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第16話
(9)
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「こんな格好だから、いいんだろ。女物の襦袢を身につけようが、どう見たって先生は立派な男だ。そこが、たまんねーんだ。色っぽい襦袢の下に、こんなものがあるのが、またいい――」
扱かれていたものを、不意打ちのように根元できつく締め付けられる。和彦が必死に柱にすがりつくと、荒々しく長襦袢の裾をたくし上げられ、尻が剥き出しとなる。
「……人の性癖のことを言えるかっ。ぼくが知る限り、あんたが一番、難がある」
「ほお。だったら先生は、いままで何人の男を知ってるんだ?」
自分が墓穴を掘ったことを知った和彦は、体を強張らせる。それをいいことに、賢吾が露骨な手つきで尻を揉んでくる。こうなると、もう賢吾の手から逃れることは不可能だ。仕方なく和彦はこう訴えた。
「立ったままは嫌だ……」
「これから俺は、客と会わなきゃならん。手っ取り早く、ことを済ませたい」
「だったら何も、今じゃなくていいだろっ」
「わかれよ、先生。俺は今、欲しいんだ」
忌々しいほど魅力的なバリトンが囁くのは、とんでもなく不埒な言葉だ。そうされることに、和彦は弱い。耳朶をたっぷり舐られて、小さく喘いでいた。
引き下ろされた下着をとうとう脱がされて、腰を突き出した姿勢を取らされる。唾液で濡れた指が秘裂をまさぐってきたかと思うと、内奥の入り口を揉み解すように押さえられ、刺激される。
「うっ、うぅ――」
「力抜いてろよ」
残酷なほど優しい声でそう言って、賢吾の指がぐっと内奥に押し込まれてくる。突き出した尻を震わせて、和彦は浅い呼吸を繰り返す。
指が出し入れされ、襞と粘膜に唾液がすり込まれていた。
「いい眺めだな、先生。桜色の襦袢を捲り上げて、赤く染まり始めた先生の尻を犯すってのは……」
付け根まで挿入された指が、内奥で妖しく蠢く。和彦は呻き声を洩らしながら、引き絞るように賢吾の指を締め付ける。逃げるように指が引き抜かれたが、すぐに、今度は本数を増やして再び挿入された。
「あうっ、うっ、うあっ」
内奥をねっとりと撫で回されたあと、賢吾に腰を抱き寄せられ、唇を求められる。柱にもたれかかるようにして和彦は姿勢を戻し、振り返って賢吾と唇を触れ合わせた。
すでに熱くなって身を起こしかけたものを、賢吾に愛撫してもらう。濡れた先端を指の腹で擦られ、ビクビクと腰が震える。
「いつもより、涎の量が多いな」
からかうように賢吾に指摘され、和彦はムキになって下肢から手を払いのけようとしたが、低く笑い声を洩らした賢吾に反対に手を掴まれてしまった。促されるまま、和彦は自分の欲望に触れ、ぎこちなく慰める。
再び腰を突き出す姿勢を取らされ、背後から賢吾に貫かれた。
立った姿勢のまま繋がるのは、苦手だった。いつも以上の苦痛に襲われるからだ。その苦痛を紛らわせるために和彦は、自分のものを愛撫するしかない。賢吾は最初から、和彦の苦痛を和らげる気はないのだ。
「くっ……、ううっ、うっ、くうっ……ん」
「たまには乱暴なのもいいだろ?」
熱い囁きのすぐあとに、腰を突き上げられる。堪えきれず甲高い声を上げた和彦だったが、その声はあっという間に、甘い呻きとなる。
賢吾が腰を使い始め、背後から押し寄せる衝撃に耐えるため、もう和彦は自らの欲望に触れるどころではなくなる。柱にしがみついていないと、足元から崩れ込んでしまいそうなのだ。
「はあっ、あっ、あっ、あっ」
容赦ない律動の合間に、反り返って震えるものを賢吾に握り締められる。強く扱かれて上擦った声を洩らすと、突然、賢吾に言われた。
「――先生、俺のわがままを聞いてくれないか」
「嫌、だ……」
背後で賢吾が微かに笑い声を洩らす。
「なんだ、どんなわがままか聞きもしないうちに即答か」
「あんたが、そんな言い方をするときは、絶対、ロクなことを言わないっ……。千尋も、同じような言い方をするんだ。父子揃って、よく似てる」
「そりゃ、興味深い。先生だからこそ、知っていることだな」
「……だから、わがままは、聞かない」
腰を掴まれ、ぐうっと内奥深くを突かれる。和彦は、自分の内奥が歓喜し、健気に賢吾のものを締め付けるのを感じた。
「大したことじゃない。先生はもう、一回経験済みだ」
透明なしずくを滴らせる先端を、賢吾の指にヌルヌルと撫でられる。和彦はヒクリと背をしならせ、賢吾が望んでいる行為を一瞬にして察した。途端に全身が熱くなる。
「〈あのとき〉のことを思い出して、高ぶったか?」
「違うっ。あんなはしたないこと、ここでできるわけないだろ」
「ここだから、興奮するんだ」
扱かれていたものを、不意打ちのように根元できつく締め付けられる。和彦が必死に柱にすがりつくと、荒々しく長襦袢の裾をたくし上げられ、尻が剥き出しとなる。
「……人の性癖のことを言えるかっ。ぼくが知る限り、あんたが一番、難がある」
「ほお。だったら先生は、いままで何人の男を知ってるんだ?」
自分が墓穴を掘ったことを知った和彦は、体を強張らせる。それをいいことに、賢吾が露骨な手つきで尻を揉んでくる。こうなると、もう賢吾の手から逃れることは不可能だ。仕方なく和彦はこう訴えた。
「立ったままは嫌だ……」
「これから俺は、客と会わなきゃならん。手っ取り早く、ことを済ませたい」
「だったら何も、今じゃなくていいだろっ」
「わかれよ、先生。俺は今、欲しいんだ」
忌々しいほど魅力的なバリトンが囁くのは、とんでもなく不埒な言葉だ。そうされることに、和彦は弱い。耳朶をたっぷり舐られて、小さく喘いでいた。
引き下ろされた下着をとうとう脱がされて、腰を突き出した姿勢を取らされる。唾液で濡れた指が秘裂をまさぐってきたかと思うと、内奥の入り口を揉み解すように押さえられ、刺激される。
「うっ、うぅ――」
「力抜いてろよ」
残酷なほど優しい声でそう言って、賢吾の指がぐっと内奥に押し込まれてくる。突き出した尻を震わせて、和彦は浅い呼吸を繰り返す。
指が出し入れされ、襞と粘膜に唾液がすり込まれていた。
「いい眺めだな、先生。桜色の襦袢を捲り上げて、赤く染まり始めた先生の尻を犯すってのは……」
付け根まで挿入された指が、内奥で妖しく蠢く。和彦は呻き声を洩らしながら、引き絞るように賢吾の指を締め付ける。逃げるように指が引き抜かれたが、すぐに、今度は本数を増やして再び挿入された。
「あうっ、うっ、うあっ」
内奥をねっとりと撫で回されたあと、賢吾に腰を抱き寄せられ、唇を求められる。柱にもたれかかるようにして和彦は姿勢を戻し、振り返って賢吾と唇を触れ合わせた。
すでに熱くなって身を起こしかけたものを、賢吾に愛撫してもらう。濡れた先端を指の腹で擦られ、ビクビクと腰が震える。
「いつもより、涎の量が多いな」
からかうように賢吾に指摘され、和彦はムキになって下肢から手を払いのけようとしたが、低く笑い声を洩らした賢吾に反対に手を掴まれてしまった。促されるまま、和彦は自分の欲望に触れ、ぎこちなく慰める。
再び腰を突き出す姿勢を取らされ、背後から賢吾に貫かれた。
立った姿勢のまま繋がるのは、苦手だった。いつも以上の苦痛に襲われるからだ。その苦痛を紛らわせるために和彦は、自分のものを愛撫するしかない。賢吾は最初から、和彦の苦痛を和らげる気はないのだ。
「くっ……、ううっ、うっ、くうっ……ん」
「たまには乱暴なのもいいだろ?」
熱い囁きのすぐあとに、腰を突き上げられる。堪えきれず甲高い声を上げた和彦だったが、その声はあっという間に、甘い呻きとなる。
賢吾が腰を使い始め、背後から押し寄せる衝撃に耐えるため、もう和彦は自らの欲望に触れるどころではなくなる。柱にしがみついていないと、足元から崩れ込んでしまいそうなのだ。
「はあっ、あっ、あっ、あっ」
容赦ない律動の合間に、反り返って震えるものを賢吾に握り締められる。強く扱かれて上擦った声を洩らすと、突然、賢吾に言われた。
「――先生、俺のわがままを聞いてくれないか」
「嫌、だ……」
背後で賢吾が微かに笑い声を洩らす。
「なんだ、どんなわがままか聞きもしないうちに即答か」
「あんたが、そんな言い方をするときは、絶対、ロクなことを言わないっ……。千尋も、同じような言い方をするんだ。父子揃って、よく似てる」
「そりゃ、興味深い。先生だからこそ、知っていることだな」
「……だから、わがままは、聞かない」
腰を掴まれ、ぐうっと内奥深くを突かれる。和彦は、自分の内奥が歓喜し、健気に賢吾のものを締め付けるのを感じた。
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透明なしずくを滴らせる先端を、賢吾の指にヌルヌルと撫でられる。和彦はヒクリと背をしならせ、賢吾が望んでいる行為を一瞬にして察した。途端に全身が熱くなる。
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