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第2話
(9)
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バカで純粋で厄介なガキだと思いつつも、和彦はそんな千尋が嫌いではなかった。尻尾を振って頭を撫でてくれるのを待つような犬っころぶりが、愛しくすらある。
「――……先生、入れるよ」
内奥から指が引き抜かれ、我慢できないように千尋の高ぶりが擦りつけられてくる。ビクリと背をしならせた和彦は、慌てて制止する。
「バカっ……、こんなところでやめろっ」
「オヤジとなら、車の中でもいいのに?」
和彦が言葉に詰まると、すかさず千尋のものが内奥に侵入してくる。
「うあっ……」
「先生、正直だね。俺、鎌をかけただけなのに」
悔しくて唇を噛んだ和彦だが、すぐに堪え切れない声を上げることになる。千尋に腰を掴まれ、生気を漲らせた猛々しい欲望を内奥に突き込まれたからだ。
「ああっ、あっ、あっ、んああっ」
鉄製のドアとはいえ、こんなに声を上げてしまっては通路にまで響いてしまうとわかってはいるが、あえて和彦に声を上げさせるように、千尋は腰を突き上げてくる。
痛みと異物感が嵐のように和彦の中を駆け巡り、吐き気すら催しかけたが、欲望を和彦の内奥深くにしっかり埋め込んで吐息を洩らした千尋は、すかさず今度は快感を与えてくる。
和彦のものを片手で握って素早く扱きながら、胸の突起を弄り始めた千尋が、舌先で耳朶を舐めてきた。
「千尋……」
「先生はペットと遊ぶ感覚だったかもしれないけどさ、俺、けっこう本気で、先生にハマってたんだよ。医者なんてしてる先生みたいにカッコイイ人がさ、年下の俺の下で喘いで、甘やかしてくれて、話をきちんと聞いてくれて。この人には、絶対に俺の家のことは知られたくないと思ったんだ。ずっと先生に相手してほしかったから。組のことを知ったうえで、俺とつき合ってくれるなんて都合いいこと、あるわけないしね」
内奥に収まった千尋のものがゆっくりと動かされ、粘膜を擦られる。途端に腰から背筋にかけて、ゾクゾクするような疼きが駆け上がってきた。
「あっ……、うぅっ」
「なのに、この状況だろ? 俺の大事な人が、オヤジに取られたんだ。あのオヤジのことだから、どうせ汚い手を使ったんだろうけど、俺と先生を引き離したいだけなら、オヤジはまどろっこしいことはしない。うちの連中を使ってちょっと脅して、うちの縄張りから追い出すぐらいだ。でもそうしなかったどころか、先生にクリニック持たせるってことは、オヤジも先生を気に入ったんだ。利用できるという意味でも」
「……前にも、こんなことが?」
「あるわけないじゃん。初めてだよ。だから俺はショックなんだ」
千尋のものが引き抜かれ、すぐにまた根元までしっかりと挿入される。圧迫感に呻かされながらも、和彦の内奥はしっかりと千尋のものを包み込み、締め付けていた。
「ショックはショックだけど、先生と会えない間、俺ずっと考えて、気づいたことがあるんだ」
腰をしっかりと抱えられ、小刻みに内奥を突かれる。この時点で痛みは、肉の愉悦へと完全に姿を変えていた。和彦はドアにすがりつきながら、喘ぎ声を上げる。そんな和彦の耳元に、千尋は甘い毒を含んだ囁きを注ぎ込んだ。
「――俺、本気で先生にハマってる。オヤジにだけ独占なんてさせたくない。先生は最初は、俺のものだったんだから」
強引なところは父親そっくりだと思った。こちらの意見も求めず、自分のやりたいように振る舞い、それを強要してくる。ただ、千尋のやり方はあまりに子供だ。だから和彦も、本気で抵抗できないのだ。
本気で抵抗したら、きっと千尋を傷つけてしまう――。
千尋の動きが速くなり、ただ内奥から熱いものを出し入れされるだけの単調な律動なのに、次第に和彦は快感から、思考がまとまらなくなってくる。
「ああっ、千、尋……、千尋っ」
和彦がドアに片頬を押し当て、突き上げられる衝撃に耐えていると、通路を走ってくる足音に気づいた。千尋の耳にも届いたらしく、ふと動きが止まる。次の瞬間、千尋は素早くドアチェーンをかけてしまった。
「千尋……?」
「――クリニックを持たせるから、オヤジが先生を気に入ってるってわかったんじゃないんだ。もっと簡単だ。オヤジの、先生に対する執着を知るのは」
そう言って、千尋が突然、ドアチェーンをした状態でドアを開けた。ドアに体を預けていた和彦はわずかにバランスを崩しかけたが、腰にしっかりと千尋の片腕が巻きついていることもあり、足元が乱れることもなかった。
「お前、何してるっ? 人に見られたら――」
ドアチェーンの長さの分だけドアが開いてしまい、外の様子が和彦には見える。同時にそれは、通路を走ってきた人間からも、和彦の姿がわずかとはいえ見えるということだ。
このまま通り過ぎてくれと願ったが、それは最悪な形で裏切られた。
「見つけたっ」
怒ったような声でそう一言を発した三田村が、ガッと乱暴にドアの端に手をかけ、さらに革靴の先まで突っ込んで、ドアを閉められないようにしてしまう。それからやっと、和彦の状況に気づいたようだった。いつも和彦と賢吾の行為を見守るときのように、顔からスッと感情が消えうせた。
和彦は激しく動揺しながらも、三田村が立ち去ることを願ったが、三田村の配慮は別の部分に働いた。わずかに開いたドアに体を寄せ、通路から和彦の姿が見えないよう隠してしまう。もし通路を通りかかる人間がいても、ドアチェーンをかけたドア越しに話しているようにしか見えないだろう。
三田村の視線を感じ、和彦は羞恥で身を焼かれそうになる。している行為は同じでも、賢吾との場面を見られるのとは感覚がまったく違う。
和彦の動揺を内奥から感じたのか、千尋がゆっくりと腰を突き上げてくる。内奥の奥深くを押し開かれ、ドアにすがりついたまま和彦は喉を反らした。
「くうぅっ……ん」
「いいよ、先生。中がヒクヒクと痙攣してる。これって先生の、もうすぐイクって合図だよね。……三田村に見られると感じる?」
反り返って快感のしずくを滴らせているものに千尋の手がかかり、あやすように先端を撫でられる。小さく悦びの声を洩らすと、再び内奥深くを突き上げられた。
「――さっきの話の続きだよ。三田村は、オヤジの忠実な犬だ。オヤジが命令すればなんでもする。だからこそ目をかけて側に置いているんだ。そんな三田村を、先生につけているんだから……理由はわかるよね? 先生は、オヤジの大事なお気に入りになったんだよ」
自分の言葉に興奮したように千尋の律動が速くなり、和彦はドアの隙間から覗く三田村の目を見つめたまま嬌声を上げさせられる。
「――……先生、入れるよ」
内奥から指が引き抜かれ、我慢できないように千尋の高ぶりが擦りつけられてくる。ビクリと背をしならせた和彦は、慌てて制止する。
「バカっ……、こんなところでやめろっ」
「オヤジとなら、車の中でもいいのに?」
和彦が言葉に詰まると、すかさず千尋のものが内奥に侵入してくる。
「うあっ……」
「先生、正直だね。俺、鎌をかけただけなのに」
悔しくて唇を噛んだ和彦だが、すぐに堪え切れない声を上げることになる。千尋に腰を掴まれ、生気を漲らせた猛々しい欲望を内奥に突き込まれたからだ。
「ああっ、あっ、あっ、んああっ」
鉄製のドアとはいえ、こんなに声を上げてしまっては通路にまで響いてしまうとわかってはいるが、あえて和彦に声を上げさせるように、千尋は腰を突き上げてくる。
痛みと異物感が嵐のように和彦の中を駆け巡り、吐き気すら催しかけたが、欲望を和彦の内奥深くにしっかり埋め込んで吐息を洩らした千尋は、すかさず今度は快感を与えてくる。
和彦のものを片手で握って素早く扱きながら、胸の突起を弄り始めた千尋が、舌先で耳朶を舐めてきた。
「千尋……」
「先生はペットと遊ぶ感覚だったかもしれないけどさ、俺、けっこう本気で、先生にハマってたんだよ。医者なんてしてる先生みたいにカッコイイ人がさ、年下の俺の下で喘いで、甘やかしてくれて、話をきちんと聞いてくれて。この人には、絶対に俺の家のことは知られたくないと思ったんだ。ずっと先生に相手してほしかったから。組のことを知ったうえで、俺とつき合ってくれるなんて都合いいこと、あるわけないしね」
内奥に収まった千尋のものがゆっくりと動かされ、粘膜を擦られる。途端に腰から背筋にかけて、ゾクゾクするような疼きが駆け上がってきた。
「あっ……、うぅっ」
「なのに、この状況だろ? 俺の大事な人が、オヤジに取られたんだ。あのオヤジのことだから、どうせ汚い手を使ったんだろうけど、俺と先生を引き離したいだけなら、オヤジはまどろっこしいことはしない。うちの連中を使ってちょっと脅して、うちの縄張りから追い出すぐらいだ。でもそうしなかったどころか、先生にクリニック持たせるってことは、オヤジも先生を気に入ったんだ。利用できるという意味でも」
「……前にも、こんなことが?」
「あるわけないじゃん。初めてだよ。だから俺はショックなんだ」
千尋のものが引き抜かれ、すぐにまた根元までしっかりと挿入される。圧迫感に呻かされながらも、和彦の内奥はしっかりと千尋のものを包み込み、締め付けていた。
「ショックはショックだけど、先生と会えない間、俺ずっと考えて、気づいたことがあるんだ」
腰をしっかりと抱えられ、小刻みに内奥を突かれる。この時点で痛みは、肉の愉悦へと完全に姿を変えていた。和彦はドアにすがりつきながら、喘ぎ声を上げる。そんな和彦の耳元に、千尋は甘い毒を含んだ囁きを注ぎ込んだ。
「――俺、本気で先生にハマってる。オヤジにだけ独占なんてさせたくない。先生は最初は、俺のものだったんだから」
強引なところは父親そっくりだと思った。こちらの意見も求めず、自分のやりたいように振る舞い、それを強要してくる。ただ、千尋のやり方はあまりに子供だ。だから和彦も、本気で抵抗できないのだ。
本気で抵抗したら、きっと千尋を傷つけてしまう――。
千尋の動きが速くなり、ただ内奥から熱いものを出し入れされるだけの単調な律動なのに、次第に和彦は快感から、思考がまとまらなくなってくる。
「ああっ、千、尋……、千尋っ」
和彦がドアに片頬を押し当て、突き上げられる衝撃に耐えていると、通路を走ってくる足音に気づいた。千尋の耳にも届いたらしく、ふと動きが止まる。次の瞬間、千尋は素早くドアチェーンをかけてしまった。
「千尋……?」
「――クリニックを持たせるから、オヤジが先生を気に入ってるってわかったんじゃないんだ。もっと簡単だ。オヤジの、先生に対する執着を知るのは」
そう言って、千尋が突然、ドアチェーンをした状態でドアを開けた。ドアに体を預けていた和彦はわずかにバランスを崩しかけたが、腰にしっかりと千尋の片腕が巻きついていることもあり、足元が乱れることもなかった。
「お前、何してるっ? 人に見られたら――」
ドアチェーンの長さの分だけドアが開いてしまい、外の様子が和彦には見える。同時にそれは、通路を走ってきた人間からも、和彦の姿がわずかとはいえ見えるということだ。
このまま通り過ぎてくれと願ったが、それは最悪な形で裏切られた。
「見つけたっ」
怒ったような声でそう一言を発した三田村が、ガッと乱暴にドアの端に手をかけ、さらに革靴の先まで突っ込んで、ドアを閉められないようにしてしまう。それからやっと、和彦の状況に気づいたようだった。いつも和彦と賢吾の行為を見守るときのように、顔からスッと感情が消えうせた。
和彦は激しく動揺しながらも、三田村が立ち去ることを願ったが、三田村の配慮は別の部分に働いた。わずかに開いたドアに体を寄せ、通路から和彦の姿が見えないよう隠してしまう。もし通路を通りかかる人間がいても、ドアチェーンをかけたドア越しに話しているようにしか見えないだろう。
三田村の視線を感じ、和彦は羞恥で身を焼かれそうになる。している行為は同じでも、賢吾との場面を見られるのとは感覚がまったく違う。
和彦の動揺を内奥から感じたのか、千尋がゆっくりと腰を突き上げてくる。内奥の奥深くを押し開かれ、ドアにすがりついたまま和彦は喉を反らした。
「くうぅっ……ん」
「いいよ、先生。中がヒクヒクと痙攣してる。これって先生の、もうすぐイクって合図だよね。……三田村に見られると感じる?」
反り返って快感のしずくを滴らせているものに千尋の手がかかり、あやすように先端を撫でられる。小さく悦びの声を洩らすと、再び内奥深くを突き上げられた。
「――さっきの話の続きだよ。三田村は、オヤジの忠実な犬だ。オヤジが命令すればなんでもする。だからこそ目をかけて側に置いているんだ。そんな三田村を、先生につけているんだから……理由はわかるよね? 先生は、オヤジの大事なお気に入りになったんだよ」
自分の言葉に興奮したように千尋の律動が速くなり、和彦はドアの隙間から覗く三田村の目を見つめたまま嬌声を上げさせられる。
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