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本編
学園での日々
しおりを挟む「やあ、フィービーさん。今日も美しいね」
今日も懲りずに王子様がやって来る。
「ジョルジュ…また来たの?僕今からフィーとイチャイチャする予定だったんだけど」
食後の休憩ね。ピクニックデートの日から食べたあと膝の上でイチャイチャするのがいつのまにかデフォになってた。
「そんな気がしたから出てきた。イチャイチャしなかったら私だってわざわざダメージ受けに二人の前に現れない」
影からの覗きはやめる気ないんだな。
「ジョルジュさあ…何がしたいの?学園から帰っても僕たち一緒に住んでるようなものだからいくらでもイチャイチャ出来るよ?学園だけ邪魔しても意味ないでしょう」
そうだね、四六時中イチャイチャしてます。ギルの色気攻撃からかろうじて守ってはいるものの処女と言っても良いのかどうかわからない感じになってます。
「…目の前で見なかったらそれは存在しないと同義だ」
そんなわけあるか。目の前でぶちゅってやってやろうか。
「フィーとのあれこれは誰にも見せたくないから二人の時しかキスしたりしないよ。だからジョルジュがうろちょろしてるの本当邪魔」
そうなのか。ぶちゅっとか考えてすまん。
「あわてたり息が荒くなって色っぽいフィーを見せたくないだけだから、軽くキスしてくれるのは大歓迎だよ。幸せ顔はもうしょうがないけど、他の素直な表情はジョルジュなんかに絶対見せないでね」
頬にキスしながらそう言われた。
そうか、表情出されるのが嫌なのか。学園じゃギルかカミラ姉様といる時以外無表情だからな。
鉄仮面を心がけよう。
「…冗談だよ。自分なりに気持ちの整理をつけようとしてるんだ。とりあえず今日はこのまま昼休みが終わるまで私もここにいる。心が痛いからそれ以上くっつくのをやめてくれたら嬉しい」
王子ってMなの?なんでわざわざダメージ受けに来るの?
「失恋までが早すぎたからね、諦めるまでに少し時間がかかりそうなんだ。二人の式までにはどうにかしたいから、それまでは我慢してよ」
よくわからんけど、諦めてくれるならそれで良い。
ギルに抱きついて、悲しそうな顔をした王子を見ないようにした。
カミラ姉様のためとはいえ、罪悪感半端ない。
「姉様~、王子普通に良い人だから罪悪感凄いです。わざわざ一目惚れさせる意味ありました?」
「それよねぇ…ミア嬢とは和解してしまったし、意味があったとは言えないわね」
「マジ意味なかったですよねぇ、入学前に話し合って欲しかったです」
王子様可哀想すぎるじゃん。
私はギル以外好きになれそうにないし、誰か幸せににしてあげてよ。
「ミア嬢はベルトルトと仲良くやっていくそうよ、今更殿下にはいかないでしょう」
じゃあカミラ姉様は?
「殿下と私は従兄妹よ?昔から知っているし、今更恋愛感情なんて沸かないわ。知ってるでしょう?私年上の方が好きなのよ」
私も共犯だけど、主犯はカミラ姉様だからな。
なんでそんなけろっとしてんの?
「あのね、確かに私がけしかけたけれどそもそもギルと婚約した時点でどこかでフィーちゃんと殿下は出会うはずなのよ。ギルと殿下は仲良しだったし、必ずよ。出会った時点で一目惚れされちゃうんだから、入学式だろうが結婚式だろうが夜会だろうが変わらないわ」
そうかなぁ?
流石に結婚したあと会ってもそんなことにならないと思うんだけど。
「一目でわかる人妻の証って何かある?フィーちゃんはギルからもらって嵌めているけれど日本みたいに結婚指輪はないのよ。日本でもカップルがほいほいペアで左手の薬指に付けてたから夫婦の証と言いきれなかったわ。ウエディングドレス着て登場する結婚式当日でもなければカップルと夫婦の見分けなんてつかないわよ」
そう言われればパッと見でわかる何かってないな。
「そもそも、一目惚れなんだから未婚だの既婚だのも関係ないのよ。既婚だと分かった瞬間に失恋することになるけれど、それは今回だって一緒だわ。
少し食い下がりはしてもその日に諦める方向へもっていったでしょう?だからそんなに罪悪感を持つ必要はないし、若いうちにすませておいたことに感謝して欲しいくらいだわ。殿下が結婚したあとだったりしたら大問題だったわよ」
王子、妃が居るのに人妻に求愛。
大スキャンダルだね。
うん、良かったそんなのに巻き込まれるようなことにならなくて。
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