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その2 教室にて
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入学式には出れなかった。
せっかくだったのに。残念だわ。
ルースにも申し訳ない。サボらせてしまった。
足を引きずりながら教室に着いた。
ルースが送るとしつこかったがまたお姫様抱っこされたら恥ずかしい。
ヒロインとのフラグが立った彼にそんなことはしてもらえない。
?いや。してもらわなきゃいけなかった?
ここぞとばかりにルースはわたしのものアピールしなきゃいけなかったんじゃない?
わたしは悪役令嬢なのよ。攻略対象の前に立ちはだかる悪の根元。だめじゃない…。失敗したわ。今度はうまくやらなきゃ。
で、気を取り直そう。
クラスは20人。男の子が13人。女の子が7人。
となりの席はあら髪がとても綺麗な深い青の女の子だわ。
「こんにちは。私はシャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネ。
シャーリーよ。よろしくね。」
「こんにちは。私はデェリス=ディ=サリラスクです。だいたいそのままデェリスと呼ばれています。公爵令嬢様に先にお名前をお受けしてしまい申し訳ありません。こちらこそよろしくお願いします。」
「サリラスク伯爵令嬢様でしたか。よろしくお願いしますね。」
この子は悪役令嬢になった私の取り巻きでどうかしら?青に髪色が神秘的で素敵だわ。知的な顔立ちの方だわ。ふふ。
授業が終わり、ルースが迎えにきてくれるから待ってた。
隣から声がした。
「シャーリー様、それではまた明日。」
「デェリス様、また明日ね。」
まあ、なんて素敵な立ち振る舞い。背筋がすっと伸びていて女の子なのにカッコよく見えるわ。
そうそう。私はまだやることがあるわ。
普通、流れ的には魔導師士の子息がクラスにいるはずよね。だから魔科に絶対にいる。まだ結構クラスに残ってるわ。
こっちもチェックしとかなきゃ。って魔導師なら黒い髪が定番かしら?
窓際に濡れ羽色の黒い艶のある髪に眼鏡をかけた少年がいた。
彼だ!!友達と3人で話してる。何話してるのかしら?
何かわかるかしら?すすすっと、すこし彼の近くに寄ってみた。
「…だろ!ディラン!ははっ」
ふむふむ。友達の声を拾う。彼はディランと言うらしい。
で…!で…!
えっ!えっ~!
あまりにも近寄りすぎた。
彼と目があってしまった。
気付いたらすぐ横で聞き耳をたてていた。
わたし不審者だわ。
わたしは折り曲げていた腰を伸ばして、すくっと立ち上がった。
「わたくし、シャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネ
ですわ。同じクラスになれて嬉しく思います。三年間よろしくお願いいたします。」
頭を深々と下げた。
すると真ん中のまさに濡れ羽色の彼が
「ディラン=ディ=ミストローガです。ヴィクセレーネ嬢、こちらこそよろしくお願いします。」
キュンキュンする微笑みだわ。
ミストローガ侯爵のご子息なのね。ミストローガ侯爵様といえば王国魔術団の団長、筆頭魔術師ね。まあ、素敵な肩書き。
ヒロインじゃなくても惹かれるわ。
私からしてもこの髪色、やっぱり安心する。
黒い髪、日本だわ。懐かしい。
残念ながら瞳は深い緑ね。黒なら尚よかったのにね……。
「ヴィクセレーネ嬢?大丈夫ですか?」
…ぼっーってしてしまった。
「あっ、すみません。お気づかいなく!」
隣の赤髪の男の人は多分魔術団副団長のマリスト伯爵のご子息かしら?あの方は確かに赤い髪をしていたわね。
そのマリスト伯爵のご子息らしき方が私に話しかけてきた。
「君、ヴィクセレーネ公爵のご令嬢って言ったよね。じゃあ君なんだ。君がルースの幼なじみのシャーリーなんだね。」
「アレクシス。いくらそうだとしても初対面の女性を突然愛称で呼んではいけないですよ。」
「ごめんね。気を悪くした?」
私は首を横に振った。
「ルースを知っていらっしゃるんですね。」
「彼とはたまに会いますよ。」
「私のこと何か聞いているんですか?」
「ええ、幼なじみだとは伺っています。」
「ルースは政科なので離れてしまって一人で寂しかったんです。共通の話題ができる方がいてよかったです。
ミストローガ様もマリスト様もこれからもよろしくお願いいたします。」
にこりと笑った。最上の笑顔を貼り付けてみた。
少し間があった。
?私何か失敗したのかしら?
「あ、いや。名前でいいですよ。私はディラン、彼はアレクシス、そしてライアネスだ。」
「でしたら、わたしも名前で大丈夫です。」
ふと彼はわたしの足元を見た。
「足を引きずっていましたが、どうしました?」
「今朝、人とぶつかってしまって…」
「少しよろしいですか?」
彼はしゃがんで私の足に触れるか触れないくらいの距離に手をかざした。青い光が放たれた。暖かい光。
ん?あら?腫れが引いた。もしかしてこれは
「治癒の魔法!!」
「はっ?」
ディラン様がびっくりしていた。
「治癒の魔法をご存知じゃないんですか?」
「えっ?へっ!」
いやはやここは魔科だ。治癒の魔法くらいできなきゃ…あ、いえ。わたしはできません。火なら使えるんです。
「知、知ってはいます。ただ身近に治癒の魔法を簡単に使える方がいなかったので…。すみません。驚かせてしまいました。」
「ルースは治癒の魔法に関して…あ、いえ、なんでもないで…」
ディラン様の顔がわたしの左奥に固定されていた。
わたしは振り返りその方向を見た。
教室の扉にはルースが立っていた。
「ルース!」
私は走ってルースの元に駆け寄った。
「シャーリー、走ったら駄目だよ」
「大丈夫よ。ディラン様が治してくれたわ。治癒の魔法よ!間近で見たのは初めてよ。ディランさんってすごいわ。」
ルースがディラン様に向かって手を挙げた。
ディラン様も手を挙げ返した。
さすが攻略対象だわ。さわやかだわ。
そうやってルースと帰ろうとしたら
政治経済の先生に話しかけられた。
どうも渡し忘れたプリントと取りに来てほしいらしい。
確かこの先生は宰相の息子だったかしら?
やだわ。この人も攻略対象!!
ひとまずお近づきにならなきゃ。
私はルースを待たせて先生に頼まれたプリントを取りに行った。
これで攻略対象のルースとディラン様、先生とは私的には接点ができたわ。
さあ!ヒロインいらっしゃっい。私が悪役令嬢よ。
ふふん!
せっかくだったのに。残念だわ。
ルースにも申し訳ない。サボらせてしまった。
足を引きずりながら教室に着いた。
ルースが送るとしつこかったがまたお姫様抱っこされたら恥ずかしい。
ヒロインとのフラグが立った彼にそんなことはしてもらえない。
?いや。してもらわなきゃいけなかった?
ここぞとばかりにルースはわたしのものアピールしなきゃいけなかったんじゃない?
わたしは悪役令嬢なのよ。攻略対象の前に立ちはだかる悪の根元。だめじゃない…。失敗したわ。今度はうまくやらなきゃ。
で、気を取り直そう。
クラスは20人。男の子が13人。女の子が7人。
となりの席はあら髪がとても綺麗な深い青の女の子だわ。
「こんにちは。私はシャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネ。
シャーリーよ。よろしくね。」
「こんにちは。私はデェリス=ディ=サリラスクです。だいたいそのままデェリスと呼ばれています。公爵令嬢様に先にお名前をお受けしてしまい申し訳ありません。こちらこそよろしくお願いします。」
「サリラスク伯爵令嬢様でしたか。よろしくお願いしますね。」
この子は悪役令嬢になった私の取り巻きでどうかしら?青に髪色が神秘的で素敵だわ。知的な顔立ちの方だわ。ふふ。
授業が終わり、ルースが迎えにきてくれるから待ってた。
隣から声がした。
「シャーリー様、それではまた明日。」
「デェリス様、また明日ね。」
まあ、なんて素敵な立ち振る舞い。背筋がすっと伸びていて女の子なのにカッコよく見えるわ。
そうそう。私はまだやることがあるわ。
普通、流れ的には魔導師士の子息がクラスにいるはずよね。だから魔科に絶対にいる。まだ結構クラスに残ってるわ。
こっちもチェックしとかなきゃ。って魔導師なら黒い髪が定番かしら?
窓際に濡れ羽色の黒い艶のある髪に眼鏡をかけた少年がいた。
彼だ!!友達と3人で話してる。何話してるのかしら?
何かわかるかしら?すすすっと、すこし彼の近くに寄ってみた。
「…だろ!ディラン!ははっ」
ふむふむ。友達の声を拾う。彼はディランと言うらしい。
で…!で…!
えっ!えっ~!
あまりにも近寄りすぎた。
彼と目があってしまった。
気付いたらすぐ横で聞き耳をたてていた。
わたし不審者だわ。
わたしは折り曲げていた腰を伸ばして、すくっと立ち上がった。
「わたくし、シャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネ
ですわ。同じクラスになれて嬉しく思います。三年間よろしくお願いいたします。」
頭を深々と下げた。
すると真ん中のまさに濡れ羽色の彼が
「ディラン=ディ=ミストローガです。ヴィクセレーネ嬢、こちらこそよろしくお願いします。」
キュンキュンする微笑みだわ。
ミストローガ侯爵のご子息なのね。ミストローガ侯爵様といえば王国魔術団の団長、筆頭魔術師ね。まあ、素敵な肩書き。
ヒロインじゃなくても惹かれるわ。
私からしてもこの髪色、やっぱり安心する。
黒い髪、日本だわ。懐かしい。
残念ながら瞳は深い緑ね。黒なら尚よかったのにね……。
「ヴィクセレーネ嬢?大丈夫ですか?」
…ぼっーってしてしまった。
「あっ、すみません。お気づかいなく!」
隣の赤髪の男の人は多分魔術団副団長のマリスト伯爵のご子息かしら?あの方は確かに赤い髪をしていたわね。
そのマリスト伯爵のご子息らしき方が私に話しかけてきた。
「君、ヴィクセレーネ公爵のご令嬢って言ったよね。じゃあ君なんだ。君がルースの幼なじみのシャーリーなんだね。」
「アレクシス。いくらそうだとしても初対面の女性を突然愛称で呼んではいけないですよ。」
「ごめんね。気を悪くした?」
私は首を横に振った。
「ルースを知っていらっしゃるんですね。」
「彼とはたまに会いますよ。」
「私のこと何か聞いているんですか?」
「ええ、幼なじみだとは伺っています。」
「ルースは政科なので離れてしまって一人で寂しかったんです。共通の話題ができる方がいてよかったです。
ミストローガ様もマリスト様もこれからもよろしくお願いいたします。」
にこりと笑った。最上の笑顔を貼り付けてみた。
少し間があった。
?私何か失敗したのかしら?
「あ、いや。名前でいいですよ。私はディラン、彼はアレクシス、そしてライアネスだ。」
「でしたら、わたしも名前で大丈夫です。」
ふと彼はわたしの足元を見た。
「足を引きずっていましたが、どうしました?」
「今朝、人とぶつかってしまって…」
「少しよろしいですか?」
彼はしゃがんで私の足に触れるか触れないくらいの距離に手をかざした。青い光が放たれた。暖かい光。
ん?あら?腫れが引いた。もしかしてこれは
「治癒の魔法!!」
「はっ?」
ディラン様がびっくりしていた。
「治癒の魔法をご存知じゃないんですか?」
「えっ?へっ!」
いやはやここは魔科だ。治癒の魔法くらいできなきゃ…あ、いえ。わたしはできません。火なら使えるんです。
「知、知ってはいます。ただ身近に治癒の魔法を簡単に使える方がいなかったので…。すみません。驚かせてしまいました。」
「ルースは治癒の魔法に関して…あ、いえ、なんでもないで…」
ディラン様の顔がわたしの左奥に固定されていた。
わたしは振り返りその方向を見た。
教室の扉にはルースが立っていた。
「ルース!」
私は走ってルースの元に駆け寄った。
「シャーリー、走ったら駄目だよ」
「大丈夫よ。ディラン様が治してくれたわ。治癒の魔法よ!間近で見たのは初めてよ。ディランさんってすごいわ。」
ルースがディラン様に向かって手を挙げた。
ディラン様も手を挙げ返した。
さすが攻略対象だわ。さわやかだわ。
そうやってルースと帰ろうとしたら
政治経済の先生に話しかけられた。
どうも渡し忘れたプリントと取りに来てほしいらしい。
確かこの先生は宰相の息子だったかしら?
やだわ。この人も攻略対象!!
ひとまずお近づきにならなきゃ。
私はルースを待たせて先生に頼まれたプリントを取りに行った。
これで攻略対象のルースとディラン様、先生とは私的には接点ができたわ。
さあ!ヒロインいらっしゃっい。私が悪役令嬢よ。
ふふん!
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