オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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その15 交流会にて

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柔らかな日差し。緑に囲まれた庭園。爽やかな風。
あ~気持ちいいわ。

色とりどりの飾り付けで煌びやかです。気合い入ってますね。
ちなみに私も気合い入れてきました!
目指すは中央テーブルにあるマカロン!!
わざわざコルセットを緩めてきました。

今日は学校交流会。
まあ早い話学園祭みたいなパーティーだ。
通常法科、魔科、武科は交流がない。校舎も別だ。
学校に通い出して三ヶ月。ようやく一年生も学校に慣れてきたところで学校全体で、各科の交流という面目で騒ぎましょうって感じだ。
それぞれの科でいろいろなイベントをやっている。食べて飲んで遊んで歌って踊っての一日だ。

「それでは交流会を始めます。」
会長のムーランド公爵の御子息のアンドランス様が声をかける。
書記のレイクルーゼ様が会長の斜め後ろに控える。
歓声とともにパーティーが始まる。

「はいっ。」
ルースが私の目の前にマカロンを出す。
始まると同時にルースが私にマカロンを持ってきてくれた。
さすが幼なじみ!私のことを知り尽くしてるわね。
「ルースの分はあるの?」
「たくさんあるからまた取ってくるから大丈夫だよ。」
「幸せ!ありがとう。」

幸せに食べていたら
「シャーリー…あなたは見るたびに何か食べているわね。」
顔を上げるとレイクルーゼ様とお友達のジェシー様とカトレア様が呆れた顔で立っていた。
「魔科の二年生が面白そうな催しをしているの。女の子限定だから一緒にいかがと思って。」
「レイクルーゼしゃま!むしゃ…しゅこし…おまひくらはい。」
「少しお待ち下さい…と言ってます。」
ルースまでも呆れた顔をしている。

「ルース!ちょっと向こうの武科で面白そうなイベントがあるんだ行かないか!」
多分法科のお友達だろう。
ルースは少し迷っていたが友達は大事だ。
「私なら気にしないで大丈夫よ。レイクルーゼ様といるから。」
「絶対だよ!レイクルーゼ嬢、よろしくお願いします。」
「過保護すぎなんだから。」
「まあ、仕方ないんじゃなくて。」

魔科の二年生の催しは何と好きな服を着れるというものだ。
いやはやこれは…何か前世で見たような聞いたような…。

…花嫁、女王様、魔法使い、騎士、メイドなどのさまざまな服の中から好きなもの選べる。
つまりはコスプレだ。
行きたかったから嬉しい。

普段は凛とした落ち着きを持つレイクルーゼ様だが…
「カトレア様にはこれが似合うんじゃない?ジェシー様はこれ?シャーリーは…」

ノリノリです。
ちなみに一番人気は魔法使い。

私は何故か全員一致でメイドさんに決定。
どうもこれを着て半日ほど過ごせるみたいですが…

が…!

このメイド服、短い。丈が短いのですが…。

中身は50歳前のおばさんなんです。
無理です。

踊り子のレイクルイーゼ様…お似合いすぎます。色気が半端ないです。
カトレア様は町娘、ジェシー様は魔法使いです。

足元がスースーして恥ずかしいのでレイクルーゼ様に隠れるように歩かせてもらいます。
レイクルーゼ様は気づいていませんがみなさん踊り子に見惚れています。
注目集まりすぎてます。

しかしホットドックにチョコバナナ、チュロス、美味しいものがいっぱい!あ、皆さんに分かるようにそちらに似た名前で言ってます、食べ歩き最高!!
お腹いっぱい。あっ!マカロンまだあまり食べてない…。
後から食べなきゃ。

「おや、シャーロレット嬢。」
「ディラン様。アレクシス様、ライアネス様。こんにちは。」
「珍しいね。ルースと一緒ではないの?って…」
ディラン様をはじめみんななんか顔が赤いが…。
「あら、嫌だ。みんなシャーリーが可愛すぎて困ってるわよ。」
レイクルーゼ様にです!
露出が多くありませんか?
色気ありすぎです。
私ではなくレイクルーゼ様に対して赤くなっているんです。

突然レイクルーゼ様が魔法石を取り出した。
魔法石はオレンジに光っている。

「あら?何か呼び出しだわ。シャーリー、ごめんなさいランス様に呼ばれたわ。あ、アンドランス会長ね。何かあったのかしら?とにかく生徒会室に行ってくるからお友達と一緒にいたらいいわ。
カトレア様、ジェシー様は私と来てくれるかしら?」

この世界は魔法石で連絡できる。
まあ携帯みたいな役割を果たしている。
小さな魔法石なら少しの魔力で話ができる。少し大きい魔法石で魔力がそこそこあればリモートで話せる。
レイクルイーゼ様の魔法石に会長のアンドランス様から呼び出しの連絡が入ったようだ。ちなみにカトレア様は会長アンドランス様の婚約者だ。

「ランス様、カトレア様の格好みたら驚くわね。」
「このまま行くんですか?恥かしいです!」
「似合ってますわ。アンドランス様の反応が楽しみですわ」
三人で楽しそうに話しながら行ってしまわれた。

「あの…シャーロレット嬢。私達は構わないので、一緒させていただけますか?」

ディラン様が声をかけてくれた。

この格好で一人は辛い。
なんたって着替えはレイクルーゼ様達と一緒のロッカーだ。
鍵を持っていかれた。

「よろしければお願いします…ありがとうございます。」

ディラン様達と武科の方へ行った。
やはり三人の影に隠れながら歩いた。

射的みたいな物があったり、もぐら叩きもどきもある。
歩きながら出てきた敵を打つゲームがあったからみんなで入った。
上位者には賞品があるようだ。

「シャーロレット嬢、いいですか?一番前にいて下さい。一番大事な場所です。私達がシャーロレット様が撃ち逃してしまった敵を仕留めます。」
「わかりました!がんばります!」

武科め!魔科を舐めたらいけないよ!!
室内は暗くしてるけどちゃんと魔法を使えば見れるのよ!
結構いけるんじゃない?手答えあり。

ゲームを終えて賞品は何かみんなで話しながら歩いていた。
もうもらう気になっている。

ちょうど建物から出ようとしてた時だ。
ん?何だか甘い匂いがする。
何か甘いスイーツの匂いだろうか?
それとも誰かの香水?

そして建物からでて中庭にある噴水が見えるところまで歩いてきた。

きゃぁーきゃぁー!
ん?何か騒がしい…。と、思っていたら突然一角ウサギが現れた。私の頭は何故か一つのコマンドが浮かび上がった。

『一角ウサギが現れた。 
   戦う? 逃げる?』

一角ウサギは割と大人しい魔獣だ。
ペットで飼う人もいるくらいだ。
しかし興奮させると人を襲う時もある。
かなりの攻撃力がある。
だからペットとして飼うときは必ず制御の首輪をはめる。
目の前に飛び出してきた一角ウサギは首輪をしていない。
野生?かなり興奮している。
のんびりコマンドを選んでいる暇はなさそうだ。

「シャーロレット嬢、こっちだ!早く!」
ディラン様に手を引かれて逃げる。しかし一角ウサギの方が速い。スカートもすごく気になるから速くは走れない。
それに運動不足だ。スタミナ持ちそうにない。

「アレクシス!シャーロレット嬢を後ろに!」

広場に出たところで私達は噴水を後ろにして逃げ場を失った。噴水の周りにはたくさんの人がいたが今は右後方にある出入り口の前で逃げ惑っていた。
大渋滞だ。
これ以上逃げたら他の人も巻き込んでしまう。
もう逃げられない。

ディラン様が一角ウサギを前に立ちはだかった。
あら?この構図はイベントね!
ヒロインを守る…って嫌だわ。
ヒロインはどこ?私が守られてる。
違うわ。
守るのは私ではなく、ヒロインなの。ヒロインどこよ!!

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