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番外編
☆500〜飲み会ふたたび
しおりを挟むカミラとスタンがちゃんと両思いになってからの話。こんな話ですみません。
––––––––––––––––––––––––
「カミラ様、おめでとーございまーす!!」
「いやーんありがと、いらっしゃーい♡」
元気いっぱいウキウキとミアさんが我が家にやってきた。今日はカミラ姉様おめでとう飲み会の日。
ギルは渋ってたけど、一緒に参加するってことで許可が出た。前回の飲み会のあと私酔っ払って大変だったらしくてこーゆーことになった。
途中から記憶がないんだよね、多分色々やらかしたんだろうな。
「……どうも」
ギルの態度がめっちゃ悪い。
「あのっ、その節は大変申し訳ありませんでしたあぁぁ!調子にのってました、誠に反省しております!!」
土下座。まさかの土下座をかましおった。
「ギルバート様の大切なお姉様を侮辱するような言葉、切にお詫び申し上げます!!」
「あの…ミアちゃん、気にしなくて良いのよ。もう随分前だし、私も忘れていたわ。ね、ギルも今更蒸し返さないわよね。私たち仲良しなのよ」
カミラ姉様があわてて近寄って声をかける。
そういやミアさん、ギルに無視されてるって言ってたな。
え、それって私が入学する前だよね。あれからずっと険悪だったの?マジで?
「ギルしつこい…」
ちょっと根に持ちすぎじゃん?
「…っ違うよフィー、忘れてただけだよ!さっき思い出したの!ミア嬢、もう気にしてないから!貴女はベルトルトを引きつけてくれてればそれで良いですっ」
脳筋捕まえとけだって。まーだ心配してるのか。
ミアさんがパッと顔を上げて立ち上がって、そのあとカミラ姉様の方に近寄って行った。
「許してくれてありがとうございますっ、これで大手を振ってここに通いやすくなりますねやったー!あ、これお土産です。食べ物は天下のロン商会より美味しいのないから、父の領の地酒!」
殊勝な態度は一瞬だった。
***
「それで、こないだカミラ様と夜会で偶然会ったんですよ。出る夜会のランクが違うからああいうとこで会うのってほんと珍しくてー。嬉しくて話しかけに行ったら隣にいたクソ真面目に睨まれた」
ギルの隣で取り分けてもらった水炊きを食べてるけど、稼働範囲が狭くて食べ辛い。もーちょい離れてくんないかな。
「ちょっとこその夫婦聞いてるー?なーんで睨まれなきゃいけないのよって話じゃんねー」
そーね、ミアさんとクソ真面目って接点なかったよね。
「ミア嬢が僕と同じようにスタンリーに声掛けたことあるからでしょ。恋人連れてるんだからそりゃ警戒される」
「あーそれか~。じゃあクソ真面目にも謝るかな。許してくれますかね?」
またあの土下座披露するの?
「大丈夫よ、あのあとスタンに注意しておいたから。大体ベルトルトも一緒に居たのに何を警戒するのかしらねぇ」
「わ、豆腐入ってる。カミラ様豆腐まで作れるんですか、すごーい。クソ真面目はフィービーちゃんの旦那さんと違ってその後も会話が出来たんですよねー、そういうのバレたくなかったんじゃないでしょうかねー」
ミアさんは鍋をつつきながら空になったグラスに持ってきた地酒を注ぎだした。
わー、これめっちゃ酒のにおい強い。飲めるかなー。
「いまバレましたね。で、それ聞いてどーなんですか?姉様」
「そうねぇ、そう言われてもフィーちゃんと会うよりも前の話だし…。大体何度か会話しただけでしょう?何かあったわけでもなし気にしないわ。ねぇ、その地酒私にも頂戴な」
イマイチ美味しさがわかんなくてちろちろ舐めてたら、ギルがこっち飲みなって果実酒と交換してくれた。
「スタンリーは反応に期待してると思いますよ。少しは気にしてあげたほうが喜びます」
チラッチラッてやつね。
「カミラ様愛されてますね~、どこでクソ真面目に決めたんですか?てゆーかあの人どーやってカミラ様に告ってきたんですか?っあ~、この地酒うまっ」
「そうねぇ、綺麗な景色の見える素敵なお部屋で告白してくれたわー。お部屋に行った理由はちょっとアレだったけど。クセが少なくて結構飲みやすいわね、コレ。お取り寄せしようかしら」
「わぁ!シャンパン片手に寛ぐスイートルーム的な?!いいなぁ、憧れますー。これロン商会に卸せるように出来ません?地酒ブーム起きますよこの味~」
「おじ様に相談してみるわね。ギルがフィーちゃんにそこでプロポーズしたと思ったんだけど、どうやら違うみたいなのよね。じゃあいつ行ったのかしらぁ」
後ろから肩に顎をのせられてる私を見ながら、カミラ姉様超ニヤニヤしてる。
絡められてた手が肩まで持ってこられて、そんまま手首にキスされた。体重かかって重い。
「姉様とラナーさんが邪魔なときに。ゆっくり二人っきりになりたい時もあるんですよ」
「きゃーっ!いいわねーいつもラブラブで!スタンは全然連れてってくれないのよ。はー、これはロックの方が美味しそうだわ」
「えー、理由聞きました?なんででしょうねー。氷入れます?」
地酒二本目突入。二人とも良い飲みっぷり。
「すぐ姉様からキスしちゃったし、思い出の場所はビシッと決める時までとっときたいとかないですかねー」
「フィー、姉様にそんな話まで聞いてるの…僕たちのことは話してないよね?思い出が減る」
あんま話してないと思う、たぶん。
「わーお、カミラ様積極的~!姉弟そろって速攻ちゅーいっちゃうんだー!はー、キツくなってきたから水割りにしよっと」
「ちょっとフィー?何を話して何を話してないの?」
わっかんない。でも三秒でちゅーの話は確かにした。
「ギル、それだけ人前でベタベタしてるのに今更だわ」
「人前では大したことしてないでしょう、舌入れたこともない。僕この前見ましたからね、玄関で使用人の前で堂々とスタンリーとディープキスしてるところ!」
おいおいおいまじか、カミラ姉様たちすっごいな。
「だってあなた達と違って毎日会えないんですもの」
「で、カミラ様たちどこまで行ったんですか?そんなことするくらいだから○○○?!」
「それがスタンって結構奥手で、未だにキスだけなのよ。ちょっと胸に手が当たったくらいであわてて離れて謝るし、もうこっちから○○○してやろうかしら」
「ほうほう、それはギルと違って紳士ですね。昔似たようなことあったけどギルはそのまま服に手ぇ入れて○○○を…むがっ」
「あぁぁぁぁぁ姉様っ、僕たちもう部屋に戻りますからね!あとは二人でごゆっくりっっ」
「ハイハイ、おやすみ。それで今度○○○を○○○してみようと思ってるんだけど」
「えーっ、やっぱ○○○は向こうからがいいですよ、○○○なら○○○を…」
こうしてやっぱり卑猥な言葉が飛び交う場となってしまった酒宴は、深夜遅くまで続いたらしい。
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