乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました

雨夜 零

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初めての女友達

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 最初は飴色の髪の少女から始まった
「わ、私はユリカ・サリーナです。へ、へへ平民です。よよよろしくお願いします!」
 ユリカは、少し震えていたが元気よく言った
 彼女の第一印象は、底抜けな明るい素直そうな性格
 お団子にした飴色の髪に、明るい橙色の瞳のユリカは、ヒロインと同じ平民
 けれどそれを感じないほどの礼儀と明るさがある少女
 シエルは、どことなく━━と似ているな……と思ったがすぐにその考えを振り払い次に移った

 次は、駱駝らくだ色の髪をした双子の少女だった
「私は、アメリア・フルールです。そしてこちらが妹のユミリアです。一応末端の子爵家です。よろしくお願します。」  
「ユ、ユミリアです。よろしくお願いします。」
 末端と言えど貴族
 カーテシーも言葉遣いも板についている
 第一印象は、礼儀の正しい冷静な双子
 姉であるアメリアは、ポニーテールに勝気そうな髪と同色の猫目の美人
 妹であるユミリアは、ふわふわボブに可憐さの感じる緑色のタレ目の美少女だった
 けれどシエルは、二人とも見た目のタイプは違うが、性格は似ている事を知っている
 これは本当に偶々だった
 前に城下町で、妹であるユミリアが絡まれた所をシエルは見た事がある
 ユミリアが、嫌がっていたので助けようとした時……事は起きた
 ユミリアは、一撃で絡んできた男の…男の……急所を蹴り上げて撃退していた
 その後来たアメリアもユミリアから話を聞いたのか、急所を踏み潰していた
 この時一緒に来ていた執事兼護衛であるカイルは、「……女って恐ろしい」と、股を隠しながらボソッと呟いていた
 シエルはあの日の出来事から、二人の事を気になっていた
 そうして回って来たチャンス
 逃がす訳が無い
「ユリカさんにアメリアさんとユミリアさんですね!こちらこそよろしくお願いします!!」
 そう私が言うと、三人は驚いたように目を見開いた
「差別……しないんですか?」
 その声は、少しの期待と恐怖が混じり震えていた
 その言葉にシエルは、笑顔で「私は、仲良くなりたい人と関わるから。私にとってユリカさんもアメリアさんもユミリアさんも仲良くなりたい人だから!」と言いながら前世もこんな事あったな…そういえば━━と仲良くなった時は、私がこの言葉を言われたな……と、思い出に浸っていると、ポタッと音がした
 シエルが不思議に思い顔を上げると、三人共涙を流していた
 シエルはその状況に狼狽し、手を上下に忙しなく動かし「ど、どうしたの?大丈夫?」と、問いかけた
 その問いかけに対し三人は、涙を拭いて同時に言った
「わ、私嬉しかったんです。」
「え?」
「今まで私達は、下級貴族だから……平民だからと疎まれてきたんです。」
 そんな中、一流貴族であるスファルニア様に言われて嬉しかったんです。と、アメリアが言った
 でも一つ言わせて欲しい
 は嫌だ!!!
「そう、ですか……。もしよろしければ私と友達になりましょう!!私のこともシエルと呼んでください!」
 シエルは少し前のめりになりながら興奮した様子で言った
 
 この後、三人はシエルの言葉に驚き、暫し固まり、「私で本当にいいんですか?」と聞き、そんな三人にシエルが「三人だから……ユリカとアメリアとユミリアだからだよ!」と言い泣かせる事になり混乱するのは、また別の話

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