、熱くなって震えるものを三田村の腹部に擦りつける。自分の欲望を果たしたいという思いの一方で、三田村に早く電話を取らせたいという思いもあった。
「はっ、あうっ」
ようやく和彦は絶頂を迎え、噴き上げた精で三田村の腹部を汚す。まだ、携帯電話は鳴り続けていた。
「……電話、まだ間に合う……」
息を喘がせながらの和彦の言葉に、三田村は表情を引き締めたまま答えなかった。その代わり、和彦の体は再びベッドに押し付けられた。
三田村は、今度は自分の欲望を果たそうとしていた。和彦は携帯電話を気にはかけたが、押し寄せてくる愉悦を手放すことはできなかった。
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