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第17話-1 転生王子は静観することにしました。
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銀色の髪をなびかせ水色の瞳を輝かせる。
白い肌。背が少し高いだろうか。
いや背筋をすっと伸ばしているからそう見えるのか。
誰もが将来を期待するような美しさ、気品を備えた子だった。
美月さんと容姿は全く似たところがない。
精錬された美しさがあった。
公爵令嬢という立場だからそれなりの気品は備えていなければならない。
でも、彼女は美月さんだ。
なぜかなんて聞かれても困る。
だって分かってしまうのだから。
彼女だから分かるんだ。
しかし彼女は俺をみても何も表情がかわらない。
ただ余所行き用の笑顔を顔に張り付けていた。
俺に気づかない?
俺が分からない?
もしかして前世の記憶は思い出していないのか?
庭園の椅子に座りみんなが揃うのを待っていた彼女の前にそっと飲み物を出した。
この世界の飲み物は基本野菜や果物の汁を水で溶いたものだ。
果実水みたいな感じで薄い。
前世コーラが好きだった俺としては味気なくて何とかジェイに話をして炭酸を作るよう試行錯誤していた。
その時に試作品はもうできあがっていた。
魔法の知識と化学の知識。
それが見事に掛け合わされる。
コーラとは少し見た目は違うが似たようなものが出来上がったが味は太鼓判を押せる。
少し前にエディシスフォードに出したら絶賛されていた。
だから他の人のリアクションも見たいと言ってラティディア嬢にも出してみた。
この世界にない飲み物。
普通の人は戸惑うだろう。
ためらうのか・・・?
そのまま気にしないで手に取り飲むのか・・・?
飲んだ後は…?
ラティディア嬢はコーラもどきを見て笑った。
フッと魔法で氷を出した。
コップを回した。
カラカラと氷が鳴った。するとシュワッと泡がたった。
彼女は楽しそうに中にある泡を見つめていた。
彼女の魔法は氷属性なのか?
ジェイは水属性だった。
しかし俺が中に入ってからは氷属性にバージョンアップしたらしい。
まあ前世の名前が氷結だからな。
彼女はグラスを手にもってクルクル回した。
その時に限り彼女は年相応な笑顔をした。
そして何のためらいもなくその飲み物を手にした。
「ん、やっぱり炭酸はおいしい。色は緑っぽいけど、味はそうね…ちゃんとコーラだわ。ふふっ」
と小声で言った。
俺は確信した。
彼女は前世を思い出している。
ちなみにその飲み物は後々この世界で割と出回るようになって人気の飲み物になった。
母上がきてみんなが揃ったところで彼女が紹介された。
「ラティディア=サーチェス=ストラヴィーです。」
彼女は少しぶっきらぼうに自分の名前を言った。
その自己紹介を聞きながら俺はある本を思い出していた。
この世界は美月さんが読んでいた小説。
キラキラ金髪王子様と可愛いヒロインのよくある話。
市民上がりの子爵令嬢が悪役令嬢に虐められながらも王太子に愛されて幸せになる物語。
たまたまリビングの机の上に置いてあった美月さんの読みかけの本。
彼女はこんな本を読むんだと思いながらぺらぺらと見たことがあった。
詳しい内容なんて覚えていない。
ただ悪役令嬢が最後に幸せになるなんて変わった小説だと思った。
その小説の題名は忘れたが悪役令嬢の名はラティディア。
銀の髪、水色の瞳、細身の体。
今目の前にいるラティディアはあの小説の悪役令嬢。
挿絵の絵にそっくりだ。
第一王子、エディシスフォードの婚約者となるがヒロインに奪われた上、公爵家が国王陛下の殺害未遂に手を貸したとかで罪に問われ隣国に逃げるあのラティディアだ。
しかしラティディアは隣国に逃げた後は確か騎士上がりの辺境伯に見初められて幸せになるんだ。
そして俺は第二王子…。ヒロインに恋心を抱いて結局振られる。で…最後は王太子とヒロインの恋を祝福しました。
って感じだったか?
でもラティディアが悪役令嬢・・・?
美月さんがラティディア?
つまり悪役令嬢が美月さんってことなのか。
美月さんはここが小説の世界だとを知っている?
もし美月さんが知っていたとしたらどう行動する?
そう思ってそのお茶を飲んでいる間ずっと彼女を観察していた。
ちなにみ隣に座っている第一王子のエディシスフォードはニコニコ笑っている。
そんな嬉しそうな第一王子とは裏腹に目の前の美月さんは塩対応だった。
ここがあの小説の世界なのに気づいているようだ。
そして自分が悪役令嬢であることも。
エディシスフォードや俺と距離を取ろうとしている。
少しわがままなことも口にしている。
口調がキツい。
何だかエディシスフォードに嫌われようとしている。
普通捨てられるのがわかっているなら
第一王子、第二王子を好きになることはしないな。
美月さんは悪役令嬢になって婚約破棄された後、隣国の辺境伯とのハッピーエンドを目指すのか?
それとも普通に小説とは関係なく生きていくのか?
美月さんの性格なら多分前者を選ぶだろう。
幸せになるならその道で悪くはない。って考えるよな。
『なあなあ、美月さんってお前の好きな人がラティディア嬢なのか?って』
『はぁ…』
そう言えば状況のわからない奴がいたな。
説明しないといけない。面倒だな。
『あー!今面倒って言ったろ!』
『思っただけだろ!後で説明するから!』
何とかお茶会も終わり部屋に戻った。
ベッドにポスンと倒れ込んだ。
彼女はやはり俺が思っていた方を選ぶようだ。
お茶会の間、前世とは似ても似つかない態度に笑ってしまった。
婚約破棄!来るならこい!って感じだ。
かなり無理してないか?
どっちかというとおっとりしたタイプだったのに悪役令嬢なんてできないだろう。
しかし美月さんは頑張っていたな。
ああ、一人訳のわかってない奴がいたな。
『おい!忘れるな!』
『ごめん、ごめん。俺もびっくりしたんだよ。
前に乙女ゲームとか攻略対象とかの話しはしただろ?』
ジェイに俺が覚えている限りの知識を与えた。
『は?悪役令嬢?」
『彼女は第一王子と婚約破棄したいんだよ。だからあんな態度をとるんだよ。』
ジェイが驚いている。
『だって兄上は彼女が初恋なんだよ!』
『だってこの後女主人公女主人公が現れるんだ。』
『女主人公?』
『女主人公が現れると第一王子とお前の気持ちはそっちにいってしまうんだ。』
『って、俺も?』
『そうそう。』
『ないないないない!だって俺はふられるんだろう?ふられるってわかっていて好きになれるか。』
『美月さんも同じ考えなんだよ。』
『だったらもう彼女に話そう!』
「無理だよ。俺だって考えたさ。でも…』
名乗り出ようかとも思った。
しかし残念ながら第二王子の俺が出るわけにはいかない。
今だって何故かジェイを王太子にと持ち上げるやつらがいる。
第二王子の俺が第一王子の婚約者に近づけば穏やかであるはずがない。
王太子の椅子取り合戦が始まってしまう。
別に王太子なんてがらじゃない。
ジェイもそうだと頷いている。
『王太子はぜひ兄上にお願いしたい。』
それなら彼女が隣国に逃げてから考えるか。
第一王子に婚約破棄された令嬢を俺がかっさらっても誰も文句は言わないよな。
だからあくまで近くなくそれでいて遠くなく婚約者の弟として彼女の成り行きを見守ることにしよう。
父さんはいない。邪魔者はいない。
前世で言えなかった思い。
成し遂げられなかった思いをなんとかこの世界で手にいれれるかもしれない。
本では第二王子もヒロインを好きになるが
兄弟で二股をかけられた上に捨てられるなんてまっぴらごめんだとジェイは拒否しているのでその点は大丈夫みたいだ。
ジェイのプライドが許さないらしい。
まだ出会うのは先だ。筋書き通りにいかなくても知ったことではない。
だって好きでないものを好きとは言えない。
俺の好きなのは美月さんなんだから。
白い肌。背が少し高いだろうか。
いや背筋をすっと伸ばしているからそう見えるのか。
誰もが将来を期待するような美しさ、気品を備えた子だった。
美月さんと容姿は全く似たところがない。
精錬された美しさがあった。
公爵令嬢という立場だからそれなりの気品は備えていなければならない。
でも、彼女は美月さんだ。
なぜかなんて聞かれても困る。
だって分かってしまうのだから。
彼女だから分かるんだ。
しかし彼女は俺をみても何も表情がかわらない。
ただ余所行き用の笑顔を顔に張り付けていた。
俺に気づかない?
俺が分からない?
もしかして前世の記憶は思い出していないのか?
庭園の椅子に座りみんなが揃うのを待っていた彼女の前にそっと飲み物を出した。
この世界の飲み物は基本野菜や果物の汁を水で溶いたものだ。
果実水みたいな感じで薄い。
前世コーラが好きだった俺としては味気なくて何とかジェイに話をして炭酸を作るよう試行錯誤していた。
その時に試作品はもうできあがっていた。
魔法の知識と化学の知識。
それが見事に掛け合わされる。
コーラとは少し見た目は違うが似たようなものが出来上がったが味は太鼓判を押せる。
少し前にエディシスフォードに出したら絶賛されていた。
だから他の人のリアクションも見たいと言ってラティディア嬢にも出してみた。
この世界にない飲み物。
普通の人は戸惑うだろう。
ためらうのか・・・?
そのまま気にしないで手に取り飲むのか・・・?
飲んだ後は…?
ラティディア嬢はコーラもどきを見て笑った。
フッと魔法で氷を出した。
コップを回した。
カラカラと氷が鳴った。するとシュワッと泡がたった。
彼女は楽しそうに中にある泡を見つめていた。
彼女の魔法は氷属性なのか?
ジェイは水属性だった。
しかし俺が中に入ってからは氷属性にバージョンアップしたらしい。
まあ前世の名前が氷結だからな。
彼女はグラスを手にもってクルクル回した。
その時に限り彼女は年相応な笑顔をした。
そして何のためらいもなくその飲み物を手にした。
「ん、やっぱり炭酸はおいしい。色は緑っぽいけど、味はそうね…ちゃんとコーラだわ。ふふっ」
と小声で言った。
俺は確信した。
彼女は前世を思い出している。
ちなみにその飲み物は後々この世界で割と出回るようになって人気の飲み物になった。
母上がきてみんなが揃ったところで彼女が紹介された。
「ラティディア=サーチェス=ストラヴィーです。」
彼女は少しぶっきらぼうに自分の名前を言った。
その自己紹介を聞きながら俺はある本を思い出していた。
この世界は美月さんが読んでいた小説。
キラキラ金髪王子様と可愛いヒロインのよくある話。
市民上がりの子爵令嬢が悪役令嬢に虐められながらも王太子に愛されて幸せになる物語。
たまたまリビングの机の上に置いてあった美月さんの読みかけの本。
彼女はこんな本を読むんだと思いながらぺらぺらと見たことがあった。
詳しい内容なんて覚えていない。
ただ悪役令嬢が最後に幸せになるなんて変わった小説だと思った。
その小説の題名は忘れたが悪役令嬢の名はラティディア。
銀の髪、水色の瞳、細身の体。
今目の前にいるラティディアはあの小説の悪役令嬢。
挿絵の絵にそっくりだ。
第一王子、エディシスフォードの婚約者となるがヒロインに奪われた上、公爵家が国王陛下の殺害未遂に手を貸したとかで罪に問われ隣国に逃げるあのラティディアだ。
しかしラティディアは隣国に逃げた後は確か騎士上がりの辺境伯に見初められて幸せになるんだ。
そして俺は第二王子…。ヒロインに恋心を抱いて結局振られる。で…最後は王太子とヒロインの恋を祝福しました。
って感じだったか?
でもラティディアが悪役令嬢・・・?
美月さんがラティディア?
つまり悪役令嬢が美月さんってことなのか。
美月さんはここが小説の世界だとを知っている?
もし美月さんが知っていたとしたらどう行動する?
そう思ってそのお茶を飲んでいる間ずっと彼女を観察していた。
ちなにみ隣に座っている第一王子のエディシスフォードはニコニコ笑っている。
そんな嬉しそうな第一王子とは裏腹に目の前の美月さんは塩対応だった。
ここがあの小説の世界なのに気づいているようだ。
そして自分が悪役令嬢であることも。
エディシスフォードや俺と距離を取ろうとしている。
少しわがままなことも口にしている。
口調がキツい。
何だかエディシスフォードに嫌われようとしている。
普通捨てられるのがわかっているなら
第一王子、第二王子を好きになることはしないな。
美月さんは悪役令嬢になって婚約破棄された後、隣国の辺境伯とのハッピーエンドを目指すのか?
それとも普通に小説とは関係なく生きていくのか?
美月さんの性格なら多分前者を選ぶだろう。
幸せになるならその道で悪くはない。って考えるよな。
『なあなあ、美月さんってお前の好きな人がラティディア嬢なのか?って』
『はぁ…』
そう言えば状況のわからない奴がいたな。
説明しないといけない。面倒だな。
『あー!今面倒って言ったろ!』
『思っただけだろ!後で説明するから!』
何とかお茶会も終わり部屋に戻った。
ベッドにポスンと倒れ込んだ。
彼女はやはり俺が思っていた方を選ぶようだ。
お茶会の間、前世とは似ても似つかない態度に笑ってしまった。
婚約破棄!来るならこい!って感じだ。
かなり無理してないか?
どっちかというとおっとりしたタイプだったのに悪役令嬢なんてできないだろう。
しかし美月さんは頑張っていたな。
ああ、一人訳のわかってない奴がいたな。
『おい!忘れるな!』
『ごめん、ごめん。俺もびっくりしたんだよ。
前に乙女ゲームとか攻略対象とかの話しはしただろ?』
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『は?悪役令嬢?」
『彼女は第一王子と婚約破棄したいんだよ。だからあんな態度をとるんだよ。』
ジェイが驚いている。
『だって兄上は彼女が初恋なんだよ!』
『だってこの後女主人公女主人公が現れるんだ。』
『女主人公?』
『女主人公が現れると第一王子とお前の気持ちはそっちにいってしまうんだ。』
『って、俺も?』
『そうそう。』
『ないないないない!だって俺はふられるんだろう?ふられるってわかっていて好きになれるか。』
『美月さんも同じ考えなんだよ。』
『だったらもう彼女に話そう!』
「無理だよ。俺だって考えたさ。でも…』
名乗り出ようかとも思った。
しかし残念ながら第二王子の俺が出るわけにはいかない。
今だって何故かジェイを王太子にと持ち上げるやつらがいる。
第二王子の俺が第一王子の婚約者に近づけば穏やかであるはずがない。
王太子の椅子取り合戦が始まってしまう。
別に王太子なんてがらじゃない。
ジェイもそうだと頷いている。
『王太子はぜひ兄上にお願いしたい。』
それなら彼女が隣国に逃げてから考えるか。
第一王子に婚約破棄された令嬢を俺がかっさらっても誰も文句は言わないよな。
だからあくまで近くなくそれでいて遠くなく婚約者の弟として彼女の成り行きを見守ることにしよう。
父さんはいない。邪魔者はいない。
前世で言えなかった思い。
成し遂げられなかった思いをなんとかこの世界で手にいれれるかもしれない。
本では第二王子もヒロインを好きになるが
兄弟で二股をかけられた上に捨てられるなんてまっぴらごめんだとジェイは拒否しているのでその点は大丈夫みたいだ。
ジェイのプライドが許さないらしい。
まだ出会うのは先だ。筋書き通りにいかなくても知ったことではない。
だって好きでないものを好きとは言えない。
俺の好きなのは美月さんなんだから。
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