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第12話
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「お前はいろいろと都合がいい。ヤクザじゃないし、表向きは真っ当な医者だ。俺がお前と接触を持つ分には、刑事として冒す危険は少ない。それに、長嶺にとってお前は、金も手間も、愛情すらかけている大事で可愛いオンナだ。そのオンナを、俺に抱かせたということは――少なくとも俺を、利用する気はあるってことだ」
熱い吐息をこぼした和彦は、おずおずと自らの下肢に片手を伸ばし、柔らかな膨らみを執拗に攻める鷹津の手の上に重ねる。わずかに力を込めると、その通りに鷹津の手に力が入り、柔らかな膨らみを刺激する。
和彦は、自分が好きな愛され方を、鷹津の手を通して自らに施す。それは自慰のようでもあるが、愛撫を施すのは鷹津の手だ。倒錯した感覚に襲われ、感じてしまう。
「長嶺に利用されてやるが、俺もあいつを利用する。今度は、あいつの特別なオンナと繋がっているんだ。……長嶺に従うとなったらムカつくが、お前の番犬になら、なってやる。お前の側にいて、蛇の首に食らいつく機会をうかがうのもおもしろいだろ。どうせ俺は、警察の中じゃ出世の芽もないしな。だったら、儲けが多くて、おもしろい事態に首を突っ込むほうがいい」
「……つまり、長嶺組に対する嫌がらせはやめるということか」
「俺は嫌がらせなんてした覚えはないぜ。ただ、長嶺のオンナに横恋慕して、口説いていただけだ」
悪びれない鷹津を睨みつけた和彦だが、巧みな口づけを与えられながら、柔らかな膨らみへの手荒い愛撫を受けると、鷹津の腕にすがりつかずにはいられなかった。この瞬間、鷹津の目の色が変わるのがわかった。
うつ伏せにされた和彦は腰を抱え上げられ、蕩けきった内奥の入り口を逞しい欲望で押し広げられる。
「ああっ――」
サソリの針を打ち込まれているのだという想像は、ひどく和彦を高ぶらせ、鷹津の欲望をきつく締め付ける。すると鷹津の手に、反り返って濡れそぼったものを掴まれ、扱かれていた。
「んあっ、あっ、いっ、いぃ……」
腰を突き上げられ、鷹津のものをすべて内奥に呑み込む。サソリの毒――ではなく、すでに注ぎ込まれている鷹津の精に塗れた襞と粘膜が妖しく蠢きながら、擦り上げられるたびに狂おしい肉の愉悦を生み出す。もちろん、鷹津にも同じだけの悦びを与えているはずだ。
和彦の腰を抱えた鷹津が、耳元で熱い吐息をこぼしている。
「――俺は、長嶺の命令も頼みも聞く気はない。だが、お前が言うことなら、聞いてやる。しっかり、俺の扱い方を覚えろよ、佐伯」
和彦は喘ぎながら、鷹津の片手を取り、柔らかな膨らみへと導く。鷹津は、和彦が好む愛撫を忠実に施してくれた。
鷹津の寝息を確認した和彦は、自分もこのまま眠りたい衝動をなんとか堪え、ベッドから抜け出す。ずっと鷹津の高い体温に包まれていたため、肌を撫でた外気の冷たさに身震いしてから、床に落ちた服を慌てて拾い上げる。
Tシャツを着込んだところで、眠ったとばかり思った鷹津の腕が腰に回され、引き寄せられた。腕を掴まれた和彦は、鷹津の裸の胸の上に倒れ込む。
「どこに行くんだ。一応俺は、お前をこの部屋に軟禁しているつもりなんだが」
「……もう朝だぞ。あんた、仕事行かなくていいのか」
眠そうに半ば目を閉じながら、それでも鷹津はニヤリと笑う。
「心配しなくても、お前が気を失っている間に、今日は休むと連絡を入れておいた」
いつの間に、と和彦は絶句する。まったく気づかなかった。
鷹津の手がTシャツの下に入り込み、素肌を撫で上げられる。
「それでお前は、服を着てどこに行くつもりだ」
「水を飲もうと思ったんだ。それに、さすがにお腹が空いた。どうせ冷蔵庫の中に、ロクなものが入ってないんだろ」
ようやくしっかりと目を開けた鷹津が、少し考える素振りを見せてから言った。
「もう少ししたら、何か買いに行く。それとも、近所のファミレスまで、食いに行くか?」
「冗談だろ。どれだけあんたに好き勝手されたと思ってるんだ。体を起こすのすら、息が切れるんだ」
「なら、決まりだ。俺が食い物を買ってきてやる」
鷹津の両腕が体に巻きつき、しっかりと抱き締められる。和彦は、見ようによっては魅力的とも表現できる鷹津の顔を見下ろしながら、不精ひげの生えた頬からあごにかけて撫でてやる。
「……言っておくが、ぼくはあんたが嫌いだからな」
和彦の言葉を、鷹津は鼻先で笑った。
「お互い様だな。俺も、ヤクザのオンナなんてものは見下している」
「それを聞いて安心した」
後頭部に大きな手がかかり、引き寄せられるまま鷹津と唇を重ねる。誘い込まれる形で、和彦は男の熱い口腔に舌を差し込み、痛いほど吸ってもらう。和彦も鷹津の上唇と下唇を交互に吸ってから、二人は唇を触れ合わせたまま話す。
熱い吐息をこぼした和彦は、おずおずと自らの下肢に片手を伸ばし、柔らかな膨らみを執拗に攻める鷹津の手の上に重ねる。わずかに力を込めると、その通りに鷹津の手に力が入り、柔らかな膨らみを刺激する。
和彦は、自分が好きな愛され方を、鷹津の手を通して自らに施す。それは自慰のようでもあるが、愛撫を施すのは鷹津の手だ。倒錯した感覚に襲われ、感じてしまう。
「長嶺に利用されてやるが、俺もあいつを利用する。今度は、あいつの特別なオンナと繋がっているんだ。……長嶺に従うとなったらムカつくが、お前の番犬になら、なってやる。お前の側にいて、蛇の首に食らいつく機会をうかがうのもおもしろいだろ。どうせ俺は、警察の中じゃ出世の芽もないしな。だったら、儲けが多くて、おもしろい事態に首を突っ込むほうがいい」
「……つまり、長嶺組に対する嫌がらせはやめるということか」
「俺は嫌がらせなんてした覚えはないぜ。ただ、長嶺のオンナに横恋慕して、口説いていただけだ」
悪びれない鷹津を睨みつけた和彦だが、巧みな口づけを与えられながら、柔らかな膨らみへの手荒い愛撫を受けると、鷹津の腕にすがりつかずにはいられなかった。この瞬間、鷹津の目の色が変わるのがわかった。
うつ伏せにされた和彦は腰を抱え上げられ、蕩けきった内奥の入り口を逞しい欲望で押し広げられる。
「ああっ――」
サソリの針を打ち込まれているのだという想像は、ひどく和彦を高ぶらせ、鷹津の欲望をきつく締め付ける。すると鷹津の手に、反り返って濡れそぼったものを掴まれ、扱かれていた。
「んあっ、あっ、いっ、いぃ……」
腰を突き上げられ、鷹津のものをすべて内奥に呑み込む。サソリの毒――ではなく、すでに注ぎ込まれている鷹津の精に塗れた襞と粘膜が妖しく蠢きながら、擦り上げられるたびに狂おしい肉の愉悦を生み出す。もちろん、鷹津にも同じだけの悦びを与えているはずだ。
和彦の腰を抱えた鷹津が、耳元で熱い吐息をこぼしている。
「――俺は、長嶺の命令も頼みも聞く気はない。だが、お前が言うことなら、聞いてやる。しっかり、俺の扱い方を覚えろよ、佐伯」
和彦は喘ぎながら、鷹津の片手を取り、柔らかな膨らみへと導く。鷹津は、和彦が好む愛撫を忠実に施してくれた。
鷹津の寝息を確認した和彦は、自分もこのまま眠りたい衝動をなんとか堪え、ベッドから抜け出す。ずっと鷹津の高い体温に包まれていたため、肌を撫でた外気の冷たさに身震いしてから、床に落ちた服を慌てて拾い上げる。
Tシャツを着込んだところで、眠ったとばかり思った鷹津の腕が腰に回され、引き寄せられた。腕を掴まれた和彦は、鷹津の裸の胸の上に倒れ込む。
「どこに行くんだ。一応俺は、お前をこの部屋に軟禁しているつもりなんだが」
「……もう朝だぞ。あんた、仕事行かなくていいのか」
眠そうに半ば目を閉じながら、それでも鷹津はニヤリと笑う。
「心配しなくても、お前が気を失っている間に、今日は休むと連絡を入れておいた」
いつの間に、と和彦は絶句する。まったく気づかなかった。
鷹津の手がTシャツの下に入り込み、素肌を撫で上げられる。
「それでお前は、服を着てどこに行くつもりだ」
「水を飲もうと思ったんだ。それに、さすがにお腹が空いた。どうせ冷蔵庫の中に、ロクなものが入ってないんだろ」
ようやくしっかりと目を開けた鷹津が、少し考える素振りを見せてから言った。
「もう少ししたら、何か買いに行く。それとも、近所のファミレスまで、食いに行くか?」
「冗談だろ。どれだけあんたに好き勝手されたと思ってるんだ。体を起こすのすら、息が切れるんだ」
「なら、決まりだ。俺が食い物を買ってきてやる」
鷹津の両腕が体に巻きつき、しっかりと抱き締められる。和彦は、見ようによっては魅力的とも表現できる鷹津の顔を見下ろしながら、不精ひげの生えた頬からあごにかけて撫でてやる。
「……言っておくが、ぼくはあんたが嫌いだからな」
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「お互い様だな。俺も、ヤクザのオンナなんてものは見下している」
「それを聞いて安心した」
後頭部に大きな手がかかり、引き寄せられるまま鷹津と唇を重ねる。誘い込まれる形で、和彦は男の熱い口腔に舌を差し込み、痛いほど吸ってもらう。和彦も鷹津の上唇と下唇を交互に吸ってから、二人は唇を触れ合わせたまま話す。
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