23 / 83
第7話ー4 悪役令嬢を包囲しよう。
しおりを挟む
私はハーデスの疑問に答えるように
ラティディアの事故前にあったダリアの行動に疑念を持つ出来事について話した。
事故がある四日前に図書館で彼女とダリアがちょうど図書委員の仕事をしているのを見た。
私はいつものようにラティディアがダリアをいじめているんだろうと思ったから声をかけようとした。しかしラティディアは一生懸命に本を整理していた。私は声をかけるのを戸惑ってしまった、
そしてかわいいおとぎ話の本の表紙をみて微笑んでいた。いつもきつい表情をしていた彼女とは違う。
なんだ?あれは誰だ?
あのラティディアが本に向かって可愛く微笑むはずがない。
ダリアはというと何もせずに鏡を取り出して自分の身だしなみを整えていた。
私は何か今まで大きな間違いを犯したように思えた。
見間違いだ。私は自分の首を横に振って考えを否定してから声をかけた。
その後ダリアは自分の方が仕事が多いと怒った。がどう見てもダリアに与えられた量の3倍の仕事を彼女は短い時間で完璧にこなしていた。
しかもダリアはラティディアにいじめられたという。
ラティディアはその言葉に対して肯定と受け取れる態度を示してさらにダリアの仕事までもこなしていた。
なぜいじめられていたという言葉を否定しないのだ。全然そんなことは言っていなかった。
仕事をしないダリアに仕事をするように言っていただけじゃないか。
ダリアも何を言っているだと思わずにはいられなかった。
そして事件の当日のダリアとラティアのやり取りに偶然出会した。
彼女は単にダリアのマナーを注意しただけだ。
それは当然のことだった。なぜそれが上から目線という発想になるのかわからない。
更に自分が王太子妃になったらなんて言っている。
王太子妃の立場を間違えている。
彼女には私には見せない裏の顔があるように感じた。
自分の執務室に戻り私は今までのことを考え直した。
私はラティディアが実際ダリアをいじめているとことを見たことがなかった。
だいたいダリアかその取り巻きから聞いていた。
もしかしていじめられていたのは単なる被害妄想だったり、ダリアが事を大きくしていっているだけではないのか・・・と。私はもう少し冷静に彼女たちを見るべきではなかったのか。
だからすぐにハーデスにダリアとラティディについて調べるように指示した。
もしかして私は大きな間違いをしていたんじゃないか…そんな事を考え込んでいたらハーデスが執務室のドアを勢いよく開けて叫んだ。
ラティディアがジェイデンが起こした爆発に巻き込まれたと…。
仕事が溜まっている上にダリアの事で苛立っていた私は
また面倒な事を起こしてと言う気持ちだった。
「私の思い通りの報告だよ。全くラティディアにやられたよ。ダリアについてはやはりかって感じだ。王太子という身分だけを見ていた。それが欲しかっただけだ。
あんな女の本性を見抜けずにうつつを抜かしてしまうくらい私は病みすぎてしまっていたのか…。
自分の立場を冷静に考えられなくなっていた。
すまない。
私は王太子だ。当然私と結婚すれば王太子妃となる
王太子妃となる者は当然それなりの能力が求められる。
ダリアでは無理だ。彼女にその地位を与えるわけにはいかない。」
「まあ、手遅れにならない段階で気づいてよかったよ。」
「ああ、私もそう思う。」
「しかしダリア様は置いておいて、ラティディア様の報告には私はかなり驚いたよ。」
「私はなんとなく感じてはいたよ。
記憶を失くした彼女は全く別人に感じていたからね。」
「しかしラティディア様も記憶喪失になる前は私的にはなかったかな。」
「おい、ラティディアを選んでもダリアを選んでも同じだったんじゃないか。」
「まあそういうことだ。ただ多少ラティディア様の方がましだと思っていただけだ。
あのケバケバしい服や化粧はなかったけど一応言っていることにはちゃんと筋は通っていたからね。もう何でお前のまわりにはロクな女がいないのかと同情してたよ。」
「そうだな…」
「しかしこの3週間はなんだ?
簡素な服をきて、化粧はほぼしない。図書館で一生懸命に本を読む。
笑い方も柔らかくて、明るくて、きちんと人のことを考えて発言ができる。誰だ?これは?って感じだ。」
「彼女は名役者だったってことみたいだ。
おまえだけじゃない私もまわりのみんなも騙されてよ。記憶をなくす前の彼女は褒められたものじゃなかったからな。」
「今の彼女なら王太子妃としてうまくやっていけるんじゃないか?俺は少し考えを変えたよ。ラティディア様なら賛成だ。」
「ありがとう。私もそのつもりだ。」
しかし問題は解決していない。
何でラティディアは悪役を演じて婚約破棄をしたかった?
今となっては記憶喪失でその原因を忘れてしまったのは神に感謝するしかない。
しかしこれがわからない内は危険だ。
記憶が戻れば彼女は…。
私が嫌いだったのか?
将来を約束してる奴がいるのか?
他に何かあるのか?
失われた五年間の彼女のみが知っているのか…。
次の日もその次の日もラティディアに仕事を手伝ってもらった。
机には書類がない。
なんてすがすがしいんだ。
「ラティディアのおかげで今日も早く終わったよ。」
「で、わかっただろう?5枚目の報告。」
「十分すぎるほどわかったよ。」
「俺も少し試してみたかったんだ。多分今のラティディア様がお前のこの書類の山をみたらきっと手伝うだろうと思っていたからね。」
「ハーデスに行動を予測されるなんて・・・。」
今日のラティディアも見事だった。
こんなに処理能力が高いとは思わなかった。
「このまま記憶が戻らないことを祈るよ。私が楽できそうだ。毎日何も書類の無い机を見られると思うとうれしいよ。」
「だから私だって頑張っているんだ。少しは褒めろよ。」
「俺はこのまま外堀埋めていって欲しいよ。今のラティディア様なら私は大歓迎だ。お前だって両手を挙げて喜べるだろ?」
「ただ・・・とにかく原因を見つけないと。」
「ラティディア嬢が婚約破棄したい理由か・・。」
「ああ。」
「まあお前と婚約を破棄したい理由なんてごまんとあるぞ。
情けない王太子に嫌気がさしたんだろう。」
「待て、少しはまじめに考えろよ。」
「王太子妃になりたくなかった。何かやりたいことがあった?
…やはり好きな人がいた・・・。」
「やはりお前もそう思うか・・・。」
少し心当たりがあった。
彼女は事件の前、ダリアと話をしたあと一人泣いていたように見えた。
何かを手に握っていた。ペンダント?
「あなた達に会いたい・・・」
そう言っていた。
ん?あなた達?二人もいるのか?
どっちかがペンダントを贈ったやつかなのか?
まさかジェイデンじゃないだろうな。
「エディシス?」
「ちょっと思い出してね。多分彼女には好きな人がいたんだ。だから私と婚約を破棄したかった。そう考えるのが普通か。一体誰なんだ・・・。学園のやつか?修道院に出入りしていた時にあったやつか?」
「まあそういうことなら記憶をなくしている今がチャンスじゃないか。さっきも言ったろ。外堀埋めちまえよ。とっとと結婚してしまえよ。」
「しかし結婚なんて王太子にもなると明日しますじゃ無理。1年はかかる。その間に記憶が戻ったり、相手の男が現れたりしたら・・・」
「そうだな、記憶が戻る前しかないだろう。何とか結婚を早めらないかな。記憶喪失って厄介だな。いつ戻るかわからない。」
「記憶が戻るのが明日か、一か月後か、1年、10年後か・・・。」
「まあとっとと既成事実でもつくるだわな。」
「既成事実って!!」
「わかってるだろう?」
「何を…と、突然?はぁ?」
「お前は王太子なんだ。子供作ってしまえば絶対に逃げられない。」
「話が飛びすぎだろう。」
「あ~。真っ赤になって意外とエディシスフォード殿下って純情なんですね~って。言うか!
お前がその気なら逃げられちまう前に動けよな。あまり時間はないかもしれない。ラティディア様の記憶が戻るまでだ。」
…しかしハーデスと同じ考えを持ってしまう自分がいた。
確かに今までの彼女を見ている限り彼女の性格からその作戦は効くだろう。
しかしそれしかないのか・・・。やはりラティアも私を好きになってもらいたい。
そう思うのはエゴなのか。
ラティディアの事故前にあったダリアの行動に疑念を持つ出来事について話した。
事故がある四日前に図書館で彼女とダリアがちょうど図書委員の仕事をしているのを見た。
私はいつものようにラティディアがダリアをいじめているんだろうと思ったから声をかけようとした。しかしラティディアは一生懸命に本を整理していた。私は声をかけるのを戸惑ってしまった、
そしてかわいいおとぎ話の本の表紙をみて微笑んでいた。いつもきつい表情をしていた彼女とは違う。
なんだ?あれは誰だ?
あのラティディアが本に向かって可愛く微笑むはずがない。
ダリアはというと何もせずに鏡を取り出して自分の身だしなみを整えていた。
私は何か今まで大きな間違いを犯したように思えた。
見間違いだ。私は自分の首を横に振って考えを否定してから声をかけた。
その後ダリアは自分の方が仕事が多いと怒った。がどう見てもダリアに与えられた量の3倍の仕事を彼女は短い時間で完璧にこなしていた。
しかもダリアはラティディアにいじめられたという。
ラティディアはその言葉に対して肯定と受け取れる態度を示してさらにダリアの仕事までもこなしていた。
なぜいじめられていたという言葉を否定しないのだ。全然そんなことは言っていなかった。
仕事をしないダリアに仕事をするように言っていただけじゃないか。
ダリアも何を言っているだと思わずにはいられなかった。
そして事件の当日のダリアとラティアのやり取りに偶然出会した。
彼女は単にダリアのマナーを注意しただけだ。
それは当然のことだった。なぜそれが上から目線という発想になるのかわからない。
更に自分が王太子妃になったらなんて言っている。
王太子妃の立場を間違えている。
彼女には私には見せない裏の顔があるように感じた。
自分の執務室に戻り私は今までのことを考え直した。
私はラティディアが実際ダリアをいじめているとことを見たことがなかった。
だいたいダリアかその取り巻きから聞いていた。
もしかしていじめられていたのは単なる被害妄想だったり、ダリアが事を大きくしていっているだけではないのか・・・と。私はもう少し冷静に彼女たちを見るべきではなかったのか。
だからすぐにハーデスにダリアとラティディについて調べるように指示した。
もしかして私は大きな間違いをしていたんじゃないか…そんな事を考え込んでいたらハーデスが執務室のドアを勢いよく開けて叫んだ。
ラティディアがジェイデンが起こした爆発に巻き込まれたと…。
仕事が溜まっている上にダリアの事で苛立っていた私は
また面倒な事を起こしてと言う気持ちだった。
「私の思い通りの報告だよ。全くラティディアにやられたよ。ダリアについてはやはりかって感じだ。王太子という身分だけを見ていた。それが欲しかっただけだ。
あんな女の本性を見抜けずにうつつを抜かしてしまうくらい私は病みすぎてしまっていたのか…。
自分の立場を冷静に考えられなくなっていた。
すまない。
私は王太子だ。当然私と結婚すれば王太子妃となる
王太子妃となる者は当然それなりの能力が求められる。
ダリアでは無理だ。彼女にその地位を与えるわけにはいかない。」
「まあ、手遅れにならない段階で気づいてよかったよ。」
「ああ、私もそう思う。」
「しかしダリア様は置いておいて、ラティディア様の報告には私はかなり驚いたよ。」
「私はなんとなく感じてはいたよ。
記憶を失くした彼女は全く別人に感じていたからね。」
「しかしラティディア様も記憶喪失になる前は私的にはなかったかな。」
「おい、ラティディアを選んでもダリアを選んでも同じだったんじゃないか。」
「まあそういうことだ。ただ多少ラティディア様の方がましだと思っていただけだ。
あのケバケバしい服や化粧はなかったけど一応言っていることにはちゃんと筋は通っていたからね。もう何でお前のまわりにはロクな女がいないのかと同情してたよ。」
「そうだな…」
「しかしこの3週間はなんだ?
簡素な服をきて、化粧はほぼしない。図書館で一生懸命に本を読む。
笑い方も柔らかくて、明るくて、きちんと人のことを考えて発言ができる。誰だ?これは?って感じだ。」
「彼女は名役者だったってことみたいだ。
おまえだけじゃない私もまわりのみんなも騙されてよ。記憶をなくす前の彼女は褒められたものじゃなかったからな。」
「今の彼女なら王太子妃としてうまくやっていけるんじゃないか?俺は少し考えを変えたよ。ラティディア様なら賛成だ。」
「ありがとう。私もそのつもりだ。」
しかし問題は解決していない。
何でラティディアは悪役を演じて婚約破棄をしたかった?
今となっては記憶喪失でその原因を忘れてしまったのは神に感謝するしかない。
しかしこれがわからない内は危険だ。
記憶が戻れば彼女は…。
私が嫌いだったのか?
将来を約束してる奴がいるのか?
他に何かあるのか?
失われた五年間の彼女のみが知っているのか…。
次の日もその次の日もラティディアに仕事を手伝ってもらった。
机には書類がない。
なんてすがすがしいんだ。
「ラティディアのおかげで今日も早く終わったよ。」
「で、わかっただろう?5枚目の報告。」
「十分すぎるほどわかったよ。」
「俺も少し試してみたかったんだ。多分今のラティディア様がお前のこの書類の山をみたらきっと手伝うだろうと思っていたからね。」
「ハーデスに行動を予測されるなんて・・・。」
今日のラティディアも見事だった。
こんなに処理能力が高いとは思わなかった。
「このまま記憶が戻らないことを祈るよ。私が楽できそうだ。毎日何も書類の無い机を見られると思うとうれしいよ。」
「だから私だって頑張っているんだ。少しは褒めろよ。」
「俺はこのまま外堀埋めていって欲しいよ。今のラティディア様なら私は大歓迎だ。お前だって両手を挙げて喜べるだろ?」
「ただ・・・とにかく原因を見つけないと。」
「ラティディア嬢が婚約破棄したい理由か・・。」
「ああ。」
「まあお前と婚約を破棄したい理由なんてごまんとあるぞ。
情けない王太子に嫌気がさしたんだろう。」
「待て、少しはまじめに考えろよ。」
「王太子妃になりたくなかった。何かやりたいことがあった?
…やはり好きな人がいた・・・。」
「やはりお前もそう思うか・・・。」
少し心当たりがあった。
彼女は事件の前、ダリアと話をしたあと一人泣いていたように見えた。
何かを手に握っていた。ペンダント?
「あなた達に会いたい・・・」
そう言っていた。
ん?あなた達?二人もいるのか?
どっちかがペンダントを贈ったやつかなのか?
まさかジェイデンじゃないだろうな。
「エディシス?」
「ちょっと思い出してね。多分彼女には好きな人がいたんだ。だから私と婚約を破棄したかった。そう考えるのが普通か。一体誰なんだ・・・。学園のやつか?修道院に出入りしていた時にあったやつか?」
「まあそういうことなら記憶をなくしている今がチャンスじゃないか。さっきも言ったろ。外堀埋めちまえよ。とっとと結婚してしまえよ。」
「しかし結婚なんて王太子にもなると明日しますじゃ無理。1年はかかる。その間に記憶が戻ったり、相手の男が現れたりしたら・・・」
「そうだな、記憶が戻る前しかないだろう。何とか結婚を早めらないかな。記憶喪失って厄介だな。いつ戻るかわからない。」
「記憶が戻るのが明日か、一か月後か、1年、10年後か・・・。」
「まあとっとと既成事実でもつくるだわな。」
「既成事実って!!」
「わかってるだろう?」
「何を…と、突然?はぁ?」
「お前は王太子なんだ。子供作ってしまえば絶対に逃げられない。」
「話が飛びすぎだろう。」
「あ~。真っ赤になって意外とエディシスフォード殿下って純情なんですね~って。言うか!
お前がその気なら逃げられちまう前に動けよな。あまり時間はないかもしれない。ラティディア様の記憶が戻るまでだ。」
…しかしハーデスと同じ考えを持ってしまう自分がいた。
確かに今までの彼女を見ている限り彼女の性格からその作戦は効くだろう。
しかしそれしかないのか・・・。やはりラティアも私を好きになってもらいたい。
そう思うのはエゴなのか。
0
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説
危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる