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本編
111.「ヘ……ヘコヘコ……♡」
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前利は武家の生まれだ。だが、今は信葉に拾われた身であり身分的にはそこらの雑兵と変わりはない。
今回功を立てた事で出世する事が出来るかもしれないがそれも無事帰ってからの話。信葉の親衛隊達もまた、大多数の兵士と同じく野営の時は草むらの上での雑魚寝である。
「あーあ私達も姉御みたいに幕舎の中で寝たいもんだ」
前利の同僚、笹がぼやくようにそう言った。
「あたしらみたいな下っ端じゃまだそんな贅沢な事出来ないッスよ……」
同じく同僚の川知は笹の言葉にしょんぼりと肩を落とす。
親衛隊と言えばは聞こえがいいものの、実際はただの一般兵……。今回の突撃では前利のみならず、信葉の親衛隊全体の知名度は上がり全軍にその名と武勇が知れ渡ったが、それでも位は未だ単なる兵士。このような戦を幾度かこなせばそのうちに身分は上がるとは思うが……今回の無謀な突撃は彼女達にしても何度も繰り返したくはないのだ。
「文句言ってないで早く寝るぞ。明日も早いんだからな」
前利がそう言うと二人は「はいはい」と素直に従いもぞもぞと草むらに横になる。
それに倣い周囲にいた親衛隊の面々も次々と同じ様に横になった。
辺りには静寂が訪れ、虫の鳴く声だけが響いている。
「……」
前利は寝そべりながら月の明かりをぼんやりと眺め、ふと今日の事を思い出していた。
今日は色んな事があった。信葉の無謀な突撃に突き合わされた。幸運にも白狐が力を貸してくれたお陰で生き残れた上にとんでもない手柄すら立ててしまった。
信葉という強烈な主を持つと、時に振り回されて命がいくつあっても足りないと感じる事もある。だが今日の様に、何もしていないのに幸運や功績が転がり込んでくる事もあるのだ……。白狐の功績だが。
しかしそれでも、戦場の中で少しだけ心が満たされるのを感じた。
「(まぁ、こういうのも悪くないのかもな……)」
昔は自分の生まれを疎んだ事もあったのに今では不思議とどうでも良くなってしまった。やはりこれも信葉……いや、白狐のおかげなのだろうか?
そう思うと何故か、自然と笑みが零れた。そしてそのままゆっくりと目を閉じた。
───と、その時。もぞもぞと何かが前利の身体を探るように這ってきた。
「ん?」
訝しげに目を開け下を見る。そこには白いキツネの耳と尻尾を揺らす小さな人物……白狐が前利の身体に抱き着くように身を寄せていた。
白狐のもふもふの四尾の尻尾が前利を撫でるようにくすぐっている。
「なっ!?」
驚いて思わず声を張り上げる。しかし白狐は前利に抱き着くように身を寄せたまま動かず、もふもふとした尻尾をゆらゆらと揺らしている。
「ふにゃあ……」
な、なにをやっているんだコイツは……と思う前利であったが、そういえば一緒に寝る事を先程約束したな……と思い出す。
しかしまさかここまでくっ付いてくるとは思わなかったが……。
「お、おい白狐。くっつきすぎだ……!少し離れろ……!」
「え?なんで?」
「なんでって……そりゃあ、他の奴等にバレたら……その……」
恥ずかしいし、と前利は顔を赤らめながら口ごもる。しかし白狐は不思議そうな顔で小首をかしげた。
「なんで?別に何も恥ずかしい事ないよ?」
「お、お前なぁ……。抱き着いて一緒に寝る奴だなんて何処にいんだよ?しかも女同士で……」
「でも信根さまとはこうして一緒に抱き合いながら寝てたけど」
信根……?あぁ、信葉の妹君か。前利は信根の事をよくは知らないが、その名前くらいは知っている。
信葉と違って品行方正で可憐な姫君。武勇の噂は聞かないが、いずれは姉に似て勇猛な将として名を馳せるのだろう。
「っておいマジか?抱き合って寝てる?え、なんで……?」
前利は不思議だった。貴人の感覚は彼女には分からないが、それでも抱き合って寝るという習慣は彼女の中ではあり得なかったからだ。
「なんでって、それが普通だからだよ。抱き合って寝ると温かいし、すごく落ち着くから」
白狐は屈託のない笑顔でそう言った。その笑顔に前利はついそれを普通として受け入れてしまいそうになる。
実際は抱き合って寝ているのは信根一人だけなのだが、いつの間にか白狐の中ではこの世界の女性とは抱き合って寝るのが普通という謎の価値観が根付いていたのだった。
決して白狐が変態的な行為を前利にしたいからそう言っているわけではなく(少しはあるが)、白狐は心の底からそう信じていた。
「それに、その方が安心するから。お互い背中を向けていると、近くにいても遠く離れている感じがして怖いから」
白狐のその言葉に、前利はハッとする。そして白狐を見る目を細めた。
もしかしてこいつも怖いのだろうか?自分と同じ様に、戦を経験して怖くて眠れないのだろうか?
考えたらこの小さな半化生は前利よりも遥かに小さな体躯と幼い容姿をしている。いくら忍者であろうとも、その姿にそぐわぬ力を振るったとしても……怖いものは怖いのだ。
「そう……だよな」
前利は自分と白狐に言い聞かせるように呟くと、身体を寄せてきた白狐をそっと抱き寄せた。
すると白狐は嬉しそうに身体をすり寄せながら微笑んでくる。その姿はまるで小さめの猫のようで、思わず頭を撫でてやりたくなる衝動に駆られた。
「えへへ、前利あったかい……」
白狐はそう言って前利の胸に顔を埋める。その仕草にどこか愛らしさを感じながら、前利も白狐の頭を撫でた。
柔らかくて綺麗な白い髪だった。手入れをしているわけでもないだろうに艶やかで肌触りがいい。指で梳く度にさらさらと零れるように落ちていき、髪の甘い香りが鼻をくすぐる。
そんな具合のいい髪を撫でながらふと気が付くと、いつの間にか彼女の身体は白狐の四本の太い尻尾に包まれ、まるで布団に包まれている様な心地よさに包まれていた。
白狐の尻尾は温かった。彼の体温が高いせいだろうか、まるで湯たんぽのようにじんわりと熱を持っているように感じる。そしてふわふわで柔らかい毛が身体を包み込む様に撫でてくる。その優しい感触に、前利は思わずうとうとしてしまう……。
「(暖かい……気持ちいいな)」
この尻尾に抱かれているだけで、安心できる。
戦の恐怖も、人を殺した罪悪感も、何かに対する憎しみも、全てを忘れさせてくれるような優しい温もりだ。
前利は、モフモフのキツネ布団を堪能した。そうして暫く彼女が微睡の中を歩いていた時。不意に彼女は下腹部に感じる熱い何かをギュッと押し付けられた。
「……ん?」
なんだ、この熱いものは。なにやら柔らかいような、固いようなどっちつかずのものが自身に押し付けられている。
前利は訳もわからず、ふと下を見た。すると自分の腹部に白狐の股座が押し当てられている事に気が付く。
「んん?」
前利は思わず首を傾げた。白狐は何故か内股をモジモジと擦り合わせており、彼の細い身体にそぐわない何かが膨らみを帯びている様に見えたからだ。
そんな状態を確認した瞬間、彼女の身体に雷でも落ちたような衝撃が走った。そしてその瞬間何かを察したように目を見開き「はっ!?」と口をぽかんと開く。
「は、はぁ!?お、お前な、なんで裸……つーか、そそそそれ……!?」
いつの間にか白狐は裸になっていた。どうやって脱いだのかは知らないが、これが忍者の早着替えか……と一瞬感心したがそれどころではない。
問題なのは白狐が裸になっている点ではなく(それも重要だが)白狐の股間に付いているものだった。
「な、なんじゃそりゃー!?!?」
前利はその光景に息をのむ。思わず白狐の股座から視線を逸らすが、それでも目に映るのは丸々とした立派な巨大な竿と、その下にぶら下がる玉だった。
竿の先端からは何やら透明な液体が雫を作り、それが脈打ちながら前利の下腹部を服の上からを突いている。その熱さや粘り気を感じさせる先走り汁を服に擦り付けられている事がわかった瞬間、前利は全身の血が沸騰しそうな感覚を覚えた。
「な、ななな……何してんだお前ぇええ!?」
前利は顔を真っ赤にして叫んだ。そして身体を捩って逃げようとするが、尻尾に絡みつかれているせいで逃げられない。
白狐は頬を真っ赤に染めながら恥ずかしそうに「ふにゃ」と声を上げた。
「シーッ♡♡」
白狐の尻尾が前利の口に巻き付き阻止する。
「ん!?んむううううう!!??」
前利は口を尻尾に塞がれてモゴモゴと何かを叫ぶが、ふとここで叫ぶと同僚たちが目を覚ましてしなう事に気付いた。
この状況で誰かに見られたらまずい……!前利の本能がそれを察すると、彼女は尻尾に口を塞がられているのにもかかわらず小声で叫ぶという器用な芸当を見せてしまう。
「お、おい白狐……!そ、それなんだよ……!?そ、それっておちんち……!?」
前利が暴れた拍子に尻尾が口から外れたが、しかし前利は顔を真っ赤にしたまま信じられないという様子で白狐の股座を見つめていた。
「おまっ……なんでそんなもん付いてんだよ!?!?」
「え?そりゃあだって僕、男だし……♡」
───は?
前利の思考が停止した。
今、この半化生は何と言った?おと……男?そんな馬鹿な。前利は言葉を失ったまま白狐の股間を凝視した。
すると白狐は視線を下に下げながら、恥ずかしそうにもじもじと股をすり合わせる。その動きに合わせて彼の股座に生えた巨大な竿がブルン、と震える。
前利は男を知らない。だが、その身体の造りが女と違う事くらいは知っていた。
女を本能的に屈服させてしまうような、雄としての象徴。それを白狐は備えているのだ。
「お……お……男……?お前が男……?」
よく考えてみたら白狐は自分が女だとは一言も言っていないし、そもそもそんな発想自体が無かった。
「僕、男の子だよ?女の子じゃないの。だからこうやってお股におちんちん付いてるの」
白狐が首を傾げながら言う。そして前利は「マジかよ……」と顔を青ざめさせながら呟いた。
「お前男なのかよ……!?じゃあなんで女物の服とか着てんだよ!?」
男の服装と言えば着流しが一般的だ。
しかし白狐は忍装束を着ている事が多く、そして忍びというのは基本的に女しかならないと思っていたからこそ、前利は白狐を女だと決めつけていたのだ。
「別に女物の服を着てたつもりはなかったけど……うーん?」
前利の言葉に白狐は首を傾げる。何故みんな自分を女だと思うのだろうか?もしかしたら全員、自分を女だと思っているのか……?
とそんな考えが白狐の脳裏に思い浮かぶ。
しかし、そんな考えは一瞬で宇宙の彼方にすっ飛んでしまった。
何故なら白狐の顔面の前にある前利の身体から発せられる若い女の汗と性の匂いが白狐の本能を刺激したからだ。
まぁ女とか男とかどうでもいいか、と白狐は思った。何故なら今の彼は本能に支配された一匹のオスであったのだから。
「ね、ねぇ前利……♡」
白狐は荒い息遣いで前利に顔を近づけた。そして至近距離で彼女の顔を見詰める。
その顔は上気しており、目はトロンと蕩けているように見えた。頬も赤くなっており、まるで熱があるようだった。
そんな白狐に熱っぽい視線を浴びせられ、前利は思わず息を呑む。そして気が付くと彼の身体から発せられる熱が自分にまで移ってしまったように身体が火照り、汗ばんだ衣服がぴたりと肌に吸い付いてくるのを感じた。
「お、おい……近いって……」
前利は顔を真っ赤にしながら白狐の身体を遠ざける。しかし白狐は構わず身体をすり寄せながらこう言った。
「ヘ……ヘコヘコ……♡」
「は?」
「ヘコヘコさせてぇ……♡」
白狐の言葉に善利は怪訝な表情を浮かべる。ヘコヘコ……?どういう事だろうか?
「な、何言ってんだ?」
「だってぇ……身体が熱くてしょうがないんだよぉ……。おちんちんもムズムズするしぃ……」
そう言って白狐は身体をくねらせる。その拍子に股間のモノが前利の露出した太ももに擦れ、それだけで白狐は「あんっ♡」と可愛らしい声を上げた。
前利の張りのある太もも……脂肪と筋肉の比率が絶妙で、しかし柔らかさも兼ね備えた彼女の太ももに竿を擦らせると白狐は甘い声を漏らした。
その感触に前利が「ひゃんッ」と声を上げながら逃げようとする。しかしその腰を尻尾でがっしりと掴まれ、逃げる事ができなかった。
「び、白狐……!お、お前が男なのは分かったからは、離れろって!」
前利は不良だが常識があった。この世界では男というのは女に忌避感を抱き、女とこうして近くにいるだけで嫌悪を抱くものだ。
だから前利は白狐が男なら彼もまた女とこうして抱き合っているのはおかしいと思いそう言った。しかし白狐の反応は違った。
「前利の太もも気持ちいいよぉ……♡」
なんと彼は自ら女に……前利にくっつきおちんちんを擦りつけていたのだ。
「前利の太ももで僕のおちんちんマッサージさせてよぉ……♡」
そう言って白狐は前利の太ももの間に自らのモノを挟ませてきた。そしてゆっくりと腰を前後に動かし始める。
「ちょ、おま……!な、な、なんで……!」
白狐の脳は快楽に支配されているせいで正常な思考などできる筈もなかった。むしろヘコヘコの快楽を信根で学習したせいか、余計に性への抵抗が薄れているようにすら思える。
そしてその衝動は白狐を夢中にさせた。いつの間にか白狐の腰の動きは加速し、激しく前利の太ももにモノを打ち付ける。
「び、白狐!まずいって!お、お前が男なら私なんかに……うひゃあ!?♡」
太ももの間に熱い棒が滑り込み、それが中で前後左右に激しく動く感覚に前利は身体をビクンと震わせた。そしてモノの先端から分泌される粘着質な汁が潤滑油となり滑りを良くしていく。
熱く滾るおちんちんが太ももを圧迫し、自らの股座にもじんわりと熱が込み上げてくる。まるで太ももの中が犯されているかのようで、前利は顔を真っ赤にしながら未知の感覚に襲われた。
「びゃ、白狐……!おま、お前……ダメだって……!♡」
「やだぁ!♡止められないのぉ♡気持ちいいの止まらないよぉ♡」
そう言って白狐は腰を振りながらおちんちんを前利に擦り続ける。股から感じる彼の温度と感触に興奮を覚えながら前利も初めて味わう快感に戸惑い、困惑の表情を浮かべる。
しかし太ももの中で熱く硬く大きくなっていく白狐のモノに恐怖を覚えながらも、何故かその感触や熱に愛おしさを感じ始めていたのも事実だった。
「(なんだこれ……身体が熱くて頭がボーッとする……)」
前利は自分の身体に生じた未知の感覚に戸惑うが、その答えはすぐに分かった。白狐が自分の股座を手で弄り始めたのだ。
「!?そ、そこはダメっ……!」
「にゃあ!♡」
前利の言葉も虚しく、白狐は彼女の衣服の中に手を突っ込むと前利の秘所を弄り始める。
「ば、ばかやろ……っ!そ、そこはダメだって……!だ……ひゃあん!?♡♡」
「前利はここが弱いんでしょ?なんとなく分かるの!♡」
そう言って白狐は割れ目に指を這わせる。そしてクリトリスを指で摘まみ引っ張り上げたのだ。その瞬間前利の身体がビクッ!と跳ねたと思ったら彼女は自分の腕で顔を覆い隠しながら激しく悶え始めた。
先程までとは比べ物にならないほどの快楽が彼女の身体に襲いかかる。そしてその快楽は彼女の脳内を痺れさせ、理性をぐずぐずに溶かしていった。
「(だ……ダメだって!横で笹や川知が寝てるのに……!♡)」
前利の太ももに挟まった白狐のモノがどんどんと脈打ち、熱を増していく。それと同時に白狐の口から漏れる吐息も荒くなっていくのが分かった。
「はぁ♡はぁ♡前利ぃ♡僕もう我慢できないよぉ♡」
「!?お、おいまさかお前……」
その言葉に前利は息を飲む。そして彼が何をしようとしているのかを瞬時に理解してしまった。
男との経験はないが何故か知識だけはある彼女は必至で白狐を止めようと口を開く。
「ば、馬鹿!や、やめ……」
♢ ♢ ♢
♡♡♡♡♡♡♡♡
♢ ♢ ♢
どちらからともなく唇を重ね合わせた。それは甘く蕩けるようなキスであった。
そして前利は服や下着を全て脱ぎ、生まれたままの姿になった。そして草むらに横になると、白狐の尻尾に包まれながら二人は密着するようにして抱き合った。
「わ、私はお前の事別になんとも思ってねーけどよ……お前がどうしてもっていうからさ、その……」
「僕は前利の事好きぃ♡大好きぃ♡」
ドクンと。前利の鼓動が高鳴った。
今回功を立てた事で出世する事が出来るかもしれないがそれも無事帰ってからの話。信葉の親衛隊達もまた、大多数の兵士と同じく野営の時は草むらの上での雑魚寝である。
「あーあ私達も姉御みたいに幕舎の中で寝たいもんだ」
前利の同僚、笹がぼやくようにそう言った。
「あたしらみたいな下っ端じゃまだそんな贅沢な事出来ないッスよ……」
同じく同僚の川知は笹の言葉にしょんぼりと肩を落とす。
親衛隊と言えばは聞こえがいいものの、実際はただの一般兵……。今回の突撃では前利のみならず、信葉の親衛隊全体の知名度は上がり全軍にその名と武勇が知れ渡ったが、それでも位は未だ単なる兵士。このような戦を幾度かこなせばそのうちに身分は上がるとは思うが……今回の無謀な突撃は彼女達にしても何度も繰り返したくはないのだ。
「文句言ってないで早く寝るぞ。明日も早いんだからな」
前利がそう言うと二人は「はいはい」と素直に従いもぞもぞと草むらに横になる。
それに倣い周囲にいた親衛隊の面々も次々と同じ様に横になった。
辺りには静寂が訪れ、虫の鳴く声だけが響いている。
「……」
前利は寝そべりながら月の明かりをぼんやりと眺め、ふと今日の事を思い出していた。
今日は色んな事があった。信葉の無謀な突撃に突き合わされた。幸運にも白狐が力を貸してくれたお陰で生き残れた上にとんでもない手柄すら立ててしまった。
信葉という強烈な主を持つと、時に振り回されて命がいくつあっても足りないと感じる事もある。だが今日の様に、何もしていないのに幸運や功績が転がり込んでくる事もあるのだ……。白狐の功績だが。
しかしそれでも、戦場の中で少しだけ心が満たされるのを感じた。
「(まぁ、こういうのも悪くないのかもな……)」
昔は自分の生まれを疎んだ事もあったのに今では不思議とどうでも良くなってしまった。やはりこれも信葉……いや、白狐のおかげなのだろうか?
そう思うと何故か、自然と笑みが零れた。そしてそのままゆっくりと目を閉じた。
───と、その時。もぞもぞと何かが前利の身体を探るように這ってきた。
「ん?」
訝しげに目を開け下を見る。そこには白いキツネの耳と尻尾を揺らす小さな人物……白狐が前利の身体に抱き着くように身を寄せていた。
白狐のもふもふの四尾の尻尾が前利を撫でるようにくすぐっている。
「なっ!?」
驚いて思わず声を張り上げる。しかし白狐は前利に抱き着くように身を寄せたまま動かず、もふもふとした尻尾をゆらゆらと揺らしている。
「ふにゃあ……」
な、なにをやっているんだコイツは……と思う前利であったが、そういえば一緒に寝る事を先程約束したな……と思い出す。
しかしまさかここまでくっ付いてくるとは思わなかったが……。
「お、おい白狐。くっつきすぎだ……!少し離れろ……!」
「え?なんで?」
「なんでって……そりゃあ、他の奴等にバレたら……その……」
恥ずかしいし、と前利は顔を赤らめながら口ごもる。しかし白狐は不思議そうな顔で小首をかしげた。
「なんで?別に何も恥ずかしい事ないよ?」
「お、お前なぁ……。抱き着いて一緒に寝る奴だなんて何処にいんだよ?しかも女同士で……」
「でも信根さまとはこうして一緒に抱き合いながら寝てたけど」
信根……?あぁ、信葉の妹君か。前利は信根の事をよくは知らないが、その名前くらいは知っている。
信葉と違って品行方正で可憐な姫君。武勇の噂は聞かないが、いずれは姉に似て勇猛な将として名を馳せるのだろう。
「っておいマジか?抱き合って寝てる?え、なんで……?」
前利は不思議だった。貴人の感覚は彼女には分からないが、それでも抱き合って寝るという習慣は彼女の中ではあり得なかったからだ。
「なんでって、それが普通だからだよ。抱き合って寝ると温かいし、すごく落ち着くから」
白狐は屈託のない笑顔でそう言った。その笑顔に前利はついそれを普通として受け入れてしまいそうになる。
実際は抱き合って寝ているのは信根一人だけなのだが、いつの間にか白狐の中ではこの世界の女性とは抱き合って寝るのが普通という謎の価値観が根付いていたのだった。
決して白狐が変態的な行為を前利にしたいからそう言っているわけではなく(少しはあるが)、白狐は心の底からそう信じていた。
「それに、その方が安心するから。お互い背中を向けていると、近くにいても遠く離れている感じがして怖いから」
白狐のその言葉に、前利はハッとする。そして白狐を見る目を細めた。
もしかしてこいつも怖いのだろうか?自分と同じ様に、戦を経験して怖くて眠れないのだろうか?
考えたらこの小さな半化生は前利よりも遥かに小さな体躯と幼い容姿をしている。いくら忍者であろうとも、その姿にそぐわぬ力を振るったとしても……怖いものは怖いのだ。
「そう……だよな」
前利は自分と白狐に言い聞かせるように呟くと、身体を寄せてきた白狐をそっと抱き寄せた。
すると白狐は嬉しそうに身体をすり寄せながら微笑んでくる。その姿はまるで小さめの猫のようで、思わず頭を撫でてやりたくなる衝動に駆られた。
「えへへ、前利あったかい……」
白狐はそう言って前利の胸に顔を埋める。その仕草にどこか愛らしさを感じながら、前利も白狐の頭を撫でた。
柔らかくて綺麗な白い髪だった。手入れをしているわけでもないだろうに艶やかで肌触りがいい。指で梳く度にさらさらと零れるように落ちていき、髪の甘い香りが鼻をくすぐる。
そんな具合のいい髪を撫でながらふと気が付くと、いつの間にか彼女の身体は白狐の四本の太い尻尾に包まれ、まるで布団に包まれている様な心地よさに包まれていた。
白狐の尻尾は温かった。彼の体温が高いせいだろうか、まるで湯たんぽのようにじんわりと熱を持っているように感じる。そしてふわふわで柔らかい毛が身体を包み込む様に撫でてくる。その優しい感触に、前利は思わずうとうとしてしまう……。
「(暖かい……気持ちいいな)」
この尻尾に抱かれているだけで、安心できる。
戦の恐怖も、人を殺した罪悪感も、何かに対する憎しみも、全てを忘れさせてくれるような優しい温もりだ。
前利は、モフモフのキツネ布団を堪能した。そうして暫く彼女が微睡の中を歩いていた時。不意に彼女は下腹部に感じる熱い何かをギュッと押し付けられた。
「……ん?」
なんだ、この熱いものは。なにやら柔らかいような、固いようなどっちつかずのものが自身に押し付けられている。
前利は訳もわからず、ふと下を見た。すると自分の腹部に白狐の股座が押し当てられている事に気が付く。
「んん?」
前利は思わず首を傾げた。白狐は何故か内股をモジモジと擦り合わせており、彼の細い身体にそぐわない何かが膨らみを帯びている様に見えたからだ。
そんな状態を確認した瞬間、彼女の身体に雷でも落ちたような衝撃が走った。そしてその瞬間何かを察したように目を見開き「はっ!?」と口をぽかんと開く。
「は、はぁ!?お、お前な、なんで裸……つーか、そそそそれ……!?」
いつの間にか白狐は裸になっていた。どうやって脱いだのかは知らないが、これが忍者の早着替えか……と一瞬感心したがそれどころではない。
問題なのは白狐が裸になっている点ではなく(それも重要だが)白狐の股間に付いているものだった。
「な、なんじゃそりゃー!?!?」
前利はその光景に息をのむ。思わず白狐の股座から視線を逸らすが、それでも目に映るのは丸々とした立派な巨大な竿と、その下にぶら下がる玉だった。
竿の先端からは何やら透明な液体が雫を作り、それが脈打ちながら前利の下腹部を服の上からを突いている。その熱さや粘り気を感じさせる先走り汁を服に擦り付けられている事がわかった瞬間、前利は全身の血が沸騰しそうな感覚を覚えた。
「な、ななな……何してんだお前ぇええ!?」
前利は顔を真っ赤にして叫んだ。そして身体を捩って逃げようとするが、尻尾に絡みつかれているせいで逃げられない。
白狐は頬を真っ赤に染めながら恥ずかしそうに「ふにゃ」と声を上げた。
「シーッ♡♡」
白狐の尻尾が前利の口に巻き付き阻止する。
「ん!?んむううううう!!??」
前利は口を尻尾に塞がれてモゴモゴと何かを叫ぶが、ふとここで叫ぶと同僚たちが目を覚ましてしなう事に気付いた。
この状況で誰かに見られたらまずい……!前利の本能がそれを察すると、彼女は尻尾に口を塞がられているのにもかかわらず小声で叫ぶという器用な芸当を見せてしまう。
「お、おい白狐……!そ、それなんだよ……!?そ、それっておちんち……!?」
前利が暴れた拍子に尻尾が口から外れたが、しかし前利は顔を真っ赤にしたまま信じられないという様子で白狐の股座を見つめていた。
「おまっ……なんでそんなもん付いてんだよ!?!?」
「え?そりゃあだって僕、男だし……♡」
───は?
前利の思考が停止した。
今、この半化生は何と言った?おと……男?そんな馬鹿な。前利は言葉を失ったまま白狐の股間を凝視した。
すると白狐は視線を下に下げながら、恥ずかしそうにもじもじと股をすり合わせる。その動きに合わせて彼の股座に生えた巨大な竿がブルン、と震える。
前利は男を知らない。だが、その身体の造りが女と違う事くらいは知っていた。
女を本能的に屈服させてしまうような、雄としての象徴。それを白狐は備えているのだ。
「お……お……男……?お前が男……?」
よく考えてみたら白狐は自分が女だとは一言も言っていないし、そもそもそんな発想自体が無かった。
「僕、男の子だよ?女の子じゃないの。だからこうやってお股におちんちん付いてるの」
白狐が首を傾げながら言う。そして前利は「マジかよ……」と顔を青ざめさせながら呟いた。
「お前男なのかよ……!?じゃあなんで女物の服とか着てんだよ!?」
男の服装と言えば着流しが一般的だ。
しかし白狐は忍装束を着ている事が多く、そして忍びというのは基本的に女しかならないと思っていたからこそ、前利は白狐を女だと決めつけていたのだ。
「別に女物の服を着てたつもりはなかったけど……うーん?」
前利の言葉に白狐は首を傾げる。何故みんな自分を女だと思うのだろうか?もしかしたら全員、自分を女だと思っているのか……?
とそんな考えが白狐の脳裏に思い浮かぶ。
しかし、そんな考えは一瞬で宇宙の彼方にすっ飛んでしまった。
何故なら白狐の顔面の前にある前利の身体から発せられる若い女の汗と性の匂いが白狐の本能を刺激したからだ。
まぁ女とか男とかどうでもいいか、と白狐は思った。何故なら今の彼は本能に支配された一匹のオスであったのだから。
「ね、ねぇ前利……♡」
白狐は荒い息遣いで前利に顔を近づけた。そして至近距離で彼女の顔を見詰める。
その顔は上気しており、目はトロンと蕩けているように見えた。頬も赤くなっており、まるで熱があるようだった。
そんな白狐に熱っぽい視線を浴びせられ、前利は思わず息を呑む。そして気が付くと彼の身体から発せられる熱が自分にまで移ってしまったように身体が火照り、汗ばんだ衣服がぴたりと肌に吸い付いてくるのを感じた。
「お、おい……近いって……」
前利は顔を真っ赤にしながら白狐の身体を遠ざける。しかし白狐は構わず身体をすり寄せながらこう言った。
「ヘ……ヘコヘコ……♡」
「は?」
「ヘコヘコさせてぇ……♡」
白狐の言葉に善利は怪訝な表情を浮かべる。ヘコヘコ……?どういう事だろうか?
「な、何言ってんだ?」
「だってぇ……身体が熱くてしょうがないんだよぉ……。おちんちんもムズムズするしぃ……」
そう言って白狐は身体をくねらせる。その拍子に股間のモノが前利の露出した太ももに擦れ、それだけで白狐は「あんっ♡」と可愛らしい声を上げた。
前利の張りのある太もも……脂肪と筋肉の比率が絶妙で、しかし柔らかさも兼ね備えた彼女の太ももに竿を擦らせると白狐は甘い声を漏らした。
その感触に前利が「ひゃんッ」と声を上げながら逃げようとする。しかしその腰を尻尾でがっしりと掴まれ、逃げる事ができなかった。
「び、白狐……!お、お前が男なのは分かったからは、離れろって!」
前利は不良だが常識があった。この世界では男というのは女に忌避感を抱き、女とこうして近くにいるだけで嫌悪を抱くものだ。
だから前利は白狐が男なら彼もまた女とこうして抱き合っているのはおかしいと思いそう言った。しかし白狐の反応は違った。
「前利の太もも気持ちいいよぉ……♡」
なんと彼は自ら女に……前利にくっつきおちんちんを擦りつけていたのだ。
「前利の太ももで僕のおちんちんマッサージさせてよぉ……♡」
そう言って白狐は前利の太ももの間に自らのモノを挟ませてきた。そしてゆっくりと腰を前後に動かし始める。
「ちょ、おま……!な、な、なんで……!」
白狐の脳は快楽に支配されているせいで正常な思考などできる筈もなかった。むしろヘコヘコの快楽を信根で学習したせいか、余計に性への抵抗が薄れているようにすら思える。
そしてその衝動は白狐を夢中にさせた。いつの間にか白狐の腰の動きは加速し、激しく前利の太ももにモノを打ち付ける。
「び、白狐!まずいって!お、お前が男なら私なんかに……うひゃあ!?♡」
太ももの間に熱い棒が滑り込み、それが中で前後左右に激しく動く感覚に前利は身体をビクンと震わせた。そしてモノの先端から分泌される粘着質な汁が潤滑油となり滑りを良くしていく。
熱く滾るおちんちんが太ももを圧迫し、自らの股座にもじんわりと熱が込み上げてくる。まるで太ももの中が犯されているかのようで、前利は顔を真っ赤にしながら未知の感覚に襲われた。
「びゃ、白狐……!おま、お前……ダメだって……!♡」
「やだぁ!♡止められないのぉ♡気持ちいいの止まらないよぉ♡」
そう言って白狐は腰を振りながらおちんちんを前利に擦り続ける。股から感じる彼の温度と感触に興奮を覚えながら前利も初めて味わう快感に戸惑い、困惑の表情を浮かべる。
しかし太ももの中で熱く硬く大きくなっていく白狐のモノに恐怖を覚えながらも、何故かその感触や熱に愛おしさを感じ始めていたのも事実だった。
「(なんだこれ……身体が熱くて頭がボーッとする……)」
前利は自分の身体に生じた未知の感覚に戸惑うが、その答えはすぐに分かった。白狐が自分の股座を手で弄り始めたのだ。
「!?そ、そこはダメっ……!」
「にゃあ!♡」
前利の言葉も虚しく、白狐は彼女の衣服の中に手を突っ込むと前利の秘所を弄り始める。
「ば、ばかやろ……っ!そ、そこはダメだって……!だ……ひゃあん!?♡♡」
「前利はここが弱いんでしょ?なんとなく分かるの!♡」
そう言って白狐は割れ目に指を這わせる。そしてクリトリスを指で摘まみ引っ張り上げたのだ。その瞬間前利の身体がビクッ!と跳ねたと思ったら彼女は自分の腕で顔を覆い隠しながら激しく悶え始めた。
先程までとは比べ物にならないほどの快楽が彼女の身体に襲いかかる。そしてその快楽は彼女の脳内を痺れさせ、理性をぐずぐずに溶かしていった。
「(だ……ダメだって!横で笹や川知が寝てるのに……!♡)」
前利の太ももに挟まった白狐のモノがどんどんと脈打ち、熱を増していく。それと同時に白狐の口から漏れる吐息も荒くなっていくのが分かった。
「はぁ♡はぁ♡前利ぃ♡僕もう我慢できないよぉ♡」
「!?お、おいまさかお前……」
その言葉に前利は息を飲む。そして彼が何をしようとしているのかを瞬時に理解してしまった。
男との経験はないが何故か知識だけはある彼女は必至で白狐を止めようと口を開く。
「ば、馬鹿!や、やめ……」
♢ ♢ ♢
♡♡♡♡♡♡♡♡
♢ ♢ ♢
どちらからともなく唇を重ね合わせた。それは甘く蕩けるようなキスであった。
そして前利は服や下着を全て脱ぎ、生まれたままの姿になった。そして草むらに横になると、白狐の尻尾に包まれながら二人は密着するようにして抱き合った。
「わ、私はお前の事別になんとも思ってねーけどよ……お前がどうしてもっていうからさ、その……」
「僕は前利の事好きぃ♡大好きぃ♡」
ドクンと。前利の鼓動が高鳴った。
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