オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

文字の大きさ
上 下
51 / 120

幕間 ディランのつぶやき

しおりを挟む
交流会では大変だった。
一角ウサギに襲われたが間一髪ルースのおかげで助かった。

しかし気になる点がある。
確かにあの時スレギス草の臭いがした。
あのゲームを終えて中庭に出る前。
スレギス草は甘い匂いがする。その匂いは一角ウサギを興奮させてしまうらしい。
一角ウサギの嗅覚は人の100倍はある。だから遠くでもあの匂いがわかる。
だから俺たちに向かって突進してきたのだろう。
スレギス草は他にも魔獣を惑わせる為、一般には販売していない。
まれに密輸などで香水として取引されているようだ。
じゃあ何故あの時スレギス草の臭いがした?

一角ウサギは武科の飼っているものだったらしく、制御の首輪が外されていたと噂に聞いた。
誰かが仕組んだことに間違えない。
一体誰が何のために?

待てよ。あの時、一角ウサギは俺たちを襲ってきた。
スレギス草の臭いが目的なら俺達だけ襲われる理由はわからない。
中庭に出る前にその匂いがしたなら一角ウサギはその付近を狙うはずだ。
しかし中庭の噴水まで逃げたにも関わらず一角ウサギは確実に俺たちを狙っていた。
つまり俺たちの誰かがスレギス草の臭いをさせていたと言うことだ。

考えられる一つの可能性は俺、アレクシス、ライアネスそしてシャーロレット嬢、
この中の誰かがスレギス草を持っていた。もしくは匂いを持っていた。
そしてもう一つは誰かにその匂いを付けられた。

でもあの時出口から中庭までは誰ともすれ違ってはいない。あまり考えにくい。
じゃあ前者か。
ひとまず俺は心当たりがない。
残り3人の内の誰か。
もし仕組まれた事なら聞いても知らないと言うだけだろう。
さあ、どうしようか。


「で、僕に相談しに来た、と。」

目の前の金髪碧眼の男は面倒くさそうに答えた。

「僕はシャーリーを待たせてるんだよ。
あんなことがあったから心配なんだ。
わかるだろ?また何かあったらどうするんだ。」

心配?あんなこと?また??ふーん。そういうことか。

「狙われているのはシャーロレット嬢なんだな。」
「ああ。」

しかし何故?誰に?彼にはわかっているようだ。

「つまり、アレクシス、ライアネスどちらかが犯人に協力しているんだな。」
「そうだと思う。」
「また狙ってくるのか?」
「ああ、もう次の手を打ってきた。」
「どうすればいい?」
「これを。」

彼は一通の手紙を出した。俺は受け取った。宛名は

『  シャーロレット=ヴィクセレーネ 様   』

中を開けて手紙を確認した。

 『 どうしても来て欲しいので何度もすみません。
   話があります。一人で来てください。
   〇〇月〇〇日 〇〇時
    魔科の裏側にある緑色の倉庫
   待っています。             』

ってラブレター?なわけないか。怪しさ120%だな。
ん?この字の癖…?

「誰が書いたかわかったようだな。」
「ああ、多分な。直接聞いても口は割らないだろう。」
「大丈夫だ。手は打ってあるがせっかくだから協力してもらえるだろうか?」

話が終わると速攻でシャーロレット嬢を迎えに行った。

本当に彼女が好きなんだな。
まあ可愛いし、笑った顔はすごく良かったな。
それに二、三年したらすごく綺麗になりそうだ。
教室で見ていても常に人の事を見てて、よく気がつく。
ノートを貸してあげたり、係の仕事手伝ったり、ご飯忘れた子に自分のお弁当分けてたな。
あんな子が婚約者だなんて羨ましいな。

あいつにはもったいない。

黒幕はあの女なのか?
確かシャーロレット嬢は一角ウサギに襲われた後、彼女のことを心配していた。
まさかその相手が黒幕だと知ったら悲しむだろうな。

あーあ?そういうことなんだな。

少し彼女が狙われている理由がわかったかな。
ルースのせいであんなとばっちり受けてるのか。
しかしシャーロレット嬢相手じゃ敵わないね。
俺だってシャーロレット嬢の方がいい。
多分10人に聞いたら8人くらいはそう答えるんじゃないか?あいつは残り2人に入りやがって。
何か弱みでも握られたんか?

ルースが俺に頼んだのは残り2人の協力者の捜索。
その2人も同じように協力しなければならない理由があるのか?

よく考えてみればわかるじゃないか。相手はザイン公爵家子息ルーズローツの溺愛する幼なじみだぞ。
何かあれば俺たちの家なんてすぐに横倒れだ。
まあ最低でもお前達は家から絶縁され王都にはいられないぞ。
わかってるのか?それがわからなくなるくらい何をされたんだ?
まあ、俺もそういうことは許せないから覚悟はしておけよ。

しかしシャーロレット嬢、あんなこと言いながらルースの事掴んでたな。
可愛かったな。あ、服も。
ルースに抱き上げられた時の一瞬見せた安心しきった顔。
かなりルースのこと好きだろ?
自分の気持ち気づいてないのか?
ルースなんか見てる方が恥ずかしいほど大好きオーラ出しっぱなしだ。
誰から見てもイチャイチャしてる恋人じゃないか。
そんな中に入り込もうなんて野暮だよ。
諦めるしかないじゃないか。

気づかないのかな?
シャーロレット嬢が危ない目に遭えば遭う程シャーロレット嬢が自分の気持ちに気づく日を近づけているだけなんだって、あの二人の愛情、絆を深めているだけだって。

あーあ。羨ましいな。可愛い子いないかな?俺もラブラブな婚約者欲しい!!

ん?しかし何故ルースがシャーロレット嬢宛の手紙を持っているんだ?
話を聞いていた限りシャーロレット嬢は手紙の存在は知らないみたいだった。

…何かルースの愛情が過保護過ぎないか?大丈夫か?
ルース…変な方に拗らせるなよ。

友達として心配してやるよ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと

淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。 第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品) ※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。 原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。 よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。 王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。 どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。 家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。 1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。 2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる) 3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。 4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。 5.お父様と弟の問題を解決する。 それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc. リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。 ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう? たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。 これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。 【注意点】 恋愛要素は弱め。 設定はかなりゆるめに作っています。 1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。 2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。

転生したので前世の大切な人に会いに行きます!

本見りん
恋愛
 魔法大国と呼ばれるレーベン王国。  家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。  ……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。  自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。  ……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。   『小説家になろう』様にも投稿しています。 『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』 でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

【完結】やり直しですか? 王子はいらないんで爆走します。忙しすぎて辛い(泣)

との
恋愛
目覚めたら7歳に戻ってる。 今度こそ幸せになるぞ! と、生活改善してて気付きました。 ヤバいです。肝心な事を忘れて、  「林檎一切れゲットー」 なんて喜んでたなんて。 本気で頑張ります。ぐっ、負けないもん ぶっ飛んだ行動力で突っ走る主人公。 「わしはメイドじゃねえですが」 「そうね、メイドには見えないわね」  ふふっと笑ったロクサーナは上機嫌で、庭師の心配などどこ吹く風。 ーーーーーー タイトル改変しました。 ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう

冬月光輝
恋愛
 ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。  前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。  彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。  それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。  “男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。  89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。

悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

恋愛
王太子の婚約者として、常に控えめに振る舞ってきたロッテルマリア。 尽くしていたにも関わらず、悪役令嬢として婚約者破棄、国外追放の憂き目に合う。 でも、実は転生者であるロッテルマリアはチートな魔法を武器に、ギルドに登録して旅に出掛けた。 新米冒険者として日々奮闘中。 のんびり冒険をしていたいのに、ヒロインは私を逃がしてくれない。 自身の目的のためにロッテルマリアを狙ってくる。 王太子はあげるから、私をほっといて~ (旧)悪役令嬢は年下Sランク冒険者の弟子になるを手直ししました。 26話で完結 後日談も書いてます。

処理中です...