11 / 24
本編
話が違う★ギルバート視点
しおりを挟む「ラナーさん、フィーと結婚する許可をください!!」
家に帰ってすぐ、目の前で恋愛劇を見て興奮する姉様にフィーを預けてラナーさんの居る商会へ突撃した。
「ギル君…今日フィーの入学式だったよね?何がどうなってそんなこと言い出してんの」
商会の仕事を教わっているうちに随分言葉が荒れてきたラナーさんは呆れたように問いかけてきた。
砕けた口調は、それだけこの人から信頼されている証だ。今更ジョルジュなんかに割り込めるはずがない。
「フィーがジョルジュ殿下に求婚されました」
姉様とフィーが言っていた物語と全然違う。
口説いてくるだけでも腹立たしいのに求婚なんて許容出来るわけがない。
結婚を早めようって、今朝話したばかりだったのに。
「マジ?さすがウチのフィー、万人を魅了するフィーの魅力は天井知らずだな」
「全面的に同意ですが、フィーを奪われるわけにはいきません。婚約では殿下のストッパーにはならないようなので、彼女との婚姻の許可をください」
「ええ、話が違うじゃん…婚約してたら王家でもフィーにちょっかいかけることはないって言ったじゃん」
そうだよ、婚約でジョルジュは引くって姉様言ってたんだよ。フィーが当初の予定通り儚気に佇んでたらその通りになってたはずなんだ。
あんな、あんな可愛く頬を染めて幸せそうな顔さえしてなければ。
プロポーズのこと考えてたって言われたら、責めるに責められない。あの表情は僕に向けたもの。
結婚の話は入学式終わってからにすればよかった。
フィーが奪われることがないように出来ることは全てやらなければ。
「想定外です、まさか殿下が公爵家の婚約者に求愛するとは思いませんでした」
いまさらフィーがジョルジュに傾くなんて全く心配してないが、殿下が欲しがる女性として他の危険がないとも限らない。
「婚姻の、許可をください。お願いします」
ラナーさんは複雑な顔をしていたが、必死で頼み込んだら渋々条件付きで許可をくれた。
「ありがとうございます、これから王宮に行ってきます」
「いきなりこっちに来るだけならまだしも王宮にもその勢いで行っちゃうの?それいいの?」
フィーと婚約する前は従兄であるジョルジュにはアポなしでも会いに行ってたし、今日も問題ない。
「保護者の方に許可を貰った。式の準備が整い次第彼女と結婚する」
ジョルジュの部屋に通されてすぐに報告した。
「さっきの今で許可をもぎとってきたのか、早すぎないか?」
ソファに座るよりも先に言った台詞に目を丸くして、ジョルジュが尋ねてくる。
「っ、お前があんな場所で求婚した挙句引き下がらなかったからだろう!フィーは大切な人なんだ、引っ掻き回さないでくれ」
「あの場所での求婚は申し訳ない…ギルバートの婚約者だということも知らなかったんだ。引っ掻き回そうとは思ってないが、簡単に諦められるとも思えない」
「…じゃあすぐに諦めろとは言わないけど、近付かないで。ジョルジュが欲しがってるせいで厄介な人間に目を付けられたくない」
伯爵家とかな。
「彼女は庶子でも、伯爵家の子だ。養女の話を断って認知だけにさせたけど色気をだして来ないとも限らない」
「そうか…万が一そんな話が来ても彼女の同意がない限り認めないようにする。近付きもしない…しないがギルがいる時ならたまに声かけていいか?」
頬を染めながらジョルジュが寝言を吐く。
「近付かないんなら声をかけられないでしょ、ダメに決まってるじゃん。僕が居ない時は論外だし、居る時はイチャイチャしたいから邪魔しないで」
「恋をした数時間後に玉砕した可哀想な従兄に情けをかける気はないのか?イチャイチャなんて見たくないから邪魔してやる。婚姻は諦めるんだから譲歩してくれ」
…嫌だなあ。
ああ、でも婚約してるのもう大勢にバレちゃったし、ミア嬢が何もできないようにするためにはその方が良いのか。
良くないけど、姉様のためだ。妥協してやる。
なんだかんだ結婚も認めてもらうことが出来たし、納得することにした。
さて、はやく帰ってフィーのご飯を作らなくちゃ。
フィーの心に一生残るようなプロポーズも考えなくちゃいけない。ジョルジュを思い出させるような跪き系は絶対ダメだな。
求婚の証は指輪。姉様に日本の話を聞いてから絶対指輪にするんだと決めていた。
フィーの綺麗な指に嵌まる僕の瞳の色、想像するだけで幸せだ。
婚約と同時に作らせた揃いの指輪は今晩手入れしておこう。はやくフィーに渡したいな。
0
お気に入りに追加
575
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。

婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。
黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。
差出人は幼馴染。
手紙には絶縁状と書かれている。
手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。
いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。
そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……?
そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。
しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。
どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。
悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】
乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。
※他サイトでも投稿中

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした
ひなクラゲ
恋愛
突然ですが私は転生者…
ここは乙女ゲームの世界
そして私は悪役令嬢でした…
出来ればこんな時に思い出したくなかった
だってここは全てが終わった世界…
悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……

転生令嬢は攻略したくない
リオール
恋愛
「駄目だ、攻略したいと思えない!」
実は転生令嬢の私。
やり遂げる事の出来なかった乙女ゲームの世界で、けれど攻略したい対象がいない!
このまま誰ともくっ付かないノーマルエンドにする?学園生活楽しむ方向で行く?
そう思ってたら、不意に声がした。
「俺と友達になるか?」
どこか懐かしい声。
彼は一体誰?
====================
連載となるかは未定です

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる