ヒロイン、悪役令嬢に攻略をお願いされる

えも

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本編

ハッピーエンド

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大した困難もなく、式当日をむかえてしまった。
入学から半年も経ってないのに、すごいことになっちゃったな。

今日からフィービー・ノア16歳、嫁入りだか婿取りだかよくわかんないけど本日結婚します。





公爵家関係者を中心に、大勢の参列者が見守る中私たちの結婚式がはじまった。


一人で扉を通って、4歩歩いて少し前に居たおじさんの腕をとる。

おじさんは既に大号泣、渋々歩き出したもののバージンロードの道中ずっとブツブツ恨み言を言っていた。

「あの若造…仮とか調子の良いことばっか並べ立ててアッサリふんだくっていきやがった…。卒業どころか入学してすぐ式なんて…ねぇフィー、王子の話本当だったの?本当に結婚しなきゃ諦めない感じだったの?」

うーん、入学式の時点じゃそうだったけど、多分次の日には婚約だけで大丈夫な感じになってた。
これ幸いとギルがはっちゃけた結果かな。

「たった12年しか見守れなかった…もっとずっと庇護して行きたかったのに」

これからも一緒に居るじゃん。もっとずっと守ってよ。


おじさんに導かれながら、ギルのところへたどり着く。

「しょーがないからフィーを幸せにする権利をあげるけど、俺に代わって幸せになんて言わないからな。俺はこれからもずっとフィーに幸せをあげるから、お前はお前でフィーを幸せにすれば良い」

おじさんと会ってから毎日幸せだったよ。これからだってずっと幸せ。


「もちろんです、これからもよろしくお願いします。若輩者ですが、貴方達親子の幸せが続くように努力していきます」

ギルの腕をとろうとした私を制止して、私を挟んでおじさんと反対側の手をギルの腕にかけさせた。

「バトンタッチするわけじゃないですから。最後までは無理でももうちょっと三人で歩きません?」

おおー、ギルさすが。
おじさんずっと私を母ごと守れなかったのを後悔してるからね。

「そうだね、おじさん。せめて1人で歩いた分だけでも一緒に歩いてよ。4歩。母さんがくすねていった商会のお金が私を生かしてくれたんだよ、おじさんとお爺ちゃんとお婆ちゃんが4歳までの私を守ってくれてたのと同じじゃない?」

「伯爵家も金出したらしいけど」

「揚げ足とんないでよー、あの家はどうでもいいよ。どっちにしろ商会のお金がゼロじゃなかったんだから。人はお金だけじゃ生きてけないからさ、お金も心もくれたおじさんが守ってくれたってことにしとこーよ」

おじさんに会うまでは夢が心を守ってくれたからね。
お母さんあたりが死ぬ前に根性で前世の記憶詰め込んでったんじゃないかな、私のために。

私が信じれば私の中の真実はそれになるのだ。

本当の父親はクソだったらしいけど、世界一の養父が居るからトータル超プラス!


余談だけど、式のあと三人で歩くなんてずるい、私も一緒にちょっとだけ歩きたかった!てあとからカミラ姉様に泣かれた。
ギルのサプライズだし、そこはギルに文句言ってくれ。


神父様の元へ着き、誓いの言葉を宣誓する。
指輪の交換はないから、そのまま婚姻の署名をした。ギルからもらった結婚指輪は、お揃いの指輪がサインをするギルの手にも嵌っている。

どうせこっちには左手の薬指だとかの風習がないんだから、ギルには右手に付けてもらった。

手を繋いだときにお互いの指輪もくっつくのが嬉しいからって言ったら久しぶりに真っ赤な顔見れて可愛かった。
イチャイチャしてる時のギルは大体顔赤いけど、最近ギルの赤面を堪能する余裕なかったからな。



誓いのキスをして、抱き上げられる。

「大好きなフィー、君に会えてから毎日幸せだけど、今日が今までで一番の幸せな日になるね。やっとフィーの全てを手に入れられるって思ったら
もう鼻血出そう」

頑張って出さないでね。

「エローい」

「僕はヤリチンになる予定だった男だからね、その辺の男よりそういうの好きだと思うよ?不特定多数にいかないだけで我慢できない男なのは同じだから、フィーが全部受け止めてね」

げっ、ヤリチン談議してたのバレてたのか。


タウンハウスに戻ってきて、二人でお風呂に入る。
今日はおじさんもカミラ姉様も誰も居ない。

抱きしめられて、いっぱいキスが落ちてくる。

「ねぇねぇ、ここでヒロインは『愛を教えてくれてありがとう』って言うんだけど」

「うん」

私愛は最初っから知ってたからね。愛情めっちゃ信じて生きてきたからね。


「愛は最初から知ってたけど、恋はゲームの中でしか知らなかったの。真っ赤な顔して照れながら伝えてくれた時すごく嬉しかった。全然遊んでないゲームと違うギルがすごく可愛くて、多分あの日に恋をしたんだと思う」

ギルの首に手をまわして、力いっぱい抱きついた。


「恋を教えてくれてありがとう、嬉しい。幸せ。大好きだよ。愛してる!」


そのまま二人でベッドに沈み込んで、真っ赤なギルをめっちゃ堪能した。

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