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本編
87.「なんなのさあの人!なんか嫌な感じ!」
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兎瑠の身体洗いが終わった後。
白狐は身体の隅々まで綺麗になった兎瑠と別れる(放置)と清波城の散策に戻っていた。
「やっぱりお城には色んな人がいるなぁ」
織波の先輩忍者達との出逢いはお城を探索していないとなかっただろう、やはり普段と違うことはしてみるものだ。
清波城には忍者だけでなく、女中さんや出入りしている商人など様々な人がいる。他にも白狐の知らない誰かが働いていることだろう。
新たな出会いを想像すると白狐はなんだか楽しくなってきた。皆、見目麗しいお姉さん達だし、仲良くなりたいものだ。
そんな事を考えながらキツネの尻尾をフリフリしていると、不意にとある人物が白狐の視界に入ってきた。
「あ!」
それは白狐がよく知る人物で、蒼い髪を後ろで束ね、ポニーテールをしている美女……いつも信葉の側に侍る人物、瀬良義実であった。
彼女は城の廊下を歩いていた。珍しい事に今日は信葉と一緒ではないうようだ。白狐はとてとてと彼女に近寄ると後ろから大声で元気よく挨拶をする。
「瀬良さん、こんにちわ!」
「わぁっ!!……て、なんだキツネか」
突然の大声に瀬良はビックリして肩を震わすも、声の主が白狐だと知ると落ち着きを取り戻す。
「急に声を掛けるな、びっくりするだろうが」
「えへへごめんね。ところで瀬良さんは何してるの?」
「私か?私はこれから家老評定に向かうところだ」
「家老評定?」
白狐は聞いたことのない言葉だった。しかし、瀬良の様子を見るに大事な仕事なのだろう。
「月に一度か二度、織波家当主である秀菜様の御前で開かれる評定だよ。家老以上の家臣団が全員集まり、今後の織波家の方針を決める大切な会議だ」
「へぇー……なんか凄そう!」
白狐は興味深げに尻尾をフリフリと振る。そんな様子に瀬良は目を細めた。
「……一応言っておくが評定の間は絶対に広間に入ってくるんじゃないぞ。私ならともかく、他の家老の中には冗談が通じないのもいるしそもそも半化生が嫌いな者もいる。お前の為を思って言ってやってるんだ、分かったな?」
「うん!わかった!」
白狐はにこにこと元気良く答えた。そんな白狐の姿に瀬良は嘆息する。
分かっているか分かっていないのかよく分からん奴だ、と瀬良は思っていた。まぁしかし、一応は信葉直属の忍であるから何かあってもいきなり手打ちにはなるまい。
「(家老かぁ。瀬良さんって結構偉かったんだね)」
一方で白狐はそんな事を思っていた。普段、瀬良がどのくらい偉いのかはあまり考えていなかったし、そもそも興味のなかったことだ。
しかし家老という意味は分かる。その名が家臣の中で一番偉い役職である事くらいは白狐も分かっていた。そう言えば瀬良家は名門だと誰かが言っていたような気がしなくもない。
「……ん?」
瀬良と白狐が廊下で話していた時だ。不意に瀬良が何かに気付いたかのような声を出す。
そして次の瞬間には白狐の袖を引っ張り無理矢理廊下の端に寄せ、口を開いた。
「おい、膝をついて頭を下げろ!」
突然瀬良に引っ張られてそう言われた白狐であったが、反論する事はなく取り合えず瀬良の言う通りに行動する。
頭を下げつつ、白狐は頭を僅かに上げて瀬良の視線の先を見る。すると廊下の先から此方に向かってくる武士らしき装いの集団が見えた。
その集団の先頭にいる女性。彼女の纏う空気は他とは明らかに異なるものだった。
「あれは織波家の筆頭家老、芝村勝梨様だ。あのお方は気難しいから下手な事は言うんじゃないぞ」
そう言って瀬良は白狐と同じように廊下の隅に移動し首を垂らす。
家老である瀬良が頭を下げるという事は彼女よりも更に地位が高い人物なのだろう、家老の中にも順列があるのかと白狐は頭の中で考えていた。
そしてその集団が瀬良と白狐の前を通り過ぎようとした時、不意に先頭にいる女……芝村が歩を止めた。
「むぅ?」
訝しむような視線で白狐を見る芝村。少しの静寂の後、芝村は口を開く。
「おい、そこの半化生。面を上げい」
急にそんな事を言われて焦る白狐であったが、拒否する訳にもいかず恐る恐る顔を上げる。
白狐の視界に飛び込んできたのは、鋭い眼光を携えた美女の顔であった。
彼女は白狐を見下ろしながら、怪訝な表情をしていた。
「お前が白狐か」
彼女が自分の名前を知っている事に疑問を覚えつつも、白狐は肯定しようと口を開くが、それよりも先に芝村が言葉を発する。
「ふん、信葉様が忍者を小姓にしたりと妙な事をなさっているので一体どんな半化生かと思ったら……ただの小汚いキツネではないか」
芝村は白狐を見ながら一笑する。
「こんな得体の知れん奴を小姓にするなど信葉様は何をお考えなのか。全く、だからうつけ姫などと呼ばれるのだ」
明らかに小馬鹿にした様子である。白狐は彼女の言葉に少しカチンと来たものの、何とか我慢し反論せずに俯く。
そんな白狐の反応を見て、芝村はつまらなそうに鼻をならすと、それ以上何も言うことなく再び歩き始める。
「ふん……まぁせいぜい役に立って見せるんだな。織波家の方々に迷惑は掛けるなよ」
芝村はそう呟くと、家臣達と共にその場から去って行った。
瀬良は頭を下げながらその様子を横目で見ていた。今の反応からすると、やはりと言うべきか、彼女は白狐の事が気に入らないらしい。
芝村がいなくなったのを確認すると白狐は立ち上がり、ぷりぷりと怒っていた。
「なんなのさあの人!なんか嫌な感じ!」
こいつでも怒る事があるのか、と瀬良は苦笑いしながら答える。
「今の態度は気にするな、あの人は誰に対してもあんな感じだ」
白狐を宥めながら、瀬良は芝村について話す。
「あのお方の家……芝村家は代々織波家に仕える名門中の名門だ。その当主、芝村勝梨様は少々気難しい方でな。悪い方ではないのだが、如何せん気位が高くていらっしゃる。半化生が好きではないというのもあるが、奇異な振る舞いをする信葉様の事が気に入らないようでな……」
やれやれ、といった風に瀬良は肩をすくめた。どうやら彼女も芝村という人物は苦手のようだ。
「信葉様絡みになると更に気難しくなって少々厄介な方なんだ、だからなるべく関わらない方が良いぞ」
「そうなんだ……」
瀬良の忠告を聞き、白狐はそう返事をする。見た目は和服が似合う美人だというのになんとも勿体ない。
キツそうな雰囲気がなんとなくそそられるのだが、瀬良によると半化生を嫌っているようなので、確かに余り関わらない方がいいかもしれない。
そう考えると瀬良は家老という高い地位にいるにも関わらず変に偉ぶったりしないし、半化生だからといって態度を変える事もない。
白狐はそんな瀬良の事を好ましく思っていたし、芝村と比べてどれだけ素晴らしい人物か理解した。
「なむなむ……」
思わず拝んでしまう程だった。
突然拝みだした白狐に瀬良は不思議そうな顔をするが、ふっと笑みを浮かべる。
「なぜ急に拝みだしたのかは分からんが、まぁそういう事だ。家老の連中にはあまり近寄らん方がいい。嫌な思いはしたくないだろう」
「うん、わかったよ瀬良さん」
白狐は素直に瀬良の忠告を聞く事にした。彼女の言う事はきっと聞いた方がいい。そんな確信が白狐の中に生まれてきていた。
「そう言えばお前は何をやっていたんだ?見たところまだ三匹に分裂しているようだが、信葉様の小姓になったんじゃないのか?」
瀬良は白狐のキツネの尻尾を見ながらそう言った。
白狐の尻尾の本数は本来は三本だが、三匹に分裂している時は一本になる。故に瀬良は目の前の白狐が分裂体だと気付いた訳だ。
「えっとね、僕は密偵……じゃなくてお手伝い白狐くんで、小姓白狐くんは別の身体がやってるよ」
「お手伝い白狐……?あぁ、成程、分身同士で役割分担をしているのか。便利なものだな」
「うん。それで今は何をやってたかというと……」
そこまで言って白狐の口が止まった。
はて、今自分は何をしていたんだっけか?なんか信根のオナニーを見たりウサギさんのおっぱい揉んだりと色々嬉しい事があったが、そもそも何故自分は城を散策しているんだ……?
白狐は悩んだ。しかし答えは出なかった。
「んっとね……よく分かんない」
「なんだそれは。はぁ、ただブラブラしているだけか」
白狐の気の抜けたような返事に瀬良はずっこけそうになるも、すぐに気を取り直す。
「まぁいい、では私は行くぞ。もう評定が始まってしまうからな」
「うん、またね瀬良さん!」
白狐は手を振って、去って行った瀬良を見送った。
瀬良が見えなくなってから、白狐は改めて自分が何をしようとしていたのか考える。
信根のオナニー……ウサギさんのおっぱい……忍者達の裸……
うーん?なんか違うなぁ……白狐が考えていたのはもっと別の事だった気がする。
「えっとね、確か僕は密偵……じゃなくてお手伝い白狐くんで……」
白狐は自分の役割を確認するように呟く。そして……
「はっ」
思い出した。
そうだ、そうだった。
自分は行方不明になった市野を探していたのだ!
いつの間にかよく分からないまま城の中を歩いて変なもの(信根のオナニー)を見たりしてたが、そうじゃないだろう!
白狐は深く自省し、自分の使命を思い出す。
「は、早く市野様を探さないと!」
このままでは市野様が城をうろついている変態女に襲われてしまう!
本当にそんな女が城を闊歩しているかは分からないが、とりあえず急いだ方がいいだろう。
こうして白狐は信根のオナニーの事などすっかり忘れ、市野を探す為奔走するのであった。
白狐は身体の隅々まで綺麗になった兎瑠と別れる(放置)と清波城の散策に戻っていた。
「やっぱりお城には色んな人がいるなぁ」
織波の先輩忍者達との出逢いはお城を探索していないとなかっただろう、やはり普段と違うことはしてみるものだ。
清波城には忍者だけでなく、女中さんや出入りしている商人など様々な人がいる。他にも白狐の知らない誰かが働いていることだろう。
新たな出会いを想像すると白狐はなんだか楽しくなってきた。皆、見目麗しいお姉さん達だし、仲良くなりたいものだ。
そんな事を考えながらキツネの尻尾をフリフリしていると、不意にとある人物が白狐の視界に入ってきた。
「あ!」
それは白狐がよく知る人物で、蒼い髪を後ろで束ね、ポニーテールをしている美女……いつも信葉の側に侍る人物、瀬良義実であった。
彼女は城の廊下を歩いていた。珍しい事に今日は信葉と一緒ではないうようだ。白狐はとてとてと彼女に近寄ると後ろから大声で元気よく挨拶をする。
「瀬良さん、こんにちわ!」
「わぁっ!!……て、なんだキツネか」
突然の大声に瀬良はビックリして肩を震わすも、声の主が白狐だと知ると落ち着きを取り戻す。
「急に声を掛けるな、びっくりするだろうが」
「えへへごめんね。ところで瀬良さんは何してるの?」
「私か?私はこれから家老評定に向かうところだ」
「家老評定?」
白狐は聞いたことのない言葉だった。しかし、瀬良の様子を見るに大事な仕事なのだろう。
「月に一度か二度、織波家当主である秀菜様の御前で開かれる評定だよ。家老以上の家臣団が全員集まり、今後の織波家の方針を決める大切な会議だ」
「へぇー……なんか凄そう!」
白狐は興味深げに尻尾をフリフリと振る。そんな様子に瀬良は目を細めた。
「……一応言っておくが評定の間は絶対に広間に入ってくるんじゃないぞ。私ならともかく、他の家老の中には冗談が通じないのもいるしそもそも半化生が嫌いな者もいる。お前の為を思って言ってやってるんだ、分かったな?」
「うん!わかった!」
白狐はにこにこと元気良く答えた。そんな白狐の姿に瀬良は嘆息する。
分かっているか分かっていないのかよく分からん奴だ、と瀬良は思っていた。まぁしかし、一応は信葉直属の忍であるから何かあってもいきなり手打ちにはなるまい。
「(家老かぁ。瀬良さんって結構偉かったんだね)」
一方で白狐はそんな事を思っていた。普段、瀬良がどのくらい偉いのかはあまり考えていなかったし、そもそも興味のなかったことだ。
しかし家老という意味は分かる。その名が家臣の中で一番偉い役職である事くらいは白狐も分かっていた。そう言えば瀬良家は名門だと誰かが言っていたような気がしなくもない。
「……ん?」
瀬良と白狐が廊下で話していた時だ。不意に瀬良が何かに気付いたかのような声を出す。
そして次の瞬間には白狐の袖を引っ張り無理矢理廊下の端に寄せ、口を開いた。
「おい、膝をついて頭を下げろ!」
突然瀬良に引っ張られてそう言われた白狐であったが、反論する事はなく取り合えず瀬良の言う通りに行動する。
頭を下げつつ、白狐は頭を僅かに上げて瀬良の視線の先を見る。すると廊下の先から此方に向かってくる武士らしき装いの集団が見えた。
その集団の先頭にいる女性。彼女の纏う空気は他とは明らかに異なるものだった。
「あれは織波家の筆頭家老、芝村勝梨様だ。あのお方は気難しいから下手な事は言うんじゃないぞ」
そう言って瀬良は白狐と同じように廊下の隅に移動し首を垂らす。
家老である瀬良が頭を下げるという事は彼女よりも更に地位が高い人物なのだろう、家老の中にも順列があるのかと白狐は頭の中で考えていた。
そしてその集団が瀬良と白狐の前を通り過ぎようとした時、不意に先頭にいる女……芝村が歩を止めた。
「むぅ?」
訝しむような視線で白狐を見る芝村。少しの静寂の後、芝村は口を開く。
「おい、そこの半化生。面を上げい」
急にそんな事を言われて焦る白狐であったが、拒否する訳にもいかず恐る恐る顔を上げる。
白狐の視界に飛び込んできたのは、鋭い眼光を携えた美女の顔であった。
彼女は白狐を見下ろしながら、怪訝な表情をしていた。
「お前が白狐か」
彼女が自分の名前を知っている事に疑問を覚えつつも、白狐は肯定しようと口を開くが、それよりも先に芝村が言葉を発する。
「ふん、信葉様が忍者を小姓にしたりと妙な事をなさっているので一体どんな半化生かと思ったら……ただの小汚いキツネではないか」
芝村は白狐を見ながら一笑する。
「こんな得体の知れん奴を小姓にするなど信葉様は何をお考えなのか。全く、だからうつけ姫などと呼ばれるのだ」
明らかに小馬鹿にした様子である。白狐は彼女の言葉に少しカチンと来たものの、何とか我慢し反論せずに俯く。
そんな白狐の反応を見て、芝村はつまらなそうに鼻をならすと、それ以上何も言うことなく再び歩き始める。
「ふん……まぁせいぜい役に立って見せるんだな。織波家の方々に迷惑は掛けるなよ」
芝村はそう呟くと、家臣達と共にその場から去って行った。
瀬良は頭を下げながらその様子を横目で見ていた。今の反応からすると、やはりと言うべきか、彼女は白狐の事が気に入らないらしい。
芝村がいなくなったのを確認すると白狐は立ち上がり、ぷりぷりと怒っていた。
「なんなのさあの人!なんか嫌な感じ!」
こいつでも怒る事があるのか、と瀬良は苦笑いしながら答える。
「今の態度は気にするな、あの人は誰に対してもあんな感じだ」
白狐を宥めながら、瀬良は芝村について話す。
「あのお方の家……芝村家は代々織波家に仕える名門中の名門だ。その当主、芝村勝梨様は少々気難しい方でな。悪い方ではないのだが、如何せん気位が高くていらっしゃる。半化生が好きではないというのもあるが、奇異な振る舞いをする信葉様の事が気に入らないようでな……」
やれやれ、といった風に瀬良は肩をすくめた。どうやら彼女も芝村という人物は苦手のようだ。
「信葉様絡みになると更に気難しくなって少々厄介な方なんだ、だからなるべく関わらない方が良いぞ」
「そうなんだ……」
瀬良の忠告を聞き、白狐はそう返事をする。見た目は和服が似合う美人だというのになんとも勿体ない。
キツそうな雰囲気がなんとなくそそられるのだが、瀬良によると半化生を嫌っているようなので、確かに余り関わらない方がいいかもしれない。
そう考えると瀬良は家老という高い地位にいるにも関わらず変に偉ぶったりしないし、半化生だからといって態度を変える事もない。
白狐はそんな瀬良の事を好ましく思っていたし、芝村と比べてどれだけ素晴らしい人物か理解した。
「なむなむ……」
思わず拝んでしまう程だった。
突然拝みだした白狐に瀬良は不思議そうな顔をするが、ふっと笑みを浮かべる。
「なぜ急に拝みだしたのかは分からんが、まぁそういう事だ。家老の連中にはあまり近寄らん方がいい。嫌な思いはしたくないだろう」
「うん、わかったよ瀬良さん」
白狐は素直に瀬良の忠告を聞く事にした。彼女の言う事はきっと聞いた方がいい。そんな確信が白狐の中に生まれてきていた。
「そう言えばお前は何をやっていたんだ?見たところまだ三匹に分裂しているようだが、信葉様の小姓になったんじゃないのか?」
瀬良は白狐のキツネの尻尾を見ながらそう言った。
白狐の尻尾の本数は本来は三本だが、三匹に分裂している時は一本になる。故に瀬良は目の前の白狐が分裂体だと気付いた訳だ。
「えっとね、僕は密偵……じゃなくてお手伝い白狐くんで、小姓白狐くんは別の身体がやってるよ」
「お手伝い白狐……?あぁ、成程、分身同士で役割分担をしているのか。便利なものだな」
「うん。それで今は何をやってたかというと……」
そこまで言って白狐の口が止まった。
はて、今自分は何をしていたんだっけか?なんか信根のオナニーを見たりウサギさんのおっぱい揉んだりと色々嬉しい事があったが、そもそも何故自分は城を散策しているんだ……?
白狐は悩んだ。しかし答えは出なかった。
「んっとね……よく分かんない」
「なんだそれは。はぁ、ただブラブラしているだけか」
白狐の気の抜けたような返事に瀬良はずっこけそうになるも、すぐに気を取り直す。
「まぁいい、では私は行くぞ。もう評定が始まってしまうからな」
「うん、またね瀬良さん!」
白狐は手を振って、去って行った瀬良を見送った。
瀬良が見えなくなってから、白狐は改めて自分が何をしようとしていたのか考える。
信根のオナニー……ウサギさんのおっぱい……忍者達の裸……
うーん?なんか違うなぁ……白狐が考えていたのはもっと別の事だった気がする。
「えっとね、確か僕は密偵……じゃなくてお手伝い白狐くんで……」
白狐は自分の役割を確認するように呟く。そして……
「はっ」
思い出した。
そうだ、そうだった。
自分は行方不明になった市野を探していたのだ!
いつの間にかよく分からないまま城の中を歩いて変なもの(信根のオナニー)を見たりしてたが、そうじゃないだろう!
白狐は深く自省し、自分の使命を思い出す。
「は、早く市野様を探さないと!」
このままでは市野様が城をうろついている変態女に襲われてしまう!
本当にそんな女が城を闊歩しているかは分からないが、とりあえず急いだ方がいいだろう。
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