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第17話
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「頼むから、部屋の外でそんなことを冗談でも言わないでくれ。ここの組員たちに睨まれたくない」
ヤクザの組長からこんなことを言われると、冗談とわかっていながらも心臓に悪い。ただ、憂鬱さに捕らわれそうになった気持ちは、賢吾のその冗談でふっと軽くなっていた。
コーヒーを啜った和彦が何げなく視線を上げると、賢吾がこちらを見つめていた。そして、自分が腰掛けているソファを指さした。こちらに座り直せと言いたいのだ。わずかにうろたえた和彦だが、結局、賢吾の指示に従う。
案の定、賢吾の隣に座った途端、肩を抱かれて引き寄せられた。
賢吾の大きな手が、ワイシャツの上から和彦の肩先を撫でる。最初は背筋を伸ばしていたが、手の動きに促されるように、和彦はゆっくりと賢吾にもたれかかった。
「……仕事、しなくていいのか?」
「急ぎの仕事なら、もう片付けた。今日、先生とデートするためにな」
「何言ってるんだ――」
内心でうろたえながら視線を上げると、賢吾が返してきたのは、熱を帯びた強い眼差しだった。この瞬間、和彦の胸の奥で妖しい衝動が蠢く。
甘い危惧を覚え、反射的に体を離そうとしたが、肩にかかった腕にがっちりと押さえ込まれて動けない。
耳に熱い息がかかり、和彦は小さく身震いする。そのまま賢吾の唇が耳に押し当てられた。
「あっ……」
濡れた舌先が耳の形をなぞる一方で、油断ならない手にワイシャツのボタンを外されていく。和彦は微かに声を洩らすと、耳朶に軽く噛みつかれる。疼きが背筋を駆け抜け、たまらず賢吾の膝に手をかけはしたものの、完全に身を任せるまでにはいかない。
和彦は応接間のドアに視線をやる。ドア一枚隔てた向こうでは、組員たちが行き来する気配がするのだ。
「ここは落ち着かないか?」
おもしろがるような口調で賢吾が言い、きつい眼差しを向けながらも和彦は頷く。
和彦の羞恥心を煽ることで性的興奮を覚える傾向がある賢吾だが、珍しくあっさりと手を引いた。もちろん、行為をやめるためではなく、場所を移るために。
客間に連れ込まれると、布団を敷く間もなく畳の上に押し倒され、和彦は裸に剥かれる。獣が襲いかかるように、覆い被さってきた賢吾は容赦なく、和彦の肌に愛撫を施し始める。
寒さで鳥肌が立った肌を熱い舌でじっくりと舐め回され、痛いほど強く吸い上げられて、鮮やかな鬱血の痕を残される。
期待で凝った胸の突起を口腔に含まれたとき、和彦は深い吐息をこぼして仰け反っていた。濡れた音を立てて執拗に突起を舐られ、吸われたかと思うと、歯を立てられて引っ張られる。
「うっ……」
「先生、足を開け」
傲慢に賢吾に命令され、和彦はぎこちなく従う。羞恥はあるが、身を捩りたくなるような興奮のほうが勝っていた。その証拠に、和彦の下肢に視線を遣った賢吾が、唇の端を持ち上げるようにして笑う。
敏感なものを無遠慮に握り締められ、一瞬息が詰まった。
「寒い思いをさせて可哀想だと思ったが、こっちはもう、熱くなってるようだな」
握ったものを手荒く扱かれて、和彦は首を左右に振って反応するが、寸前のところで声を堪える。そんな和彦を、賢吾はおもしろそうに見下ろしてきた。
「遠慮せず、声を出したらどうだ」
「……うる、さい。ぼくの勝手だろ」
「確かに、先生の勝手だな。だったら俺も、勝手にさせてもらおう」
和彦はのろのろと片手を伸ばして、賢吾の頬に触れる。
「いつもは勝手にしてないような、言い方だな」
「してないだろ。なんといっても俺は、紳士だ」
「どの口が――」
ここで賢吾に唇を塞がれた。口腔深くまで舌を差し込まれ、唾液を流し込まれる。息苦しさから、和彦は賢吾の下で軽くもがいていたが、口腔で蠢く舌に刺激されているうちに、体の奥で肉欲の疼きを自覚する。そうなると、もう賢吾に支配されたも同然だ。
指を濡らさないまま、内奥の入り口をまさぐられ、柔な粘膜を擦り上げられる。痛みを予期して体を硬くするが、和彦の体を知り尽くしている賢吾の指は、手荒なくせに傷をつけるようなことはしない。
内奥の浅い部分に指を含まされ、和彦は腰を揺らす。じわりと広がる肉の疼きを認識していた。
「物欲しげにひくついてるな……」
賢吾が洩らした言葉に、意識しないまま和彦の全身は熱くなる。
見せつけるように舐めた指を、賢吾が内奥に挿入してくる。和彦は畳の上に爪先を突っ張らせながら、なんとか下肢から力を抜く。賢吾の指が、肉を掻き分けるようして内奥に付け根まで収まり、巧みに蠢き始めていた。
感じやすく脆い襞と粘膜を擦り上げられ、爪の先で掻くように刺激される。たまらず賢吾の指を締め付けながら和彦は、熱を帯びた吐息をこぼした。
ヤクザの組長からこんなことを言われると、冗談とわかっていながらも心臓に悪い。ただ、憂鬱さに捕らわれそうになった気持ちは、賢吾のその冗談でふっと軽くなっていた。
コーヒーを啜った和彦が何げなく視線を上げると、賢吾がこちらを見つめていた。そして、自分が腰掛けているソファを指さした。こちらに座り直せと言いたいのだ。わずかにうろたえた和彦だが、結局、賢吾の指示に従う。
案の定、賢吾の隣に座った途端、肩を抱かれて引き寄せられた。
賢吾の大きな手が、ワイシャツの上から和彦の肩先を撫でる。最初は背筋を伸ばしていたが、手の動きに促されるように、和彦はゆっくりと賢吾にもたれかかった。
「……仕事、しなくていいのか?」
「急ぎの仕事なら、もう片付けた。今日、先生とデートするためにな」
「何言ってるんだ――」
内心でうろたえながら視線を上げると、賢吾が返してきたのは、熱を帯びた強い眼差しだった。この瞬間、和彦の胸の奥で妖しい衝動が蠢く。
甘い危惧を覚え、反射的に体を離そうとしたが、肩にかかった腕にがっちりと押さえ込まれて動けない。
耳に熱い息がかかり、和彦は小さく身震いする。そのまま賢吾の唇が耳に押し当てられた。
「あっ……」
濡れた舌先が耳の形をなぞる一方で、油断ならない手にワイシャツのボタンを外されていく。和彦は微かに声を洩らすと、耳朶に軽く噛みつかれる。疼きが背筋を駆け抜け、たまらず賢吾の膝に手をかけはしたものの、完全に身を任せるまでにはいかない。
和彦は応接間のドアに視線をやる。ドア一枚隔てた向こうでは、組員たちが行き来する気配がするのだ。
「ここは落ち着かないか?」
おもしろがるような口調で賢吾が言い、きつい眼差しを向けながらも和彦は頷く。
和彦の羞恥心を煽ることで性的興奮を覚える傾向がある賢吾だが、珍しくあっさりと手を引いた。もちろん、行為をやめるためではなく、場所を移るために。
客間に連れ込まれると、布団を敷く間もなく畳の上に押し倒され、和彦は裸に剥かれる。獣が襲いかかるように、覆い被さってきた賢吾は容赦なく、和彦の肌に愛撫を施し始める。
寒さで鳥肌が立った肌を熱い舌でじっくりと舐め回され、痛いほど強く吸い上げられて、鮮やかな鬱血の痕を残される。
期待で凝った胸の突起を口腔に含まれたとき、和彦は深い吐息をこぼして仰け反っていた。濡れた音を立てて執拗に突起を舐られ、吸われたかと思うと、歯を立てられて引っ張られる。
「うっ……」
「先生、足を開け」
傲慢に賢吾に命令され、和彦はぎこちなく従う。羞恥はあるが、身を捩りたくなるような興奮のほうが勝っていた。その証拠に、和彦の下肢に視線を遣った賢吾が、唇の端を持ち上げるようにして笑う。
敏感なものを無遠慮に握り締められ、一瞬息が詰まった。
「寒い思いをさせて可哀想だと思ったが、こっちはもう、熱くなってるようだな」
握ったものを手荒く扱かれて、和彦は首を左右に振って反応するが、寸前のところで声を堪える。そんな和彦を、賢吾はおもしろそうに見下ろしてきた。
「遠慮せず、声を出したらどうだ」
「……うる、さい。ぼくの勝手だろ」
「確かに、先生の勝手だな。だったら俺も、勝手にさせてもらおう」
和彦はのろのろと片手を伸ばして、賢吾の頬に触れる。
「いつもは勝手にしてないような、言い方だな」
「してないだろ。なんといっても俺は、紳士だ」
「どの口が――」
ここで賢吾に唇を塞がれた。口腔深くまで舌を差し込まれ、唾液を流し込まれる。息苦しさから、和彦は賢吾の下で軽くもがいていたが、口腔で蠢く舌に刺激されているうちに、体の奥で肉欲の疼きを自覚する。そうなると、もう賢吾に支配されたも同然だ。
指を濡らさないまま、内奥の入り口をまさぐられ、柔な粘膜を擦り上げられる。痛みを予期して体を硬くするが、和彦の体を知り尽くしている賢吾の指は、手荒なくせに傷をつけるようなことはしない。
内奥の浅い部分に指を含まされ、和彦は腰を揺らす。じわりと広がる肉の疼きを認識していた。
「物欲しげにひくついてるな……」
賢吾が洩らした言葉に、意識しないまま和彦の全身は熱くなる。
見せつけるように舐めた指を、賢吾が内奥に挿入してくる。和彦は畳の上に爪先を突っ張らせながら、なんとか下肢から力を抜く。賢吾の指が、肉を掻き分けるようして内奥に付け根まで収まり、巧みに蠢き始めていた。
感じやすく脆い襞と粘膜を擦り上げられ、爪の先で掻くように刺激される。たまらず賢吾の指を締め付けながら和彦は、熱を帯びた吐息をこぼした。
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