306 / 1,268
第15話
(25)
しおりを挟む
絶頂に達し、噴き上げた精で千尋の下腹部を濡らす。千尋にしがみつくと、しなやかだが力強い腕にしっかりと抱き締められた。
しかし、情欲が冷めることを許さないように、内奥をゆっくりと突き上げられる。
「千尋っ……、少し待ってくれっ……」
さすがに和彦が声を上げると、気圧されるほど強い輝きを放つ目で、千尋はこう言った。
「ダメ、待てない。――それに先生、与えれば与えるほど、欲しがってくれるだろ?」
激しい羞恥に、それでなくても汗を滴らせている体がさらに熱くなる。こんな状況であっても、羞恥は湧いてくるものなのだ。
さらにそこに、賢吾が追い討ちをかけてくる。
「先生」
背後から賢吾に呼ばれて振り返ると、喘ぐ唇を軽く吸われてから、耳元で露骨な言葉を囁かれる。目を見開いた和彦は、緩く首を横に振る。
「……無理だ、できない。そんな、恥知らずなこと……」
「俺と千尋は、誰よりも淫弄な先生が、必死に恥じらいを保とうとする姿勢が、たまらなく好きなんだ。だが結局は、攻められて、陥落する。そういう姿を、俺たちに見せてくれ。ほんの少しだけ早い、お年玉だ」
和彦の返事は最初から求められていなかった。いや、和彦なら拒まないと思われているのだ。事実――。
傍らに立った賢吾に頭を引き寄せられ、和彦は、凶暴な欲望の塊を眼前に突きつけられる。屈辱と羞恥と、それを吹き飛ばしかねない嵐のような欲情に苛まれながら、和彦はゆっくりと唇を開く。賢吾の欲望を口腔に含むと、千尋が再び腰を動かし始めた。
内奥を千尋に、口腔を賢吾の欲望に犯され、どうしようもなく――感じる。
自分はこの父子に所有される〈オンナ〉なのだという事実が、いまさらながら体に刻みつけられていく。賢吾と千尋は、和彦を辱めようとしているわけではなく、事実のみで感じさせようとして、実際和彦は感じている。
「――いい顔だ、先生。まだ俺を、骨抜きにする気か」
愉悦を含んだ声で言いながら賢吾にあごの下をくすぐられ、千尋には、痛いほど強く尻を揉まれる。
二人の男の欲望の限界を感じ取り、和彦は目を閉じる。十秒も経たないうちに、二人の熱い精が和彦の中に流し込まれた。
さきほどまで和彦を貪ってきた千尋は、今は身を休める時間だといわんばかりに和彦の胸にしがみつき、満足そうだ。和彦はそんな千尋の頭を撫でる。こうなると千尋は、人懐こい犬っころそのものだ。
「先生とこんなふうに年越しできるなんて、すっげー嬉しい」
無邪気な口調で可愛いことを言う千尋だが、和彦は騙されない。なんとなく腹が立つものがあり、軽く髪を引っ張ってやったが、ふざけていると思ったのか、千尋は小さく笑い声を洩らすだけだ。
三人での淫らで濃密すぎる行為のあと、和彦は千尋と一緒に再び風呂に入ってから、一人で部屋で休もうと思ったのだが、それは許されなかった。
賢吾の部屋に連れ戻されて見たのは、二組の布団をぴったりとくっつけて敷いてある光景だった。
和彦は今、並んだ布団の中央に寝ている。千尋が胸にしがみつき、そんな千尋の相手をする和彦に、賢吾は腕枕を提供してくれている。さきほどからずっと、背では賢吾の体温を感じていた。
奇妙な光景であることは、誰よりも和彦自身が痛感しているが、言ってもどうにもならないこともまた、痛感していた。
「――先生」
背後から賢吾に呼ばれ、上体を軽く捩るようにして振り返る。賢吾に見つめられながら、柔らかく唇を吸われた。そのまま互いの唇を吸い合い、舌先を触れ合わせていると、二人の姿に刺激されたのか、千尋まで顔を寄せてくる。
好奇心の強い子犬のような眼差しに間近から見つめられ、負けてしまう。賢吾と唇を離すと、息を吸い込む間もなく、今度は千尋と口づけを堪能する。
そんなことをしながらも、緩やかに静かに時間は過ぎていく。
枕元の時計を見て、もうすぐ日付が変わると賢吾が告げたとき、すでに千尋は健康的な寝息を立てていた。
「羨ましいぐらいの寝つきのよさだな……」
千尋の髪を梳いてやりながら和彦が呟くと、笑いながら賢吾が応じる。
「さすがに疲れたんだろう。何日も総和会の幹部連中とツラをつき合わせて、会長には振り回され、やっとこの家に戻ってきたら――先生相手に興奮しまくって」
「……最後は余計だ」
ふいに賢吾に腕を掴まれて引っ張られる。何事かと思って見つめると、頷いて返される。それだけで意図を察した和彦は、数瞬ためらってから慎重に体を動かし、賢吾の布団に入る。
背でも感じていたが、こうして同じ布団に入ると、賢吾の体温の高さがよくわかる。
しかし、情欲が冷めることを許さないように、内奥をゆっくりと突き上げられる。
「千尋っ……、少し待ってくれっ……」
さすがに和彦が声を上げると、気圧されるほど強い輝きを放つ目で、千尋はこう言った。
「ダメ、待てない。――それに先生、与えれば与えるほど、欲しがってくれるだろ?」
激しい羞恥に、それでなくても汗を滴らせている体がさらに熱くなる。こんな状況であっても、羞恥は湧いてくるものなのだ。
さらにそこに、賢吾が追い討ちをかけてくる。
「先生」
背後から賢吾に呼ばれて振り返ると、喘ぐ唇を軽く吸われてから、耳元で露骨な言葉を囁かれる。目を見開いた和彦は、緩く首を横に振る。
「……無理だ、できない。そんな、恥知らずなこと……」
「俺と千尋は、誰よりも淫弄な先生が、必死に恥じらいを保とうとする姿勢が、たまらなく好きなんだ。だが結局は、攻められて、陥落する。そういう姿を、俺たちに見せてくれ。ほんの少しだけ早い、お年玉だ」
和彦の返事は最初から求められていなかった。いや、和彦なら拒まないと思われているのだ。事実――。
傍らに立った賢吾に頭を引き寄せられ、和彦は、凶暴な欲望の塊を眼前に突きつけられる。屈辱と羞恥と、それを吹き飛ばしかねない嵐のような欲情に苛まれながら、和彦はゆっくりと唇を開く。賢吾の欲望を口腔に含むと、千尋が再び腰を動かし始めた。
内奥を千尋に、口腔を賢吾の欲望に犯され、どうしようもなく――感じる。
自分はこの父子に所有される〈オンナ〉なのだという事実が、いまさらながら体に刻みつけられていく。賢吾と千尋は、和彦を辱めようとしているわけではなく、事実のみで感じさせようとして、実際和彦は感じている。
「――いい顔だ、先生。まだ俺を、骨抜きにする気か」
愉悦を含んだ声で言いながら賢吾にあごの下をくすぐられ、千尋には、痛いほど強く尻を揉まれる。
二人の男の欲望の限界を感じ取り、和彦は目を閉じる。十秒も経たないうちに、二人の熱い精が和彦の中に流し込まれた。
さきほどまで和彦を貪ってきた千尋は、今は身を休める時間だといわんばかりに和彦の胸にしがみつき、満足そうだ。和彦はそんな千尋の頭を撫でる。こうなると千尋は、人懐こい犬っころそのものだ。
「先生とこんなふうに年越しできるなんて、すっげー嬉しい」
無邪気な口調で可愛いことを言う千尋だが、和彦は騙されない。なんとなく腹が立つものがあり、軽く髪を引っ張ってやったが、ふざけていると思ったのか、千尋は小さく笑い声を洩らすだけだ。
三人での淫らで濃密すぎる行為のあと、和彦は千尋と一緒に再び風呂に入ってから、一人で部屋で休もうと思ったのだが、それは許されなかった。
賢吾の部屋に連れ戻されて見たのは、二組の布団をぴったりとくっつけて敷いてある光景だった。
和彦は今、並んだ布団の中央に寝ている。千尋が胸にしがみつき、そんな千尋の相手をする和彦に、賢吾は腕枕を提供してくれている。さきほどからずっと、背では賢吾の体温を感じていた。
奇妙な光景であることは、誰よりも和彦自身が痛感しているが、言ってもどうにもならないこともまた、痛感していた。
「――先生」
背後から賢吾に呼ばれ、上体を軽く捩るようにして振り返る。賢吾に見つめられながら、柔らかく唇を吸われた。そのまま互いの唇を吸い合い、舌先を触れ合わせていると、二人の姿に刺激されたのか、千尋まで顔を寄せてくる。
好奇心の強い子犬のような眼差しに間近から見つめられ、負けてしまう。賢吾と唇を離すと、息を吸い込む間もなく、今度は千尋と口づけを堪能する。
そんなことをしながらも、緩やかに静かに時間は過ぎていく。
枕元の時計を見て、もうすぐ日付が変わると賢吾が告げたとき、すでに千尋は健康的な寝息を立てていた。
「羨ましいぐらいの寝つきのよさだな……」
千尋の髪を梳いてやりながら和彦が呟くと、笑いながら賢吾が応じる。
「さすがに疲れたんだろう。何日も総和会の幹部連中とツラをつき合わせて、会長には振り回され、やっとこの家に戻ってきたら――先生相手に興奮しまくって」
「……最後は余計だ」
ふいに賢吾に腕を掴まれて引っ張られる。何事かと思って見つめると、頷いて返される。それだけで意図を察した和彦は、数瞬ためらってから慎重に体を動かし、賢吾の布団に入る。
背でも感じていたが、こうして同じ布団に入ると、賢吾の体温の高さがよくわかる。
46
お気に入りに追加
1,391
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…



塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる