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第9話
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鷹津を煽る言葉が、和彦の欲情を煽る。カッと体が熱くなり、触れられないまま紅潮する肌を、ワイシャツのボタンをすべて外し終えた賢吾が確認する。満足したように目を細めた賢吾が、優しい声で唆してきた。
「さあ、先生、この下衆な男に見せてやれ。自分がどれだけ、長嶺組の組長を骨抜きにして、惑わせているか」
賢吾の熱い手にいきなり和彦のものは握り締められて、容赦なく扱かれる。呻き声を洩らした和彦は、咄嗟にソファの端を掴んだ。
片手が胸元に這わされ、すでに興奮のため硬く凝った胸の突起をてのひらで転がされる。片足を押し上げるようにして覆い被さってきた賢吾にベロリと舐められてから、熱い口腔に含まれると、吸い上げられていた。
「あっ……」
扱かれ続ける欲望の先端を、指の腹で擦り上げられる。ビクリと腰を震わせた和彦が唇を噛むと、腿から尻にかけて賢吾に撫で回された。
「――思い出すな。初めて先生を抱いたのは、ソファの上だった。あのときも、俺たちの行為を、人が見ていた」
「人が嫌がっているのに、お構いなしなのも、同じだ」
すでに乱れた息の下、和彦が応じると、手荒な愛撫によって身を起こした欲望の形を、賢吾になぞられる。
「嫌がっている、か」
くくっと声を洩らして笑った賢吾が片手を伸ばし、自分が飲んでいたウイスキーミストのグラスをソファの足元に置く。そのグラスの中から氷の粒を一つ摘まみ出すと、和彦の胸元に落とした。
冷たさに身を強張らせていると、胸元に顔を伏せた賢吾が氷の粒を唇に挟み、肌の上に滑らせる。冷たさと、性的な興奮に、ゾクゾクするような感覚が和彦の背筋を駆け抜ける。
すぐに氷の粒は溶け、肌に残った水を賢吾が舐め上げる。
「あのときと違うのは、俺は、先生相手の前戯の手を抜かないってことだな」
氷をもう一粒摘まみ上げようとした賢吾が、ふと鷹津のほうを見る。立ち尽くしている鷹津に対して、賢吾が言葉をかけた。
「座ったらどうだ? どうせ公然猥褻で捕まえるにしても、もう少し盛り上がってからでも遅くないだろ」
鷹津が憎々しげに賢吾を睨みつけ、同じく激しい眼差しを和彦にも向けてくる。こんな場面を見られて、困惑し、羞恥していたはずの和彦だが、負けずに睨み返していた。それが、鷹津を決心させたらしい。
「……ああ、つき合ってやる」
鷹津が乱暴にソファに腰掛けると、それが合図のように、和彦は賢吾にあごを掴まれ、深い口づけを与えられた。
賢吾は再び氷の粒を唇に挟み、熱をもって疼いている胸の突起に擦りつけてくる。氷が溶けると今度は、賢吾の熱い舌に弄られてから、きつく吸い上げられる。
「あっ、あっ……」
「こっちに氷を押し当てたら、もっと早く溶けそうだな」
そう言って、賢吾が次に氷の粒を押し当ててきたのは、内奥の入り口だった。冷たい感触が内奥に押し込まれ、和彦が声を上げて腰を震わせているうちに、あっという間に氷は溶けてしまい、すかさず次の氷の粒が押し込まれる。今度は、一粒ではなかった。
ウイスキーでいくらか溶かされ丸みを帯びた氷の粒が、挿入された指が蠢くたびに、繊細な襞と粘膜を強く刺激する。
「ああっ、あっ、んくうっ――」
革張りのソファの上で、和彦は身悶える。氷の粒を呑み込まされていながら、たまらなく体が熱かった。
物欲しげに賢吾の指を締め付けていたが、指が引きぬかれると、溶けた氷が水となり、内奥の入り口からこぼれ出る。賢吾はもう一度、今度はさらに氷の粒の数を増やして、同じ行為を施した。
官能を刺激され、発情しきった内奥は簡単に氷を溶かし、今度は、燃えるほど熱いものを欲する。
震えを帯びた息を吐き出して和彦がゆっくりと頭を動かすと、食い入るようにこちらを見つめている鷹津と目が合った。
やはり鷹津の目にあるのは、嫌悪と憎悪だ。だが和彦は、鷹津からそれらの感情を引きずり出している今の状況に、奇妙な高ぶりを覚えていた。自分が嫌悪している男が、やはり自分に嫌悪の情を抱いているというのは、一種の感情の交流であり、繋がりだ。
ある意味、倒錯した交わりかもしれない――と思った次の瞬間、和彦は短く悲鳴を上げて仰け反る。
熱くなり、先端から透明なしずくを滴らせている和彦のものに、賢吾が氷を擦りつけてきたのだ。ツウッと根元から先端にかけて撫で上げられているうちに、氷が溶ける。
和彦が腰を震わせて喘いでいると、柔らかな膨らみをやや乱暴に揉みしだかれ、はしたなく乱れてしまう。
片足を抱え直され、内奥に氷の粒を押し込まれる。スラックスの前を寛げた賢吾が、高ぶった欲望を引き出し、氷の粒を呑み込んでひくつく内奥の入り口に擦りつけてきた。
「うっ、あぁっ――……」
「さあ、先生、この下衆な男に見せてやれ。自分がどれだけ、長嶺組の組長を骨抜きにして、惑わせているか」
賢吾の熱い手にいきなり和彦のものは握り締められて、容赦なく扱かれる。呻き声を洩らした和彦は、咄嗟にソファの端を掴んだ。
片手が胸元に這わされ、すでに興奮のため硬く凝った胸の突起をてのひらで転がされる。片足を押し上げるようにして覆い被さってきた賢吾にベロリと舐められてから、熱い口腔に含まれると、吸い上げられていた。
「あっ……」
扱かれ続ける欲望の先端を、指の腹で擦り上げられる。ビクリと腰を震わせた和彦が唇を噛むと、腿から尻にかけて賢吾に撫で回された。
「――思い出すな。初めて先生を抱いたのは、ソファの上だった。あのときも、俺たちの行為を、人が見ていた」
「人が嫌がっているのに、お構いなしなのも、同じだ」
すでに乱れた息の下、和彦が応じると、手荒な愛撫によって身を起こした欲望の形を、賢吾になぞられる。
「嫌がっている、か」
くくっと声を洩らして笑った賢吾が片手を伸ばし、自分が飲んでいたウイスキーミストのグラスをソファの足元に置く。そのグラスの中から氷の粒を一つ摘まみ出すと、和彦の胸元に落とした。
冷たさに身を強張らせていると、胸元に顔を伏せた賢吾が氷の粒を唇に挟み、肌の上に滑らせる。冷たさと、性的な興奮に、ゾクゾクするような感覚が和彦の背筋を駆け抜ける。
すぐに氷の粒は溶け、肌に残った水を賢吾が舐め上げる。
「あのときと違うのは、俺は、先生相手の前戯の手を抜かないってことだな」
氷をもう一粒摘まみ上げようとした賢吾が、ふと鷹津のほうを見る。立ち尽くしている鷹津に対して、賢吾が言葉をかけた。
「座ったらどうだ? どうせ公然猥褻で捕まえるにしても、もう少し盛り上がってからでも遅くないだろ」
鷹津が憎々しげに賢吾を睨みつけ、同じく激しい眼差しを和彦にも向けてくる。こんな場面を見られて、困惑し、羞恥していたはずの和彦だが、負けずに睨み返していた。それが、鷹津を決心させたらしい。
「……ああ、つき合ってやる」
鷹津が乱暴にソファに腰掛けると、それが合図のように、和彦は賢吾にあごを掴まれ、深い口づけを与えられた。
賢吾は再び氷の粒を唇に挟み、熱をもって疼いている胸の突起に擦りつけてくる。氷が溶けると今度は、賢吾の熱い舌に弄られてから、きつく吸い上げられる。
「あっ、あっ……」
「こっちに氷を押し当てたら、もっと早く溶けそうだな」
そう言って、賢吾が次に氷の粒を押し当ててきたのは、内奥の入り口だった。冷たい感触が内奥に押し込まれ、和彦が声を上げて腰を震わせているうちに、あっという間に氷は溶けてしまい、すかさず次の氷の粒が押し込まれる。今度は、一粒ではなかった。
ウイスキーでいくらか溶かされ丸みを帯びた氷の粒が、挿入された指が蠢くたびに、繊細な襞と粘膜を強く刺激する。
「ああっ、あっ、んくうっ――」
革張りのソファの上で、和彦は身悶える。氷の粒を呑み込まされていながら、たまらなく体が熱かった。
物欲しげに賢吾の指を締め付けていたが、指が引きぬかれると、溶けた氷が水となり、内奥の入り口からこぼれ出る。賢吾はもう一度、今度はさらに氷の粒の数を増やして、同じ行為を施した。
官能を刺激され、発情しきった内奥は簡単に氷を溶かし、今度は、燃えるほど熱いものを欲する。
震えを帯びた息を吐き出して和彦がゆっくりと頭を動かすと、食い入るようにこちらを見つめている鷹津と目が合った。
やはり鷹津の目にあるのは、嫌悪と憎悪だ。だが和彦は、鷹津からそれらの感情を引きずり出している今の状況に、奇妙な高ぶりを覚えていた。自分が嫌悪している男が、やはり自分に嫌悪の情を抱いているというのは、一種の感情の交流であり、繋がりだ。
ある意味、倒錯した交わりかもしれない――と思った次の瞬間、和彦は短く悲鳴を上げて仰け反る。
熱くなり、先端から透明なしずくを滴らせている和彦のものに、賢吾が氷を擦りつけてきたのだ。ツウッと根元から先端にかけて撫で上げられているうちに、氷が溶ける。
和彦が腰を震わせて喘いでいると、柔らかな膨らみをやや乱暴に揉みしだかれ、はしたなく乱れてしまう。
片足を抱え直され、内奥に氷の粒を押し込まれる。スラックスの前を寛げた賢吾が、高ぶった欲望を引き出し、氷の粒を呑み込んでひくつく内奥の入り口に擦りつけてきた。
「うっ、あぁっ――……」
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