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第一章、モテない冒険者編。

15、10階層のボス戦2。

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目の前に現れたモンスターはバジリスクだった。
Cランク相当のボスモンスター、普通はCランクの冒険者5人のパーティーで倒すらしい。

距離を取れば羽を飛ばして攻撃をしてきて、
近づけば足の鋭い爪や石化の効果があるくちばしで攻撃してくる。
背後に回れば蛇が噛み付いてくるその牙が猛毒なんだとか。

バランスのいい5人パーティーなら、
バジリスクの羽攻撃をタンク(盾役)で防ぎ、
アーチャーと魔法使いで徐々に削って、
ヒーラーで傷ついた者を回復、
弱った所をアタッカーで攻めると言う風に、
バジリスクの戦い方は一般的に確立していた。

しかし、それは5人パーティーの場合だ...。
俺達は2人。しかも、そんなに余力がない...。
俺も先の戦いで魔力をだいぶ使ってしまった。

「コウ君、どうする?」
「どうするもこうするもやるしかないだろう...。」
「何か策は?」
「今の所はないな。戦いながら考える。とりあえず、プロテクション。」

俺は自分とアルトに防御力アップの魔法を掛けた。頼りないが少しでも防御力を上げるにこしたことはないだろう。

「行くぞ!」
「うん!」

俺達は戦う覚悟を決めてバジリスクと対峙した。俺はバジリスクがアルトを攻撃しないように立ち回る。上手くヘイトを稼ぐため接近した。

(マスターくちばしの攻撃だけは気をつけてください!ワタシはバジリスクを解析します!)

あぁ。頼む!
そんな事を言ってると、バジリスクが凄い勢いで突っ込んできた。
ヤバッ!!
俺は直ぐ様横っ飛びをして距離をとる。さっきまで俺が居た場所にバジリスクの大きな爪が振り下ろされた。

「ドゴォォォーン!!」

バジリスクが爪を振り下ろした場所に地面が抉られて3メートルにも及ぶクレーターが出来た。
もし剣で受けていたら、そのまま潰されて殺られていたかもしれない...。
これは出し惜しみしている場合じゃない...。
やるしかない...。
俺は相討ち覚悟で足に魔力を込める。
バジリスクが俺の方を向いたを瞬間に技を放った。

「一閃乱舞!!」

ザシュッッ!!!

ブチブチ...。

ザシュッッ!!!

ブチブチ...。

バジリスクに一太刀入れて行くごとに、俺の足の筋肉が断裂していく。
爪の攻撃を避けては斬り、くちばしの攻撃を避けては斬って、バジリスクを段々と追い詰める。


倒れろ...。倒れろ...。倒れろ...。倒れてくれぇぇ!!

バタッ...。

先に倒れたのは...俺の方だった。
足に限界が来てしまったのだ。
倒れた俺にここぞとバジリスクが襲いかかる。

ここまでか...。と諦めかけた思その時、

「ファイアアロー!!!」

アルトの声と共に業火の如く大きな炎の矢が、
バジリスクに直撃した。
炎で燃やされ苦しんでいる隙をみて、アルトは俺に近づき回復魔法を掛けてくれた。

「『リカバリー』。」足の筋肉が再生していく。そして「『ヒーリング』」で痛みが引いてきた。

「危なかった...。ギリギリだったね。」
「あぁ、アルト。ありがとう。」
「威力を高めるのに予想以上に時間が掛かったよ...。本当、間に合って良かった...。」

アルトは泣きそうな顔で言ってくる。

「本当に助かった。」

俺はアルトの肩を軽く叩いて感謝を伝えた。
バジリスクは燃え盛る炎を消そうともがいていた。
さて、どうしたものか...。
もうすぐバジリスクの態勢も整うだろう...。
どう倒すか考えているところにヴォイスの声が脳内に響いた。

(マスター。バジリスクの解析が終わりました。)

で、どうなんだ?

(バジリスクは中枢に脳が一つありまして、鳥の胴体の攻撃と蛇の攻撃、どちらか一つしか出来ないようです。そこを逆手に取れば...。)

逆手に...。そうか!!わかったぞ!!
鳥の方と蛇の方を同時に挟む事で脳がパニックを起こしてフリーズするって事か!

(正解です。パニックでフリーズした隙に、マスターは鳥の部分の首を、アルトは尻の部分の蛇を切断できれば倒せると思います。)

ヴォイス、解析ありがとう。その策に乗らしてもらうな。
俺は早速アルトに策を伝えた。

「なるほど...。うん。やってみよう。僕も魔力が残りわずかで多分、もう一発が限界だから。」

「よし。作戦は決まったな。これで終わらせるぞ!」

「うん!」

俺達が作戦を決めてバジリスクの方を向いた時、バジリスクは身体を燃やしてた炎を消しこちらをギロッと睨んできた。

俺とアルトはジリジリと近づきタイミングを計る。
もしタイミングがずれたら2人共殺られるだろう...。
そう思うと心臓の鼓動と冷や汗が止まらなかった。

バジリスクが俺に向かってきたその瞬間俺達は同時に動いた。
俺はバジリスクの半周左に周り、アルトは蛇の方へ半周右に回った。
各々正面と背後に対峙した時にバジリスクの動きがピタリと止まった。予想通りパニックを起こしたのだ。
俺達はその一瞬を見逃さなかった。

「今だ(です)!!!」
「一閃!!」「ウインドカッター!!」

バジリスクの首とお尻の蛇を同時に落とした。
そしてバジリスクは倒崩れていくように倒れていった。

俺とアルトはお互い近づき勝利のハイタッチをしたのだった。
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