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1章
足止め
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オークはこちらを発見したようだ。爛々と眼を輝かせて追ってくる。
「ブモオオオオオ!」
「ぶもおだって。ぶふっ!」
豚のような声を出しながらこっちへ向かってくる。
思わず笑っちゃったじゃないか!
「アーシャ様!何を笑ってるんですか!?早く行きましょう!ホラ!貴方たちも立って!」
「ちょ!違うのよ!つい!ついだから!」
「仕方ないですね。さあ、早く!」
「うん!いくぞ、エミリア!」
「こわいよお。お兄ちゃああん。ふええ……」
何とか説得して走って逃げる。もう見つかってるんだから足音立てても関係ない。早く早く!
いそげ!いそげ!もっと走って!入り口こんなに遠かったっけ?
いつも30分くらいで端から端まで歩けちゃうのに。
「追いかけてきてるよ!」
「そりゃそうよ!早く!あいつらに捕まったら私達なんて生きたまま食べられるわよ!」
「食べられるの!?おにいちゃあああん!うわああん!」
「どうしてそういうこと言うんですかアーシャ様!」
「あああごめん!!ちょっと失敗した!」
女の子が泣き出したせいで余計に走るのは遅くなった。まあ泣かしたのは私なんだけども。
まずい。ドンドン追いつかれる。
足止めをしなければ。
えーっと……今私の手の内で足止め出来るのは
「くらえっ!ふれいむうおーる!」
「ブギイイイ!」
「うわっすげえ!」
「おねえちゃんしゅごい……」
「抜けてくるわよ!早く走って!」
「「うん」」
炎で壁を作る。
何匹かは炎が直撃して酷い燃え方をしている。
豚が焼けて焼き豚じゃん!もしかして美味しいんじゃ?とか思ったが、何が焼き豚だ!
ふざけるな!めちゃくちゃくさいぞ!
焼き豚とか思った奴アホだ!誰だそのアホは!私だ!だめだ!くせえ!
走るたびに焦げ臭い臭いが口の中に入ってくる。
冒険者って大変だなとか改めて思ってる場合じゃない。
問題は壁の性能だ。フレイムウォールの壁は物理的な壁じゃない。熱くて燃える炎あるだけだ。それに時間制限もある。あの数はどうしようもないだろう。時間制限の前にすぐに抜けてくる可能性がある。
そう思って普通はフレイムウォールで作った炎の壁は厚さ1m程度の所を3mくらいある分厚い特注品だ。
その分魔力消費も激しいけど。これで時間を少しでも稼いで!
「早く!いくよ!早く早く!」
「ま、待ってよ!」
炎の壁がいくら厚くてもあいつらは絶対に止まらない。それに道は一本じゃない。どうにでもして出てくるだろう。とにかく早く入り口へ!早く!まだあと1kmほどある。この女の子の足じゃまだまだ時間がかかる。まいったな畜生!
「ブギイイイイイ!」
「うそ!もう抜けてきた!」
「焼き豚になっても抜けてきますよ!アーシャ様!」
「カリナ!あんたも焼き豚って思ったの?アホ!バカカリナー!」
「ええ!?何故突然罵られて。でもそれはそれで……ゴホン!そんな場合じゃないですね。今度は私の番ですよ!……アイスウォール!」
今度はカリナが氷の壁を出した。おお!ナイス!これなら氷が解けるまでは耐えられるんじゃ!やるなカリナ!
バリイイイン!
いけるんじゃないかと思った瞬間、いい音と共に氷の壁は簡単に砕け散った。
「カリナ!あんたの出した壁、一瞬で壊されたじゃないの!」
「こんなはずじゃ!ふええ!」
カリナってこんなにポンコツだっけ?いやポンコツだったような気もする。
いや、きっと緊張してるんだ。そうに違いない。カリナくらいのエルフがオークに捕まると酷い目に遭うってママが前にカリナを脅して遊んでたし。
いやそれはどうでもいい。カリナは当てにならないから私が足止めしないと。
「ふぁーあーぼると!うぃんどかったー!あーすすとらいく!」
ボコボコと打てば一撃で倒せる。
でもそれだけだ。
襲ってくるモンスターの数は膨大だ。1000体くらいいるんじゃないか?
とても単発の魔法じゃ手に負えない。誰だ100くらいなんて言ったのは!わたしだ!くっそ!
『ぱっぱら~』
レベルが上がった!でも火力がそんなに上がった気がしない。体力はあがった!?のか?
だめだ、全然わかんない!
とりあえず早く走って逃がさないと!
「走って!早く!」
はしれ!はしれ!
入り口はまだ見えない。
だんだん追いつかれる。
だめだ。普通に逃げていてはどうにもならない!
「仕方ない、私が足止めするわ。カリナ、その2人を連れて早く外へ!助けを読んできて!」
「アーシャ様!そんな!」
「私一人なら逃げられるから!大丈夫だから。早く!」
「それなら私が残ります!」
「あんたが残ったって壁は一瞬で壊されたし、私がその子達担いで外にも出られないでしょうが。早く行きなさい!喧嘩してる暇ないわよ!」
「ぐっ!分かりました……御武運を。行くわよ!」
カリナは二人を担いで外へと向かって走っていく。風の魔法で速度を上げているので入り口まで程度なら二人を担いでもすぐだろう。
さあ、私も出来る事をやらないとね。
「ブモオオオオオ!」
「ぶもおだって。ぶふっ!」
豚のような声を出しながらこっちへ向かってくる。
思わず笑っちゃったじゃないか!
「アーシャ様!何を笑ってるんですか!?早く行きましょう!ホラ!貴方たちも立って!」
「ちょ!違うのよ!つい!ついだから!」
「仕方ないですね。さあ、早く!」
「うん!いくぞ、エミリア!」
「こわいよお。お兄ちゃああん。ふええ……」
何とか説得して走って逃げる。もう見つかってるんだから足音立てても関係ない。早く早く!
いそげ!いそげ!もっと走って!入り口こんなに遠かったっけ?
いつも30分くらいで端から端まで歩けちゃうのに。
「追いかけてきてるよ!」
「そりゃそうよ!早く!あいつらに捕まったら私達なんて生きたまま食べられるわよ!」
「食べられるの!?おにいちゃあああん!うわああん!」
「どうしてそういうこと言うんですかアーシャ様!」
「あああごめん!!ちょっと失敗した!」
女の子が泣き出したせいで余計に走るのは遅くなった。まあ泣かしたのは私なんだけども。
まずい。ドンドン追いつかれる。
足止めをしなければ。
えーっと……今私の手の内で足止め出来るのは
「くらえっ!ふれいむうおーる!」
「ブギイイイ!」
「うわっすげえ!」
「おねえちゃんしゅごい……」
「抜けてくるわよ!早く走って!」
「「うん」」
炎で壁を作る。
何匹かは炎が直撃して酷い燃え方をしている。
豚が焼けて焼き豚じゃん!もしかして美味しいんじゃ?とか思ったが、何が焼き豚だ!
ふざけるな!めちゃくちゃくさいぞ!
焼き豚とか思った奴アホだ!誰だそのアホは!私だ!だめだ!くせえ!
走るたびに焦げ臭い臭いが口の中に入ってくる。
冒険者って大変だなとか改めて思ってる場合じゃない。
問題は壁の性能だ。フレイムウォールの壁は物理的な壁じゃない。熱くて燃える炎あるだけだ。それに時間制限もある。あの数はどうしようもないだろう。時間制限の前にすぐに抜けてくる可能性がある。
そう思って普通はフレイムウォールで作った炎の壁は厚さ1m程度の所を3mくらいある分厚い特注品だ。
その分魔力消費も激しいけど。これで時間を少しでも稼いで!
「早く!いくよ!早く早く!」
「ま、待ってよ!」
炎の壁がいくら厚くてもあいつらは絶対に止まらない。それに道は一本じゃない。どうにでもして出てくるだろう。とにかく早く入り口へ!早く!まだあと1kmほどある。この女の子の足じゃまだまだ時間がかかる。まいったな畜生!
「ブギイイイイイ!」
「うそ!もう抜けてきた!」
「焼き豚になっても抜けてきますよ!アーシャ様!」
「カリナ!あんたも焼き豚って思ったの?アホ!バカカリナー!」
「ええ!?何故突然罵られて。でもそれはそれで……ゴホン!そんな場合じゃないですね。今度は私の番ですよ!……アイスウォール!」
今度はカリナが氷の壁を出した。おお!ナイス!これなら氷が解けるまでは耐えられるんじゃ!やるなカリナ!
バリイイイン!
いけるんじゃないかと思った瞬間、いい音と共に氷の壁は簡単に砕け散った。
「カリナ!あんたの出した壁、一瞬で壊されたじゃないの!」
「こんなはずじゃ!ふええ!」
カリナってこんなにポンコツだっけ?いやポンコツだったような気もする。
いや、きっと緊張してるんだ。そうに違いない。カリナくらいのエルフがオークに捕まると酷い目に遭うってママが前にカリナを脅して遊んでたし。
いやそれはどうでもいい。カリナは当てにならないから私が足止めしないと。
「ふぁーあーぼると!うぃんどかったー!あーすすとらいく!」
ボコボコと打てば一撃で倒せる。
でもそれだけだ。
襲ってくるモンスターの数は膨大だ。1000体くらいいるんじゃないか?
とても単発の魔法じゃ手に負えない。誰だ100くらいなんて言ったのは!わたしだ!くっそ!
『ぱっぱら~』
レベルが上がった!でも火力がそんなに上がった気がしない。体力はあがった!?のか?
だめだ、全然わかんない!
とりあえず早く走って逃がさないと!
「走って!早く!」
はしれ!はしれ!
入り口はまだ見えない。
だんだん追いつかれる。
だめだ。普通に逃げていてはどうにもならない!
「仕方ない、私が足止めするわ。カリナ、その2人を連れて早く外へ!助けを読んできて!」
「アーシャ様!そんな!」
「私一人なら逃げられるから!大丈夫だから。早く!」
「それなら私が残ります!」
「あんたが残ったって壁は一瞬で壊されたし、私がその子達担いで外にも出られないでしょうが。早く行きなさい!喧嘩してる暇ないわよ!」
「ぐっ!分かりました……御武運を。行くわよ!」
カリナは二人を担いで外へと向かって走っていく。風の魔法で速度を上げているので入り口まで程度なら二人を担いでもすぐだろう。
さあ、私も出来る事をやらないとね。
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