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救われた
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sideリアム
「どうしたの?大丈夫?」
その少女は純粋な"心配"を向けていた
それは私にとって両親以外の人に始めて向けられた"優しい"感情だった
その日私…いや俺は暗い部屋に光が差すように心が救われた
私は、生まれた時から孤独だった
両親は、それなりに息子として愛してくれたが周りは敵だらけ
人の弱点を探って探って見つけたら貶め嵌めて殺す
時には毒を盛ったり暗殺者を送ったりと直接命を狙う者もいた
そんな"敵"に囲まれた生活は次第に私の感情を殺していった
期待、信頼、悲しみ、恐れ、喜び、怒り、驚き…
そうしていつしか笑顔の仮面を貼り付けた孤独な存在となりかけていた
そんなある日、感情を無くしていく私を心配した両親に変装して城下街に行く事を進められた
王族特有の髪を赤褐色にし、瞳も深緑色にに変え眼鏡をかけた
鏡を見た私は、色を変えるだけでこうも印象が変わるものだと驚いた
そうして城下街にでたが…貴族令嬢はこうも醜いものだと再確認し気持ち悪くなった
いつも私に媚を売っている令嬢もこういう場所だと権力を振るい平民を貶めている
やはりどこでも貴族は醜い存在だと改めて理解した
それにしても…
「気持ち悪い」
久しぶりに城を出た事とただでさえ苦手な令嬢の醜い所を見たのが祟ったのだろう
そう思い道の端で蹲っていると声をかけられた
「どうしたの?大丈夫?」
私は声をかけられた方を向き目を見開いた
声をかけた少女は茶色の髪に紫瞳という平民に多い髪と珍しい瞳をしていた。何よりそこら辺の令嬢より見た目が美しかった
けれど何より驚いたのはその瞳に言葉と同様の感情を向けていたことだった
私はそれに驚きつい言葉を失った
目と前の少女は何の反応も見せない俺に対し、更に焦ったのか城では絶対に体験することの無いであろう所謂"お姫様抱っこ"をされそうになった
私…俺は彼女のその行動に我に返り焦って
「俺は大丈夫だ!!」
と人前でなら絶対に自分の事を"俺"、何て言わないのに言ってしまった
俺はその事に驚き焦った
貴族なら弱み…いわゆる弱点になる。けれど"それだけ"まだマシな方だ
けれど王族の場合"それだけ"なんかじゃ済まないくらい酷いことになる
最悪の場合クーデターなどを企んでいる貴族に付け入る隙を与える事になる
そう考え顔が真っ青になっていくと俺と同じように彼女の顔も同じように真っ青になっていく
どうしてだ?
「何で顔が真っ青なんだ?」
「え…だって貴方顔が真っ青ですよ!?」
「俺を心配しているのか?」
そんな訳あるわけないのに
「当たり前でしょう」
は?当たり前?
「君は見ず知らずの人がこのような状態になっていたら誰でも助けるのか?」
「もちろん!あっでもその人が罪人とかだったら捕まえるかもしれませんが……けれどそれ以外の人だったら声を掛けますよ?必要でしたら助けますし…」
「そうか……」
初めてかも知れない。他人の為にここまで行動のできる子に出会ったのは
その言葉は俺の心の鎖をいとも簡単に解いて、俺の事を確かに救った
「ありがとうもう大丈夫だ」
「本当ですか?」
この時でも俺の心配をするのか
「あぁじゃあ俺は帰るよ。またな」
「うん。またね」
嘘だまたななんて無い
彼女は平民
俺は王族
普通なら絶対に交わらない二人
もう会うことはないだろう
けれど…もしまた会えたら彼女がもし貴族だったら…
そんな馬鹿なことを考え首を横に振った
俺は……私は後ろ髪を引かれる気持ちでその場を去った
「どうしたの?大丈夫?」
その少女は純粋な"心配"を向けていた
それは私にとって両親以外の人に始めて向けられた"優しい"感情だった
その日私…いや俺は暗い部屋に光が差すように心が救われた
私は、生まれた時から孤独だった
両親は、それなりに息子として愛してくれたが周りは敵だらけ
人の弱点を探って探って見つけたら貶め嵌めて殺す
時には毒を盛ったり暗殺者を送ったりと直接命を狙う者もいた
そんな"敵"に囲まれた生活は次第に私の感情を殺していった
期待、信頼、悲しみ、恐れ、喜び、怒り、驚き…
そうしていつしか笑顔の仮面を貼り付けた孤独な存在となりかけていた
そんなある日、感情を無くしていく私を心配した両親に変装して城下街に行く事を進められた
王族特有の髪を赤褐色にし、瞳も深緑色にに変え眼鏡をかけた
鏡を見た私は、色を変えるだけでこうも印象が変わるものだと驚いた
そうして城下街にでたが…貴族令嬢はこうも醜いものだと再確認し気持ち悪くなった
いつも私に媚を売っている令嬢もこういう場所だと権力を振るい平民を貶めている
やはりどこでも貴族は醜い存在だと改めて理解した
それにしても…
「気持ち悪い」
久しぶりに城を出た事とただでさえ苦手な令嬢の醜い所を見たのが祟ったのだろう
そう思い道の端で蹲っていると声をかけられた
「どうしたの?大丈夫?」
私は声をかけられた方を向き目を見開いた
声をかけた少女は茶色の髪に紫瞳という平民に多い髪と珍しい瞳をしていた。何よりそこら辺の令嬢より見た目が美しかった
けれど何より驚いたのはその瞳に言葉と同様の感情を向けていたことだった
私はそれに驚きつい言葉を失った
目と前の少女は何の反応も見せない俺に対し、更に焦ったのか城では絶対に体験することの無いであろう所謂"お姫様抱っこ"をされそうになった
私…俺は彼女のその行動に我に返り焦って
「俺は大丈夫だ!!」
と人前でなら絶対に自分の事を"俺"、何て言わないのに言ってしまった
俺はその事に驚き焦った
貴族なら弱み…いわゆる弱点になる。けれど"それだけ"まだマシな方だ
けれど王族の場合"それだけ"なんかじゃ済まないくらい酷いことになる
最悪の場合クーデターなどを企んでいる貴族に付け入る隙を与える事になる
そう考え顔が真っ青になっていくと俺と同じように彼女の顔も同じように真っ青になっていく
どうしてだ?
「何で顔が真っ青なんだ?」
「え…だって貴方顔が真っ青ですよ!?」
「俺を心配しているのか?」
そんな訳あるわけないのに
「当たり前でしょう」
は?当たり前?
「君は見ず知らずの人がこのような状態になっていたら誰でも助けるのか?」
「もちろん!あっでもその人が罪人とかだったら捕まえるかもしれませんが……けれどそれ以外の人だったら声を掛けますよ?必要でしたら助けますし…」
「そうか……」
初めてかも知れない。他人の為にここまで行動のできる子に出会ったのは
その言葉は俺の心の鎖をいとも簡単に解いて、俺の事を確かに救った
「ありがとうもう大丈夫だ」
「本当ですか?」
この時でも俺の心配をするのか
「あぁじゃあ俺は帰るよ。またな」
「うん。またね」
嘘だまたななんて無い
彼女は平民
俺は王族
普通なら絶対に交わらない二人
もう会うことはないだろう
けれど…もしまた会えたら彼女がもし貴族だったら…
そんな馬鹿なことを考え首を横に振った
俺は……私は後ろ髪を引かれる気持ちでその場を去った
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