オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

文字の大きさ
上 下
60 / 120

その21 別荘にて ルース視点

しおりを挟む
青い海が見えてきた。
シャーリーが馬車から落ちそうなくらいに身を乗り出してはしゃいでいる。
そんなにあわてなくても海は逃げないから。
本当に僕の婚約者はかわいい。

たまたま両親の仕事の都合で海辺の別荘に来た。
ここは隣国と割と近い。今回はどうやら隣国に危険な動きがあるため王家の闇、ザイン公爵家が動くことになった。
隣国とは北隣国シルバーサ王国だ。
ちょっと厄介なことになりそうだ。なんたってシルバーサ王国の王女様とうちの国の王太子殿下は婚約している。事が事なら婚約破棄、戦争とかになりかねない。
シャーリーが仲良くしてもらっているレイクルーゼ嬢へいいお土産ができるかもしれないな。

目の前で仲良さそうにいちゃついているのがザイン公爵夫妻だ。
この両親は突然連れてこられた僕を無条件に受けいれ、愛してくれる。
本当にこの家でよかった。
だから僕もこの家族がシャーリーの次に大好きだ。

ザイン公爵家は王家の闇を受け持つ。闇と言うんだから影で危ない事をしている。
無情な心を持たないとやっていけないような…。
その闇の仕事は当然王族、あとは王家に仕えるごく限られたわずかの人のみしか知らない。
公爵の位を持つシャーリーの父親のも知らないかもしれない。知ったら卒倒してしまいそうだ。

その反動か家族に対しては甘い・・・。
甘いってほどではない。
甘々すぎる…。
もう未成年の前なんだから自重してほしいな。
まあシャーリーは割と外の景色に夢中だからいいけど…。
おかげで僕に実の息子と同じくらいに愛情をいっぱいくれる。たまに鬱陶しいと思うがそれが妙に心地いい。
僕も将来シャーリーをいっぱいいっぱい愛してあげるからね。
だから心配しないで。
君にずっとずっと変わらない愛情をあげるから。

ちょうど王都は南隣国のダマガラン王太子が1か月ほど留学しにやってくるので歓迎会とか忙しい。
三日連続舞踏会なんて面倒だ。
それにあいつには会いたくない。
旅行から帰れば学校で何かしらの接点はあるだろう。しかもシャーリーに近づかないように見張ってないとな。あ~面倒くさい。このまま1か月くらい別荘にいたいな。

しかし王家の親戚のザイン家には当然歓迎会出席のお声がかかるはずだか、この時期に仕事だ。ザイン家を動かすところをみると少し余裕のない案件になっているようだ。

おや?またシャーリーがどっかいってるよ。
まあ何か一人で赤くなったり首を振ったりして忙しそうだ。本当に何を妄想しているのか。楽しそうだ。

ようやく別荘についた。カール兄様が出迎えてくれた。
まあ兄様も養子に来た僕を受け入れて、かわいがってもらっている。気さくでとてもいい兄だ。
ただ、一言多いんだよ。

またシャーリー何か変なこと考えてるな。本当にわかりやすい。でも僕が笑ったら顔をそらされた。何だ?

「カール!ルース!荷物運ぶの手伝ってちょうだい。」
母上が呼んでいる。兄様があわてる。
「本当に母上、せっかちだね。さあいこうルース。これ以上待たせると怒るからね。早くすましてしまおう。」
まあこの家で一番怖いが母上だ。 なんたって前ザイン公爵の一人娘だ。ザイン家は魔力はすごいのだ。だから母上を怒らせると大変なことになる。

本当にこの家族は暖かい。大好きだ。

荷物をある程度運び込んでシャーリーのところに戻った。

あ~あまた飛んでるよ・・・。今日多くない?

顔が赤いから馬車の移動で少し疲れたのかな?

「あ、いや、違うの嫌なのは私が考えていることで、ルースが嫌なわけじゃなくて!逆で・・」

??嫌って??逆?何が??
よくわからないけどどうも僕のことで何か考えていたらしい。まあシャーリーが僕のことを考えてくれているなんて嬉しいな。あとで聞いてみよう。

部屋に荷物を置いて整理をした。
シャーリーは遅いな。まあ女の子だからいろいろあるか。

僕は少しの間ベッドの上で体を休めた。
このごろのシャーリーは少し思い込むことが多い。
あのお茶会の後もそうだったが
先日のルピアの騒ぎから酷くなった。

なんかいろいろ百面相してる。
僕のことを考えてくれてる?
他の攻略者のこと?

いろいろと君の周りは崩させてもらってるから僕のルートしかないんだけどな。

本当はすぐにでも君を抱きしめたい。
だけどそれではダメなんだ。
君から僕に寄り添ってくれないと…。
無理矢理はダメだ。というか僕が嫌だ。

前からわかってはいるが
君は僕のことが絶対に好きなんだよ。
だから少しだけ時間をあげる。
自分の気持ちに気づいて。
そしたらすぐに君の手を引っ張ってあげるから。

でもそんなには待てないよ。

君が僕のものなのは変わらない。
だから君が出す答えは一つしかない。

君が考えるのは僕のことだけでいい。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

転生したので前世の大切な人に会いに行きます!

本見りん
恋愛
 魔法大国と呼ばれるレーベン王国。  家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。  ……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。  自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。  ……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。   『小説家になろう』様にも投稿しています。 『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』 でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと

淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。 第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品) ※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。 原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。 よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。 王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。 どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。 家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。 1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。 2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる) 3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。 4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。 5.お父様と弟の問題を解決する。 それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc. リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。 ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう? たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。 これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。 【注意点】 恋愛要素は弱め。 設定はかなりゆるめに作っています。 1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。 2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。

【完結】やり直しですか? 王子はいらないんで爆走します。忙しすぎて辛い(泣)

との
恋愛
目覚めたら7歳に戻ってる。 今度こそ幸せになるぞ! と、生活改善してて気付きました。 ヤバいです。肝心な事を忘れて、  「林檎一切れゲットー」 なんて喜んでたなんて。 本気で頑張ります。ぐっ、負けないもん ぶっ飛んだ行動力で突っ走る主人公。 「わしはメイドじゃねえですが」 「そうね、メイドには見えないわね」  ふふっと笑ったロクサーナは上機嫌で、庭師の心配などどこ吹く風。 ーーーーーー タイトル改変しました。 ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

恋愛
王太子の婚約者として、常に控えめに振る舞ってきたロッテルマリア。 尽くしていたにも関わらず、悪役令嬢として婚約者破棄、国外追放の憂き目に合う。 でも、実は転生者であるロッテルマリアはチートな魔法を武器に、ギルドに登録して旅に出掛けた。 新米冒険者として日々奮闘中。 のんびり冒険をしていたいのに、ヒロインは私を逃がしてくれない。 自身の目的のためにロッテルマリアを狙ってくる。 王太子はあげるから、私をほっといて~ (旧)悪役令嬢は年下Sランク冒険者の弟子になるを手直ししました。 26話で完結 後日談も書いてます。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう

冬月光輝
恋愛
 ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。  前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。  彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。  それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。  “男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。  89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。

処理中です...