7 / 20
第壱章
第7話 家老、立ち会う
しおりを挟む
「いざ、尋常に勝負でおじゃる。」
勘十郎と相対するマロが慣れないながらも刀を構える。
勘十郎が本気を出さなくても勝てる相手だ。
だが、動けないでいる。動けば勝負が決まってしまう。
本来なら斬る必要の無い相手なのだ。
家老を斬ってもいないのに、息子を斬ってさらに罪を重くするわけにはいかない。
するめはいい仕事をした。夜中に家老と話してからすぐにマロを探し始め、3日もしないうちに見つけ出したのだ。
マロは路銀を集めるために、執事と大道芸をしていた。パントマイムにマロの火の輪くぐり、上杉の風船を使った犬と猫作品は子どもたちに大人気だ。
特徴をあらかじめ聞いていたするめであったが、マロ姿が、ピエロを勘違いしてるのかと思ってはじめ気づかなかった。マロ仲間でマシュマロさんはいないかと聞いたら、まさか本人だとは!という展開だったという。
一方で、この場には勘十郎の妹カガリの姿もあった。
こちらはつばめが気づいた。
個人情報保護の観点から兄の名前を伏せていたが、細かい姿の描写が勘十郎と似ていることから、たまたまマロが来る日に居合わせることができた。
今は兄とマロの対峙を固唾を飲んで見守っている。
この場には三姉妹と女将も居る。どうにも話し合いで解決できそうにないようで匙を投げた。
なんだかんだ、マロは本気で勘十郎を倒すつもりでいるのだ。
「すまんのう、勘十郎。やはり斬られてくれ」
「いやですって。なんとか真犯人を探すって話だったじゃないですか。」
「そんな暇なくない?もう息子、刀構えちゃってるよ?」
コソコソやりとりする一人と老幽霊。
「いくでおじゃああああああ!」
大きく振りかぶって、マロ、突撃!ぽよんぽよん!
軽く避ける勘十郎。スカッ
ぽよんぽよん!スカッ!ぽよんぽよん!スカッ
いつ果てるとも知れない追いかけっこがはじまった!
ぽよんぽよん!スカッ!ぽよんぽよん!スカッ
「いい加減にしろー!!」
ズバア!!!
激しい血しぶきをあげて倒れるマロ。
斬ったのは、上杉下過だった。
「いつまで遊んでるんだ!見ていられるか!」
確かに一同、見ていられるものではなかったが、何も斬ることはあるまい。
「やっていられるか!父親同様、あの世に送ってくれるわ!」
「!家老を斬ったのは貴方だったんですか!?」
「ええい!斬ってしまったからには教えてやろう!」
実に素直である。
あの夜、暗くなった瞬間、家老を斬ったのは上杉であった。
「家老を斬ったのはな、親の仇だからだよ!」
この物語、親がいないヤツばっかりだ!
「勘十郎。お前の両親も事故に見せかけて殺した。」
「何…」
「目ざわりだった。私が昔、家老を斬ろうとするのを邪魔したからな。まさか息子のお前が家老を斬るチャンスをくれるとはな。ありがとうよ。」
勘十郎の手に力が入る。
親の仇がここにいるのだ。スーっと息を吐くと、上杉まで一気に肉薄し、一閃した。
ドスッ
鈍い音がして、上杉が倒れる。
血は出ていない。どうやら峰打ちしたようだった
「敵討ちの連鎖はここで止めます。誰も浮かばれませんから。」
倒れた上杉を縛り上げる勘十郎。
「うう、、痛いでおじゃるぅ」
生きていたマロ。すぐに救急車を。
上杉を引き渡すために警察を。
勘十郎のミッション
×武田のご子息から逃げきること
〇家老を斬った真犯人を見つけること
次でエピローグです。お付き合いいただきありがとうございました。
勘十郎と相対するマロが慣れないながらも刀を構える。
勘十郎が本気を出さなくても勝てる相手だ。
だが、動けないでいる。動けば勝負が決まってしまう。
本来なら斬る必要の無い相手なのだ。
家老を斬ってもいないのに、息子を斬ってさらに罪を重くするわけにはいかない。
するめはいい仕事をした。夜中に家老と話してからすぐにマロを探し始め、3日もしないうちに見つけ出したのだ。
マロは路銀を集めるために、執事と大道芸をしていた。パントマイムにマロの火の輪くぐり、上杉の風船を使った犬と猫作品は子どもたちに大人気だ。
特徴をあらかじめ聞いていたするめであったが、マロ姿が、ピエロを勘違いしてるのかと思ってはじめ気づかなかった。マロ仲間でマシュマロさんはいないかと聞いたら、まさか本人だとは!という展開だったという。
一方で、この場には勘十郎の妹カガリの姿もあった。
こちらはつばめが気づいた。
個人情報保護の観点から兄の名前を伏せていたが、細かい姿の描写が勘十郎と似ていることから、たまたまマロが来る日に居合わせることができた。
今は兄とマロの対峙を固唾を飲んで見守っている。
この場には三姉妹と女将も居る。どうにも話し合いで解決できそうにないようで匙を投げた。
なんだかんだ、マロは本気で勘十郎を倒すつもりでいるのだ。
「すまんのう、勘十郎。やはり斬られてくれ」
「いやですって。なんとか真犯人を探すって話だったじゃないですか。」
「そんな暇なくない?もう息子、刀構えちゃってるよ?」
コソコソやりとりする一人と老幽霊。
「いくでおじゃああああああ!」
大きく振りかぶって、マロ、突撃!ぽよんぽよん!
軽く避ける勘十郎。スカッ
ぽよんぽよん!スカッ!ぽよんぽよん!スカッ
いつ果てるとも知れない追いかけっこがはじまった!
ぽよんぽよん!スカッ!ぽよんぽよん!スカッ
「いい加減にしろー!!」
ズバア!!!
激しい血しぶきをあげて倒れるマロ。
斬ったのは、上杉下過だった。
「いつまで遊んでるんだ!見ていられるか!」
確かに一同、見ていられるものではなかったが、何も斬ることはあるまい。
「やっていられるか!父親同様、あの世に送ってくれるわ!」
「!家老を斬ったのは貴方だったんですか!?」
「ええい!斬ってしまったからには教えてやろう!」
実に素直である。
あの夜、暗くなった瞬間、家老を斬ったのは上杉であった。
「家老を斬ったのはな、親の仇だからだよ!」
この物語、親がいないヤツばっかりだ!
「勘十郎。お前の両親も事故に見せかけて殺した。」
「何…」
「目ざわりだった。私が昔、家老を斬ろうとするのを邪魔したからな。まさか息子のお前が家老を斬るチャンスをくれるとはな。ありがとうよ。」
勘十郎の手に力が入る。
親の仇がここにいるのだ。スーっと息を吐くと、上杉まで一気に肉薄し、一閃した。
ドスッ
鈍い音がして、上杉が倒れる。
血は出ていない。どうやら峰打ちしたようだった
「敵討ちの連鎖はここで止めます。誰も浮かばれませんから。」
倒れた上杉を縛り上げる勘十郎。
「うう、、痛いでおじゃるぅ」
生きていたマロ。すぐに救急車を。
上杉を引き渡すために警察を。
勘十郎のミッション
×武田のご子息から逃げきること
〇家老を斬った真犯人を見つけること
次でエピローグです。お付き合いいただきありがとうございました。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる