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第壱章

エピローグ 家老 実家に帰る 

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3か月後。

勘十郎は故郷の久利呉藩くりごはんに帰ろうとしていた。

マロの傷が謎の超速再生で回復しきったからである。

さすがマロ。謎が多い。すっかり旅籠の面々とも打ち解けたマロ。



「長い間世話になったでおじゃる。礼を言うでおじゃるよ。」



「勘十郎さま、すぐ帰ってきてくださいね。あなたのおうちはここですから!」



すずめがだだ泣きしている。



「カガリ様、必ず帰ってきてください。他のお客も待ってる。」



つばめが篝を目で刺さんばかりに念を送っている。



「おじいちゃん?無理しないで、道の途中途中で休んでくださいね。」

「え?わし?ありがとうするめちゃん、貰った麦茶、大事に飲むね。」



するめちゃんは明後日の方向を向きながら家老を労う。



「何かあったらいつでも来るといいよ。あんたがいたほうが皆、元気になるからね。」



女将のコトバがありがたい。



「兄さま、これからどうするのですか?」



どうするもこうするも、久利呉藩に帰って妹と平和に暮らすだけだ。

もう誰にも邪魔されたくない。



「ええこっちゃのう。儂もうれしいわ。上杉のやつめ、まさか儂を暗殺する目的で近づいていたとはの。まったく気づかなかったわ。」



勘十郎と篝、マロの三人と幽霊一人(?)が久利呉藩に向けて出発する。



「ところでご家老。真犯人もわかったのに、なぜ成仏しないのですか?」

「え?そうじゃの…。ああ、迎えの音が聞こえる。はあ、川の向こうに婆さんの姿が。。。」

「いえ、奥さんまだ生きてますよね?」

「…( ゚Д゚)」

なんですかその顔は。

「わし、まだ成仏できぬ。」

「どういうことですか?」

「思い残すことがあったわ。勘十郎。お主、手伝うがよい」

「ええ!いやですよ!?」

「お主にしか見えんのじゃ、なんとかせい」



勘十郎のためいきが晴天にこだまする。



「家老、斬っちゃったみたいなんですけどどうしたらいいんでしょうか」



おわり
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