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第12話
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あごを掴まれ、鷹津にベロリと唇を舐められる。呻き声を洩らして和彦は顔を背けようとするが、鷹津は指に力を込めて抵抗を封じてきた。
「もちろん今日こそは、お前の尻の奥深くに、たっぷりイイモノを出してやるからな」
下卑た言葉を囁かれて、嫌悪し、戦慄すると同時に、否定できない疼きが和彦の背筋を駆け抜けていた。
膝を掴まれたかと思うと、強引に鷹津の腰が両足の間に割り込まされ、凶暴な高ぶりが内腿に擦りつけられる。
「あうっ」
反射的に声を洩らした瞬間、鷹津の太い舌が口腔に捩じ込まれてきた。
男の下から抜け出そうと、和彦は懸命に身を捩ろうとするが、すでに征服した気になっているのか、厚みのある鷹津の体はびくともしない。
獣じみた舌使いで口腔を舐め回されながら、唾液を流し込まれる。その間も鷹津の両手は和彦の体を這い回り、腿から尻、腰から胸元を撫で回され、さらにTシャツを押し上げられ、唇を離したわずかな間に強引に脱がされた。
初めて、鷹津と素肌同士を重ねる。違和感を覚える男の体と肌だ。
自分はまだ、この男と寝たことがないのだと、生々しさとともに実感した。そして、これからこの男と、体を重ねるのだ、とも。
欲情した鷹津のものが、怯えている和彦のものに擦りつけられる。
「あっ……」
小さく声を洩らした和彦を、鷹津はじっと見つめていた。彫りの深い顔には、とっくに笑みはなかった。本格的に和彦を嬲る気になったのかもしれない。
なぜだか激しい羞恥に襲われてしまい、顔を背けようとしたが、また鷹津のものが擦りつけられる。卑猥に腰が動かされながら、鷹津にきつく唇を吸われ、歯列に舌先が擦りつけられる。
吐き気が込み上げてくる。一方で、背筋に痺れるような感覚が駆け抜ける。相反する感覚に流されてしまいそうで、和彦は抗うように鷹津の肩を押し退けようとした。
大した抵抗ではなかったが、意外なほどあっさりと鷹津は体を起こし、一度ベッドを下りた。和彦が見ている前で、デスクの引き出しを開け、何かを探している。当然、何も身につけていない。その鷹津の姿を、横になったまま和彦は見つめる。
賢吾の話では、四十歳だという鷹津だが、見事な体だった。賢吾のように威圧的で肉感的ともいえる体とは、また違う。三田村のように鍛え上げているわけでも、千尋のように生来のしなやかな筋肉に覆われているわけでもない。
余分な筋肉を削ぎ落とし、強靭な体としてコントロールしているようだ。普段の、嫌悪感を抱かせる言動や、自分の格好に無頓着に見える姿からは想像もつかない、引き締まった体つきだ。
和彦は唇を手の甲で拭ってから声をかけた。
「――……続ける気がないなら、ぼくは帰るからな」
「そう焦るな。すぐに、嫌というほど抱いてやる」
口元に薄い笑みを浮かべての鷹津の言葉に、カッと体を熱くした和彦は起き上がる。本当に帰ろうかと思ったのだが、ベッドに戻ってきた鷹津に再びのしかかられていた。
貪るような口づけを与えられながら片手を掴まれて、頭上に押し付けられる。指先に当たったのは、ベッドヘッドのパイプだった。ふいに、和彦の耳に金属音が届き、続いて、手首に冷たい感触が触れた。
あっという間だった。もう片方の手も掴まれて頭上に押し付けられたかと思うと、同じく手首に冷たい感触が触れる。両手を頭上で留められていた。
「まさか、これ――」
唇を離されて和彦が呟くと、鷹津はニッと笑った。
「手錠だ。このほうが、雰囲気が出るだろ。ヤクザの組長のオンナを、悪徳刑事が拘束して、嬲るんだ」
和彦は両手を動かすが、途端に手首に冷たく硬い感触――手錠が食い込む。パイプと手錠がぶつかり、不快な音を立てた。
動揺する和彦の体を、悠然と鷹津が撫で回す。
「俺に、じっくりとお前の体を味わわせろ。さっきみたいに押し退けられそうになると、気分が削がれる」
長嶺組の人間に拉致され、道具を使って辱められたときの記憶が蘇る。和彦は体を強張らせ、総毛立つ。冷や汗すら出てきたが、鷹津は和彦の変化を知りながら、気にした様子もなく行為を再開した。
胸元をベロリと舐められ、あえてそうしているのか、濡れた音を立てながら肌を吸われる。そのたびに不精ひげのざらついた感触が触れて、痛いほどだ。
脇腹に噛みつかれた和彦は、小さく声を洩らして手を動かそうとしたが、手錠が無機質な金属音を立てただけだ。唇を噛み締めると、そんな和彦を上目遣いで鷹津は笑う。
「いい顔だな、佐伯」
「……うるさいっ」
「いい声だ」
自分ではどうしようもない肉体的な反応として、胸の二つの突起は硬く凝っていた。鷹津は、その突起の片方をいきなり口腔に含み、吸った。
「んっ……」
「もちろん今日こそは、お前の尻の奥深くに、たっぷりイイモノを出してやるからな」
下卑た言葉を囁かれて、嫌悪し、戦慄すると同時に、否定できない疼きが和彦の背筋を駆け抜けていた。
膝を掴まれたかと思うと、強引に鷹津の腰が両足の間に割り込まされ、凶暴な高ぶりが内腿に擦りつけられる。
「あうっ」
反射的に声を洩らした瞬間、鷹津の太い舌が口腔に捩じ込まれてきた。
男の下から抜け出そうと、和彦は懸命に身を捩ろうとするが、すでに征服した気になっているのか、厚みのある鷹津の体はびくともしない。
獣じみた舌使いで口腔を舐め回されながら、唾液を流し込まれる。その間も鷹津の両手は和彦の体を這い回り、腿から尻、腰から胸元を撫で回され、さらにTシャツを押し上げられ、唇を離したわずかな間に強引に脱がされた。
初めて、鷹津と素肌同士を重ねる。違和感を覚える男の体と肌だ。
自分はまだ、この男と寝たことがないのだと、生々しさとともに実感した。そして、これからこの男と、体を重ねるのだ、とも。
欲情した鷹津のものが、怯えている和彦のものに擦りつけられる。
「あっ……」
小さく声を洩らした和彦を、鷹津はじっと見つめていた。彫りの深い顔には、とっくに笑みはなかった。本格的に和彦を嬲る気になったのかもしれない。
なぜだか激しい羞恥に襲われてしまい、顔を背けようとしたが、また鷹津のものが擦りつけられる。卑猥に腰が動かされながら、鷹津にきつく唇を吸われ、歯列に舌先が擦りつけられる。
吐き気が込み上げてくる。一方で、背筋に痺れるような感覚が駆け抜ける。相反する感覚に流されてしまいそうで、和彦は抗うように鷹津の肩を押し退けようとした。
大した抵抗ではなかったが、意外なほどあっさりと鷹津は体を起こし、一度ベッドを下りた。和彦が見ている前で、デスクの引き出しを開け、何かを探している。当然、何も身につけていない。その鷹津の姿を、横になったまま和彦は見つめる。
賢吾の話では、四十歳だという鷹津だが、見事な体だった。賢吾のように威圧的で肉感的ともいえる体とは、また違う。三田村のように鍛え上げているわけでも、千尋のように生来のしなやかな筋肉に覆われているわけでもない。
余分な筋肉を削ぎ落とし、強靭な体としてコントロールしているようだ。普段の、嫌悪感を抱かせる言動や、自分の格好に無頓着に見える姿からは想像もつかない、引き締まった体つきだ。
和彦は唇を手の甲で拭ってから声をかけた。
「――……続ける気がないなら、ぼくは帰るからな」
「そう焦るな。すぐに、嫌というほど抱いてやる」
口元に薄い笑みを浮かべての鷹津の言葉に、カッと体を熱くした和彦は起き上がる。本当に帰ろうかと思ったのだが、ベッドに戻ってきた鷹津に再びのしかかられていた。
貪るような口づけを与えられながら片手を掴まれて、頭上に押し付けられる。指先に当たったのは、ベッドヘッドのパイプだった。ふいに、和彦の耳に金属音が届き、続いて、手首に冷たい感触が触れた。
あっという間だった。もう片方の手も掴まれて頭上に押し付けられたかと思うと、同じく手首に冷たい感触が触れる。両手を頭上で留められていた。
「まさか、これ――」
唇を離されて和彦が呟くと、鷹津はニッと笑った。
「手錠だ。このほうが、雰囲気が出るだろ。ヤクザの組長のオンナを、悪徳刑事が拘束して、嬲るんだ」
和彦は両手を動かすが、途端に手首に冷たく硬い感触――手錠が食い込む。パイプと手錠がぶつかり、不快な音を立てた。
動揺する和彦の体を、悠然と鷹津が撫で回す。
「俺に、じっくりとお前の体を味わわせろ。さっきみたいに押し退けられそうになると、気分が削がれる」
長嶺組の人間に拉致され、道具を使って辱められたときの記憶が蘇る。和彦は体を強張らせ、総毛立つ。冷や汗すら出てきたが、鷹津は和彦の変化を知りながら、気にした様子もなく行為を再開した。
胸元をベロリと舐められ、あえてそうしているのか、濡れた音を立てながら肌を吸われる。そのたびに不精ひげのざらついた感触が触れて、痛いほどだ。
脇腹に噛みつかれた和彦は、小さく声を洩らして手を動かそうとしたが、手錠が無機質な金属音を立てただけだ。唇を噛み締めると、そんな和彦を上目遣いで鷹津は笑う。
「いい顔だな、佐伯」
「……うるさいっ」
「いい声だ」
自分ではどうしようもない肉体的な反応として、胸の二つの突起は硬く凝っていた。鷹津は、その突起の片方をいきなり口腔に含み、吸った。
「んっ……」
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