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OLYMPUS QUEST Ⅱ ~原初の神々~
混沌
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これを読んでる読者諸君、神というものを信じているだろうか。
神様に命を救ってもらった、そんなものお伽噺だろ……。いろんな考え方があると思う。
でも、俺はどちらかというと後者だが、神を信じている。──というか、俺は神の息子だ。ま、これはつい数ヶ月前に知ったことなんだけど……。
おっと。勘違いしないでほしい。神の息子とは言ってもヘラクレスみたいに大層なものではない。ちょっとした特殊能力があるぐらいだ。
特殊能力にはいくつか種類がある。瞬間移動、物体浮遊、異世界交信……。俺の能力は、時間停止だ。もっとも、時間停止も万能じゃないけどね。
さて、ざっと紹介も終わっただろうか。え?なんでこんな紹介をしてるかって?そうだな……。たぶん、今いる場所の問題なんだろう。
俺が今いるのは、よくわからない空間だ。……そうとしか形容出来ないんだよ。
はぁ……
周りは、暗い。光が全くないから何があるかもわからない。前に入ったことがあるタルタロスに似てるけど、落ちている感覚はない。
そしたら、もう、自己紹介以外することがないだろ。
「はぁ……」
何度目かわからないため息をついた途端、あたりを光が包んだ。
「…………!」
誰かの声が聞こえた。俺に呼びかけているようだ。でも、何を言っているかはわからない。
俺は、光と闇で混沌とした不思議な空間で、誰かの声に向かって走り出した。
どれくらい走っただろう。いつの間にか闇は消え、光のみの空間になっていた。とても暖かい光だ。
「ルーシュよ」
今度ははっきり聞こえた。性別は分かりにくいが、神の声だ。
「私の名はへーメラ。昼を創り出した原初の神」
「へーメラ様。ここはどこなのでしょうか」
「ここは私の中。先程まであなたは私の弟であるニュクスの中にいたのです」
ニュクスか……確か、夜の神。どうりで暗かったはずだ。しかし、女神の中というのは、どうもイケない気分になってしまう。
「姉上!その者を返してください!」
別の神の声が聞こえた。これがニュクスだろう。
「お待ちなさい、ニュクス。この者は、貴方には荷が重すぎます。よって、母上のもとに届けます」
今度はへーメラの声だ。しかし、母上って……
あれ?ここはどこだろう。さっきまでへーメラの中にいたはずだ。それが、今は広大な大地に立っている。
「さあ、我が闇の眷族よ!世界の母に跪くがよい!」
目の前に一人の神が立っていた。何か変なことを言っている。
「ニュクス、結果を急いではなりません」
美しい女神が現れた。この方がへーメラ様だろう。
しかし、ニュクスか……神にも厨二病っているんだな。
「姉上。此奴はかなり無礼なことを考えている模様。この、漆黒の闇を司る神が天誅を下してもよろしいでしょうか」
おお、怖い。さすがは原初の神だな。ゼウスと同じくらい迫力がある。
「ニュクス、控えなさい。そして、ルーシュよ。あなたの考えていることは全てこちらに筒抜けです。あまり失礼なことを考えないように」
「……チートかよ」
でも、文句を言っても仕方が無い。
「で、さっき話してた母上ってのはどこにいるんですか?」
へーメラが応える。
「母上は──ここです」
神様に命を救ってもらった、そんなものお伽噺だろ……。いろんな考え方があると思う。
でも、俺はどちらかというと後者だが、神を信じている。──というか、俺は神の息子だ。ま、これはつい数ヶ月前に知ったことなんだけど……。
おっと。勘違いしないでほしい。神の息子とは言ってもヘラクレスみたいに大層なものではない。ちょっとした特殊能力があるぐらいだ。
特殊能力にはいくつか種類がある。瞬間移動、物体浮遊、異世界交信……。俺の能力は、時間停止だ。もっとも、時間停止も万能じゃないけどね。
さて、ざっと紹介も終わっただろうか。え?なんでこんな紹介をしてるかって?そうだな……。たぶん、今いる場所の問題なんだろう。
俺が今いるのは、よくわからない空間だ。……そうとしか形容出来ないんだよ。
はぁ……
周りは、暗い。光が全くないから何があるかもわからない。前に入ったことがあるタルタロスに似てるけど、落ちている感覚はない。
そしたら、もう、自己紹介以外することがないだろ。
「はぁ……」
何度目かわからないため息をついた途端、あたりを光が包んだ。
「…………!」
誰かの声が聞こえた。俺に呼びかけているようだ。でも、何を言っているかはわからない。
俺は、光と闇で混沌とした不思議な空間で、誰かの声に向かって走り出した。
どれくらい走っただろう。いつの間にか闇は消え、光のみの空間になっていた。とても暖かい光だ。
「ルーシュよ」
今度ははっきり聞こえた。性別は分かりにくいが、神の声だ。
「私の名はへーメラ。昼を創り出した原初の神」
「へーメラ様。ここはどこなのでしょうか」
「ここは私の中。先程まであなたは私の弟であるニュクスの中にいたのです」
ニュクスか……確か、夜の神。どうりで暗かったはずだ。しかし、女神の中というのは、どうもイケない気分になってしまう。
「姉上!その者を返してください!」
別の神の声が聞こえた。これがニュクスだろう。
「お待ちなさい、ニュクス。この者は、貴方には荷が重すぎます。よって、母上のもとに届けます」
今度はへーメラの声だ。しかし、母上って……
あれ?ここはどこだろう。さっきまでへーメラの中にいたはずだ。それが、今は広大な大地に立っている。
「さあ、我が闇の眷族よ!世界の母に跪くがよい!」
目の前に一人の神が立っていた。何か変なことを言っている。
「ニュクス、結果を急いではなりません」
美しい女神が現れた。この方がへーメラ様だろう。
しかし、ニュクスか……神にも厨二病っているんだな。
「姉上。此奴はかなり無礼なことを考えている模様。この、漆黒の闇を司る神が天誅を下してもよろしいでしょうか」
おお、怖い。さすがは原初の神だな。ゼウスと同じくらい迫力がある。
「ニュクス、控えなさい。そして、ルーシュよ。あなたの考えていることは全てこちらに筒抜けです。あまり失礼なことを考えないように」
「……チートかよ」
でも、文句を言っても仕方が無い。
「で、さっき話してた母上ってのはどこにいるんですか?」
へーメラが応える。
「母上は──ここです」
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