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第7話
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ぐうっと内奥深くにまで欲望を埋め込んだ千尋が、一度律動を止め、和彦の両足の間に手を差し込んでくる。中からの刺激によって和彦のものは、はしたなく透明なしずくを滴らせながら、反り返って震えていた。
もっと反応しろといわんばかりに扱かれ、和彦は懸命に嬌声を堪える。和彦のその反応に、千尋はひどく興奮したようだった。緩やかに腰が動かされ、狙い澄ましたように最奥を突かれる。
室内に、二人の妖しい息遣いと、湿った淫靡な音が響いていた。
そこに突然、障子の向こうから声がかけられた。
「――先生、起きているか」
三田村だった。ビクリと体を震わせた和彦は、いまさら隠すようなことではないのに、何も答えられなかった。いくら声を取り繕ったところで、必ず三田村に今の状況を悟られる。
和彦の動揺を察したのか、いきなり千尋が大胆に腰を使い、和彦の体は激しく前後に揺さぶられる。声を押し殺せなかった。
「ああっ、うっ、うあっ、ああっ――」
「いいよ、先生。ものすごく、中が締まってる。俺が突くたびに、ビクビク痙攣して、悦んでる。俺だけじゃなく、オヤジや三田村にも、同じことされたら、こんなふうに反応してるんだよね」
腰を抱き寄せられ、丹念に内奥深くを突かれると、息も満足にできないほど強烈な快感が迸り出てくるようだった。それに、あえて外の三田村に聞かせるような言葉に、ひどく官能を刺激される。
「千、尋……。千尋、もう、もた、ない……」
「うん、俺も、もう限界」
そう応じた千尋が、力強い律動を繰り返し、和彦は翻弄される。なんとか自らの手で扱いて絶頂に達すると、それを待っていたように千尋の動きが速くなり、限界まで高ぶった欲望が一息に内奥から引き抜かれる。
一応、和彦の体の負担を考えてくれたらしく、千尋も最後の瞬間は自分の手の中で迎えたようだ。
剥ぎ取られた浴衣で後始末をされ、和彦は仰向けにされる。のしかかってきた熱い体を両腕で抱き締めてやると、千尋は満足そうに吐息を洩らした。和彦は、千尋のその反応にほっとする。
甘やかされたい、大事にされたい、愛されたい。臆面もなく千尋からぶつけられるそれらの感情を、和彦は大事に思っている。ぶつけてくれる限りは、一欠片も余すことなく受け止めて、自分の中に残しておいてやりたいとも。
そんな気持ちになれる千尋とのセックスを、和彦はいとおしんでいる。
だが――、今日は少し文句を言いたかった。
「……お前は、心配の仕方が間違っている。いや、違うな。心配の解消の仕方が、間違っているんだ」
いつの間にか、障子の向こうの三田村の気配は消えており、ほっとする。
行為の最中の嬌声を聞かれることに諦めはついているが、行為のあとの会話――睦言ともいえるのかもしれないが――を聞かれるのは、苦痛だ。和彦の体は三人の男たちで共有されているが、睦言だけは、それぞれの相手に独占してもらいたいという傲慢な気持ちが、心のどこかにあった。
人が真剣に話しているというのに、そんな和彦の唇に軽いキスを落とした千尋は、悪びれた様子もなくきっぱりと言った。
「俺、難しいことわかんない」
「……殴るぞ」
「怖いなー、先生」
千尋が笑い声を洩らして肩に額をすり寄せてきて、和彦は殴る代わりに、手荒く千尋の髪を撫でてやる。
「――心配かけて悪かった」
「うん。気をつけて。……本当なら先生は、危ない目に遭わなくて済む世界で生きてた人なんだから。だから、こちら側の物騒な世界にいる先生を守るのは、俺たちの役目だし、責任だよ。俺だけじゃなくてさ、オヤジも三田村も、顔には出さないけど、すごく不甲斐ない思いをしてる。あと、先生に対して申し訳ないとも」
「似合わないな、ヤクザにそんな殊勝さは」
「許してやってよ。だって、先生が大事でたまらないからさ、俺も、オヤジたちも」
こんな言葉で情に訴えかけてくるのも、ヤクザの手口なのだろうかと思いながら、その手口に和彦はまんまと乗せられていた。
「……ぼくだけじゃなくて、お前も気をつけろよ。お前に何かあるほうが、組長にとっても、組にとっても痛手だ。――ぼくも、つらい」
千尋が小さく笑い声を洩らし、強くしがみついてくる。和彦はそんな千尋をしっかりと抱き締めてやった。
もっと反応しろといわんばかりに扱かれ、和彦は懸命に嬌声を堪える。和彦のその反応に、千尋はひどく興奮したようだった。緩やかに腰が動かされ、狙い澄ましたように最奥を突かれる。
室内に、二人の妖しい息遣いと、湿った淫靡な音が響いていた。
そこに突然、障子の向こうから声がかけられた。
「――先生、起きているか」
三田村だった。ビクリと体を震わせた和彦は、いまさら隠すようなことではないのに、何も答えられなかった。いくら声を取り繕ったところで、必ず三田村に今の状況を悟られる。
和彦の動揺を察したのか、いきなり千尋が大胆に腰を使い、和彦の体は激しく前後に揺さぶられる。声を押し殺せなかった。
「ああっ、うっ、うあっ、ああっ――」
「いいよ、先生。ものすごく、中が締まってる。俺が突くたびに、ビクビク痙攣して、悦んでる。俺だけじゃなく、オヤジや三田村にも、同じことされたら、こんなふうに反応してるんだよね」
腰を抱き寄せられ、丹念に内奥深くを突かれると、息も満足にできないほど強烈な快感が迸り出てくるようだった。それに、あえて外の三田村に聞かせるような言葉に、ひどく官能を刺激される。
「千、尋……。千尋、もう、もた、ない……」
「うん、俺も、もう限界」
そう応じた千尋が、力強い律動を繰り返し、和彦は翻弄される。なんとか自らの手で扱いて絶頂に達すると、それを待っていたように千尋の動きが速くなり、限界まで高ぶった欲望が一息に内奥から引き抜かれる。
一応、和彦の体の負担を考えてくれたらしく、千尋も最後の瞬間は自分の手の中で迎えたようだ。
剥ぎ取られた浴衣で後始末をされ、和彦は仰向けにされる。のしかかってきた熱い体を両腕で抱き締めてやると、千尋は満足そうに吐息を洩らした。和彦は、千尋のその反応にほっとする。
甘やかされたい、大事にされたい、愛されたい。臆面もなく千尋からぶつけられるそれらの感情を、和彦は大事に思っている。ぶつけてくれる限りは、一欠片も余すことなく受け止めて、自分の中に残しておいてやりたいとも。
そんな気持ちになれる千尋とのセックスを、和彦はいとおしんでいる。
だが――、今日は少し文句を言いたかった。
「……お前は、心配の仕方が間違っている。いや、違うな。心配の解消の仕方が、間違っているんだ」
いつの間にか、障子の向こうの三田村の気配は消えており、ほっとする。
行為の最中の嬌声を聞かれることに諦めはついているが、行為のあとの会話――睦言ともいえるのかもしれないが――を聞かれるのは、苦痛だ。和彦の体は三人の男たちで共有されているが、睦言だけは、それぞれの相手に独占してもらいたいという傲慢な気持ちが、心のどこかにあった。
人が真剣に話しているというのに、そんな和彦の唇に軽いキスを落とした千尋は、悪びれた様子もなくきっぱりと言った。
「俺、難しいことわかんない」
「……殴るぞ」
「怖いなー、先生」
千尋が笑い声を洩らして肩に額をすり寄せてきて、和彦は殴る代わりに、手荒く千尋の髪を撫でてやる。
「――心配かけて悪かった」
「うん。気をつけて。……本当なら先生は、危ない目に遭わなくて済む世界で生きてた人なんだから。だから、こちら側の物騒な世界にいる先生を守るのは、俺たちの役目だし、責任だよ。俺だけじゃなくてさ、オヤジも三田村も、顔には出さないけど、すごく不甲斐ない思いをしてる。あと、先生に対して申し訳ないとも」
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こんな言葉で情に訴えかけてくるのも、ヤクザの手口なのだろうかと思いながら、その手口に和彦はまんまと乗せられていた。
「……ぼくだけじゃなくて、お前も気をつけろよ。お前に何かあるほうが、組長にとっても、組にとっても痛手だ。――ぼくも、つらい」
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