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第一章
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しおりを挟むルニーの乙女ゲームの攻略対象顔負けな発言にサマル君と一緒になって、はわわ~と興奮しつつ、サマル君から部屋の設備についての説明を一通り受けていて、俺は思った。
この美醜逆転世界…魔法があるって事は、それに乗じてモンスターも出るって事だよな…。
「…と、部屋の説明はこんな感じですが、何か分からない事とかってありますか?」
一通りの部屋の説明を終えたサマル君がこちらに振り返って、そう確認してきてくれたので俺はルニーを見上げる。
ルニーも特に思い当たる節はなさそうで、静かに首を横に振っていたのでサマル君に大丈夫だ、と告げるとサマル君は何処か安心した様子でほっと息を吐いていた。
「それでは僕はこれで失礼致します。何かございましたら、いつでもお声がけください!」
そう言ってサマル君は俺に部屋の鍵を渡すと頭を下げてから、部屋を後にした。
仮面のせいで詳しい年齢は分からないけど、俺よりも年下だよな…ううん、実にしっかりした良い子だ。
サマル君に教わった通り、ちゃんと鍵を閉めて扉の横の壁にあるキーハンガーに鍵を掛けてから、ルニーの方に振り向く。
ルニーは俺が振り返った瞬間、ビクッと体を震わせた。
「ルニー」
俺はそれを見なかったふりをして、ルニーの元に歩み寄る。
ルニーの前に立ち止まると手を伸ばし、ルニーの顔を隠すように覆われていた布を取り払う。
何処か緊張した面持ちでルニーは俺の行動を眺めていた。
俺よりも高い位置にあるその端整な顔にそっと手を伸ばす。
「ん…」
無駄な肉のない触り心地の良い頬を撫でれば、ルニーは気持ち良さそうに目を細めた。
俺は爪先立ちになって、ルニーの耳元に唇を寄せる。
ルニー、と名前を呼べば、ぴくり、と擽ったそうに鍛えられた体が揺れた。
「ルニー」
「…っ、」
「─────抱きたい」
ふう、と耳元に息を吹き込めばルニーから小さな声が出る。
ずっと爪先立ちでいるのはつらいので元の体制に戻してからルニーの豊満な胸に顔を埋める。
ああ~いい雄っぱいなんじゃ~。
「…抱きたい」
「、」
「この鍛えられた体も、」
つう、と左手でルニーの鍛えられた太腿から臀部までのラインをゆっくりとなぞる。
「この美しい顔も、」
ルニーの頬に添えたままだった右手で頬から顎までをゆっくりとなぞり、そのまま首筋を辿り、顔を埋めていた胸に当てる。ちょうど、心臓の位置に。
「心も、」
布越しであるが胸筋にカリ、と歯を立てればピクリ、と目の前の体が震える。
「全部、欲しい」
きめ細かい透き通った白い肌が赤く染まり、宝石のような緑と青の瞳が蕩けながらも俺を見下ろしていて。
ルニーの震える両手が俺の顔にそっと触れられ、ゆっくりとその美しい顔が近付いてきた。
「…この、身も…心も、とうに全て、貴方に捧げたもの…どうぞ、好きなだけ受け取ってください…
──────旦那様」
震える声で、緊張した面持ちで、静かに紡がれたその言葉に全身の血液が沸き上がるような感覚に襲われ、俺はルニーの顔を両手で鷲掴むとそのまま唇を重ねた。
舌で無理矢理唇をこじ開け、中で縮こまっていた舌を引っ張り出して吸い上げる。
呼吸さえも奪うような、衝動に身を任せた技術もへったくれもない荒々しいキス。
「あ、ふぁ、っ…ヒ、カ…」
ああ、欲しい。
全部、全部。
ルニーが欲しい。
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