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第一章、モテない冒険者編。

41、罠に嵌めるのはダメ!絶対。

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デス・タランチュラは火を恐れているのか、
一向に襲ってくる気配はなかった。

それならそれで、好都合だな...。
俺はアルトに魔法を見せるために何にするか考えた。
火を全体に巻くのは酸素が薄くなったりするから好ましくはないよな...。
なら、風の刃ウインドカッターに炎をまとわりつかせれば良い感じなりそうだな。
うん。そうしよう。

炎風の刃フレイムカッター!」

無数の炎の刃が物凄いスピードでデス・タランチュラに向かって命中する。

ズパッ!!っと脚が切れてその切り口からボォォー!っと炎が舞い上がった。

ピギギィィィィィーーー.....。

さすがに一撃じゃ死なないよな...。
俺は炎風の刃フレイムカッターを何度も何度も鼻歌混じりで放った。

「アルト!どうだ!?出来そうか?炎風の刃フレイムカッター。」

「え!?えっと...。」

「何だよ。歯切れが悪いな...。炎風の刃フレイムカッター。」

「あ、兄貴ちょっと...。」

「ゴングどうした?炎風の刃フレイムカッター。」

「コウ...そ、それは...。」
「ラテも一体どうしたんだよ?炎風の刃フレイムカッター。」

「アンタ。完全に頭イカれてるわ...。」

「リアはいつも口が悪いな...、炎風の刃フレイムカッター。」

「アルトこの魔法の原理分かったか?最後にもう1発。フレイ....」
「「もうやめい!!」」

みんなから一斉にツッコまれたのだった。
気づくとデス・タランチュラの姿が見るも無惨に燃え尽くされていた。

「い、いつの間に...。」

これには皆かなりひいてた。
だってラテがデス・タランチュラはすごい強いみたいな事、言ってたからしょうがないよね...。

(マスター。すごい強いとまでは言ってなかったですよ。)

あれ?そうだっけ?
それにしてもあんなにドン引きしなくても良いのに...。

(普通の人間なら引きますよ...。オーバーキルしすぎです。)

えぇ...。
でも倒したんだから良いじゃんねぇ...。

「とりあえず倒したんだし、魔石とドロップあるか見ようぜ!」

「う、うん。」

辺りを見渡してると銀色重厚そうな宝箱があった。
宝箱を開けてみると弓と弓矢が入っていた。
鑑定で見ると、デス・タランチュラの弓だった。弓の弦の部分がデス・タランチュラの鋼糸で出来てありかなりの威力が出ると出た。
俺はこれをラテに渡した。

まぁ、弓を扱えるのがラテしかいないので当然の事である。
この弓で下の階層に行ったら、頑張ってもらいたいものだ。
こうして粗方素材や魔石を広い集めて、俺達は次の11階層に進んだ。
階段を降りるとそこは一面広がる砂漠地帯だった。
本当にダンジョンってどうなってるんだろう...?

「コウ!11~15階層に出てくるモンスターは、大型肉食ミミズワァーム砂漠蜥蜴人D・リザードマン砂漠豚人デザートオークが出現するわよ。」

さすがラテだな。ギルドの受付嬢はダンジョンモンスターに詳しくて助かる。

(ただ、ここ最近の異変でダンジョンの生態が変わってますけどね...。)

確かにそうだ...。
気をつけるには越したことはない...。それにしても、

「ミミズにトカゲに豚か...。
久しぶりにオークの新鮮な肉食べたいな...。」

「コウ君は、本当に食べることが好きだよね!」

「まぁな。生きる者の三大欲求の一つだからな。」

「兄貴、三大欲求って?」

「それはな。食欲、性欲、睡眠欲だ。
腹が減れば食べたくなるし、ムラムラすればヤりたくなるし、眠くなれば寝るってことだよ。生きるもの全てにある欲求だわな。」

「ムラムラって...。」
そういいながら、アルトはラテをチラチラ見てる。
「アルト。ムラムラするのはダンジョンを出てからにしてくれよ...。」
俺はアルトに耳打ちをすると、アルトは顔を真っ赤にしてモジモジしていた。

「コウ。話戻るけどここの砂漠蜥蜴人D・リザードマン砂漠豚人デザートオークは対立してるわ。」

「対立?」

「食料である大型肉食ミミズワァームを取り合って争いをしてるの...。
だから、無理に戦わなくても進めるって感じなのよ。」

「え?そうなのか?おら達は出会ったら全部戦ってきてただ。」

「ギルドの中級ダンジョンガイドマップにも記載されているわ。
ここは砂漠だからよけいな体力を使わないようにしないと先に進めないわよ。」

「だから、おら達は15層までしか潜れなかったんだな...。」

「でも、俺達はクーラーの魔法もあるし、かなり快適に進めるから、下の階層の入り口まで最短で向かってモンスターが襲ってきたら倒すって方向で良いんじゃないか?」

「そうね。このメンバーなら相手が近づく前に倒せるしね。」

「なんだかおら、居場所がねえだよ...。」

ゴングは自分が役に立ってないんじゃないかとひどく落ち込んだ。

「ゴンさん!そんな事言わないでください!
僕はいつもゴンさんに守ってもらってるから伸び伸び魔法が撃てるんです!
感謝しています。もっと自信持ってくださいよ!」

「先生...、ありがとう...。グス...。」

俺が言おうとした事をサラッとアルトに言われちゃったよ....。

(何だかんだアルトは元王子様ですもんね。
マスターとは違って。)

庶民で悪かったな...。

「ところでさ、大型肉食ミミズワァームって、美味しいのか?」

「「えっ?」」
俺の発言に一同、驚いた顔をしている。

「アンタ、アレを食べようとしてるの...?キモッ!!」

リアの指を指した先に10メートルはある大きなミミズの形をしたモンスターが居た。
顔はなく口を開けてヨダレを垂らしていた。

「マジでキモッ!!ナニあれ?」

「アレが大型肉食ミミズワァームよ!」

「あんなの食べれるか!?キモすぎるぞ!」

「コウ君が食べれるか聞いてたクセに...。」

「いやいや、実物見たことなかったからな...。
あんなキモいのてなったら食べないわ...。」

「でも、一部のマニアには好まれて食べる者もいるべ。たまにギルドで納品依頼でてたの見ただ。」

「そうね。私は食べたこと無かったけど、そういう依頼は良く張ってあったわね。」

「そうなんだ...。でも、ゲテモノほど珍味って聞いた事あるし、どうする?食べる?」

「こうなったら食べてみたい人は挙手しない?」

「そ、それはいいね!」

「じゃあ、大型肉食ミミズワァーム食べて見たい人!」

アルトは言う。
俺はちょっと食べて見たいから手をあげた。
辺りを見渡すと誰もあげていない...。

「「どーぞ、どーぞ!」」

みんなが一斉に言った。

「ダ○ョウ倶楽部じゃねーか!?」

俺のツッコミがただ虚しく響き、俺が食うはめになった。

美味しくても絶対分けてやんないからな!と、
固い決意を胸に大型肉食ミミズワァームと対峙するのであった。




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