血と束縛と

北川とも

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第13話

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 あっという間に鷹津もバスタブに入ってきて、和彦は腕を掴まれ引き寄せられる。鷹津も頭から湯を被り、オールバックの髪型は見る間に崩れた。
 思わず手を伸ばした和彦は、鷹津の濡れた髪を掻き上げてやる。次の瞬間、鷹津の両腕が体に巻き付いてきて、顔が間近に寄せられた。鷹津の目は、相変わらずドロドロとした感情で澱んでいる。そこに狂おしい欲情が加わり、この嫌な男をひどく人間らしく見せていた。
 つい鷹津の目に見入っていると、唇が重なってきた。
「あっ……」
 唇が擦れ合った瞬間、和彦の背筋にゾクゾクと強烈な疼きが駆け抜ける。体は、この男が与えてくれた快感をしっかりと覚えていた。
 噛み付くように唇を吸われながら、荒々しく尻を掴まれ、揉まれる。反射的に和彦は鷹津の肩にしがみつき、そのまま離れられなくなっていた。
 湯を浴びながら鷹津の激しい口づけを受け、息苦しさに喘ぐ。そのときには口腔に熱い舌が入り込み、感じやすい粘膜を舐め回され、湯とともに鷹津の唾液が流し込まれる。尻をまさぐられ、内奥の入り口を指の腹で擦られる頃には、和彦は鷹津と舌を絡め合っていた。
 腰が密着し合い、すでに高ぶった鷹津の欲望の形を感じる。鷹津はわざと、その欲望を擦りつけてきた。あからさまに発情した姿を見せつけられ、さすがに和彦もうろたえてしまうが、鷹津を押し退けられない。
「うっ、あぁっ」
 内奥の入り口を指でこじ開けられ、わずかに押し込まれる。強張る舌を引き出されて貪られているうちに、鷹津の指は内奥で蠢き、ますます深く侵入してくる。足元がふらついた和彦は、鷹津の首に両腕を回して体を支えていた。
 獣じみた激しい口づけのせいで、唇の端からだらしなく唾液が滴り落ちるが、絶えず降り注ぐ湯があっという間に流してしまう。湯のせいか、深すぎる口づけのせいか、ふいに溺れているような息苦しさを覚えた和彦は、目を見開いて大きく息を吸い込む。鷹津は慌てた様子もなくコックを捻り、シャワーを止めた。
 それでも鷹津は、欲情の高ぶりのまま貪るような口づけを続け、濡れた体を擦りつけるように和彦を掻き抱いてくる。たまらなく鷹津は嫌いだが、だからこそ、この男に屈辱的に抑えつけられての行為は――感じる。
 濡れた体のままようやくバスタブから連れ出されると、和彦はバスタオルを取り上げる。しかし、体を拭く前に部屋へと引きずられ、ベッドに突き飛ばされた。
 のしかかってきた鷹津に、いきなり膝を掴まれて足を大きく左右に開かれる。片手にバスタオルを握り締めたまま、和彦は声を上げた。
「何をするっ……」
「お前相手なら、試せるかと思ってな。……暴れるなよ。噛み千切られたくなかったらな」
 物騒なことを呟いた鷹津が、開いた両足の間に顔を埋める。身を起こしかけた和彦のものが、濡れた感触にベロリと舐め上げられた。このとき、わざとそうしたのか、内腿に不精ひげが触れた。
「あうっ」
 思いがけない鷹津の行動だった。和彦は慌てて腰を引こうとしたが、膝を掴む鷹津の手に力が込められ、同時に和彦のものは、燃えそうに熱い鷹津の口腔に含まれた。
「うっ、あっ、あっ――」
 いきなりきつく吸引され、感じやすい先端に歯が当たる。鋭い感覚と恐怖に腰を震わせながら、和彦は懸命に鷹津の頭を押し退けようとする。
「嫌、だ……。そんなこと、するな。……嫌っ……」
 明らかに慣れていない、勢いだけの武骨な愛撫だ。和彦のものを無茶苦茶に舐め回し、加減もせずに吸い上げ、歯列を擦りつけてくる。和彦はなんとかやめさせようともがいたが、口腔深くまで呑み込まれたものに、濡れた粘膜がしっとりとまとわりついたとき、初めて身悶えて喘ぎ声をこぼした。
 鷹津は急速に愛撫の力加減を覚え、それに技巧が追いつく。先端を硬くした舌先でくすぐられてから、はしたなく濡れた音を立てて吸われる。歓喜のしずくが滲み出ているのだ。
「はっ……あぁ、あっ、うぅっ」
 和彦は上体をしならせて感じる。気がついたときには、他の男たちに対するように、鷹津の頭に手をかけていた。濡れた長めの髪を掻き乱すと、鷹津の愛撫が熱を帯びる。すっかり反り返った和彦のものを獣のような舌使いで何度も舐め上げ、溢れたしずくを啜り、ときおり軽く噛み付いてくる。
 悔しいが、鷹津の愛撫で和彦の下肢は甘く溶けた。それがわかったのか、鷹津は指で、容赦なく内奥も暴いてくる。
 ねじ込まれた指が蠢き、感じやすい襞と粘膜をねっとりと撫で回されながら、狭い場所を解される。
「あっ、はあっ……」
 引き抜かれた指で、綻んだ内奥の入り口を擦り上げられる。そして今度は、指の数を増やして挿入された。和彦は吐息をこぼして、切なく指を締め付ける。

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