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第17-3 転生王子は静観することにしました。
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ピンクのフワフワした髪、紫の瞳。
ヒロインは少し幼ない感じのする可愛らしい子だ。
挿絵からこんな容姿だったような記憶がある。
ラティディアの華麗さとは異なり守ってあげたくなるよう可憐な感じだ。
子爵が、メイドに生ませた子供。
メイドはあまりにも繊細な人だったらしくて
正妻のいじめに耐えられなくなり行方をくらましたと聞いている。
ようやく探し当てた時、母親は亡くなっていた。
娘は街の富豪で召使いとして働いていた。
子爵と正妻の間には残念ながら子供はいなかった。
是が非でも血の繋がる子供が欲しかったようだ。
そんな彼女は当然のようにエディシスフォードに近づいた。
まあ小説だからね。
そういう風に動くようになっているんだろう。
恐るべし小説の力。
たまにしか学園に来ないエディシスフォードのクラスの前で毎日待つとか度胸ありすぎ。学年違うのに・・・。
他にも俺、騎士団団長の息子とか、魔術団団長の息子、公爵の息子にもニコニコ笑いかけていた。
身分が高くて肩書があればだれでもいいのか?
あの小説にこんなヒロインのビッチな設定書いてあったか?
裏設定か?まあ、あくまで小説だ。
一週間ぶりに学園にいったら案の上ヒロインが寄ってきた。
なんだかラティディアに虐められてると泣き始める。
...涙は出ていない。
もう鬱陶しいなと思いながら適当にあしらっていた。
その日の最終の授業はいろいろな課題の中から自分の興味のあるものを選び、同じ課題を選んだもの同士がグループとなり討論するという内容だった。
ラティディアとダリアは同じグループになって話を進めていた。
ただ、そのグループは割と難しい課題だった。
「ダリア様、申し訳ありませんがあなたでは話になりません。他に回ってください。あ、あそこのグループはいかがでしょうか?」
ここぞとばかりに強い口調でヒロインに注意をしていた。
美月さん・・・名演技だよ
結構板についてきたと思う。
何やらヒロインは
「ラティディア様は私が嫌いなんです。私がいると嫌なんです。」
とか、同情を買おうと泣きまねをしていた。
彼女の優しさがわからないかな。
その課題は君には重すぎるんだよ。
だからラティディアは君の能力に合った課題の方に回してくれているんだ。
ヒロインは割と使えない。何であんな奴がクラスの3位なんだ。
先生にも色目使っているのか?
どうみても何もわかっていないちゃらんぽらんな頭しかないだろう。
マイナス掛けるマイナスがなんでプラスになるの?ってくらいの感じだ。
いや、この学園自体単なる交友のためにしか通っていない奴らばかりだからみんな変わらないか・・・。
周りはラティディアの能力には気づかない。
難しいこと言い過ぎてみんなチンプンカンプンなんだよ。
同じ3番でもこっちは下から数えてだから
ラティディア様は訳のわからないことをいう人って思われているようだ。
思い込みってすごいよね。
ほらダリアがいなくなってラティディアは楽しそうにサクサクとレポートを仕上げていく。
仕方ないな。
「ラティディア嬢、俺もこっちに来ていい?」
少し嫌そうな顔をした。
まあ第二王子なんてあまり関わりたくないよね。
しかし
「この部分なんだけど少し変えた方がよくないか?」
「あ、そうですね。」
「それとここはもっと効率よくできるようにならないかな?」
「ああ、そういえば。だったらこの計算式を使ってはじき出せばいけないでしょうか?今やってみますからお待ちください。」
「やり直すなら、ん・・」
「ではこの部分を変えてからにしましょうか?」
「ああ、いい案だ。」
このクラス内でこの会話についていける奴はいないね。
美月さんは割と博学だ。
一見おっとりしていたが頭はかなり良かった。
とにかく頭の回転速度が速い。
すぐに理解するし、そこから他の考え方に展開できた。
ただ本がものすごく好きだから司書の仕事に就いていたんだ。
結局このグループはラティディアと俺の二人だけで話をしてレポートをまとめていた。
レポート提出時にはみんなが俺のおかげだと称賛した。
誰もラティディアの功績なんて見ていない。
本当にこの学園大丈夫か・・・。
ダリアも分かってないな。
また俺に泣きついてきた。
「ラティディア様が私に意地悪な事ばかり言うです。
ジェイデン殿下、私もうどうしたらいいか・・・。」
どっちが悪役令嬢なんだか。
「俺はそうは見えないけどね。」
と答えると、突然怒り出した。
俺が自分に靡かない、自分に同情しないからだろう。
そんなに自分に自信があるのか?
固定概念があったのかもしれないが全く愛情はわかなかった。
しかしエディシスフォードは素直すぎた。
「エディシスフォード殿下はいつも大変なのにラティディア様は厳しすぎます。仕事ばかりでお疲れなのに…。私だったらあなたに休んでもらいたいです。仕事なんかほっといて私とお話しましょう。」
そんなヒロインの見せけの優しさにコロッと行く。
何度も言うがこの国大丈夫か。
確かに父親である国王陛下の体調がこの頃少し悪い。
このため王太子であるエディシスフォードに期待、責任というものがのしかかるのはわかる。
でも逃げてどうするんだ。
こんな素直すぎる第一王子と計算高いヒロイン。
やはり小説の裏設定なのか?
おかげでラティディアは何もしていないのに勝手に悪役令嬢になってしまっている。
「もう少し優先順位を考えて下さい。」
美月さん…ラティディアはそう言ってるだけなんだけどな。
それに頭が飽和状態になって仕事をしないで逃げ出しているエディシスフォードが悪いんだよ。
この先本当に仕事のできない男なんて舐められるか、廃位に追い込まれるだけだよ。
おかげでジェイを王太子にっていう声まで上がっている。
『勘弁してくれよ。ガラじゃないんだよな。』
ジェイは頭を抱える。
『翔!早く逃げよう。お前分かってるんだろう?』
『お前も王子なんだから少しは国のこと考えないのか?』
『は?だって俺がそんなこと考えたら王太子廃嫡に向けて旗を揚げたって思われて自分の身も危なくなるんだぞ!俺はそんなの嫌だ!』
『はあ・・めんどくせぇ世界だな。』
俺としては美月さんがそうして欲しいと言えば王太子でも構わない。
美月さんさえいれば俺は何だってできる。
『俺は嫌だからな!』
ジェイが叫ぶ。
美月さん・・・だから気づいてくれないかな?
俺は翔だよ。
そろそろ見守るのもかったるくなってきたな。
ヒロインは少し幼ない感じのする可愛らしい子だ。
挿絵からこんな容姿だったような記憶がある。
ラティディアの華麗さとは異なり守ってあげたくなるよう可憐な感じだ。
子爵が、メイドに生ませた子供。
メイドはあまりにも繊細な人だったらしくて
正妻のいじめに耐えられなくなり行方をくらましたと聞いている。
ようやく探し当てた時、母親は亡くなっていた。
娘は街の富豪で召使いとして働いていた。
子爵と正妻の間には残念ながら子供はいなかった。
是が非でも血の繋がる子供が欲しかったようだ。
そんな彼女は当然のようにエディシスフォードに近づいた。
まあ小説だからね。
そういう風に動くようになっているんだろう。
恐るべし小説の力。
たまにしか学園に来ないエディシスフォードのクラスの前で毎日待つとか度胸ありすぎ。学年違うのに・・・。
他にも俺、騎士団団長の息子とか、魔術団団長の息子、公爵の息子にもニコニコ笑いかけていた。
身分が高くて肩書があればだれでもいいのか?
あの小説にこんなヒロインのビッチな設定書いてあったか?
裏設定か?まあ、あくまで小説だ。
一週間ぶりに学園にいったら案の上ヒロインが寄ってきた。
なんだかラティディアに虐められてると泣き始める。
...涙は出ていない。
もう鬱陶しいなと思いながら適当にあしらっていた。
その日の最終の授業はいろいろな課題の中から自分の興味のあるものを選び、同じ課題を選んだもの同士がグループとなり討論するという内容だった。
ラティディアとダリアは同じグループになって話を進めていた。
ただ、そのグループは割と難しい課題だった。
「ダリア様、申し訳ありませんがあなたでは話になりません。他に回ってください。あ、あそこのグループはいかがでしょうか?」
ここぞとばかりに強い口調でヒロインに注意をしていた。
美月さん・・・名演技だよ
結構板についてきたと思う。
何やらヒロインは
「ラティディア様は私が嫌いなんです。私がいると嫌なんです。」
とか、同情を買おうと泣きまねをしていた。
彼女の優しさがわからないかな。
その課題は君には重すぎるんだよ。
だからラティディアは君の能力に合った課題の方に回してくれているんだ。
ヒロインは割と使えない。何であんな奴がクラスの3位なんだ。
先生にも色目使っているのか?
どうみても何もわかっていないちゃらんぽらんな頭しかないだろう。
マイナス掛けるマイナスがなんでプラスになるの?ってくらいの感じだ。
いや、この学園自体単なる交友のためにしか通っていない奴らばかりだからみんな変わらないか・・・。
周りはラティディアの能力には気づかない。
難しいこと言い過ぎてみんなチンプンカンプンなんだよ。
同じ3番でもこっちは下から数えてだから
ラティディア様は訳のわからないことをいう人って思われているようだ。
思い込みってすごいよね。
ほらダリアがいなくなってラティディアは楽しそうにサクサクとレポートを仕上げていく。
仕方ないな。
「ラティディア嬢、俺もこっちに来ていい?」
少し嫌そうな顔をした。
まあ第二王子なんてあまり関わりたくないよね。
しかし
「この部分なんだけど少し変えた方がよくないか?」
「あ、そうですね。」
「それとここはもっと効率よくできるようにならないかな?」
「ああ、そういえば。だったらこの計算式を使ってはじき出せばいけないでしょうか?今やってみますからお待ちください。」
「やり直すなら、ん・・」
「ではこの部分を変えてからにしましょうか?」
「ああ、いい案だ。」
このクラス内でこの会話についていける奴はいないね。
美月さんは割と博学だ。
一見おっとりしていたが頭はかなり良かった。
とにかく頭の回転速度が速い。
すぐに理解するし、そこから他の考え方に展開できた。
ただ本がものすごく好きだから司書の仕事に就いていたんだ。
結局このグループはラティディアと俺の二人だけで話をしてレポートをまとめていた。
レポート提出時にはみんなが俺のおかげだと称賛した。
誰もラティディアの功績なんて見ていない。
本当にこの学園大丈夫か・・・。
ダリアも分かってないな。
また俺に泣きついてきた。
「ラティディア様が私に意地悪な事ばかり言うです。
ジェイデン殿下、私もうどうしたらいいか・・・。」
どっちが悪役令嬢なんだか。
「俺はそうは見えないけどね。」
と答えると、突然怒り出した。
俺が自分に靡かない、自分に同情しないからだろう。
そんなに自分に自信があるのか?
固定概念があったのかもしれないが全く愛情はわかなかった。
しかしエディシスフォードは素直すぎた。
「エディシスフォード殿下はいつも大変なのにラティディア様は厳しすぎます。仕事ばかりでお疲れなのに…。私だったらあなたに休んでもらいたいです。仕事なんかほっといて私とお話しましょう。」
そんなヒロインの見せけの優しさにコロッと行く。
何度も言うがこの国大丈夫か。
確かに父親である国王陛下の体調がこの頃少し悪い。
このため王太子であるエディシスフォードに期待、責任というものがのしかかるのはわかる。
でも逃げてどうするんだ。
こんな素直すぎる第一王子と計算高いヒロイン。
やはり小説の裏設定なのか?
おかげでラティディアは何もしていないのに勝手に悪役令嬢になってしまっている。
「もう少し優先順位を考えて下さい。」
美月さん…ラティディアはそう言ってるだけなんだけどな。
それに頭が飽和状態になって仕事をしないで逃げ出しているエディシスフォードが悪いんだよ。
この先本当に仕事のできない男なんて舐められるか、廃位に追い込まれるだけだよ。
おかげでジェイを王太子にっていう声まで上がっている。
『勘弁してくれよ。ガラじゃないんだよな。』
ジェイは頭を抱える。
『翔!早く逃げよう。お前分かってるんだろう?』
『お前も王子なんだから少しは国のこと考えないのか?』
『は?だって俺がそんなこと考えたら王太子廃嫡に向けて旗を揚げたって思われて自分の身も危なくなるんだぞ!俺はそんなの嫌だ!』
『はあ・・めんどくせぇ世界だな。』
俺としては美月さんがそうして欲しいと言えば王太子でも構わない。
美月さんさえいれば俺は何だってできる。
『俺は嫌だからな!』
ジェイが叫ぶ。
美月さん・・・だから気づいてくれないかな?
俺は翔だよ。
そろそろ見守るのもかったるくなってきたな。
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