17 / 24
番外編
転生三人娘の飲み会
しおりを挟む「あ~~っ、何ここホント天国ー!!
カミラ様、私もここに住みたいですー!」
初めて会ったハント男爵令嬢はカミラ姉様&ギル特製のおもてなしご飯を食べてそう言った。
「そうでしょう?私たち姉弟による料理の再現、フィーちゃんが何年も前からおじ様と試行錯誤して作成した前世の家具たち。私たちの家はこの世の天国だわ。あ、チューハイいかが?これも自信作なのよ」
炬燵とか土禁な玄関のことでしょうかね。
私もチューハイ飲も。
「ていうかカミラ姉様、一応この家は私たち家族の家なんですけど」
ゴリ押されて最初っから姉様住んでるけどね。
「フィーちゃんひどいわ、私も家族でしょう?!」
カミラ姉様は大げさに手を上下させて芝居がかった態度で言った。
大きい括りでは家族といえなくもないけどー。
「姉様…妹の嫁入り先についてって住み着いちゃう兄ってどう思います?」
「あっ…ごめんなさいめっちゃウザい。いやだ、ウザいなんて言葉前世ぶりに使ったわ」
私結構使ってた。主に最初の頃のジョルジュ殿下を表現する時に。
「カミラ様は公爵家のお姫様ですからねー。私引き取られるまで下町に居たし普通に使ってましたよ。ですわな言葉なんて気合入れてる時しか喋れないです、肩凝っちゃう。あー、前世ぶりのチューハイおいしー」
わかる。めっちゃわかる。
私気合入れててもあんま喋れない。学園じゃ超無口。
「えっ、そんな理由で無口だったの?フィービーさんは壮絶な過去のせいで心を開いた人にしか口も開かないって噂らしいんだけど。あ、おかわりは自分で作るから大丈夫ですよ。ありがとうございますカミラ様」
何それ。ちょっと父親に捨てられただけでおじさんに会ってからは超幸せな人生ですよ。私もおかわり欲しい。
「誰がそんな噂流してるんすか?」
「知らないよ私友達居ないし。ベルトルトからチラッと聞いただけよ。それよりこんな美少女なのに私より口悪い!ヤリチンこのギャップにやられたって趣味おかしくない!?」
うっさいわ。いいんだよ私平民だから。
「つーか、ヤリチンなのは設定だけで…違うんだからその呼称やめません?」
「じゃなんて呼べば良いの?そもそも私初回のエンカウントに失敗してから完全無視されてるんですけど。本人いないとこでもちゃんと呼ばなきゃダメ?」
「自分の旦那がヤリチン言われてるのちょっと複雑です」
「いやーん、旦那!そうだよー、それでいいんじゃないかな。旦那さんって呼んでいい?ねぇねぇ、お宅の旦那さんヤリチン化の兆しはないの?覚えたてが危険って言うじゃない」
え、これ言わなきゃいけないの?自分の旦那がヤリチン化しそうかどうかって?
「うちのギルはそんなことないわよ、フィーちゃん大好きだもの。他の女性に目を向けるわけないし、ヤリチン化は一生あり得ないわ。私そろそろこのブランデーストレートでいただこうかしら」
うん、ないと思う。
「私ロックの方が好みかな~。でも本当ですかー?だって十代の男子ですよー?頭の中エロでいっぱいでしょー」
うん、それは有る。
ブランデーは飲めないから果実酒いこうかな。
「「えっっ」」
「あ」
うっかり頷いちゃってたや。
鼻息あらく二人揃ってこっちに近付いてきた。酒くさっ。
ミアさんがドンってブランデーの瓶をテーブルに置く。抱えっぱなしは重いもんね。
「やっぱエロいのー?お色気担当だもんね、すごい技もってそう」
「ちょっと、ギルはフィーちゃんに会うまで清らかだったのよ。そんな技なんて持っているわけないじゃない」
「ヤリチンじゃないにしても、貴族って閨の実地教育あるんでしょ?技の一つや二つ」
「ないわ、ギルは精通前から私と別邸で暮らしていたもの。そんな女が来ればすぐに分かるわ」
だよね、最初のころのぎこちなさは経験者のそれじゃなかった。結婚前にはテクニシャンになってたけど。
「で、実際どーなの?」
いや、だからテクニシャン童貞だったって。
「ヤリチン化はないけど、流石ヤリチンの素質があった男と言うか…進化が凄いです」
「「きゃーーー!!」」
「毎日ついてけないんですけどどーすればいんですかね」
結構深刻。このままいくと私は寝台の住人になってしまう。
「やっぱり覚えたては猿なのね!絶倫?絶倫な感じ?!それなら◯◯◯を◯◯◯して◯◯◯すればいんじゃない?!」
わあ、超エロ~い。
「それより◯◯◯してあげた方が主導権握って◯◯◯出来るわよ」
「でも◯◯◯は大変じゃないですか?◯◯◯で誤魔化せば」
「それやると逆に興奮させちゃうかも。◯◯◯じゃなくて◯◯◯のほうで◯◯◯の調節を…」
こうして転生三人娘のお食事飲み会は、酔いとともに下ネタ会場へと変貌した。
***
※フィービーは卑猥な言葉が飛び交う酔っ払い会場から、わりとすぐに気付いたギルバートに慌てて回収されました。
0
お気に入りに追加
575
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。

婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。
黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。
差出人は幼馴染。
手紙には絶縁状と書かれている。
手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。
いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。
そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……?
そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。
しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。
どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。
悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】
乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。
※他サイトでも投稿中

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした
ひなクラゲ
恋愛
突然ですが私は転生者…
ここは乙女ゲームの世界
そして私は悪役令嬢でした…
出来ればこんな時に思い出したくなかった
だってここは全てが終わった世界…
悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……

転生令嬢は攻略したくない
リオール
恋愛
「駄目だ、攻略したいと思えない!」
実は転生令嬢の私。
やり遂げる事の出来なかった乙女ゲームの世界で、けれど攻略したい対象がいない!
このまま誰ともくっ付かないノーマルエンドにする?学園生活楽しむ方向で行く?
そう思ってたら、不意に声がした。
「俺と友達になるか?」
どこか懐かしい声。
彼は一体誰?
====================
連載となるかは未定です

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる