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本編
89.「でも男だ……」
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貴人が着るような色鮮やかな着物を身に着け、柱の陰に隠れていた童女。彼女は涙目で白狐の事を見上げていた。
まるで人形のような美しさと愛らしさを持った彼女は白狐をして見惚れる程の美しさであった。
はて、このお方は一体誰なのだろうか。気品溢れる衣服からして織波一族の誰かだとは思うのだが、このような人物は白狐は知らなかった。
「あ、あの……こんにちわ!」
取り合えず白狐は挨拶をする。彼女が誰なのかは分からないがやんごとなき身分のお方である事は間違いない。
しかもなにやら涙目になっているではないか何に怯えているのかは分からないが、助けてあげなくては。
「……!」
しかし彼女は白狐を見て後退るばかりで返事をしようとしない。どうやら相当に怯えているようだ。
さてどうしたものか、と白狐が考えていると不意に彼女は何かに気付いたかのように目を見開く。
「?」
そしておずおずと立ち上がると、白狐に近付き鼻をすんすんと鳴らす。
彼女は何をしているんだろうと首を傾げる白狐であったが、下手に反応して怯えさせてはいけない。
白狐はされるがままに彼女の行動を見守る。
少女は白狐の匂いを嗅いでいるようで、白狐身体をすんすんと嗅ぎ続ける。
まるで犬やキツネのような行動だが、もしかして彼女は半化生なのだろうか?いや、しかしそのような匂いは彼女からはしない。
半化生は獣特有の匂いがする事が多く、白狐のキツネの嗅覚は相手が人間か半化生かを確実に識別する事が可能だ。
そんな白狐の鼻は目の前の少女は間違いなく人間であると告げていたのだ。
「あの……もしかして……男……の子……ですか……?」
どれくらい白狐の匂いを嗅いでいただろうか、少女はか細い声で恐る恐るそう口を開く。
やっと喋ってくれた、と安堵する白狐であったがまた怯えさせてはいけない。白狐は優しい声色で彼女に返事をする。
「うん、男だよ!」
白狐のその言葉を聞いた少女は緊張した面持ちからパァッと明るい表情になり、まるで花が咲いたような笑みを浮かべる。そしてホッと息を吐くと、ニコリと白狐に向かって微笑んだ。
なんという可愛らしい少女だろうか。太陽の輝きを閉じ込めたかのような美しい髪に、キラキラと輝く眼。まるで織波家を象徴するようなその容貌は見る者を魅了してしまうであろう。
「良かった……!お城の探検に出たはいいけど帰り道が分からなくなっちゃって、迷ってたの」
「お城の探検してたんだ。僕と同じだね!」
白狐の言葉に彼女は一瞬驚いた表情を浮かべるも、すぐに眩しい笑顔を浮かべる。
背丈は白狐と同じくらいだろうか、まだ小さいというのにどこか大人びた雰囲気を持っていた。
「君もお城探検してるの!?すごい偶然だね!」
彼女は目をキラキラと輝かせながら白狐にそう言う。
子供特有の天真爛漫な雰囲気が心地よく、白狐も自然と笑顔になっていく。
しかし白狐には一つ気になる事があった。
「ところでなんで僕の匂い嗅いでたの?」
「えっと、匂いで男の人か女の人か分かるからどっちかなって」
匂いで男女を判別する……そんな事が人間に出来るのだろうか?嗅覚が鋭い半化生ならば可能だとは思うが人間では無理なような気がする。
白狐は匂いだけで女か男かを判別出来るし、なんなら生理中であるかどうかも識別可能だ。(変態)
だが彼女は人間である……そんな白狐の疑問に答えるように少女は言った。
「女の人は怖い匂いするから分かるの」
怖い匂い……?これまた不思議な表現だ。
先程会った芝村のようなきつい女性ならともかく、普通女性からはいい匂いが漂ってくると思うのだが。
白狐は女性の匂いを嗅ぐのが好きで好きで堪らないのだが、この子は違うようだ。
「女の人はきらい……なんか怖いから……」
少女はそう俯きながら呟いた。可憐な瞳が潤み、今にも泣き出しそうな顔をしている。
もしや過去に女性になにかされたのだろうか?白狐はそんな少女を哀れみ、そしてどうにかして少女を安心させてあげたいと思った。
「大丈夫だよ!僕が守ってあげるから!」
「……ほんとう?」
そう言うと少女は驚いた表情を浮かべるも、その表情はすぐに明るい笑顔へと変わっていく。
白狐が頭を撫でると彼女は嬉しそうに目を細める。そんな少女の動作一つ一つが可愛らしくて愛おしく感じてしまう。
「(うん……やっぱりこの子可愛いな……♡)」
自分も彼女の匂いも嗅いでみたい。そう思いキツネの嗅覚を駆使しほ仄かに香る匂いを嗅ぎ取った。
心地良い香りだ。甘くて優しくて、まるで花のような匂いが彼女の身体から漂ってくるのを感じる。
今まで嗅いだ事が無いような素晴らしい匂いに思わず白狐はうっとりとしてしまう。
……しかしなんか違和感があった。なんというか、花畑の中に一輪だけ違う花が混ざっているようなそんな不思議な感覚。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
匂いを嗅ぐのに夢中になっていた為か、少女はキョトンとした表情で白狐を見上げてくる。
白狐は笑顔で取り繕ったが少女の不思議な匂いについて考えていた。
「(……やっぱりなにか違うような感じがするなぁ)」
なにか大切な事を忘れている気がするのだが……うーんと頭を捻ってみるものの分からず仕舞いである。
まぁいいか、と白狐は思い今はそれよりも優先すべき事があった。
「君迷子になっちゃったんだよね?僕が元居た場所まで送ってあげる!」
そう言うと彼女は再びパァッと笑顔になる。そしてそのまま白狐の腕に抱き着くと白狐をジッと見つめてきた。
「えへへ、ありがとう!」
なんという可愛さだ。この笑顔を見ていると思わず抱きしめてしまいたくなる。
だがそんな事をする訳にはいかない。背丈こそ白狐と同程度の少女だが、白狐は彼女と違って『おとな』だ。(色んな意味で)
そんな自分が年端も行かぬ幼子に抱き着いたら変態そのものではないか。白狐は自分で自分の事を紳士的なキツネだと思っていた。そんな紳士がどうしてそんな変態行為をするというのか。
「じ、じゃあ行こうね……」
「うん!」
白狐が鉄の自制心で自らを抑制しているのにも気付かず、少女は白狐の腕に手を回しぴったりと寄り添う。
そして二人は仲良くお城の中を散歩するのであった。
ーーーーーーーーー
「そう言えば君はどこからきたの?」
白狐は腕を組む少女にそう聞いた。すると少女は少し考える素振りを見せ、口を開く。
「ん~と……上の方だよ」
上……清波城の上層部は織波一族が住まう場所だ。やはりこの子は織波に連なる人物なのだろうか?
そうだ、名前を聞いてみようと思い白狐は口を開きかける。
だが、その瞬間であった。
「おい、キツネ!」
白狐を呼び止める声……それは瀬良の声であった。
彼女は怒り心頭といった様子でずんずんと此方に向かってくるではないか。
はて、何を怒っているんだと白狐は不思議に思ったが、そんな彼女が怖かったのか横にいた少女はサッと白狐の後ろに隠れてしまった。
「お、お前……あれだけ大広間に入ってくるなと言っただろうが!」
「大広間?」
なんだっけかそれは。白狐はう~んと唸るがよく分からなった。
市野様探しに奔走していたので色々なところを見て回ったが、大広間なんて行っただろうか?
暫く考えてみると、そういえば人が沢山集まっている大きな部屋があったな、と思い出す。もしかしてあそこが評定が開かれている場所だったのだろうか?
……せっかく忠告してくれたのに悪い事をしてしまったな、と反省する白狐であったが、彼も彼で必死で探していただけなのだ。悪気があった訳ではない……。
「う、う~ん?そんなところ行ったっけなぁ?記憶にないなぁ~あはは……」
そう誤魔化す白狐に瀬良は顔を真っ赤にし、怒りに身体を震わせる。
「私は覚えているぞ!秀菜様や上位家老様がいらっしゃる場でお前の間の抜けた声が響いたのがな!」
白狐も覚えていた。自分がなんか偉そうな人達に向かって市野様の居場所を尋ねたのを……。
「そもそもお前一体何しにきたんだ!?市野様の居場所を尋ねていたようだが、一体市野様になんの御用……だ……?」
瀬良の語尾が段々と尻すぼみになっていく。そんな瀬良の視線の先には、白狐の後ろに隠れる少女の姿があったからだ。
「えっ……あっ……?」
瀬良はその少女の姿を見て口をパクパクと動かす。そしてそのまま少女と白狐を交互に見ると、ぷるぷると震えだした。
そんな瀬良の只事ではない様子に白狐は困惑してしまう。一体瀬良はどうしたというのか。
察するに、どうやらこの少女の事を知っているようだが……?
「な、何故貴方が白狐と共におられるのです……?」
「瀬良さん、この子の事知ってるの?」
白狐がそう聞くと瀬良は額に汗を滲ませながら頷いた。
「当たり前だろうが、彼は秀菜様の……」
「そこの半化生!!」
瀬良の言葉は最後まで紡がれる事はなかった。何故なら廊下の奥から怒鳴り声が鳴り響き、白狐はおろか瀬良もびくりと肩を震わせたからだ。
「貴様どういうつもりだ!厳正な場である家老評定の場にのこのこと入り込むなど!恥を知れ!!」
そう怒鳴り散らしながらズカズカと歩いて来たのは、織波家が誇る重臣、芝村である。
先程の瀬良と同じように彼女は白狐を睨みつける。
その迫力は凄まじく、思わずたじろいでしまいそうになる程だ。
「信葉様の忍だからといって、好き勝手出来ると思うなよ!貴様のような薄汚い半化生などこの私ならば如何様にも出来るのだからな!」
「芝村様、どうか落ち着いてくだされ」
怒り狂う芝村だったが、白狐の横にいる瀬良の姿を認めると幾分か冷静さを取り戻し、咳払いをしてなんとか怒りを鎮める。
「ん……瀬良殿か。いや、しかし貴殿も見ただろう、このキツネのあの無礼な行いを。こやつは礼儀も知らぬような輩である事は明白!その責は問うべきであろう!」
「しかし芝村様。秀菜様はこのキツネの行動を言外に不問にするという御態度を取られた筈。その意に反してこのキツネの責を問うのは如何なものかと」
「むっ……」
痛いところを突かれたのか、瀬良のその言葉を聞いて芝村は押し黙ってしまう。
白狐は彼女達の会話の中身を理解は出来なかったが、瀬良が自分を庇ってくれたというのは何となく理解出来た。
白狐は庇ってくれた瀬良に感謝すべく彼女のお尻を誰にも見えないようにさわさわと撫でたが、その瞬間瀬良は白狐の足を思い切り踏みつけてきたので白狐は感謝のお尻ナデナデを中断した。
「……ふん。秀菜様がどういう訳でそのキツネの無礼千万な行為を許しているのかは知らぬが……この私は秀菜様のように甘くはないからな。今度何か仕出かしたらタダではおかんぞ!」
芝村としてはキツネの無礼な行動は主である信葉の責任であると理由付けて、信葉の評価を落としたかったのだろう。だがそれは瀬良の言った言葉によって叶わなかった。
完全に目論見が外れてしまったのか、芝村は忌々しげに舌打ちをすると何処かに立ち去ろうとする。だが、芝村の目に白狐の後ろにいる人物が映ると、ピタリと動きを止めた。
「なっ……!?あ、貴方は……!?」
芝村がそう呟くと、彼女の背後にいた少女はぴょこっと顔を出してくる。しかし芝村の顔を見た瞬間顔を青褪めさせ、再び白狐の背中に隠れてしまった。
「な、何故貴方がそのようなところにいるのです!そのキツネは下賤の者、近寄ってはなりませぬ!早く此方に!」
芝村はそう言い手を差し伸べてくる。白狐は恭しい態度を取る芝村にこの少女はやはり高貴な身分の者だと確信するが、それより少女が怯えているのが気になった。
「ねぇ君、あの人のところ行きたい?」
白狐の言葉に少女はぶるぶると顔を振った。この怯え方といい、彼女は芝村の事が怖くて怖くて堪らないようだった。
自分の腕に抱き着くように怯える少女を白狐はとても放ってはおけない。
「えっと……しまむら様……でしたっけ?この子怖がってるし、あんまり近寄らないでくれます?」
白狐の言葉に芝村は一瞬呆然とした表情を浮かべたが、すぐに我に返り怒り心頭といった表情で白狐を睨みつける。
「き、貴様!無礼にも程があるぞ!?秀菜様の側近であるこの私に向かってなんという口の利き方だ!あと私はしまむらではない!芝村だ!」
「いや、だってその子が怖がってますし……」
「ええい!半化生が人間に指図するでないわ!というかそのお方にべたべたとくっつくでないわ!貴様如きが気軽に触れていいお方ではないのだぞ!」
どうやら白狐と少女が仲睦まじく腕を組んでいるのが気に入らないらしい、芝村は顔を真っ赤にし、白狐に怒号を浴びせてくる。
「貴様のような薄汚い半化生《はんけしょう》が触れて良いお方ではないのだ!いい加減離れろこの不届き者め!!」
どうしようか、と白狐は思案していた。強行突破するにしても目の前のしまむら……ではなく芝村という人物は織波家の家臣の中で偉い人のようだし、そもそも彼女からはとてつもない強力な気を感じる。
以前に戦った蛇紅を遥かに上回る強さを彼女から感じ取れるのだ。
そんな事を考えていると、横にいる少女が白狐の袖をきゅっと摘んできた。そして言った。
「白狐……この人達怖いから僕を連れて逃げて……?」
少女の言葉に芝村は口を開けてぽかんとし、白狐も目を丸くするがすぐに優しい笑みを浮かべる。
「わ、わ、私は怖くなんてありませんぞ!ほら!こちらにいらしてください!」
芝村が無理矢理笑顔を貼り付けながら少女に手を伸ばすが、少女はその手から逃げ白狐に抱き着くように身体を寄せる。
無理もない、芝村の顔は普通に怖い。笑みを浮かべたところで悪魔が無理矢理笑みを浮かべているようにしか見えなかった。
「こ、このキツネがぁ……」
芝村は怒りで体を震わせる。何故か少女に怖がられているのは白狐のせいにされているらしい。
白狐はそんな芝村を無視すると少女に向き直り、微笑みながら言った。
「仰せのままに、お姫様」
白狐は傍にいる少女をひょいと持ち上げ、お姫様抱っこをする。すると少女は先程まで怯えていたのが嘘のように笑顔になり、白狐に抱きついてきた。
「き、貴様!なんという不敬な!」
「よし!逃げよ!」
少女を抱きかかえた白狐はくるりと踵を返してその場から駆け出す。後ろから何やら喚き声が聞こえているが気にしない。
そして城の中庭まで出ると空高く跳躍し、外壁を垂直に駆け上がる。人間には出来ぬ忍者の動きを少女は白狐の腕の中で体感し、興奮した様子で言った。
「凄い凄い!白狐すごい!」
「ふふ、もっと褒めていいですよ」
少女はキャーキャーと嬉しそうにはしゃぐ。そんな少女を見ていると、なんだか自分がこの子を守らなければいけないような気がしてきた。
少女はまるで空を飛んでいる感覚に感動し、目をきらきらとさせている。白狐の首にぎゅうっと抱き着き、胸に頰をすりすりと擦り付けて来る。
その姿はまるで甘える子犬のようで……白狐はそれがたまらなく愛おしかった。
「(そういえばこの子僕って言ってたけど……もしかして僕っ子なのかな?)」
可愛いなぁ……と、白狐はそんな事を考えながら、宙を駆け抜け一気に城の上層まで飛ぶ白狐であった。
そうして二人は窓から城の中に入り、とある廊下に少女を下ろすと、彼女は興奮冷めやらぬといった様子で満面の笑みを浮かべた。
「ふふ、楽しかったですか?」
「うん!ありがとう!僕、白狐《びゃっこ》と会えて良かった!」
そう言って少女は無邪気に笑う。そんな少女に白狐も微笑むが……そこでふとある事に気づいた。
「そういえば君の名前はなんていうの?」
ずっと白狐は彼女に向かって君と呼んできたが、彼女の名前をまだ聞いていない。
先程聞こうとしたら瀬良と芝村に邪魔されたし、今度こそ聞いてみようと思ったのだ。
「僕の名前?僕の名前は市野っていうの!」
「えっ?」
市野……?それは自分が探していた人物の名前ではないか。
しかし織波市野というのは秀菜の息子であると聞いている。つまり男のはずだ。
目の前の少女はどう見ても男には見えない。可憐な女の子だ。
これは一体どういう事だろう……もしかして同名の別人か?
白狐がそう首を傾げていると不意に後ろから女性の声が掛かる。
「あ!市野様!白狐ちゃん、見つけてくれたのね!」
見るとそこには見知った侍女がこちらに駆け寄ってきていた。
彼女は白狐に市野探しを頼んだ侍女である。
そんな彼女はこの少女の事を市野様と言った。つまり、この少女は白狐が探していた市野に違いないのだ。
「え?そのぅ……市野様って……男の子じゃないの……?」
「?えぇ、そうよ。この方は男性だけど?」
侍女はさも当然といった感じでそう言ってのける。白狐は目を丸くして市野をまじまじと見た。
すると彼女……いや、彼はポッと顔を赤らめて俯く。
可愛いなぁ……
「(ってそうじゃないだろ僕!そ、そうか……!さっき感じた匂いの違和感は男の子だったからか……!)」
市野に会った時に感じた匂い。その違和感の正体は彼が男だったからだ。
今更ながらそれに気づいた白狐は呆然とその場に立ち尽くす。
「もう、居住区の外にはでちゃダメって言われてるじゃありませんか」
「ごめんね、寧利。でも探検してみたくて……」
市野は侍女を寧利《ねり》と呼び、叱られた子犬のようにしゅんと肩を縮こまらせた。
やはりどう見ても女の子に見えないし、そもそも着ている着物も女の子のものである。
何故男児が女性の着物を……?と疑問に思ったが、白狐はそこで思考を止めた。
考えても意味がない事だと気付いたからだ。
「ありがとう白狐ちゃん、流石忍者ね!じゃあ戻りましょ、市野様。もう出ちゃダメですよ?」
「うん。じゃあね、白狐!また遊ぼうね!絶対だよ?」
彼女……じゃなくて彼はバイバイと手を振って侍女と共に去っていく。
お姫様のようなその後ろ姿を白狐はただ茫然と見送った。
そして一人、呟いた。
「でも男だ……」
まるで人形のような美しさと愛らしさを持った彼女は白狐をして見惚れる程の美しさであった。
はて、このお方は一体誰なのだろうか。気品溢れる衣服からして織波一族の誰かだとは思うのだが、このような人物は白狐は知らなかった。
「あ、あの……こんにちわ!」
取り合えず白狐は挨拶をする。彼女が誰なのかは分からないがやんごとなき身分のお方である事は間違いない。
しかもなにやら涙目になっているではないか何に怯えているのかは分からないが、助けてあげなくては。
「……!」
しかし彼女は白狐を見て後退るばかりで返事をしようとしない。どうやら相当に怯えているようだ。
さてどうしたものか、と白狐が考えていると不意に彼女は何かに気付いたかのように目を見開く。
「?」
そしておずおずと立ち上がると、白狐に近付き鼻をすんすんと鳴らす。
彼女は何をしているんだろうと首を傾げる白狐であったが、下手に反応して怯えさせてはいけない。
白狐はされるがままに彼女の行動を見守る。
少女は白狐の匂いを嗅いでいるようで、白狐身体をすんすんと嗅ぎ続ける。
まるで犬やキツネのような行動だが、もしかして彼女は半化生なのだろうか?いや、しかしそのような匂いは彼女からはしない。
半化生は獣特有の匂いがする事が多く、白狐のキツネの嗅覚は相手が人間か半化生かを確実に識別する事が可能だ。
そんな白狐の鼻は目の前の少女は間違いなく人間であると告げていたのだ。
「あの……もしかして……男……の子……ですか……?」
どれくらい白狐の匂いを嗅いでいただろうか、少女はか細い声で恐る恐るそう口を開く。
やっと喋ってくれた、と安堵する白狐であったがまた怯えさせてはいけない。白狐は優しい声色で彼女に返事をする。
「うん、男だよ!」
白狐のその言葉を聞いた少女は緊張した面持ちからパァッと明るい表情になり、まるで花が咲いたような笑みを浮かべる。そしてホッと息を吐くと、ニコリと白狐に向かって微笑んだ。
なんという可愛らしい少女だろうか。太陽の輝きを閉じ込めたかのような美しい髪に、キラキラと輝く眼。まるで織波家を象徴するようなその容貌は見る者を魅了してしまうであろう。
「良かった……!お城の探検に出たはいいけど帰り道が分からなくなっちゃって、迷ってたの」
「お城の探検してたんだ。僕と同じだね!」
白狐の言葉に彼女は一瞬驚いた表情を浮かべるも、すぐに眩しい笑顔を浮かべる。
背丈は白狐と同じくらいだろうか、まだ小さいというのにどこか大人びた雰囲気を持っていた。
「君もお城探検してるの!?すごい偶然だね!」
彼女は目をキラキラと輝かせながら白狐にそう言う。
子供特有の天真爛漫な雰囲気が心地よく、白狐も自然と笑顔になっていく。
しかし白狐には一つ気になる事があった。
「ところでなんで僕の匂い嗅いでたの?」
「えっと、匂いで男の人か女の人か分かるからどっちかなって」
匂いで男女を判別する……そんな事が人間に出来るのだろうか?嗅覚が鋭い半化生ならば可能だとは思うが人間では無理なような気がする。
白狐は匂いだけで女か男かを判別出来るし、なんなら生理中であるかどうかも識別可能だ。(変態)
だが彼女は人間である……そんな白狐の疑問に答えるように少女は言った。
「女の人は怖い匂いするから分かるの」
怖い匂い……?これまた不思議な表現だ。
先程会った芝村のようなきつい女性ならともかく、普通女性からはいい匂いが漂ってくると思うのだが。
白狐は女性の匂いを嗅ぐのが好きで好きで堪らないのだが、この子は違うようだ。
「女の人はきらい……なんか怖いから……」
少女はそう俯きながら呟いた。可憐な瞳が潤み、今にも泣き出しそうな顔をしている。
もしや過去に女性になにかされたのだろうか?白狐はそんな少女を哀れみ、そしてどうにかして少女を安心させてあげたいと思った。
「大丈夫だよ!僕が守ってあげるから!」
「……ほんとう?」
そう言うと少女は驚いた表情を浮かべるも、その表情はすぐに明るい笑顔へと変わっていく。
白狐が頭を撫でると彼女は嬉しそうに目を細める。そんな少女の動作一つ一つが可愛らしくて愛おしく感じてしまう。
「(うん……やっぱりこの子可愛いな……♡)」
自分も彼女の匂いも嗅いでみたい。そう思いキツネの嗅覚を駆使しほ仄かに香る匂いを嗅ぎ取った。
心地良い香りだ。甘くて優しくて、まるで花のような匂いが彼女の身体から漂ってくるのを感じる。
今まで嗅いだ事が無いような素晴らしい匂いに思わず白狐はうっとりとしてしまう。
……しかしなんか違和感があった。なんというか、花畑の中に一輪だけ違う花が混ざっているようなそんな不思議な感覚。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
匂いを嗅ぐのに夢中になっていた為か、少女はキョトンとした表情で白狐を見上げてくる。
白狐は笑顔で取り繕ったが少女の不思議な匂いについて考えていた。
「(……やっぱりなにか違うような感じがするなぁ)」
なにか大切な事を忘れている気がするのだが……うーんと頭を捻ってみるものの分からず仕舞いである。
まぁいいか、と白狐は思い今はそれよりも優先すべき事があった。
「君迷子になっちゃったんだよね?僕が元居た場所まで送ってあげる!」
そう言うと彼女は再びパァッと笑顔になる。そしてそのまま白狐の腕に抱き着くと白狐をジッと見つめてきた。
「えへへ、ありがとう!」
なんという可愛さだ。この笑顔を見ていると思わず抱きしめてしまいたくなる。
だがそんな事をする訳にはいかない。背丈こそ白狐と同程度の少女だが、白狐は彼女と違って『おとな』だ。(色んな意味で)
そんな自分が年端も行かぬ幼子に抱き着いたら変態そのものではないか。白狐は自分で自分の事を紳士的なキツネだと思っていた。そんな紳士がどうしてそんな変態行為をするというのか。
「じ、じゃあ行こうね……」
「うん!」
白狐が鉄の自制心で自らを抑制しているのにも気付かず、少女は白狐の腕に手を回しぴったりと寄り添う。
そして二人は仲良くお城の中を散歩するのであった。
ーーーーーーーーー
「そう言えば君はどこからきたの?」
白狐は腕を組む少女にそう聞いた。すると少女は少し考える素振りを見せ、口を開く。
「ん~と……上の方だよ」
上……清波城の上層部は織波一族が住まう場所だ。やはりこの子は織波に連なる人物なのだろうか?
そうだ、名前を聞いてみようと思い白狐は口を開きかける。
だが、その瞬間であった。
「おい、キツネ!」
白狐を呼び止める声……それは瀬良の声であった。
彼女は怒り心頭といった様子でずんずんと此方に向かってくるではないか。
はて、何を怒っているんだと白狐は不思議に思ったが、そんな彼女が怖かったのか横にいた少女はサッと白狐の後ろに隠れてしまった。
「お、お前……あれだけ大広間に入ってくるなと言っただろうが!」
「大広間?」
なんだっけかそれは。白狐はう~んと唸るがよく分からなった。
市野様探しに奔走していたので色々なところを見て回ったが、大広間なんて行っただろうか?
暫く考えてみると、そういえば人が沢山集まっている大きな部屋があったな、と思い出す。もしかしてあそこが評定が開かれている場所だったのだろうか?
……せっかく忠告してくれたのに悪い事をしてしまったな、と反省する白狐であったが、彼も彼で必死で探していただけなのだ。悪気があった訳ではない……。
「う、う~ん?そんなところ行ったっけなぁ?記憶にないなぁ~あはは……」
そう誤魔化す白狐に瀬良は顔を真っ赤にし、怒りに身体を震わせる。
「私は覚えているぞ!秀菜様や上位家老様がいらっしゃる場でお前の間の抜けた声が響いたのがな!」
白狐も覚えていた。自分がなんか偉そうな人達に向かって市野様の居場所を尋ねたのを……。
「そもそもお前一体何しにきたんだ!?市野様の居場所を尋ねていたようだが、一体市野様になんの御用……だ……?」
瀬良の語尾が段々と尻すぼみになっていく。そんな瀬良の視線の先には、白狐の後ろに隠れる少女の姿があったからだ。
「えっ……あっ……?」
瀬良はその少女の姿を見て口をパクパクと動かす。そしてそのまま少女と白狐を交互に見ると、ぷるぷると震えだした。
そんな瀬良の只事ではない様子に白狐は困惑してしまう。一体瀬良はどうしたというのか。
察するに、どうやらこの少女の事を知っているようだが……?
「な、何故貴方が白狐と共におられるのです……?」
「瀬良さん、この子の事知ってるの?」
白狐がそう聞くと瀬良は額に汗を滲ませながら頷いた。
「当たり前だろうが、彼は秀菜様の……」
「そこの半化生!!」
瀬良の言葉は最後まで紡がれる事はなかった。何故なら廊下の奥から怒鳴り声が鳴り響き、白狐はおろか瀬良もびくりと肩を震わせたからだ。
「貴様どういうつもりだ!厳正な場である家老評定の場にのこのこと入り込むなど!恥を知れ!!」
そう怒鳴り散らしながらズカズカと歩いて来たのは、織波家が誇る重臣、芝村である。
先程の瀬良と同じように彼女は白狐を睨みつける。
その迫力は凄まじく、思わずたじろいでしまいそうになる程だ。
「信葉様の忍だからといって、好き勝手出来ると思うなよ!貴様のような薄汚い半化生などこの私ならば如何様にも出来るのだからな!」
「芝村様、どうか落ち着いてくだされ」
怒り狂う芝村だったが、白狐の横にいる瀬良の姿を認めると幾分か冷静さを取り戻し、咳払いをしてなんとか怒りを鎮める。
「ん……瀬良殿か。いや、しかし貴殿も見ただろう、このキツネのあの無礼な行いを。こやつは礼儀も知らぬような輩である事は明白!その責は問うべきであろう!」
「しかし芝村様。秀菜様はこのキツネの行動を言外に不問にするという御態度を取られた筈。その意に反してこのキツネの責を問うのは如何なものかと」
「むっ……」
痛いところを突かれたのか、瀬良のその言葉を聞いて芝村は押し黙ってしまう。
白狐は彼女達の会話の中身を理解は出来なかったが、瀬良が自分を庇ってくれたというのは何となく理解出来た。
白狐は庇ってくれた瀬良に感謝すべく彼女のお尻を誰にも見えないようにさわさわと撫でたが、その瞬間瀬良は白狐の足を思い切り踏みつけてきたので白狐は感謝のお尻ナデナデを中断した。
「……ふん。秀菜様がどういう訳でそのキツネの無礼千万な行為を許しているのかは知らぬが……この私は秀菜様のように甘くはないからな。今度何か仕出かしたらタダではおかんぞ!」
芝村としてはキツネの無礼な行動は主である信葉の責任であると理由付けて、信葉の評価を落としたかったのだろう。だがそれは瀬良の言った言葉によって叶わなかった。
完全に目論見が外れてしまったのか、芝村は忌々しげに舌打ちをすると何処かに立ち去ろうとする。だが、芝村の目に白狐の後ろにいる人物が映ると、ピタリと動きを止めた。
「なっ……!?あ、貴方は……!?」
芝村がそう呟くと、彼女の背後にいた少女はぴょこっと顔を出してくる。しかし芝村の顔を見た瞬間顔を青褪めさせ、再び白狐の背中に隠れてしまった。
「な、何故貴方がそのようなところにいるのです!そのキツネは下賤の者、近寄ってはなりませぬ!早く此方に!」
芝村はそう言い手を差し伸べてくる。白狐は恭しい態度を取る芝村にこの少女はやはり高貴な身分の者だと確信するが、それより少女が怯えているのが気になった。
「ねぇ君、あの人のところ行きたい?」
白狐の言葉に少女はぶるぶると顔を振った。この怯え方といい、彼女は芝村の事が怖くて怖くて堪らないようだった。
自分の腕に抱き着くように怯える少女を白狐はとても放ってはおけない。
「えっと……しまむら様……でしたっけ?この子怖がってるし、あんまり近寄らないでくれます?」
白狐の言葉に芝村は一瞬呆然とした表情を浮かべたが、すぐに我に返り怒り心頭といった表情で白狐を睨みつける。
「き、貴様!無礼にも程があるぞ!?秀菜様の側近であるこの私に向かってなんという口の利き方だ!あと私はしまむらではない!芝村だ!」
「いや、だってその子が怖がってますし……」
「ええい!半化生が人間に指図するでないわ!というかそのお方にべたべたとくっつくでないわ!貴様如きが気軽に触れていいお方ではないのだぞ!」
どうやら白狐と少女が仲睦まじく腕を組んでいるのが気に入らないらしい、芝村は顔を真っ赤にし、白狐に怒号を浴びせてくる。
「貴様のような薄汚い半化生《はんけしょう》が触れて良いお方ではないのだ!いい加減離れろこの不届き者め!!」
どうしようか、と白狐は思案していた。強行突破するにしても目の前のしまむら……ではなく芝村という人物は織波家の家臣の中で偉い人のようだし、そもそも彼女からはとてつもない強力な気を感じる。
以前に戦った蛇紅を遥かに上回る強さを彼女から感じ取れるのだ。
そんな事を考えていると、横にいる少女が白狐の袖をきゅっと摘んできた。そして言った。
「白狐……この人達怖いから僕を連れて逃げて……?」
少女の言葉に芝村は口を開けてぽかんとし、白狐も目を丸くするがすぐに優しい笑みを浮かべる。
「わ、わ、私は怖くなんてありませんぞ!ほら!こちらにいらしてください!」
芝村が無理矢理笑顔を貼り付けながら少女に手を伸ばすが、少女はその手から逃げ白狐に抱き着くように身体を寄せる。
無理もない、芝村の顔は普通に怖い。笑みを浮かべたところで悪魔が無理矢理笑みを浮かべているようにしか見えなかった。
「こ、このキツネがぁ……」
芝村は怒りで体を震わせる。何故か少女に怖がられているのは白狐のせいにされているらしい。
白狐はそんな芝村を無視すると少女に向き直り、微笑みながら言った。
「仰せのままに、お姫様」
白狐は傍にいる少女をひょいと持ち上げ、お姫様抱っこをする。すると少女は先程まで怯えていたのが嘘のように笑顔になり、白狐に抱きついてきた。
「き、貴様!なんという不敬な!」
「よし!逃げよ!」
少女を抱きかかえた白狐はくるりと踵を返してその場から駆け出す。後ろから何やら喚き声が聞こえているが気にしない。
そして城の中庭まで出ると空高く跳躍し、外壁を垂直に駆け上がる。人間には出来ぬ忍者の動きを少女は白狐の腕の中で体感し、興奮した様子で言った。
「凄い凄い!白狐すごい!」
「ふふ、もっと褒めていいですよ」
少女はキャーキャーと嬉しそうにはしゃぐ。そんな少女を見ていると、なんだか自分がこの子を守らなければいけないような気がしてきた。
少女はまるで空を飛んでいる感覚に感動し、目をきらきらとさせている。白狐の首にぎゅうっと抱き着き、胸に頰をすりすりと擦り付けて来る。
その姿はまるで甘える子犬のようで……白狐はそれがたまらなく愛おしかった。
「(そういえばこの子僕って言ってたけど……もしかして僕っ子なのかな?)」
可愛いなぁ……と、白狐はそんな事を考えながら、宙を駆け抜け一気に城の上層まで飛ぶ白狐であった。
そうして二人は窓から城の中に入り、とある廊下に少女を下ろすと、彼女は興奮冷めやらぬといった様子で満面の笑みを浮かべた。
「ふふ、楽しかったですか?」
「うん!ありがとう!僕、白狐《びゃっこ》と会えて良かった!」
そう言って少女は無邪気に笑う。そんな少女に白狐も微笑むが……そこでふとある事に気づいた。
「そういえば君の名前はなんていうの?」
ずっと白狐は彼女に向かって君と呼んできたが、彼女の名前をまだ聞いていない。
先程聞こうとしたら瀬良と芝村に邪魔されたし、今度こそ聞いてみようと思ったのだ。
「僕の名前?僕の名前は市野っていうの!」
「えっ?」
市野……?それは自分が探していた人物の名前ではないか。
しかし織波市野というのは秀菜の息子であると聞いている。つまり男のはずだ。
目の前の少女はどう見ても男には見えない。可憐な女の子だ。
これは一体どういう事だろう……もしかして同名の別人か?
白狐がそう首を傾げていると不意に後ろから女性の声が掛かる。
「あ!市野様!白狐ちゃん、見つけてくれたのね!」
見るとそこには見知った侍女がこちらに駆け寄ってきていた。
彼女は白狐に市野探しを頼んだ侍女である。
そんな彼女はこの少女の事を市野様と言った。つまり、この少女は白狐が探していた市野に違いないのだ。
「え?そのぅ……市野様って……男の子じゃないの……?」
「?えぇ、そうよ。この方は男性だけど?」
侍女はさも当然といった感じでそう言ってのける。白狐は目を丸くして市野をまじまじと見た。
すると彼女……いや、彼はポッと顔を赤らめて俯く。
可愛いなぁ……
「(ってそうじゃないだろ僕!そ、そうか……!さっき感じた匂いの違和感は男の子だったからか……!)」
市野に会った時に感じた匂い。その違和感の正体は彼が男だったからだ。
今更ながらそれに気づいた白狐は呆然とその場に立ち尽くす。
「もう、居住区の外にはでちゃダメって言われてるじゃありませんか」
「ごめんね、寧利。でも探検してみたくて……」
市野は侍女を寧利《ねり》と呼び、叱られた子犬のようにしゅんと肩を縮こまらせた。
やはりどう見ても女の子に見えないし、そもそも着ている着物も女の子のものである。
何故男児が女性の着物を……?と疑問に思ったが、白狐はそこで思考を止めた。
考えても意味がない事だと気付いたからだ。
「ありがとう白狐ちゃん、流石忍者ね!じゃあ戻りましょ、市野様。もう出ちゃダメですよ?」
「うん。じゃあね、白狐!また遊ぼうね!絶対だよ?」
彼女……じゃなくて彼はバイバイと手を振って侍女と共に去っていく。
お姫様のようなその後ろ姿を白狐はただ茫然と見送った。
そして一人、呟いた。
「でも男だ……」
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