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第一章、モテない冒険者編。
2、チュートリアルと初めての戦闘。
しおりを挟む神様に送られ、足元に大地の感触を感じた。
そして目を開けると真っ暗な世界から鮮明な色がつく。
雲一つない青い空。緑の生い茂ってる草原。
心地よい日差し。気持ちいい風。
「俺は来たんだ...。憧れていた異世界に来たんだぁぁ!」
大声を出し抑え切れない高揚感に俺は震えていた。
おっと、忘れちゃ行けない...。
このままだとすぐ死ぬと言われた神様の言葉にしたがって、
「ステータスオープン。」
そう言うと俺の目の前に青い画面が広がった。
「へえ~。本当にゲームみたいだな。どれどれ...。」
俺は画面を覗き込みステータスを確認する。
コウ タカサキ(15)LV1
・職業/無職
・HP30 ・MP20
『ユニークスキル』・ミヨウミマネ
『ギフト』・鑑定・収納
『神の加護』・チュートリアル
「何だこれ!?俺のステータス低っ!!
おいおい、神様これはすぐ死ぬよ!!
すぐに神様の元に戻っちゃうよ!!」
なんて愚痴を吐く。
しかしこのステータスが今の自分だなのから仕方ない。
「はぁ~。とりあえず他もよく見てみるか…。」
俺は他の項目をじっくり見る。
鑑定、収納は異世界では定番だ。
それは本当に嬉しい。
だが…なんだこのユニークスキルは?
『ミヨウミマネ』」って…。
まさかな...。まさかだよね...?
何故か嫌な予感しかしない。
しかし、四の五の言っても仕方ないので鑑定して見る。
「鑑定。『ミヨウミマネ』。」
『ミヨウミマネ』
・世界で1人しか持てないユニークスキル。
相手のスキルを見様見真似で獲得する。
ただし、真似なので劣化版。
熟練度が上がれば劣化版から本物へ進化可能。
「........。
........。
ってなんじゃこれりゃぁぁぁ~!!
こんなのスキルでも何でもねえよ!!
ただの器用貧乏じゃねーか!!」
俺は盛大にツッコんでしまった。
いやいや、確かに前の世界では結構器用貧乏な方でしたよ...。
モテる為にスポーツとか大概上手い人のを見て真似っこしたりしてたし、
働き初めても仕事は見て覚えるんだ。
とか言われて覚えてたけど、大概できてそこから極めるまではいけないなんて事はよくあった。
前世での反映がこんな形になるとは...。
なんて一瞬思ったが、俺は気づいてしまった。
ちょっと待てよ。冷静に考えれば良くないか?
色々覚えられるってことは1つの事に縛られなくていいって事じゃん。
剣術覚えて、魔法覚えてとか実はめちゃめちゃ万能なスキルなんじゃないのか?
それに俺だけのユニークスキルだし、
おぉ~。急になんか良いスキルに思えて来た。
「神様、本当にありがとうございます!
さっきのツッコミは無かった事にしてください。」
そう言いながら天を仰いだ。
調子よくてご都合主義だなぁって自分でも思うけど、ここは異世界だ。
楽しく生きよう!!
「やるぞ!やるぞ!やるぞぉぉ!!」
......。
......。
この壮大な高原に俺の声だけがむなしく響いた。
気を取り直して、
他の項目を見ると『神の加護』がチュートリアルと出ていた。
気になるので俺は鑑定をする。
「鑑定。チュートリアル」
・チュートリアル
初心者が死なないためのアドバイスしてくれるサポーター。通称 天の声
天の声って某情報番組のヤツだよな。
なんか意外にこの世界って日本っぽいよな。
いや、俺が日本人だから親しみ易いようにしてくれてるのかも知れない。
青い画面にあるチュートリアルを押してみた。
すると急に脳内で喋る声が響いた。
(どーも~マスター!!天の声でぇす♪
略して天ちゃん、しくよろでぇす~♪
ハッシュタァァーグ!!)
ノリ軽っ!!ってかうるさっ!?
本当にこれ信用できるのか?
神様といい天の声といい皆軽い感じなのかな...。
(そういえばマスター、装備の確認しました?)
いや、してないけど...。
っていうか確認の仕方とか分からないし...。
(では確認して装備をしましょう。
某ゲームのドラ○エの武器屋の親父も言うじゃん!
「持ってるだけじゃ意味ないぜ。装備しないとな。」って!)
確かに...。
で、どこにあるんだその装備は?
俺はズボンのポケットやら何やら探してみるが何も持ってない。
(いやだな~。そんなとこ探してもあるわけないじゃん。収納の中なんだから。
結構ドジッ子だったり?プププッ!)
なんだろう...。
この世界に来たばっかりで分かんないのに、この言われよう。
現実にいたらしばいてるかも知れん。
(まぁまぁ、短気は損気ですよ~。
説明を続けると収納の中に初期装備のショートソードとバックラー入ってるね。
青い画面の収納ってところを押して装備を選んでタップしてね。)
本当だ。ちゃんと書いてある。
タップすると、装備しますか?っと出てきたので俺は迷わず装備するを押した。
押した瞬間。俺の右手にはショートソードが、左腕にはバックラーが装着された。
「おぉ~!これが初期装備...。めちゃめちゃカッコイイじゃん!!」
装備をしたことで俺の中の中二心が歓喜に震えだした。
(コホン!!それではマスター!
いきなりだけど、これから戦闘指南始めるよ!)
はっ!?えっ!?ちょ、ちょっと待って!
まだ心の準備が全然...。
なんてあたふたしてると5メートル先にモンスターが現れた!
ファンタジーの定番中の定番。
身体が緑色の奴。
そう、ゴブリン(ピ○コロ)だ。
おい...。天ちゃんや...。
もし、アイツがD.Bのピ○コロさんだったら俺は瞬殺されるわ...。
(マスター!!
そんなツッコミはいいから早く剣を構えて!
そしてすぐにゴブリンを鑑定して!)
そんなツッコミはいいからって...。
ツッコミさせたのあんたやん。
俺は納得はいかないが天ちゃんの指示に従い、剣を構えてゴブリンを鑑定した。
ゴブリンLV3
・HP10・MP2
スキル
・投石LV1
あれ?なんだ。ステータス的に全然弱いじゃん!
これなら今の俺でも全然いけるんじゃね?
と余裕をかましていると天ちゃんが、
(マスター!
ゴブリンが投石を使うまで耐えて下さい!)
えっ!何で!?
すぐに倒せばいいじゃん?
(いやいや、マスターがゴブリンの投石スキルを見れば覚えられるからですよ。)
あぁ、なるほど。
ミヨウミマネだから1度見ないとスキル覚えられないのか...。
ってまさか、攻撃食らわないと覚えられないってことか!?
(違うよ!
1度スキルを見ればいいだけだからからわざわざ受ける必要はないんだけど、
今はマスターとゴブリンしか居ないからしょうがないの。)
なるほど。そういうことね。
ゴブリンは一向に動こうとしない俺を警戒して距離をとって何かを探している。
観察してると突然ゴブリンが動く。
そして近くにある石をこっちに投げてきた。
ヤバイ!!
小さな身体から投げるからそんなにスピードは出ないだろうと思っていたが、思った以上に投げられた石が速い。
俺は飛んで来る石をサイドステップで躱わす。
これが投石のスキルでの補正か...。
躱わされたゴブリンはまさか躱わされる訳ないって感じで驚きおろおろした。
俺はその一瞬を逃さず踏み込んでゴブリンに近づく。
そして、ショートソードで首を狙う。
スパッ。
ゴブリンの首と胴体が離れ、ゴブリンは絶命した。
俺は1撃で倒せた事に喜んだ。
「何だ~。弱いじゃん!
いや俺が強いのかな?強すぎるのかな?なんてね。」
と意気揚々といると天ちゃんが呟いた。
(...弱いのは当たり前じゃん。
…この世界で最弱モンスターだもん。)
ちょっと呆れられてる感じがした。
しょうがないじゃん。前世ではゲームでしか戦ったりしてないんだからさ...。
(まあ、なんにせよ、
初モンスター狩りだね。おめでと!そしてスキルもしっかり覚えたね!)
天ちゃんがそう言うので俺はすかさずステータスを見る。
するとしっかりとスキルの所に新しく書いてあった。
「おぉ~!!投石(仮)覚えてる!って(仮)?」
(あぁ、それはマスターのミヨウミマネで覚えるのスキルは全て元のスキルの劣化版ですから(仮)はしょうがないんです。)
あぁ...。なるほどな。
(それでも使い続けて熟練度が上がれば、(仮)も取れるんだから前向きが1番だよ。頑張ろ~!)
そうだな!この世界に来てこれからも戦い続けなきゃならないし、モテる為には悲観的になってちゃダメだ。前向きにどこまでも強くなってやる。
そう思いながら俺は初めての戦闘を終えた。
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