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第11話
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ドアに押し付けられながら和彦は、片手を伸ばして鍵を開けようとしたが、すかさずその手を掴まれ、しかも、鷹津の膝が両足の間に割り込まされた。下肢が密着し、和彦はカッと全身を熱くしながら、懸命に目の前の男を睨む。
「まあ、いい。お前の動向を追っていれば、長嶺の人脈を少しは知ることができるかと思っていたんだが、思いがけない場面に出くわして、俺は機嫌がいい。何より、お前自身が護衛なしで、俺の胸に飛び込んできた」
「……誤解を生むような言い方をするなっ。あんたが側にいると、吐き気がするんだ。自分が何をしたか、忘れてないだろうな」
鷹津に食ってかかりながらも、隙さえあれば鍵を開けようとしていたが、鷹津の手はがっちりと手首に食い込んで動かない。内心で焦る和彦を、鷹津は薄笑いを浮かべて見つめてくる。
「色男は、何を着ても似合うもんだ。ブラックスーツがこんなに様になっている姿を見ていると、これでヤクザのオンナだとは信じられんな。しかも、単なるオンナじゃない。組長とその息子、若頭補佐なんて大層な肩書きを持ってる番犬と寝ている、性悪オンナだ」
鷹津の手が、ジャケットの上から胸元を撫でてくる。和彦はほとんど爪先立ちになりながら、逃げ場のない状況の中でも、なんとか鷹津と距離を取ろうとする。もちろんそれは無駄な足掻きでしかなく、鷹津の膝が一層深く両足の間に割り込んできたうえに、ジャケットのボタンを一つ外された。
ゾクゾクするような不快感が全身を駆け抜ける。虚勢でなんとか向き合っているが、鷹津から与えられた辱めを和彦は忘れていないし、体からも消えていない。何より気持ちが、この男を拒絶している。
「これ以上触ったら、大声を上げるぞ」
和彦の必死の虚勢を、鷹津は鼻先で笑った。
「やってみろ。さっきの連中のところまで、お前を引きずっていくぞ。どういう関係なのか聞いてみるのもおもしろいかもな。それとも――」
鷹津の両手にジャケットの襟元を掴み上げられ、眼前に顔が迫ってきた。
「このスーツをひん剥いて、トイレから叩き出してやろうか?」
すぐにジャケットの襟元から手は除けられたが、その代わり、さらにボタンを外されていく。次に、その下に着ているベストのボタンも。
「おとなしくていたら、俺が手を上げる人間じゃないと、この間のことでわかったはずだ」
「……手を上げなかったら、何をしてもいいのか。あんな、汚らわしいことをしておいてっ……」
「いつも尻に、男の精液を入れられている奴が、何を言ってる。体にかけられるぐらい、大したことじゃないだろ」
怒りと屈辱から、一気に頭に血が上る。気がつけば、押さえられていないほうの手で鷹津の頬を打っていた。大きく手を振り上げられないため、さほど痛くなかったのだろう。パチンと間の抜けた音がしただけで、鷹津は顔をしかめもしなかった。だが、報復は容赦なかった。
「あうっ」
両足の間に大きな手が差し込まれ、パンツの上から乱暴に和彦のものは揉みしだかれる。痛みに息を詰まらせ、動けなくなる。目の前で鷹津は、今にも舌なめずりしそうな残酷な表情を浮かべていた。
「もう一度殴ったら、潰すぞ。それは困るだろ。お前だって、ここを弄られて気持ちよくしてもらうのは、好きなはずだ」
何も言えず、抵抗もできず、和彦は鷹津にベロリと唇を舐められた。
内奥に挿入された指が動かされ、ドアにすがりついた和彦は喉の奥から呻き声を洩らす。すると背後から、鷹津の片腕にきつく抱き締められ、シャツの前を開かれて露わになった胸元を撫でられた。その手が下がり、和彦の両足の間で熱くなっているものを握り締めてくる。
「うぅっ……」
思わず足元が乱れ、足首の辺りでたわんだパンツを踏んだ気がするが、それどころではない。濡れた先端を執拗に擦り上げられ、立っているのもやっとなのだ。しかし鷹津は、容赦なく内奥を指で掻き回し、そうかと思うと、ねっとりと襞と粘膜を撫でてくる。
和彦は、そうされるたびに自分の内奥が、引き絞るように鷹津の指を締め付けているのがわかっていた。だが、どんなに気持ちは嫌がっても、逆らえない状況で、体を自由に扱われては、忌々しい反応をどうすることもできない。
「相変わらず、いい締まりだな。さっきから尻が、痙攣しまくってる。――ここに俺のものを突っ込んだら、さぞかし気持ちいいだろうな」
鷹津の聞こえよがしの呟きに、和彦は必死になって肩越しに振り返る。すると鷹津がニヤリと笑い、顔を寄せてきた。
「……舌を出せ。吸ってやる」
「まあ、いい。お前の動向を追っていれば、長嶺の人脈を少しは知ることができるかと思っていたんだが、思いがけない場面に出くわして、俺は機嫌がいい。何より、お前自身が護衛なしで、俺の胸に飛び込んできた」
「……誤解を生むような言い方をするなっ。あんたが側にいると、吐き気がするんだ。自分が何をしたか、忘れてないだろうな」
鷹津に食ってかかりながらも、隙さえあれば鍵を開けようとしていたが、鷹津の手はがっちりと手首に食い込んで動かない。内心で焦る和彦を、鷹津は薄笑いを浮かべて見つめてくる。
「色男は、何を着ても似合うもんだ。ブラックスーツがこんなに様になっている姿を見ていると、これでヤクザのオンナだとは信じられんな。しかも、単なるオンナじゃない。組長とその息子、若頭補佐なんて大層な肩書きを持ってる番犬と寝ている、性悪オンナだ」
鷹津の手が、ジャケットの上から胸元を撫でてくる。和彦はほとんど爪先立ちになりながら、逃げ場のない状況の中でも、なんとか鷹津と距離を取ろうとする。もちろんそれは無駄な足掻きでしかなく、鷹津の膝が一層深く両足の間に割り込んできたうえに、ジャケットのボタンを一つ外された。
ゾクゾクするような不快感が全身を駆け抜ける。虚勢でなんとか向き合っているが、鷹津から与えられた辱めを和彦は忘れていないし、体からも消えていない。何より気持ちが、この男を拒絶している。
「これ以上触ったら、大声を上げるぞ」
和彦の必死の虚勢を、鷹津は鼻先で笑った。
「やってみろ。さっきの連中のところまで、お前を引きずっていくぞ。どういう関係なのか聞いてみるのもおもしろいかもな。それとも――」
鷹津の両手にジャケットの襟元を掴み上げられ、眼前に顔が迫ってきた。
「このスーツをひん剥いて、トイレから叩き出してやろうか?」
すぐにジャケットの襟元から手は除けられたが、その代わり、さらにボタンを外されていく。次に、その下に着ているベストのボタンも。
「おとなしくていたら、俺が手を上げる人間じゃないと、この間のことでわかったはずだ」
「……手を上げなかったら、何をしてもいいのか。あんな、汚らわしいことをしておいてっ……」
「いつも尻に、男の精液を入れられている奴が、何を言ってる。体にかけられるぐらい、大したことじゃないだろ」
怒りと屈辱から、一気に頭に血が上る。気がつけば、押さえられていないほうの手で鷹津の頬を打っていた。大きく手を振り上げられないため、さほど痛くなかったのだろう。パチンと間の抜けた音がしただけで、鷹津は顔をしかめもしなかった。だが、報復は容赦なかった。
「あうっ」
両足の間に大きな手が差し込まれ、パンツの上から乱暴に和彦のものは揉みしだかれる。痛みに息を詰まらせ、動けなくなる。目の前で鷹津は、今にも舌なめずりしそうな残酷な表情を浮かべていた。
「もう一度殴ったら、潰すぞ。それは困るだろ。お前だって、ここを弄られて気持ちよくしてもらうのは、好きなはずだ」
何も言えず、抵抗もできず、和彦は鷹津にベロリと唇を舐められた。
内奥に挿入された指が動かされ、ドアにすがりついた和彦は喉の奥から呻き声を洩らす。すると背後から、鷹津の片腕にきつく抱き締められ、シャツの前を開かれて露わになった胸元を撫でられた。その手が下がり、和彦の両足の間で熱くなっているものを握り締めてくる。
「うぅっ……」
思わず足元が乱れ、足首の辺りでたわんだパンツを踏んだ気がするが、それどころではない。濡れた先端を執拗に擦り上げられ、立っているのもやっとなのだ。しかし鷹津は、容赦なく内奥を指で掻き回し、そうかと思うと、ねっとりと襞と粘膜を撫でてくる。
和彦は、そうされるたびに自分の内奥が、引き絞るように鷹津の指を締め付けているのがわかっていた。だが、どんなに気持ちは嫌がっても、逆らえない状況で、体を自由に扱われては、忌々しい反応をどうすることもできない。
「相変わらず、いい締まりだな。さっきから尻が、痙攣しまくってる。――ここに俺のものを突っ込んだら、さぞかし気持ちいいだろうな」
鷹津の聞こえよがしの呟きに、和彦は必死になって肩越しに振り返る。すると鷹津がニヤリと笑い、顔を寄せてきた。
「……舌を出せ。吸ってやる」
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