上 下
43 / 49
2章

研究発表開始

しおりを挟む
退屈な開会式のお話が終わって、展示物やテイムされたモンスターを見て回る時間になった。

ショーのように曲芸をさせている姿も見かける。
火の輪くぐりやらお手やらお座りやら。犬みたいだなあ。
ああいう発表の方法はどうなんだと思うけど、戦わせるわけにもいかないし仕方ないのかな。


紙に研究内容を書いて展示しているところにきた。
中には中々興味深いものもある。私がやっているのと似たようなことをやっている人がいるのだ。


人為的に魔犬を3つ頭のケルベロスへと進化させる研究や、ぷちドラゴンはなかなか上位のドラゴンに進化しないが、それを火竜、水竜、木竜、土竜などへと進化させるまでの研究なんかがある。かなりの回数試行しているが、なかなか難しいみたい。

やっぱり食べ物や周囲の環境、マナの濃淡なんかが関係するんじゃないかって考察だ。



「すごいなあ。私もドラゴン育ててみてもいいなあ」

「いいと思うわよ。ぷちドラは魔族領のドラグロアダンジョンでしか出ないけどね」

「そうなの?じゃあ帰りに寄っていこ?」

「だめ。持って帰るのも大変だしね。他にはドラゴンの卵からって手もあるわよ。一つ5000万ゼニーくらいするけど」

「5000万……」


5000万は高すぎ?
あの良さそうな魔道具が一つ30万でかえちゃうのに。
でも、ドラゴンの卵って孵化したら最初に見た人にすごく懐くって言うし、親ドラゴンが守ってる所を横から取りに行かないとゲットできないって言うし、そういうの込みでの値段なんだろうなあ。


「まあ、卵は孵化しないこともあるって言うし、高いお金使って孵化しないってのもきついからぷちドラから育てようって話じゃないかなあ。パパは卵も夢があっていいと思うけどね」

「でも高いよ?」

「卵からじゃないと進化できない種類があるらしいよ。光竜とか闇竜もの上位種である白輝竜とか深淵竜ってドラゴンは卵からと野生のしか確認ができてないよ。あとは古竜だね。あっちは別系統って噂もあるくらいさ。」

「ほほう。白輝竜に深淵竜とそれに古竜ね」


中々カッコイイ名前のドラゴンさんたちじゃないか。

そのうちダンジョンでいっぱいお宝ゲットしてドラゴンちゃん達もお迎えしよう。かっこいいドラゴンちゃん達にいっぱい囲まれちゃうのだ。スラちゃんもいいがドラちゃんも良いではないか。


「ぷちドラゴンちゃんにアーシャちゃんの魔力をたーっぷり注げばいいドラゴンに進化するんじゃないかな?そのうちがんばろうね。」

「たのしみだね!」


やっぱり来てよかった。他の発表者さんたちの展示物もすばらしい

色々見て回っているとパパは他の国の王族の人に捕まっちゃったから私とママはご挨拶だけしてささっと抜け出した。だってさっきの話の長い学長さんだったんだもん。



パパを生贄にして紙で研究内容を展示してあるところに戻る。こっちにあるのはトレントの挿し木についてだ。なんと生きてるトレントをテイムして林檎やみかんの木を挿し木するという実験を行った人がいるらしい。トレント種は元々が木だから、痛覚はかなり鈍いらしい。だけど、鈍いからってこれはちょっと酷いんじゃないかと思った。最初はね。


でもその研究結果はすごいの一言だ
なんと、一本のトレントに林檎と桃とみかんの上に更にブドウを作ることに成功したらしい。しかもトレントなので自分で収穫して持ってきてくれる。

しゅごい!これはしゅごい研究だよ!

これ農家の人は収穫の仕事が一切なくなっちゃうくらいすごい。いや、それはそれで農家の人がすごく困るかもしれないんだけどすごい。しかもトレントなら鳥がつついたり虫がわいたり、サルやら鹿やらの害獣対策もバッチリだ。むしろそれが肥料になるって書いてある。おそろしい。


「これすごいけど消費魔力もすごいみたいよ。アーシャちゃんやママから見たら誤差だけど普通の人は中々きついんじゃないかな」

「そうなんだ?」


そういえば魔力についても書かれている。そんなところさっぱり読んでなかったけど、沢山の魔力水や魔晶石が肥料として必要だったらしい。なるほどなるほど。ちゃんとそういうデメリットも書いてあるとは尊敬できる人だ。えっとお名前は……カムヤン・アポジカ?カムヤーン?


「それはわいの発表でんがな。お嬢ちゃんに気に入ってもらったようで嬉しいでんなあ」

「遅かったじゃない豚」


現れたのは背の高い、でも横幅も大きい温和な顔立ちのおじさんだ。
でもこの魔力の感じは、オークキングさんだ。


「キングさんだよね。お久しぶりです!」

「お嬢ちゃんよー分かったなあ。『纏い』も綺麗にできとるし、だいぶ上達してきたみたいやな」

「そうかな?えへへ。それはそうとこれおじさんの発表なんでしょ?すごいね!」

「せやろ?庭木のトレント同士が喧嘩してな。枝が折れてもまだ戦っとったから、怒った後に縛り上げて林檎の枝をくくりつけたったんや。林檎がなってたらケンカせんやろと思ってな。そしたら案外上手く育って本人も気に入ったみたいやから色々と試したって訳や。別に酷い拷問したわけやないで」

「そうなんだ?べ、別に酷いことする飼い主さんだとか思ってないよ。ホントだよ」

「思ってたやろ。わいかて他人が同じ事しとるの見たらそう思うわ。」

「えへへ。」


そりゃ思ってました。
最初のきっかけはともかく途中からはノリノリでやってたんじゃないだろうか?
うちのスラちゃんたちみたいに偶々実験でできたんじゃないでしょ。1種類じゃなくて2つも3つも同じトレントに植える必要ないもん。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

OPPAI絶対に読むな。納得の上お読みください。がっかり 内容ないよ 間違って読んだら責任おえないよ。 

四月木蓮
ファンタジー
本当に 絶対に読むな。納得の上お読みください。がっかり 内容ないよ 間違って読んだら責任おえないよ。 普通の小説とは違う特殊な方を対象としたものとなっております。 over panick pawer an idea

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

超激レア種族『サキュバス』を引いた俺、その瞬間を配信してしまった結果大バズして泣いた〜世界で唯一のTS種族〜

ネリムZ
ファンタジー
 小さい頃から憧れだった探索者、そしてその探索を動画にする配信者。  憧れは目標であり夢である。  高校の入学式、矢嶋霧矢は探索者として配信者として華々しいスタートを切った。  ダンジョンへと入ると種族ガチャが始まる。  自分の戦闘スタイルにあった種族、それを期待しながら足を踏み入れた。  その姿は生配信で全世界に配信されている。  憧れの領域へと一歩踏み出したのだ。  全ては計画通り、目標通りだと思っていた。  しかし、誰もが想定してなかった形で配信者として成功するのである。

中年剣士異世界転生無双

吉口 浩
ファンタジー
アラフォーサラリーマンの大村五郎は、道端の少年を助けようとして事故死してしまう。 身を犠牲にして少年を助けようとした褒美としてファンタジー世界へと転生する五郎。 生前の特技である剣術を超人的な腕前へと強化された五郎は、無双獅子奮迅の活躍を繰り広げる。

テイマーは死霊術師じゃありませんっ!

さんごさん
ファンタジー
異世界に転生することになった。 なんか「徳ポイント」的なのが貯まったらしい。 ついては好きなチートスキルがもらえるというので、もふもふに憧れて「テイム」のスキルをもらうことにした。 転生と言っても赤ちゃんになるわけではなく、神様が創った新しい肉体をもらうことに。いざ転生してみると、真っ暗な場所に歩く骸骨が! ひぃぃい!「テイム!テイム!テイム!」 なんで骸骨ばっかり!「テイム!テイムテイム!」 私は歩く。カタカタカタ。 振り返ると五十体のスケルトンが私に従ってついてくる。 どうしてこうなった!? 6/26一章完結しました この作品は、『三上珊瑚』名義で小説家になろうにも投稿しています

処理中です...