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第13話
(11)
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荒く息を吐き出した和彦は、子供を窘めるように千尋を睨みつけた。
「……やっぱり、お前と組長は、性癖が特殊なんじゃないか」
「それ知ってるの、先生だけだよね」
軽い口調で言われたが、本来は憂慮すべきことなのかもしれない。和彦が関係を持っている年上の男と年下の男は血が繋がった父子で、しかも、長嶺組組長と、その次期後継者だ。
普通の神経をしていれば、この状況は耐え難いだろう。だが和彦は、自分でも呆れるほどのしたたかさとしなやかさで、受け入れている。
もしくは、神経のどこかが壊れているのだ――。
和彦が身震いをして千尋の背に両腕を回すと、機嫌を取るように千尋の唇がこめかみや頬に押し当てられた。
「先生は、親に内緒で悪いことしたことないの?」
問われると同時に、内奥深くを千尋のもので犯される。和彦は声を上げ、腰を揺らす。
「突然の、質問だな……」
「先生が、家や親のことを言われるの嫌いだって知ってる。ただ、なんとなく聞きたくなってさ。嫌なら、答えなくていいよ」
口ぶりからして、千尋も和彦の家族構成などは知っているのだろう。賢吾が行った、和彦への身元調査の精度がどれだけのものかは予測もつかないが、それでも、家庭の内情を探ることは不可能なはずだ。
なんといっても和彦の家庭は、〈完璧〉なのだ。
胸に広がりかけた冷たい感覚は、千尋のしなやかで力強い律動によって消されてしまう。和彦は悦びの声を上げ、千尋の肩に額をすり寄せる。
「――……悪いことなら、したさ。だから、今のぼくがいる」
「聞いてみたいな。先生がどんな悪いことをしたのか」
「内緒だ。若いお前の自信を喪失させたら、悪いしな」
大げさに情けない顔をした千尋を、和彦は甘やかす。頭や背を撫で、耳元に熱い吐息を吹き込む。若い獣が疾走するように、千尋の律動が激しさを増し、脆くなった襞と粘膜を強く擦り上げられる。
「ああっ、あっ、あっ、千、尋っ――」
「いいよ、先生……。奥が、すごくヒクヒクしてる。ここも、ヒクヒクさせてあげる」
そう言って千尋の指に、繋がった部分を擦られる。和彦は腰を揺らして悦び、内奥全体をきつく収縮させる。締め付けが心地いいのか、千尋が執拗に腰を突き上げ、押し寄せてくる快感に和彦は身悶える。
「ふっ……、んっ、んんっ、んあっ」
和彦の切迫した息遣いに感じるものがあるのか、千尋の手が、反り返って震えるものにかかる。指先で形をなぞられ、たまらず和彦が悩ましく腰を動かすと、しっかりと握り締められて、扱かれる。
「あうっ……」
千尋の動きが大きくなり、とうとう布団を跳ね除けてしまう。それを見た和彦はつい笑ってしまうが、次の瞬間には息を詰める。千尋の愛撫に促され、精を放っていた。
内奥に収まっている逞しい欲望をこれ以上なくきつく締め付けると、今度はその感触を堪能するように、千尋は動きを止める。和彦は、そんな千尋の脈打つものの感触を、蕩けそうになっている内奥で堪能する。
欲望を素早く内奥から引き抜いた千尋は、和彦の下腹部に精を放った。
和彦は息を喘がせながら、自分の下腹部に散ったどちらのものとも知れない精に、指で触れる。それを見た千尋は、慌てた様子でトレーナーを脱いだ。
「先生、汚れるよっ」
脱いだトレーナーで下腹部を拭ってくれた千尋に、和彦は呆れつつも笑いかける。
「お前のトレーナーが汚れたじゃないか」
「こうするのは、俺の義務」
和彦はのろのろと片手を伸ばして、千尋の頭を撫でてやる。くすぐったそうに首をすくめた千尋だが、すぐにてのひらに頬をすり寄せてきた。
千尋が本当に、父親のような大蛇を背負いたがっているのかはともかく、自分のために、こういう犬っころのように人懐こい部分は残しておいてほしいなと、和彦はふと思う。
長嶺組の後継者に対して、ある意味非道な望みかもしれないが。
「……やっぱり、お前と組長は、性癖が特殊なんじゃないか」
「それ知ってるの、先生だけだよね」
軽い口調で言われたが、本来は憂慮すべきことなのかもしれない。和彦が関係を持っている年上の男と年下の男は血が繋がった父子で、しかも、長嶺組組長と、その次期後継者だ。
普通の神経をしていれば、この状況は耐え難いだろう。だが和彦は、自分でも呆れるほどのしたたかさとしなやかさで、受け入れている。
もしくは、神経のどこかが壊れているのだ――。
和彦が身震いをして千尋の背に両腕を回すと、機嫌を取るように千尋の唇がこめかみや頬に押し当てられた。
「先生は、親に内緒で悪いことしたことないの?」
問われると同時に、内奥深くを千尋のもので犯される。和彦は声を上げ、腰を揺らす。
「突然の、質問だな……」
「先生が、家や親のことを言われるの嫌いだって知ってる。ただ、なんとなく聞きたくなってさ。嫌なら、答えなくていいよ」
口ぶりからして、千尋も和彦の家族構成などは知っているのだろう。賢吾が行った、和彦への身元調査の精度がどれだけのものかは予測もつかないが、それでも、家庭の内情を探ることは不可能なはずだ。
なんといっても和彦の家庭は、〈完璧〉なのだ。
胸に広がりかけた冷たい感覚は、千尋のしなやかで力強い律動によって消されてしまう。和彦は悦びの声を上げ、千尋の肩に額をすり寄せる。
「――……悪いことなら、したさ。だから、今のぼくがいる」
「聞いてみたいな。先生がどんな悪いことをしたのか」
「内緒だ。若いお前の自信を喪失させたら、悪いしな」
大げさに情けない顔をした千尋を、和彦は甘やかす。頭や背を撫で、耳元に熱い吐息を吹き込む。若い獣が疾走するように、千尋の律動が激しさを増し、脆くなった襞と粘膜を強く擦り上げられる。
「ああっ、あっ、あっ、千、尋っ――」
「いいよ、先生……。奥が、すごくヒクヒクしてる。ここも、ヒクヒクさせてあげる」
そう言って千尋の指に、繋がった部分を擦られる。和彦は腰を揺らして悦び、内奥全体をきつく収縮させる。締め付けが心地いいのか、千尋が執拗に腰を突き上げ、押し寄せてくる快感に和彦は身悶える。
「ふっ……、んっ、んんっ、んあっ」
和彦の切迫した息遣いに感じるものがあるのか、千尋の手が、反り返って震えるものにかかる。指先で形をなぞられ、たまらず和彦が悩ましく腰を動かすと、しっかりと握り締められて、扱かれる。
「あうっ……」
千尋の動きが大きくなり、とうとう布団を跳ね除けてしまう。それを見た和彦はつい笑ってしまうが、次の瞬間には息を詰める。千尋の愛撫に促され、精を放っていた。
内奥に収まっている逞しい欲望をこれ以上なくきつく締め付けると、今度はその感触を堪能するように、千尋は動きを止める。和彦は、そんな千尋の脈打つものの感触を、蕩けそうになっている内奥で堪能する。
欲望を素早く内奥から引き抜いた千尋は、和彦の下腹部に精を放った。
和彦は息を喘がせながら、自分の下腹部に散ったどちらのものとも知れない精に、指で触れる。それを見た千尋は、慌てた様子でトレーナーを脱いだ。
「先生、汚れるよっ」
脱いだトレーナーで下腹部を拭ってくれた千尋に、和彦は呆れつつも笑いかける。
「お前のトレーナーが汚れたじゃないか」
「こうするのは、俺の義務」
和彦はのろのろと片手を伸ばして、千尋の頭を撫でてやる。くすぐったそうに首をすくめた千尋だが、すぐにてのひらに頬をすり寄せてきた。
千尋が本当に、父親のような大蛇を背負いたがっているのかはともかく、自分のために、こういう犬っころのように人懐こい部分は残しておいてほしいなと、和彦はふと思う。
長嶺組の後継者に対して、ある意味非道な望みかもしれないが。
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