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第7話
(17)
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和彦は、楽しそうな賢吾を睨みつけたあと、相変わらずドアの傍らに立ったままの三田村にも視線を向ける。こういうとき、ごっそりと感情をどこかに置き忘れたような三田村の無表情に救われる。
「さあ、どっちがいい? どっちでも、たっぷり先生を感じさせてやる」
耳に唇を押し当てながら賢吾に唆され、和彦は陥落した。
「――舐めて、くれ……」
背後から大きく突き上げられて和彦は悲鳴を上げる。同時に、二度目の絶頂の証をシーツに飛び散らせていた。
絶頂の余韻で、内奥深くに押し込まれている賢吾のものをきつく締め上げていたが、いきなり引き抜かれて、和彦の体は仰向けにされる。すぐにまた、内奥に凶暴な欲望を挿入された。
和彦は喘ぎながら、まるで子供のように賢吾にすがりつく。汗で濡れた背に両腕を回すと、力強い律動が再開される。
「二度もイかせたのに、まだ俺のものにしゃぶりついてくるな、先生の中は。やっぱり、大好きなものを中に出してもらわないと、満足できないか?」
汗を滴らせながら賢吾がにんまりと笑い、和彦は睨みつけることもできない。今の和彦は、賢吾から与えられる快感に完全に支配されていた。
唇を吸われると、言われる前に賢吾の口腔に舌を差し込む。内奥で賢吾のものが蠢き、奥深くを逞しいもので掻き回される。
和彦はビクビクと腰を震わせ、たまらず賢吾の背に爪を立てる。あの見事な大蛇の刺青に傷をつけるかもしれないと気遣う余裕もなく、賢吾も嫌がらなかった。それどころか、深く息を吐き出してこう言った。
「ゾクゾクするほど感じるな。痛いことが嫌いな先生が、俺に痛みを与えてくるってのは」
「……ヤクザの中でも、あんたは特に、性質が悪い」
「褒め言葉だ。ヤクザの俺にはな。――さあ、先生、熱いものをたっぷり中に出してやる」
両足を抱え上げられ、狙い澄ましたように内奥深くを強く突き上げられる。一度目で喉を反らして声を上げ、二度目で快感のあまり眩暈に襲われる。三度目で、注ぎ込まれる熱い精の感触に恍惚とした。
和彦は、賢吾にしがみついたまま息を喘がせる。すると、ここまでの手荒さとは打って変わった優しさで、髪を撫でられ、啄ばむようなキスを与えられた。
「――今回は、よくやった。執行部の中じゃ、あいつはもう助からないと思っている人間もいたが、それをお前は助けた」
突然の賢吾の言葉に、和彦は目を丸くする。そこで、ここまで抑えつけていた最低限の好奇心が表に出ていた。
「あれは、どういった人間なのか、聞いていいか?」
「長嶺組の分家の幹部だ。そして刺した人間も、長嶺組の下部組織の人間だ。つまり、内輪揉めだ」
体を起こした賢吾が、内奥からゆっくりと欲望を引き抜く。息を詰めて苦しさに耐えながら、和彦の視線は自然に三田村のほうへと向いていた。
改めて考えると、異常な状況だ。和彦は、今この場にいる二人の男と関係を持っているが、一方との行為を見せ付けることも、それを見続けることも、本来ならありえない。なのにこうして現実に起こっているから、特殊な繋がりを三田村との間に感じる。
和彦がどこを見ているかわかっていながら、やめろとも言わずに賢吾が唇を首筋に這わせる。
「もともとソリが合わない者同士で、ここのところゴタゴタが続いて、うちの執行部が介入を始めたところに、今回の事件だ。もし、刺された幹部が死ぬようなことになったら、幹部を殺したほうの組織に絶縁処分を下さなきゃならん」
「それは本意じゃない、か……」
賢吾のものが引き抜かれた内奥に指が挿入され、蠢かされる。和彦は小さく声を洩らした。
「絶縁しても、組織として存続できる。だが、長嶺組や総和会という後ろ盾を失ったら、まずは商売はできない。そうなったら、組員たちの生活が危うい。俺は、面子は大事にするが、それは組織に属する人間がいてこその面子だ。一部のバカが勝手にケンカをやらかして、それで幹部が死んで、一方だけを厳しく処断したら、禍根が残る」
話しながらも賢吾は指を動かし続け、内奥から自分が注ぎ込んだ精を掻き出している。
「だから俺は、可能な限り死なせるなと言ったんだ。何事も、円満に片がつくほうがいいだろ?」
「円満……。あんたが言うなって言葉だな」
「先生の憎まれ口聞きたさに言ってるんだ。組長とは言っても、俺も可愛いもんだ」
自分で言うなと口中で呟いてから、和彦は賢吾と唇を重ねる。そっと唇を離すと、賢吾に囁かれた。
「――三田村も欲しいだろ、この場所に」
わざと湿った音を立てて内奥を指で掻き回される。ぐっと唇を引き結んだ和彦は賢吾を睨みつけるが、大蛇にはまったく効いていない。それどころか、楽しげに笑っている。
「さあ、どっちがいい? どっちでも、たっぷり先生を感じさせてやる」
耳に唇を押し当てながら賢吾に唆され、和彦は陥落した。
「――舐めて、くれ……」
背後から大きく突き上げられて和彦は悲鳴を上げる。同時に、二度目の絶頂の証をシーツに飛び散らせていた。
絶頂の余韻で、内奥深くに押し込まれている賢吾のものをきつく締め上げていたが、いきなり引き抜かれて、和彦の体は仰向けにされる。すぐにまた、内奥に凶暴な欲望を挿入された。
和彦は喘ぎながら、まるで子供のように賢吾にすがりつく。汗で濡れた背に両腕を回すと、力強い律動が再開される。
「二度もイかせたのに、まだ俺のものにしゃぶりついてくるな、先生の中は。やっぱり、大好きなものを中に出してもらわないと、満足できないか?」
汗を滴らせながら賢吾がにんまりと笑い、和彦は睨みつけることもできない。今の和彦は、賢吾から与えられる快感に完全に支配されていた。
唇を吸われると、言われる前に賢吾の口腔に舌を差し込む。内奥で賢吾のものが蠢き、奥深くを逞しいもので掻き回される。
和彦はビクビクと腰を震わせ、たまらず賢吾の背に爪を立てる。あの見事な大蛇の刺青に傷をつけるかもしれないと気遣う余裕もなく、賢吾も嫌がらなかった。それどころか、深く息を吐き出してこう言った。
「ゾクゾクするほど感じるな。痛いことが嫌いな先生が、俺に痛みを与えてくるってのは」
「……ヤクザの中でも、あんたは特に、性質が悪い」
「褒め言葉だ。ヤクザの俺にはな。――さあ、先生、熱いものをたっぷり中に出してやる」
両足を抱え上げられ、狙い澄ましたように内奥深くを強く突き上げられる。一度目で喉を反らして声を上げ、二度目で快感のあまり眩暈に襲われる。三度目で、注ぎ込まれる熱い精の感触に恍惚とした。
和彦は、賢吾にしがみついたまま息を喘がせる。すると、ここまでの手荒さとは打って変わった優しさで、髪を撫でられ、啄ばむようなキスを与えられた。
「――今回は、よくやった。執行部の中じゃ、あいつはもう助からないと思っている人間もいたが、それをお前は助けた」
突然の賢吾の言葉に、和彦は目を丸くする。そこで、ここまで抑えつけていた最低限の好奇心が表に出ていた。
「あれは、どういった人間なのか、聞いていいか?」
「長嶺組の分家の幹部だ。そして刺した人間も、長嶺組の下部組織の人間だ。つまり、内輪揉めだ」
体を起こした賢吾が、内奥からゆっくりと欲望を引き抜く。息を詰めて苦しさに耐えながら、和彦の視線は自然に三田村のほうへと向いていた。
改めて考えると、異常な状況だ。和彦は、今この場にいる二人の男と関係を持っているが、一方との行為を見せ付けることも、それを見続けることも、本来ならありえない。なのにこうして現実に起こっているから、特殊な繋がりを三田村との間に感じる。
和彦がどこを見ているかわかっていながら、やめろとも言わずに賢吾が唇を首筋に這わせる。
「もともとソリが合わない者同士で、ここのところゴタゴタが続いて、うちの執行部が介入を始めたところに、今回の事件だ。もし、刺された幹部が死ぬようなことになったら、幹部を殺したほうの組織に絶縁処分を下さなきゃならん」
「それは本意じゃない、か……」
賢吾のものが引き抜かれた内奥に指が挿入され、蠢かされる。和彦は小さく声を洩らした。
「絶縁しても、組織として存続できる。だが、長嶺組や総和会という後ろ盾を失ったら、まずは商売はできない。そうなったら、組員たちの生活が危うい。俺は、面子は大事にするが、それは組織に属する人間がいてこその面子だ。一部のバカが勝手にケンカをやらかして、それで幹部が死んで、一方だけを厳しく処断したら、禍根が残る」
話しながらも賢吾は指を動かし続け、内奥から自分が注ぎ込んだ精を掻き出している。
「だから俺は、可能な限り死なせるなと言ったんだ。何事も、円満に片がつくほうがいいだろ?」
「円満……。あんたが言うなって言葉だな」
「先生の憎まれ口聞きたさに言ってるんだ。組長とは言っても、俺も可愛いもんだ」
自分で言うなと口中で呟いてから、和彦は賢吾と唇を重ねる。そっと唇を離すと、賢吾に囁かれた。
「――三田村も欲しいだろ、この場所に」
わざと湿った音を立てて内奥を指で掻き回される。ぐっと唇を引き結んだ和彦は賢吾を睨みつけるが、大蛇にはまったく効いていない。それどころか、楽しげに笑っている。
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