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第5話
(9)
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そう洩らした千尋に片足を抱え上げられ、いきなり熱く硬いものが、和彦の内奥の入り口に擦りつけられた。解されないままの挿入はつらいが、今は拒む気はなかった。
和彦は千尋を抱き締めると、両足をしなやかな腰に絡みつかせる。すでに余裕のない動きで、しかし和彦を傷つけないように気遣いながら、千尋が欲望を内奥に沈めてくる。
「あっ、あうっ……」
「すごい、狭いよ、先生の中。でも、俺のをいっぱい舐めてくれたから、ヌルヌルしてる。――すげー、気持ちいい」
まだすべて収まっていないが、我慢できなくなったように千尋が腰を揺らす。和彦は声を洩らしながら千尋の背に両腕を回していた。
少しずつ内奥を押し開かれる感触が、苦痛と愉悦を生み出す。ゾクゾクするような感覚が腰から這い上がり、そこに、千尋の情熱的な愛撫が首筋に加えられ、少しずつ和彦の体は溶けていく。
「は、あぁ……。んっ、んっ、んあっ」
「いいよ、先生。俺、今、甘やかしてもらってる。だけど――」
大きく腰を突き上げられ、二人はこれ以上なくしっかりと繋がる。和彦はビクビクと腰を震わせながら、喉を反らす。
「先生なら、もっと甘やかしてくれるよね、俺のこと」
首筋に軽く噛み付かれ、全身が震えるほど感じてしまう。
上体を起こした千尋にしっかりと両足を抱え上げられ、内奥深くを力強く突き上げられる。和彦はそのたびに背をしならせて、抑えきれない声を上げる。
「ああっ、あっ、あっ、あうっ……ん」
触れられないまま、中からの刺激で和彦のものは反り返り、透明なしずくを滴らせていた。
千尋の片手が腹部から胸元に這わされ、喉元を撫で上げられる。
「……あの男、許さない。先生に乱暴なことをした」
ぽつりと洩らされた千尋の言葉に、快感に意識を飛ばしかけていた和彦は我に返る。のろのろと片手を伸ばすと、それに気づいた千尋が前のめりとなり、人さし指の先をペロリと舐められた。和彦はちらりと笑ってから、千尋の頬を撫でる。それだけで嬉しそうに笑うのだが、一方で内奥に収まったままの欲望は、力強く脈打ち、中から和彦を威圧してくる。
「何、先生?」
「いや……、お前が今言ったことを聞いて、ぼくも男なんだが、と思った」
「先生は特別だよ。俺にとっても、うちの組にとっても、大事で特別な男。だから、誰にも傷つけさせたくない」
甘やかしているようで、実は甘やかされているのは自分のほうではないかと思えてくる。千尋から与えられる惜しみない言葉も抱擁も愛撫も、何もかもが和彦にとって心地いい。もちろん、内奥深くに収まっている欲望すら。
千尋の左腕に彫られたタトゥーを指先で撫でると、ブルッと身震いした千尋が大きく腰を動かし始める。
「ああっ――」
「あとで、いっぱい先生のも舐めてあげる。だから、今はイッちゃダメだよ」
そう囁いてきた千尋の指によって、和彦のものの根元がきつく締め付けられる。そんな行為にすら肉の悦びを感じ、和彦はベッドの上で思う様乱れていた。
エアコンの優しい風に素肌を撫でられ、和彦はそっと息を吐き出す。その息遣いが、目の前の千尋の茶色の髪を揺らした。ずっとカラーを入れているのかと思っていた千尋の髪だが、元からのこの色だと、最近になって知った。
ベッドに横になったまま和彦は、実に気持ちよさそうに眠っている千尋の前髪をそっと梳く。体に残る心地よい気だるさとともに、こんなふうに穏やかな時間を過ごすのもいいものだった。
体を重ねてから二階の浴室でシャワーを使い、汚れと汗を簡単に洗い流したあと、二人はまたすぐにベッドに倒れ込んだ。じゃれついてくる千尋につき合っているうちにうたた寝してしまったが、和彦のほうは三十分もしないうちに目が覚め、あとはこうして、千尋の寝顔を眺めていた。
そろそろ階下では夕食の準備をしている頃だろうかと、ときおり漂ってくるいい匂いに鼻先をくすぐられながら、和彦は考える。
すっかり汗も引いたので、千尋のTシャツを借りて着ておこうと体を起こしたとき、ドアの向こうで人の気配を感じた。賢吾どころか、千尋とも体を重ねているのは、この家に常駐している組員全員が知っているはずだが、それでも和彦はうろたえる。
立ち上がると、洗濯して畳んだまま置いてある千尋のスウェットパンツとTシャツを慌てて着込む。まるで見ていたようなタイミングのよさで、控えめにドアが一度だけノックされた。
千尋の目が覚めた様子はなく、和彦がそっとドアを開けると、組員の一人が立っていた。
「――先生、晩メシの前に、組長が話があるそうです」
そう告げられ、ドキリとしてしまう。この家にいてなんだが、実は賢吾と顔を合わせづらかった。だが、嫌とも言えない。
和彦は千尋を抱き締めると、両足をしなやかな腰に絡みつかせる。すでに余裕のない動きで、しかし和彦を傷つけないように気遣いながら、千尋が欲望を内奥に沈めてくる。
「あっ、あうっ……」
「すごい、狭いよ、先生の中。でも、俺のをいっぱい舐めてくれたから、ヌルヌルしてる。――すげー、気持ちいい」
まだすべて収まっていないが、我慢できなくなったように千尋が腰を揺らす。和彦は声を洩らしながら千尋の背に両腕を回していた。
少しずつ内奥を押し開かれる感触が、苦痛と愉悦を生み出す。ゾクゾクするような感覚が腰から這い上がり、そこに、千尋の情熱的な愛撫が首筋に加えられ、少しずつ和彦の体は溶けていく。
「は、あぁ……。んっ、んっ、んあっ」
「いいよ、先生。俺、今、甘やかしてもらってる。だけど――」
大きく腰を突き上げられ、二人はこれ以上なくしっかりと繋がる。和彦はビクビクと腰を震わせながら、喉を反らす。
「先生なら、もっと甘やかしてくれるよね、俺のこと」
首筋に軽く噛み付かれ、全身が震えるほど感じてしまう。
上体を起こした千尋にしっかりと両足を抱え上げられ、内奥深くを力強く突き上げられる。和彦はそのたびに背をしならせて、抑えきれない声を上げる。
「ああっ、あっ、あっ、あうっ……ん」
触れられないまま、中からの刺激で和彦のものは反り返り、透明なしずくを滴らせていた。
千尋の片手が腹部から胸元に這わされ、喉元を撫で上げられる。
「……あの男、許さない。先生に乱暴なことをした」
ぽつりと洩らされた千尋の言葉に、快感に意識を飛ばしかけていた和彦は我に返る。のろのろと片手を伸ばすと、それに気づいた千尋が前のめりとなり、人さし指の先をペロリと舐められた。和彦はちらりと笑ってから、千尋の頬を撫でる。それだけで嬉しそうに笑うのだが、一方で内奥に収まったままの欲望は、力強く脈打ち、中から和彦を威圧してくる。
「何、先生?」
「いや……、お前が今言ったことを聞いて、ぼくも男なんだが、と思った」
「先生は特別だよ。俺にとっても、うちの組にとっても、大事で特別な男。だから、誰にも傷つけさせたくない」
甘やかしているようで、実は甘やかされているのは自分のほうではないかと思えてくる。千尋から与えられる惜しみない言葉も抱擁も愛撫も、何もかもが和彦にとって心地いい。もちろん、内奥深くに収まっている欲望すら。
千尋の左腕に彫られたタトゥーを指先で撫でると、ブルッと身震いした千尋が大きく腰を動かし始める。
「ああっ――」
「あとで、いっぱい先生のも舐めてあげる。だから、今はイッちゃダメだよ」
そう囁いてきた千尋の指によって、和彦のものの根元がきつく締め付けられる。そんな行為にすら肉の悦びを感じ、和彦はベッドの上で思う様乱れていた。
エアコンの優しい風に素肌を撫でられ、和彦はそっと息を吐き出す。その息遣いが、目の前の千尋の茶色の髪を揺らした。ずっとカラーを入れているのかと思っていた千尋の髪だが、元からのこの色だと、最近になって知った。
ベッドに横になったまま和彦は、実に気持ちよさそうに眠っている千尋の前髪をそっと梳く。体に残る心地よい気だるさとともに、こんなふうに穏やかな時間を過ごすのもいいものだった。
体を重ねてから二階の浴室でシャワーを使い、汚れと汗を簡単に洗い流したあと、二人はまたすぐにベッドに倒れ込んだ。じゃれついてくる千尋につき合っているうちにうたた寝してしまったが、和彦のほうは三十分もしないうちに目が覚め、あとはこうして、千尋の寝顔を眺めていた。
そろそろ階下では夕食の準備をしている頃だろうかと、ときおり漂ってくるいい匂いに鼻先をくすぐられながら、和彦は考える。
すっかり汗も引いたので、千尋のTシャツを借りて着ておこうと体を起こしたとき、ドアの向こうで人の気配を感じた。賢吾どころか、千尋とも体を重ねているのは、この家に常駐している組員全員が知っているはずだが、それでも和彦はうろたえる。
立ち上がると、洗濯して畳んだまま置いてある千尋のスウェットパンツとTシャツを慌てて着込む。まるで見ていたようなタイミングのよさで、控えめにドアが一度だけノックされた。
千尋の目が覚めた様子はなく、和彦がそっとドアを開けると、組員の一人が立っていた。
「――先生、晩メシの前に、組長が話があるそうです」
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