乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました

妹は...

　side兄


　私…俺にとって妹、シエル・スファルニアは天使である
　
　スファルニア公爵家は、
　父  ブルーワ・スファルニア
　母  ヨランダ・スファルニア
　そして俺 カルム・スファルニア
　何事にも冷静で無関心で優秀な家族
　何事にも興味を持たず感情を持たないそれがスファルニア公爵家
　けれどある日…

　《そこに例外が産まれた》

　俺の母と父は、契約結婚利害の一致で組まれた婚姻で双方特になんの感情もなく無関心
　家でもどこでも二人の関係は、仕事の同僚それ以上でも以下でもなかった
　俺自身も別にそんな事どうでもよく言われたことをやる日々の中特に疑問も何も無かった
　そんな関係が崩れたのは俺が10歳の時
　…妹のシエル・スファルニアが産まれた時だ
　   シエルの余りの可愛さに魅了された母と父は、親バカで過保護になった
　まぁかくいう俺もシスコンだが…
　輝く俺と同じ青銀の髪とアメジストのように輝く大きく丸い瞳に小さい手
　感情のないと言われる公爵家に産まれた感情豊かな表情を持つ妹は、まさに公爵家の天使だった
　けれどそんなある日……我が家の天使が誘拐された
　信頼していたメイドが産まれてまだ四ヶ月のシエルと2人きりの時に魔法で洗脳され誘拐の協力をした
　その事に母と父は、たいそう怒りそのメイドを領地で私刑を行い処罰した
　多分あの出来事が唯一母と父が感情で動いた出来事だろう
　この事には、領民も目を剥いた
　
　《公爵夫妻は互いに無関心である》
　
　この事は、領民なら誰でも知っている
　スファルニア公爵家の人間は、何があったとしても全てルールに則った行動をする
　誰かが犯罪を犯したらどんな犯罪でも法に則った処罰を
　災害が起きたら最善の解決策を
　それが理由で領民から見る公爵夫妻は、
　
　《優秀だが関心はない》
　
　それが領民から見る公爵夫妻の印象だった
　けれど私刑を行った事がきっかけで、産まれたお嬢様は公爵家夫妻に《感情》を授けた天使だ女神なんだと騒ぎ出し、シエルの捜索は領民と公爵家が所有している軍の約1000万人以上で行われたが見つかることはなかった


　そうしてシエルが誘拐されてから12年もの月日が経った
　今でもスファルニア公爵家は、シエルを探していて俺も世界中を回って探している
　今日は、イーサン商会の所有している森に狩猟と気分転換のために馬を走らせに来た
　そんな時見つけた…
　楽しそうに鼻歌を歌いながら青銀の髪をなびかせながら歩く少女を
「シエル？」
「……？誰ですか？」
　振り返った少女の瞳は、アメジストのような紫…
「シエルなのか？」
「そうですけど」
　名前がシエルで青銀の髪を持ちアメジストのような紫の瞳の12歳くらいの少女...

　シエルだ

　私は、余りの嬉しさに人生で初めて涙を流した

「え！？大丈夫ですか？」
「会いたかった俺の妹よ」
「え…し？」
　俺がそう言った瞬間シエルの顔は真っ青になった
　え……？
「どうしたのだ？」
「………転移」
「え？シエル？」
　俺は、暫し呆然とした
　やっと会えたと思えた妹に逃げられた？
　俺は、我に返ると家に転移しシエルと会った事を話して捜索隊を作るように言った
　まさかお父様が隊長で副隊長がお母様と俺になるとは、誰も予想していなかった

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　公爵家当主が隊長で副隊長が公爵夫人とご子息になった事で騎士団団長と副団長のみならずメイド、執事その他の人達が真っ青になったのは別の話