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第6話-1 女主人公《ヒロイン》に会いました。
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記憶を失くしたあの事故から早いものです10日ほど経っていた。
今日も私はジェイデン様のところに来ていた。皆勤賞だ。
しかし一生懸命に本を読んで考え込んでいたジェイデン様を見ながら私はウトウトとしてしまったらしい。
机に伏して寝ていたようで起きると白衣がかけられていた。
ジェイデン様は薬草をつぶして混ぜ合わせていた。
こうやって没頭していると何も見えなくなるのよね。
綺麗な手。指が長くて…男のくせにしなやかだ。
ふふふっ。懐かしい。
ん?私はこの風景をみていたことがあるの?
「あ、ラティ?起きたの?」
「あ、すみません。私寝てしまいました。」
「このところいろいろあったからね。疲れているんだろう。しかし結構寝てたな。」
「すみません。」
午前中は図書館。午後からはハーデス様と勉強、マナー、ダンス。
それが終わればジェイデン様のところで本を読んでいるか魔法を教えてもらっていた。
「いいけど寝言言ってたよ。いい夢でもみてた。」
「え!」
確かに見ていたかも・・・。
「どうせラティのことだから夢の中でもケーキでも食べていたんだろう」
・・当たりです。
「そ、そんなわけありません!」
「よだれの跡がある顔でいわれても説得力ないな。」
慌てて口の周りを手で拭いた。
ジェイデン殿下には大声で笑われた。
本当に気をつかわなくていい相手だ。
記憶が無くなってからかなり彼には助けられた。
記憶がなくても何とかやっていけると思えるのも彼の存在が大きい。
エディシスフォード殿下はその逆だ。
彼と接していると記憶がなくなった前の私がすごく気になる。
私は彼に嫌われていた。それは紛れもない事実のようだ。
だからこそ不安になる。
結局カーラさんに聞けないでいた。
婚約破棄したかったのは私・・そのために演技をしていた。
もしかして知らない方がいいのではないか・・・。
理由を知ってしまったらまた同じように演技をしなくてはいけないのではないか。
そして今のような優しく私に笑いかけることはないのだろうか。
とにかく怖かった。怖いから聞けなった。
「ラティ、申し訳ないけどビンデスの葉を持ってきてくれないか。その棚の上から2番目だ。」
「あ、はい。」
考えごとをして突然ジェイデン殿下から話かけられての少しびっくりして立ち上がってしまったので腰の部分を机にぶつけてしまった。
そうしたら机の淵にあった黒い箱が落ちてしまいその衝撃で中が開いてしまった。
中には銀色に光小さな丸い指輪が入っていた。
あら?ジェイデン様にも指輪を渡したい人がいるのかしら?
私は拾おうと手を伸ばした。
石の部分が無い。
そう思ったら何か胸の付近が熱くなるのを感じた。
何か体が震えた。
何だ?この指輪…?何でだろう。
そう考えてながら見ているとスッとジェイデン様が指輪を拾った。
「ご、ごめんなさい。壊れなかったかしら?」
「ああ、大丈夫だ。」
「あの…それは…」
「そろそろ兄上が学園から帰ってくる。兄上が心配する。戻った方がいい。」
聞かないで、と言う感じで話を逸らされた。
ジェイデン様はすごく優しそうな目をしてその指輪を見つめていた。
あんな優しい顔をして指輪を見ていられたら茶化すこともできない。
でも誰かに渡すため?
石は今から入れるのかしら?
ジェイデン様はその蓋を静かにパタンと閉めた。
「心配しないわよ。私のことなんて単なる記憶をなくしたかわいそうな婚約者なんだから。」
「はっ?何卑屈になってんだ。」
「同情されているだけじゃない。」
「あーあ、そんな風に思っているんだ。何だか兄上が可哀そうだ。」
「何でエディシスフォード殿下がかわいそうなの?」
「あの人すぐに態度にでるからな。わからない?」
「何が?何かあるの?」
「へえ。何も言われない?」
「は?何も・・・。」
「割と兄上は奥手なんだ。ふふふっ。意外だな。」
「何言ってるの?たしかに・・優しくはしてくれるわよ・・・。この頃はね。
おかげで割と毎日有意義に過ごさせてもらっている。その点は感謝している。」
「お礼に頬にキスでもしてやってよ。ふふふ」
「は?なっ!な、なに言うの!!!変な事言わないで!もうジェイデン様なんて知らない!」
「拗ねるなよ。しかしお前って割と揶揄うと面白い奴だったんだな。」
「えっ?そう?」
「あ、いや、あっ。前はツンツンしてたからな。」
「でも、私ってそんなにひどかったの?」
「思い出したら大変だ。やっぱり思い出さなかった方がいいと叫びだすだろうな。絶対に。はははっ。」
大笑いをされた。
しかしジェイデン様といると飾る必要のない自分がいる。
何だか楽しい。
ふふふっと軽やかな足取りで
私はジェイデン様の実験室を出て部屋に戻ろうと庭を歩いていた。
すると目の前にピンクの髪をふわふわさせたれ女の子を囲んで数人の人たちがいた。
私はその中の一人と目があった。
「あら、ラティディア様。またエディシスフォード殿下のご機嫌を取りに来たの?」
そのピンクの髪の女の子が言った。
誰だろう?
私が今王宮にいることを知らないのね。
しかし何?普通挨拶が先じゃない?
「懲りずに。嫌ね。エディシスフォード殿下に嫌われているって気づいてない人は。
あら今日は何か格好が地味ね。やだやだ清純路線に変更したのかしら?」
やっぱり私嫌われていますよね?
って言いかけたが、一応記憶喪失の事は秘密なので何も答えないでおく。
「まだダリア様を苛めに来たの?」
取り巻きの一人が言った。
このピンク髪の子がダリア様なんだ。
「エディシスフォード様はダリア様をお好きなのよ。だから早く婚約を解消していただけないかしら?」
そうしたいのはやまやまなんですが、今のところ殿下が許してくれません。
「今日、エディシスフォード殿下と一緒に帰ってきたの。いいでしょう?
今日もとても優しかったわ。あなたには会ってくれないでしょうから。ふふふん」
帰ってきたってあなた方の家は王宮の中にあるのですか?
・・・って確か今日は殿下は仕事があるからとハーデス様に執務室で監禁されているはずですが。
何だか違いませんか?
「もう殿下はあなとはお会いしたくないそうですわ。はははは。」
いやいや笑い方が下品です・・。
会いたくないって・・・毎日朝はわざわざ朝の挨拶に来てくれます。
お昼も時間があればご一緒します。
夕食は毎日です。
「ダリア様、今日のラティディア様は何も言えないみたいですよ。
もう言い返してもどうしようもないと思っているんでしょうね。」
「殿下は書類も出来上がるようなこと言っていましたから
後は婚約を破棄されることを伝えられるだけですからね。みじめね。」
「エディシスフォード殿下もダリア様に夢中ですので早く消えてもらいたいですね。」
「確かにもう私の相手ではないわね。早く消えてね。ははは」
笑い・・いえ高笑いしながら去って行かれました。
ん・・・状況全然つかめません。
私が想像ではダリア様はか弱い守ってあげたいようなかわいい子のイメージなんですが
どう見てもあなたが悪役令嬢っぽいのですよね?
悪役令嬢は私ですよね?
しかしどう見ても彼女の方が嫌な人ですよね。
まあ、貴族の社会なんてのし上がったり蹴落としたりなのでこんなものでしょうか?
私には理解できない。変わった世界のようです。
しかし一つだけわかりました。
近々婚約破棄が殿下から言い渡されるみたいです。
初めからわかっていたことだし、私もそうして欲しいと思っている。
何だか少し胸がチクリとした。
…なんか嫌な気持ち。
今日も私はジェイデン様のところに来ていた。皆勤賞だ。
しかし一生懸命に本を読んで考え込んでいたジェイデン様を見ながら私はウトウトとしてしまったらしい。
机に伏して寝ていたようで起きると白衣がかけられていた。
ジェイデン様は薬草をつぶして混ぜ合わせていた。
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綺麗な手。指が長くて…男のくせにしなやかだ。
ふふふっ。懐かしい。
ん?私はこの風景をみていたことがあるの?
「あ、ラティ?起きたの?」
「あ、すみません。私寝てしまいました。」
「このところいろいろあったからね。疲れているんだろう。しかし結構寝てたな。」
「すみません。」
午前中は図書館。午後からはハーデス様と勉強、マナー、ダンス。
それが終わればジェイデン様のところで本を読んでいるか魔法を教えてもらっていた。
「いいけど寝言言ってたよ。いい夢でもみてた。」
「え!」
確かに見ていたかも・・・。
「どうせラティのことだから夢の中でもケーキでも食べていたんだろう」
・・当たりです。
「そ、そんなわけありません!」
「よだれの跡がある顔でいわれても説得力ないな。」
慌てて口の周りを手で拭いた。
ジェイデン殿下には大声で笑われた。
本当に気をつかわなくていい相手だ。
記憶が無くなってからかなり彼には助けられた。
記憶がなくても何とかやっていけると思えるのも彼の存在が大きい。
エディシスフォード殿下はその逆だ。
彼と接していると記憶がなくなった前の私がすごく気になる。
私は彼に嫌われていた。それは紛れもない事実のようだ。
だからこそ不安になる。
結局カーラさんに聞けないでいた。
婚約破棄したかったのは私・・そのために演技をしていた。
もしかして知らない方がいいのではないか・・・。
理由を知ってしまったらまた同じように演技をしなくてはいけないのではないか。
そして今のような優しく私に笑いかけることはないのだろうか。
とにかく怖かった。怖いから聞けなった。
「ラティ、申し訳ないけどビンデスの葉を持ってきてくれないか。その棚の上から2番目だ。」
「あ、はい。」
考えごとをして突然ジェイデン殿下から話かけられての少しびっくりして立ち上がってしまったので腰の部分を机にぶつけてしまった。
そうしたら机の淵にあった黒い箱が落ちてしまいその衝撃で中が開いてしまった。
中には銀色に光小さな丸い指輪が入っていた。
あら?ジェイデン様にも指輪を渡したい人がいるのかしら?
私は拾おうと手を伸ばした。
石の部分が無い。
そう思ったら何か胸の付近が熱くなるのを感じた。
何か体が震えた。
何だ?この指輪…?何でだろう。
そう考えてながら見ているとスッとジェイデン様が指輪を拾った。
「ご、ごめんなさい。壊れなかったかしら?」
「ああ、大丈夫だ。」
「あの…それは…」
「そろそろ兄上が学園から帰ってくる。兄上が心配する。戻った方がいい。」
聞かないで、と言う感じで話を逸らされた。
ジェイデン様はすごく優しそうな目をしてその指輪を見つめていた。
あんな優しい顔をして指輪を見ていられたら茶化すこともできない。
でも誰かに渡すため?
石は今から入れるのかしら?
ジェイデン様はその蓋を静かにパタンと閉めた。
「心配しないわよ。私のことなんて単なる記憶をなくしたかわいそうな婚約者なんだから。」
「はっ?何卑屈になってんだ。」
「同情されているだけじゃない。」
「あーあ、そんな風に思っているんだ。何だか兄上が可哀そうだ。」
「何でエディシスフォード殿下がかわいそうなの?」
「あの人すぐに態度にでるからな。わからない?」
「何が?何かあるの?」
「へえ。何も言われない?」
「は?何も・・・。」
「割と兄上は奥手なんだ。ふふふっ。意外だな。」
「何言ってるの?たしかに・・優しくはしてくれるわよ・・・。この頃はね。
おかげで割と毎日有意義に過ごさせてもらっている。その点は感謝している。」
「お礼に頬にキスでもしてやってよ。ふふふ」
「は?なっ!な、なに言うの!!!変な事言わないで!もうジェイデン様なんて知らない!」
「拗ねるなよ。しかしお前って割と揶揄うと面白い奴だったんだな。」
「えっ?そう?」
「あ、いや、あっ。前はツンツンしてたからな。」
「でも、私ってそんなにひどかったの?」
「思い出したら大変だ。やっぱり思い出さなかった方がいいと叫びだすだろうな。絶対に。はははっ。」
大笑いをされた。
しかしジェイデン様といると飾る必要のない自分がいる。
何だか楽しい。
ふふふっと軽やかな足取りで
私はジェイデン様の実験室を出て部屋に戻ろうと庭を歩いていた。
すると目の前にピンクの髪をふわふわさせたれ女の子を囲んで数人の人たちがいた。
私はその中の一人と目があった。
「あら、ラティディア様。またエディシスフォード殿下のご機嫌を取りに来たの?」
そのピンクの髪の女の子が言った。
誰だろう?
私が今王宮にいることを知らないのね。
しかし何?普通挨拶が先じゃない?
「懲りずに。嫌ね。エディシスフォード殿下に嫌われているって気づいてない人は。
あら今日は何か格好が地味ね。やだやだ清純路線に変更したのかしら?」
やっぱり私嫌われていますよね?
って言いかけたが、一応記憶喪失の事は秘密なので何も答えないでおく。
「まだダリア様を苛めに来たの?」
取り巻きの一人が言った。
このピンク髪の子がダリア様なんだ。
「エディシスフォード様はダリア様をお好きなのよ。だから早く婚約を解消していただけないかしら?」
そうしたいのはやまやまなんですが、今のところ殿下が許してくれません。
「今日、エディシスフォード殿下と一緒に帰ってきたの。いいでしょう?
今日もとても優しかったわ。あなたには会ってくれないでしょうから。ふふふん」
帰ってきたってあなた方の家は王宮の中にあるのですか?
・・・って確か今日は殿下は仕事があるからとハーデス様に執務室で監禁されているはずですが。
何だか違いませんか?
「もう殿下はあなとはお会いしたくないそうですわ。はははは。」
いやいや笑い方が下品です・・。
会いたくないって・・・毎日朝はわざわざ朝の挨拶に来てくれます。
お昼も時間があればご一緒します。
夕食は毎日です。
「ダリア様、今日のラティディア様は何も言えないみたいですよ。
もう言い返してもどうしようもないと思っているんでしょうね。」
「殿下は書類も出来上がるようなこと言っていましたから
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「エディシスフォード殿下もダリア様に夢中ですので早く消えてもらいたいですね。」
「確かにもう私の相手ではないわね。早く消えてね。ははは」
笑い・・いえ高笑いしながら去って行かれました。
ん・・・状況全然つかめません。
私が想像ではダリア様はか弱い守ってあげたいようなかわいい子のイメージなんですが
どう見てもあなたが悪役令嬢っぽいのですよね?
悪役令嬢は私ですよね?
しかしどう見ても彼女の方が嫌な人ですよね。
まあ、貴族の社会なんてのし上がったり蹴落としたりなのでこんなものでしょうか?
私には理解できない。変わった世界のようです。
しかし一つだけわかりました。
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