41 / 93
第一章、モテない冒険者編。
41、罠に嵌めるのはダメ!絶対。
しおりを挟むデス・タランチュラは火を恐れているのか、
一向に襲ってくる気配はなかった。
それならそれで、好都合だな...。
俺はアルトに魔法を見せるために何にするか考えた。
火を全体に巻くのは酸素が薄くなったりするから好ましくはないよな...。
なら、風の刃に炎をまとわりつかせれば良い感じなりそうだな。
うん。そうしよう。
「炎風の刃!」
無数の炎の刃が物凄いスピードでデス・タランチュラに向かって命中する。
ズパッ!!っと脚が切れてその切り口からボォォー!っと炎が舞い上がった。
ピギギィィィィィーーー.....。
さすがに一撃じゃ死なないよな...。
俺は炎風の刃を何度も何度も鼻歌混じりで放った。
「アルト!どうだ!?出来そうか?炎風の刃。」
「え!?えっと...。」
「何だよ。歯切れが悪いな...。炎風の刃。」
「あ、兄貴ちょっと...。」
「ゴングどうした?炎風の刃。」
「コウ...そ、それは...。」
「ラテも一体どうしたんだよ?炎風の刃。」
「アンタ。完全に頭イカれてるわ...。」
「リアはいつも口が悪いな...、炎風の刃。」
「アルトこの魔法の原理分かったか?最後にもう1発。フレイ....」
「「もうやめい!!」」
みんなから一斉にツッコまれたのだった。
気づくとデス・タランチュラの姿が見るも無惨に燃え尽くされていた。
「い、いつの間に...。」
これには皆かなりひいてた。
だってラテがデス・タランチュラはすごい強いみたいな事、言ってたからしょうがないよね...。
(マスター。すごい強いとまでは言ってなかったですよ。)
あれ?そうだっけ?
それにしてもあんなにドン引きしなくても良いのに...。
(普通の人間なら引きますよ...。オーバーキルしすぎです。)
えぇ...。
でも倒したんだから良いじゃんねぇ...。
「とりあえず倒したんだし、魔石とドロップあるか見ようぜ!」
「う、うん。」
辺りを見渡してると銀色重厚そうな宝箱があった。
宝箱を開けてみると弓と弓矢が入っていた。
鑑定で見ると、デス・タランチュラの弓だった。弓の弦の部分がデス・タランチュラの鋼糸で出来てありかなりの威力が出ると出た。
俺はこれをラテに渡した。
まぁ、弓を扱えるのがラテしかいないので当然の事である。
この弓で下の階層に行ったら、頑張ってもらいたいものだ。
こうして粗方素材や魔石を広い集めて、俺達は次の11階層に進んだ。
階段を降りるとそこは一面広がる砂漠地帯だった。
本当にダンジョンってどうなってるんだろう...?
「コウ!11~15階層に出てくるモンスターは、大型肉食ミミズ、砂漠蜥蜴人、砂漠豚人が出現するわよ。」
さすがラテだな。ギルドの受付嬢はダンジョンモンスターに詳しくて助かる。
(ただ、ここ最近の異変でダンジョンの生態が変わってますけどね...。)
確かにそうだ...。
気をつけるには越したことはない...。それにしても、
「ミミズにトカゲに豚か...。
久しぶりに豚の新鮮な肉食べたいな...。」
「コウ君は、本当に食べることが好きだよね!」
「まぁな。生きる者の三大欲求の一つだからな。」
「兄貴、三大欲求って?」
「それはな。食欲、性欲、睡眠欲だ。
腹が減れば食べたくなるし、ムラムラすればヤりたくなるし、眠くなれば寝るってことだよ。生きるもの全てにある欲求だわな。」
「ムラムラって...。」
そういいながら、アルトはラテをチラチラ見てる。
「アルト。ムラムラするのはダンジョンを出てからにしてくれよ...。」
俺はアルトに耳打ちをすると、アルトは顔を真っ赤にしてモジモジしていた。
「コウ。話戻るけどここの砂漠蜥蜴人と砂漠豚人は対立してるわ。」
「対立?」
「食料である大型肉食ミミズを取り合って争いをしてるの...。
だから、無理に戦わなくても進めるって感じなのよ。」
「え?そうなのか?おら達は出会ったら全部戦ってきてただ。」
「ギルドの中級ダンジョンガイドマップにも記載されているわ。
ここは砂漠だからよけいな体力を使わないようにしないと先に進めないわよ。」
「だから、おら達は15層までしか潜れなかったんだな...。」
「でも、俺達はクーラーの魔法もあるし、かなり快適に進めるから、下の階層の入り口まで最短で向かってモンスターが襲ってきたら倒すって方向で良いんじゃないか?」
「そうね。このメンバーなら相手が近づく前に倒せるしね。」
「なんだかおら、居場所がねえだよ...。」
ゴングは自分が役に立ってないんじゃないかとひどく落ち込んだ。
「ゴンさん!そんな事言わないでください!
僕はいつもゴンさんに守ってもらってるから伸び伸び魔法が撃てるんです!
感謝しています。もっと自信持ってくださいよ!」
「先生...、ありがとう...。グス...。」
俺が言おうとした事をサラッとアルトに言われちゃったよ....。
(何だかんだアルトは元王子様ですもんね。
マスターとは違って。)
庶民で悪かったな...。
「ところでさ、大型肉食ミミズって、美味しいのか?」
「「えっ?」」
俺の発言に一同、驚いた顔をしている。
「アンタ、アレを食べようとしてるの...?キモッ!!」
リアの指を指した先に10メートルはある大きなミミズの形をしたモンスターが居た。
顔はなく口を開けてヨダレを垂らしていた。
「マジでキモッ!!ナニあれ?」
「アレが大型肉食ミミズよ!」
「あんなの食べれるか!?キモすぎるぞ!」
「コウ君が食べれるか聞いてたクセに...。」
「いやいや、実物見たことなかったからな...。
あんなキモいのてなったら食べないわ...。」
「でも、一部のマニアには好まれて食べる者もいるべ。たまにギルドで納品依頼でてたの見ただ。」
「そうね。私は食べたこと無かったけど、そういう依頼は良く張ってあったわね。」
「そうなんだ...。でも、ゲテモノほど珍味って聞いた事あるし、どうする?食べる?」
「こうなったら食べてみたい人は挙手しない?」
「そ、それはいいね!」
「じゃあ、大型肉食ミミズ食べて見たい人!」
アルトは言う。
俺はちょっと食べて見たいから手をあげた。
辺りを見渡すと誰もあげていない...。
「「どーぞ、どーぞ!」」
みんなが一斉に言った。
「ダ○ョウ倶楽部じゃねーか!?」
俺のツッコミがただ虚しく響き、俺が食うはめになった。
美味しくても絶対分けてやんないからな!と、
固い決意を胸に大型肉食ミミズと対峙するのであった。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~
ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」
騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。
その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。
この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。
半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界
異世界隠密冒険記
リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。
人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。
ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。
黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。
その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。
冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。
現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる