乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました

この世界って乙女ゲームの世界だったの!?

　《セレスティア学園》この学校は、まだベグニアス王国が女王制であった頃からある歴史的な学校だ
　賢王と呼ばれた初代女王であるセレスティア・Ａ・ベグニアスにちなんで名付けられたこの国唯一のベグニアス王国国立の学校であり、歴史だけでなく初代女王との関わりが"色々"と深い学校である
　セレスティア学園では、貴族の大体は卒業していて約10種類もの学科がある
　もちろん授業内容も教師も一流であり偏差値も高い
　そんなセレスティア学園では、平民での受験者が毎年多く国内外から数百人に及ぶが、入学者は毎年数人しかいない学校だ
　それなのにセレスティア学園に受験する平民が多いのには理由がある
　なぜならセレスティア学園を卒業した平民は卒業後どの職からも引っ張りだこという将来安定コースが、もれなく付いてくるという平民にとっては夢のような話だ
　だからどれだけ落ちる確率が高くても受ける生徒が後を絶たないのだ

　そんな歴史が長く平民に人気なセレスティア学園に1人の少女が見学に向かっている
　その顔は期待に目をキラキラと輝かしている
　そしてその少女はどれだけ楽しみなのかが伺える質問を5分おきに繰り返している
「あとどれ位で着くの？」
「うーん後5分くらいだよ」
「やったぁ楽しみ」
　そしてそれを見ていて質問に答えている両親と兄はあまりの可愛さに身悶えている
「あ、着いたよシエル」
「わぁすごい！広い！門が綺麗！！」
「ウグッ」
「可愛いわねぇ」
「カルム……シエルが可愛いのはわかるがもう少しシャキッとしなさい」
　…あれ？なんだろうこの既視感何処かでこの門を見た事がある？
　キーン 
「………………」
「シエル？」
「大丈夫か？」
「どこか具合が悪いの？」
　私はその言葉にハッと我に返り答えた
「大丈夫だよ」
　固まった理由は前世の"ある事"についての記憶を思い出したから
　その後私達は学園を回ったが正直"ある事"についての記憶のせいで私は全く耳に入ってこなかった

　そんなこんなで王都の屋敷に帰って来た私はすぐに部屋に戻り情報を整理した
　この懐かしい"ある事"についての記憶は...私がまだ学生だった頃親友の━━との記憶だ
　彼女と私は小中高大と全て同じな幼なじみだ
　付き合いが長いだけあって気の置けない仲でよく趣味の交換をしていた
　そんな━━が特にハマっていた趣味が乙女ゲームその中でも"聖なる乙女と一つの指輪～え？私はただの平民です～"というヒロインが15歳から18歳の間の学園生活での青春を描いた学園乙女ゲーム。━━は連日どこが良かったとかここまで進んだとか毎回報告して来ては、毎日「やってみて！」と私に進めるくらいにはハマっていた
　おかげで私もあらすじと登場人物、大まかなストーリーは知っていた
　だから私は気づいたこの世界が乙女ゲームの世界だと
「私の立場ってあれか何故か唯一名前があるモブ令嬢。━━が言うには「悲惨な過去を持つ令嬢」通称"悲惨令嬢"って言ってたっけ？」
「まぁでもいっか私はモブだからヒロインなるものとも悪役令嬢なるものとも関係ないし。でも…勉強面倒臭いし……うん！15歳までに勉強とマナーを完璧にしよう！」
　私は乙女ゲームのモブだからと、特に気にしなかった事を後に後悔することになるとは夢にも思わなかった