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本編
59.「本気を見せてあげる。貴女だけに、本当の私を……」
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白狐は信根をお姫様抱っこしながら着地すると、蛇紅を睨み付けた。
白狐の目が蛇紅の蛇の下半身を捉える。
蛇の半化生……!
初めて見る異形の姿に白狐は一瞬たじろぐも、すぐに敵意を剥き出しにして尻尾の毛を逆立てさせた。
「あ~ら、随分と可愛らしいお嬢さんが来たじゃないのぉ」
蛇紅は傷口をペロリと舐めながら、妖艶に笑う。信根を抱えたままの白狐は鋭い視線を向けたまま動かない。
「私の邪魔をするなんて、貴女、死にたいのかしらぁ?あぁ、この子の護衛?だったら悪いけど死んで貰うわぁ。織波の姫以外には用なんて無いもの」
蛇紅はクツクツと笑いながら言う。
なんという禍々しさだろうか。まるで悪意そのものを具現化したような邪悪さが滲み出ている。
白狐が今まで会ってきた半化生は皆良い人だった。だが、目の前の女は違う。明確な敵であり、倒すべき存在なのだ。
「うわぁ~ん!!ひぐっ……うぅ、うぅぅ……」
腕の中で泣きじゃくる信根。先程まで殺されかけていたせいで、信根は白狐に抱き着きながら大泣きしていた。
白い尻尾が信根を慰めるようにフワリと揺れる。
「信根様、ご無事ですか!?」
「うっう……すごく、いたいよ……」
泣き続ける信根を見て、白狐はギュッと拳を握った。
――こんな少女がここまで追い詰められるなんて……!怒りに震え、牙を噛み締める。
「信根様に酷い事をしたのは貴女ですね……!絶対に許しません!」
殺気すら籠もったキツネの眼光に蛇紅はニヤァ……っと笑った。蛇の下半身がユラリと揺れ、舌がシュルルと動く。
「いいわぁ……貴女、とても可愛い顔してる。その顔をグチャグチャに歪めてあげたいわぁ」
蛇紅は蛇の瞳孔を更に細めた。その瞬間、空気が変わったのを白狐は感じ取る。
「信根様、暫くここでお待ち下さい。僕は彼女を退治してきます」
そう言って白狐は信根を地面に降ろす。信根は未だに泣いていたが、それでも白狐の服を掴んで離そうとしなかった。
「いやだぁ……置いてかないでぇ……!」
あの気丈に振る舞っていた少女がどんな体験をしたらここまで弱い姿を晒せるのだろうか。
白狐は蛇紅に怒りを抱くと共に、信根を哀れんだ。
そんな彼女に白狐は金平糖を一粒取り出すと、それを信根の口の中へと入れる。
「戻ったらまた、お茶とお菓子を用意しましょう。それまではこの金平糖で我慢していてくださいね?」
その言葉に信根は小さくコクンと首を縦に振った。それを見た白狐はニコリと微笑むと、蛇紅を見据えて構えを取る。
「終わったかしらぁ?ならさっさと殺し合いを始めましょ。そっちの方がお互い気持ち良く終われるわよぉ?」
どうやら律儀に信根を離すのを待っていてくれたようだ。恐らく信根を殺す気はないのだろう、ならばこっちも信根を気にする事なく存分に戦える。
「さぁ……御主人様にお別れは済んだみたいだし、始めましょうかぁ?」
蛇紅はニタリと笑って言った。白狐はその言葉に無言で応えると、尻尾を大きく振り回す。
それが開戦の合図であった。
「シャアッ!!」
蛇紅が動いた。地を這うように素早く、それでいて音を立てずに移動する。
――速い!
瞬時に距離を詰められ、白狐の眼前へと迫る蛇紅。その動きはまさに蛇のように滑らかで無駄がない。
白狐は咄嵯に体を捻り、蛇紅の尾による攻撃を回避する。だが、それは囮だった。
「忍法・火遁【焦熱】……」
ボウッと蛇紅の口から炎が噴き出る。それは瞬く間に火炎放射となって白狐に襲いかかった。
「!」
白狐は咄嵯に横に飛び退こうとする。だが蛇紅はそれを見越していたかのように、即座に白狐に追いついた。
「逃がさないわよぉ!」
蛇の尻尾が白狐に絡みつこうと伸びる。白狐は身を捻って回避するも、今度は手に持った小太刀で斬りつけてきた。
「くっ!」
尻尾の一撃を辛うじて避けるものの、すぐに追い打ちが襲ってくる。
無駄のない洗練された動き……――この人、強い……!
白狐は蛇紅の攻撃を避けながら思った。彼女の攻撃は洗練されており、尚且つ的確である。
恐らくはこのような殺し合いを何度も経験しているのであろう。戦闘慣れした手際の良さと実力を肌で感じ取った。
白狐は何とか反撃に転じようと隙を探るも、中々見つからない。蛇紅のスピードは白狐を上回っているのだ。
「ほぅら、これはどうかしらぁ!?」
蛇紅の尾が白狐を叩きつけんと迫る。白狐はギリギリの所で避けたものの、その風圧で吹き飛ばされてしまう。
白狐ゴロゴロと地面を転がり、木にぶつかる事でようやく止まった。
「うぐ……!」
背中を強く打ったせいか、一瞬息が止まる。その僅かな間に蛇紅は指を組み、妖力を集中させていた。
蛇紅の両手に妖力の奔流が渦巻き始める。
「まずいっ……!」
白狐は慌てて立ち上がるが、既に遅かった。
蛇紅は舌をチロチロッと動かしながら、ニッと笑う。そして―――
「忍法・火遁【獄炎】」
放たれたのは巨大な業火の渦だった。まるで全てを焼き尽くす地獄の炎。
その威力は凄まじく、白狐は咄嵯に防御態勢を取ったが、それでも防ぎ切れずに飲み込まれてしまった。
「白狐……!!」
炎の渦に巻き込まれた白狐を見て信根は悲痛な叫び声を上げた。
「あらら、もう終わり?呆気ないわねぇ……」
蛇紅はつまらなさそうに呟いた。彼女は白狐との戦いを楽しんでいたのだが、あっさりと終わってしまった事に興醒めした。
――もっと私を楽しませてくれると思ったのに……
蛇紅はフゥ……っと溜め息をつく。折角の獲物がすぐ死んだ上に、退屈という感情まで抱いてしまっていた。
信根は燃え盛る炎を前にガクリと膝を突いた。
「う……うっ……」
燃えた。全て燃え尽きた。
あのキツネの忍者は灰すらも残らずに消え去った。
「あぁ……ああぁぁ……!!」
信根は涙を流す。今まで信じていたモノが全て崩れ落ちていくような感覚を覚えた。
別に白狐とは長い付き合いではない。昨日今日会ったばかりの薄くて細い繋がりだ。
しかし、そんな薄い関係でも、その相手が目の前で消されてしまった。その事実は信根の心を絶望で染め上げるには十分過ぎた。
「いやだぁ……!うぅ……うぁ……!」
信根は泣きじゃくる。その様子を見ながら蛇紅は笑った。
「うふふ、良い顔してるじゃない。今の奴は期待外れだったけど貴女のその顔は最高よぉ」
蛇紅は蛇の尾を再び信根に巻き付けようと伸ばす。信根は逃げる事もせず、ただ泣いていた。
そうして再び信根に尾が絡まりそうになったその時――
「狐奇剣・五月雨狐!!」
「っ!?」
突然の斬撃が蛇紅を襲う。雨のように降り注ぐ斬撃の嵐を蛇紅は咄嵯に身を捩り、尾で攻撃を防いだ。
そして信根と蛇紅の間に割り込むようにして一人の忍者が現れる。
「キツネを侮ってはいけません!にんにん!」
それは白狐であった。
炎に飲み込まれた筈の白狐は、無傷でそこに立っていた。
信根と蛇紅は狐に化かされたようにキョトンと白狐を見つめている。確かに炎は白狐を飲み込んだ。だが今、こうして白狐は無傷で立っている。
「び、白狐!」
信根はパァっと顔を明るくし、蛇紅は対称的に訝しげな表情を浮かべた。
「どうやってあの炎から抜け出したのかしらぁ……?」
「どうやってだと思います?」
白狐はどや顔で質問に質問で返した。蛇紅はそれを見て、何かに気付いたように尻尾で白狐を叩き潰そうと振り下ろす。
だがその瞬間、白狐の身体がユラリと、陽炎のように揺らいだ。そのまま蛇の尻尾は白狐を捉える事なく空を切る。
「なに……?」
蛇紅が疑問の声を上げると同時に白狐の姿がゆらりと掻き消えた。次の瞬間、蛇紅の背後に白狐が出現する。
「こっちですよ~」
「!?」
蛇紅は咄嵯に尾で背後から迫る白狐を攻撃する。だが、それもまた虚しく空を切った。
またしても白狐は幻影のように姿を消す。蛇紅は訳が分からず混乱するばかり。
「あら……」
蛇紅は本能で危険を感じ取り、その場から離れる。すると、さっきまで蛇紅がいた場所を無数のクナイが通り抜けた。
蛇紅は素早く振り返ると、そこには小太刀を構えた白狐が佇んでいる。
「幻術?そうか、貴女はキツネだものね……」
蛇紅は忌々しそうに舌打ちをした。
通常、幻術や変化の術というのは非常に修得が困難である。天性の才能がない限り幾ら妖力が膨大でも使う事は出来ない。
だが、何故かキツネやタヌキの半化生に限っては、この類いの術を得意としていた。
彼女達は天性の騙し屋であり、人を騙す事に長けている。故に幻術はお手の物なのだ。
特に高位のキツネ、タヌキの半化生ともなると幻を現実に変える事すら可能となる厄介な存在でもある。
恐らくは木にぶつかった瞬間から白狐は既に幻と入れ替わり距離を取っていたのだ。
「全く面倒くさいわねぇ。でも知ってる?"化かし"は一度見破られたら……もう通用しないのよぉ?」
蛇紅の瞳が怪しく光った。蛇の瞳孔が縦長に変化する。その目を見た途端、白狐の身体に悪寒が走った。
次の瞬間、白狐の幻影が掻き消えてその代わりに木の上から何かが落ちる。それは幻影ではない、本物の白狐であった。
「うわぁ!」
ドサリと地面に叩きつけられる白狐。
蛇紅の瞳が白狐の幻影を破り、本物の白狐を炙り出したのだ。
「うふふ……もう同じ手は使えないわねぇ」
幾ら幻術が得意なキツネと言っても白狐と蛇紅の実力差は歴然としていた。実力差があると幻術の類は通用し難い上に今の彼女は警戒状態に入っており探知能力を極限まで引き上げるさせている。
これでは幻影は意味を為さないだろう。
「くっ……!」
白狐も幻影がいつまでも通じる相手ではないと理解していた。蛇紅の実力は明らかに自分よりも上……!
幻術のような小細工はもう通用しないだろう。
ならば――
「今度は真っ向勝負です!狐狸流忍術・電光石狐!」
白狐は素早い動きで四方八方から攻撃を仕掛ける。蛇紅は余裕を持って回避し、視線は常に白狐を追っていた。
そしてすれ違いざまに白狐の尻尾を絡め取る。
「甘いわよぉ!」
蛇の尾が白狐の尻尾を締め付ける。白狐は苦悶の表情を浮かべるも、それも一瞬。
次の瞬間にはキツネの尻尾がポンと取れて白狐の身体から分離した。
「なっ……!?」
流石の蛇紅もこの予想外の出来事には動揺を隠し切れない。白狐はそんな隙だらけの蛇紅から逃れると、印を結んで妖力を込めた。
「狐狸流忍術・キツネの尻尾切り!!」
蛇紅に捕まった白狐の尻尾がピーッと笛の音にも似た音を立てて赤く膨らんでいく。
不味い―――蛇紅は咄嵯にキツネの尻尾を投げ捨てようとするが、それよりも早く白狐の尻尾が大爆発を起こした。
「きゃあぁっ!!」
蛇紅の悲鳴が上がる。爆風で吹き飛ばされた蛇紅は地面を転がり、やがて止まる。
「かふっ……」
口から血を吐きながら蛇紅は立ち上がる。彼女の自慢の蛇の鱗には無数の傷が刻まれ、その美しい肢体はボロボロになっていた。
「うふっ……ふふふふ…」
蛇紅は痛みに顔を歪めながらも、笑みを浮かべた。
「良いわぁ、最高に楽しいわぁ!貴女、素敵よぉ!」
蛇紅は歓喜の声を上げ、恍惚とした表情で白狐を見つめた。
対する白狐は無言で小太刀を構える。だが内心、焦っていた。
彼女は強い。少なくとも自分よりも格上だ。
今の忍術は自らの尻尾を犠牲にして爆発させるという技だが、一度使うと暫くの間尻尾が二本になってしまう。当然力もその分低下する。
尻尾はその内生えてくるが、その間は弱体化してしまうのだ。
高威力だが、仕留めきれないとパワーダウンしてしまうという諸刃の剣であった。
そして直撃したにも関わらず、蛇紅はまだまだ健在である。傷だらけになってはいるものの、倒すには至っていない。
「随分と面白い忍術を使うのねぇ……!尻尾を切り離して爆発させるなんて見た事も聞いた事もないわぁ!」
蛇紅は楽しげに笑う。だが、白狐はそれとは対照的に表情を曇らせた。
――このままじゃ勝てない……
白狐はそう直感した。今の自分では蛇紅を倒す事は出来ない。
だが、だからと言って逃げる訳にもいかない。信根を見捨てる事は絶対に出来ないからだ。
しかし白狐を更に絶望させる光景が目の前に広がる。
「お返しに私も見せてあげるわ……珍しい技をねぇ」
不意に蛇紅は両手を上げ、まるで舞うようにゆっくりと動かし始めた。
するとどうした事か、蛇が脱皮をするように蛇紅の身体から皮が脱げていく。あっという間に全身の皮が剥け、中からは真っ白な肌と、無傷の蛇の下半身が露出された。
白狐はその光景に驚愕すると同時に戦慄した。
あれだけボロボロだった蛇紅の身体が、瞬く間に再生してしまったのだ。
「さっきは油断していたけど……もう大丈夫よぉ、貴女はもう逃げられない。さぁ、第二回戦を始めましょうか」
蛇紅の瞳が妖しく光る。それを見た瞬間、白狐の身体に悪寒が走った。
蛇に睨まれた蛙……いや、蛇に睨まれたキツネといったところだろうか。
蛇紅の瞳に見つめられた瞬間に白狐は恐怖を抱いてしまった。蛇に睨まれた蛙の瞳から発せられる威圧感に白狐は思わず後ずさる。
「本気を見せてあげる。貴女だけに、本当の私を……」
蛇紅の身体から膨大な妖力が放出される。
白狐は身構え、蛇紅の瞳を真っ直ぐ見据えた。
蛇紅の瞳孔は先程のように縦長に変化し、瞳の色もまた赤黒く染まっていく。
その瞬間であった。距離が空いていた筈の蛇紅の姿が白狐の眼前に現れる。
「……っ!?」
来た、と思った時には遅すぎた。白狐は反射的に飛び退くも、既に蛇紅は攻撃動作に移っていた。
「蛇腹手刀」
蛇紅の右腕が鞭の様にしなり、白狐の腹部を狙う。神速で放たれた手刀に対し、白狐は認識すら出来ずにまともに喰らってしまった。
「ぐっ!?」
白狐の腹部に衝撃が走る。同時に白狐の視界がグルリと回転し、背中から地面に叩きつけられた。
白狐は何が起こったのか分からなかった。余りの速さに脳が理解を拒んだのだ。
だがそれで終わりではない。蛇の尾が白狐を弾き飛ばし、白狐は宙に投げ出された。
「うぐぅっ!?」
悲鳴を上げる白狐。蛇紅の追撃はまだ終わっていなかった。宙を舞っている白狐に狙いを定め、一気に加速して跳躍。
瞬時に白狐の上に回り込み、白狐の頭を鷲掴みにして地面へと急降下する。
「がっ…!!はぁっ!!」
成す術無く白狐は顔面から勢いよく落下する。激しい衝撃と共に顔から地面に叩き付けられた白狐は苦悶の声を上げた。
「あぁ~……いいわぁ!最高よぉ!もっと、もっともっと遊んでぇ!!」
興奮した様子で叫ぶ蛇紅。完全に我を忘れて暴れ狂うその姿は最早正気とは思えなかった。
鼻や口から血を垂れ流しながらも白狐は蛇紅の手から逃れようと、ありったけの力を込めて叫んだ。
「狐狸…流……忍術……旋風狐…尻尾……!」
白狐の尻尾がグルグルと回転し、竜巻の様な風が巻き起こる。その風に煽られて蛇紅の動きが一瞬鈍くなる。
その瞬間、白狐は蛇紅の手から抜け出すと、すかさず間合いを取った。
「あぁん……つれないわねぇ、もう少し遊びたいのにぃ」
残念そうな声を出しつつも、蛇紅は口元を歪めて笑みを浮かべていた。
「はぁっ……!はぁっ……!」
頭部に大きな衝撃を受けたせいで意識が少し混濁している。それでも白狐は必死に堪えながら、呼吸を整えた。
何とか態勢を立て直そうと試みるが上手くいかない。今の連撃はかなり効いたようだ……
「白狐!」
そんな白狐の様子を見兼ねてか、戦いを見守っていた信根が白狐に駆け寄ろうとする。
だが蛇紅はカッと目を見開き、信根を蛇の尻尾で弾き飛ばした。
「あぐぅっ!?」
「邪魔しないでくれるかしらぁ!?折角の愉しい殺し合いを楽しんでいるんだからねぇ!」
ゴロゴロと転がり、木に激突して止まる信根。蛇紅はそんな彼女を見下ろし、心底楽しげな笑みを浮かべている。
「貴女を攫うより、この子と殺し合ってた方が愉しいわぁ。だから……そこで大人しく見てなさい」
「うっうっ…」
蛇紅は信根を睨むと、白狐に向かってシュルシュルと蛇の下半身をくねらせて近付いていく。
相手は脱皮して無傷。
対する白狐は満身創痍で、しかも尻尾が二本に減っている。
絶望の状況で、だが白狐は諦めていなかった。
白狐の金色の瞳がキラリと煌めいた。
白狐の目が蛇紅の蛇の下半身を捉える。
蛇の半化生……!
初めて見る異形の姿に白狐は一瞬たじろぐも、すぐに敵意を剥き出しにして尻尾の毛を逆立てさせた。
「あ~ら、随分と可愛らしいお嬢さんが来たじゃないのぉ」
蛇紅は傷口をペロリと舐めながら、妖艶に笑う。信根を抱えたままの白狐は鋭い視線を向けたまま動かない。
「私の邪魔をするなんて、貴女、死にたいのかしらぁ?あぁ、この子の護衛?だったら悪いけど死んで貰うわぁ。織波の姫以外には用なんて無いもの」
蛇紅はクツクツと笑いながら言う。
なんという禍々しさだろうか。まるで悪意そのものを具現化したような邪悪さが滲み出ている。
白狐が今まで会ってきた半化生は皆良い人だった。だが、目の前の女は違う。明確な敵であり、倒すべき存在なのだ。
「うわぁ~ん!!ひぐっ……うぅ、うぅぅ……」
腕の中で泣きじゃくる信根。先程まで殺されかけていたせいで、信根は白狐に抱き着きながら大泣きしていた。
白い尻尾が信根を慰めるようにフワリと揺れる。
「信根様、ご無事ですか!?」
「うっう……すごく、いたいよ……」
泣き続ける信根を見て、白狐はギュッと拳を握った。
――こんな少女がここまで追い詰められるなんて……!怒りに震え、牙を噛み締める。
「信根様に酷い事をしたのは貴女ですね……!絶対に許しません!」
殺気すら籠もったキツネの眼光に蛇紅はニヤァ……っと笑った。蛇の下半身がユラリと揺れ、舌がシュルルと動く。
「いいわぁ……貴女、とても可愛い顔してる。その顔をグチャグチャに歪めてあげたいわぁ」
蛇紅は蛇の瞳孔を更に細めた。その瞬間、空気が変わったのを白狐は感じ取る。
「信根様、暫くここでお待ち下さい。僕は彼女を退治してきます」
そう言って白狐は信根を地面に降ろす。信根は未だに泣いていたが、それでも白狐の服を掴んで離そうとしなかった。
「いやだぁ……置いてかないでぇ……!」
あの気丈に振る舞っていた少女がどんな体験をしたらここまで弱い姿を晒せるのだろうか。
白狐は蛇紅に怒りを抱くと共に、信根を哀れんだ。
そんな彼女に白狐は金平糖を一粒取り出すと、それを信根の口の中へと入れる。
「戻ったらまた、お茶とお菓子を用意しましょう。それまではこの金平糖で我慢していてくださいね?」
その言葉に信根は小さくコクンと首を縦に振った。それを見た白狐はニコリと微笑むと、蛇紅を見据えて構えを取る。
「終わったかしらぁ?ならさっさと殺し合いを始めましょ。そっちの方がお互い気持ち良く終われるわよぉ?」
どうやら律儀に信根を離すのを待っていてくれたようだ。恐らく信根を殺す気はないのだろう、ならばこっちも信根を気にする事なく存分に戦える。
「さぁ……御主人様にお別れは済んだみたいだし、始めましょうかぁ?」
蛇紅はニタリと笑って言った。白狐はその言葉に無言で応えると、尻尾を大きく振り回す。
それが開戦の合図であった。
「シャアッ!!」
蛇紅が動いた。地を這うように素早く、それでいて音を立てずに移動する。
――速い!
瞬時に距離を詰められ、白狐の眼前へと迫る蛇紅。その動きはまさに蛇のように滑らかで無駄がない。
白狐は咄嵯に体を捻り、蛇紅の尾による攻撃を回避する。だが、それは囮だった。
「忍法・火遁【焦熱】……」
ボウッと蛇紅の口から炎が噴き出る。それは瞬く間に火炎放射となって白狐に襲いかかった。
「!」
白狐は咄嵯に横に飛び退こうとする。だが蛇紅はそれを見越していたかのように、即座に白狐に追いついた。
「逃がさないわよぉ!」
蛇の尻尾が白狐に絡みつこうと伸びる。白狐は身を捻って回避するも、今度は手に持った小太刀で斬りつけてきた。
「くっ!」
尻尾の一撃を辛うじて避けるものの、すぐに追い打ちが襲ってくる。
無駄のない洗練された動き……――この人、強い……!
白狐は蛇紅の攻撃を避けながら思った。彼女の攻撃は洗練されており、尚且つ的確である。
恐らくはこのような殺し合いを何度も経験しているのであろう。戦闘慣れした手際の良さと実力を肌で感じ取った。
白狐は何とか反撃に転じようと隙を探るも、中々見つからない。蛇紅のスピードは白狐を上回っているのだ。
「ほぅら、これはどうかしらぁ!?」
蛇紅の尾が白狐を叩きつけんと迫る。白狐はギリギリの所で避けたものの、その風圧で吹き飛ばされてしまう。
白狐ゴロゴロと地面を転がり、木にぶつかる事でようやく止まった。
「うぐ……!」
背中を強く打ったせいか、一瞬息が止まる。その僅かな間に蛇紅は指を組み、妖力を集中させていた。
蛇紅の両手に妖力の奔流が渦巻き始める。
「まずいっ……!」
白狐は慌てて立ち上がるが、既に遅かった。
蛇紅は舌をチロチロッと動かしながら、ニッと笑う。そして―――
「忍法・火遁【獄炎】」
放たれたのは巨大な業火の渦だった。まるで全てを焼き尽くす地獄の炎。
その威力は凄まじく、白狐は咄嵯に防御態勢を取ったが、それでも防ぎ切れずに飲み込まれてしまった。
「白狐……!!」
炎の渦に巻き込まれた白狐を見て信根は悲痛な叫び声を上げた。
「あらら、もう終わり?呆気ないわねぇ……」
蛇紅はつまらなさそうに呟いた。彼女は白狐との戦いを楽しんでいたのだが、あっさりと終わってしまった事に興醒めした。
――もっと私を楽しませてくれると思ったのに……
蛇紅はフゥ……っと溜め息をつく。折角の獲物がすぐ死んだ上に、退屈という感情まで抱いてしまっていた。
信根は燃え盛る炎を前にガクリと膝を突いた。
「う……うっ……」
燃えた。全て燃え尽きた。
あのキツネの忍者は灰すらも残らずに消え去った。
「あぁ……ああぁぁ……!!」
信根は涙を流す。今まで信じていたモノが全て崩れ落ちていくような感覚を覚えた。
別に白狐とは長い付き合いではない。昨日今日会ったばかりの薄くて細い繋がりだ。
しかし、そんな薄い関係でも、その相手が目の前で消されてしまった。その事実は信根の心を絶望で染め上げるには十分過ぎた。
「いやだぁ……!うぅ……うぁ……!」
信根は泣きじゃくる。その様子を見ながら蛇紅は笑った。
「うふふ、良い顔してるじゃない。今の奴は期待外れだったけど貴女のその顔は最高よぉ」
蛇紅は蛇の尾を再び信根に巻き付けようと伸ばす。信根は逃げる事もせず、ただ泣いていた。
そうして再び信根に尾が絡まりそうになったその時――
「狐奇剣・五月雨狐!!」
「っ!?」
突然の斬撃が蛇紅を襲う。雨のように降り注ぐ斬撃の嵐を蛇紅は咄嵯に身を捩り、尾で攻撃を防いだ。
そして信根と蛇紅の間に割り込むようにして一人の忍者が現れる。
「キツネを侮ってはいけません!にんにん!」
それは白狐であった。
炎に飲み込まれた筈の白狐は、無傷でそこに立っていた。
信根と蛇紅は狐に化かされたようにキョトンと白狐を見つめている。確かに炎は白狐を飲み込んだ。だが今、こうして白狐は無傷で立っている。
「び、白狐!」
信根はパァっと顔を明るくし、蛇紅は対称的に訝しげな表情を浮かべた。
「どうやってあの炎から抜け出したのかしらぁ……?」
「どうやってだと思います?」
白狐はどや顔で質問に質問で返した。蛇紅はそれを見て、何かに気付いたように尻尾で白狐を叩き潰そうと振り下ろす。
だがその瞬間、白狐の身体がユラリと、陽炎のように揺らいだ。そのまま蛇の尻尾は白狐を捉える事なく空を切る。
「なに……?」
蛇紅が疑問の声を上げると同時に白狐の姿がゆらりと掻き消えた。次の瞬間、蛇紅の背後に白狐が出現する。
「こっちですよ~」
「!?」
蛇紅は咄嵯に尾で背後から迫る白狐を攻撃する。だが、それもまた虚しく空を切った。
またしても白狐は幻影のように姿を消す。蛇紅は訳が分からず混乱するばかり。
「あら……」
蛇紅は本能で危険を感じ取り、その場から離れる。すると、さっきまで蛇紅がいた場所を無数のクナイが通り抜けた。
蛇紅は素早く振り返ると、そこには小太刀を構えた白狐が佇んでいる。
「幻術?そうか、貴女はキツネだものね……」
蛇紅は忌々しそうに舌打ちをした。
通常、幻術や変化の術というのは非常に修得が困難である。天性の才能がない限り幾ら妖力が膨大でも使う事は出来ない。
だが、何故かキツネやタヌキの半化生に限っては、この類いの術を得意としていた。
彼女達は天性の騙し屋であり、人を騙す事に長けている。故に幻術はお手の物なのだ。
特に高位のキツネ、タヌキの半化生ともなると幻を現実に変える事すら可能となる厄介な存在でもある。
恐らくは木にぶつかった瞬間から白狐は既に幻と入れ替わり距離を取っていたのだ。
「全く面倒くさいわねぇ。でも知ってる?"化かし"は一度見破られたら……もう通用しないのよぉ?」
蛇紅の瞳が怪しく光った。蛇の瞳孔が縦長に変化する。その目を見た途端、白狐の身体に悪寒が走った。
次の瞬間、白狐の幻影が掻き消えてその代わりに木の上から何かが落ちる。それは幻影ではない、本物の白狐であった。
「うわぁ!」
ドサリと地面に叩きつけられる白狐。
蛇紅の瞳が白狐の幻影を破り、本物の白狐を炙り出したのだ。
「うふふ……もう同じ手は使えないわねぇ」
幾ら幻術が得意なキツネと言っても白狐と蛇紅の実力差は歴然としていた。実力差があると幻術の類は通用し難い上に今の彼女は警戒状態に入っており探知能力を極限まで引き上げるさせている。
これでは幻影は意味を為さないだろう。
「くっ……!」
白狐も幻影がいつまでも通じる相手ではないと理解していた。蛇紅の実力は明らかに自分よりも上……!
幻術のような小細工はもう通用しないだろう。
ならば――
「今度は真っ向勝負です!狐狸流忍術・電光石狐!」
白狐は素早い動きで四方八方から攻撃を仕掛ける。蛇紅は余裕を持って回避し、視線は常に白狐を追っていた。
そしてすれ違いざまに白狐の尻尾を絡め取る。
「甘いわよぉ!」
蛇の尾が白狐の尻尾を締め付ける。白狐は苦悶の表情を浮かべるも、それも一瞬。
次の瞬間にはキツネの尻尾がポンと取れて白狐の身体から分離した。
「なっ……!?」
流石の蛇紅もこの予想外の出来事には動揺を隠し切れない。白狐はそんな隙だらけの蛇紅から逃れると、印を結んで妖力を込めた。
「狐狸流忍術・キツネの尻尾切り!!」
蛇紅に捕まった白狐の尻尾がピーッと笛の音にも似た音を立てて赤く膨らんでいく。
不味い―――蛇紅は咄嵯にキツネの尻尾を投げ捨てようとするが、それよりも早く白狐の尻尾が大爆発を起こした。
「きゃあぁっ!!」
蛇紅の悲鳴が上がる。爆風で吹き飛ばされた蛇紅は地面を転がり、やがて止まる。
「かふっ……」
口から血を吐きながら蛇紅は立ち上がる。彼女の自慢の蛇の鱗には無数の傷が刻まれ、その美しい肢体はボロボロになっていた。
「うふっ……ふふふふ…」
蛇紅は痛みに顔を歪めながらも、笑みを浮かべた。
「良いわぁ、最高に楽しいわぁ!貴女、素敵よぉ!」
蛇紅は歓喜の声を上げ、恍惚とした表情で白狐を見つめた。
対する白狐は無言で小太刀を構える。だが内心、焦っていた。
彼女は強い。少なくとも自分よりも格上だ。
今の忍術は自らの尻尾を犠牲にして爆発させるという技だが、一度使うと暫くの間尻尾が二本になってしまう。当然力もその分低下する。
尻尾はその内生えてくるが、その間は弱体化してしまうのだ。
高威力だが、仕留めきれないとパワーダウンしてしまうという諸刃の剣であった。
そして直撃したにも関わらず、蛇紅はまだまだ健在である。傷だらけになってはいるものの、倒すには至っていない。
「随分と面白い忍術を使うのねぇ……!尻尾を切り離して爆発させるなんて見た事も聞いた事もないわぁ!」
蛇紅は楽しげに笑う。だが、白狐はそれとは対照的に表情を曇らせた。
――このままじゃ勝てない……
白狐はそう直感した。今の自分では蛇紅を倒す事は出来ない。
だが、だからと言って逃げる訳にもいかない。信根を見捨てる事は絶対に出来ないからだ。
しかし白狐を更に絶望させる光景が目の前に広がる。
「お返しに私も見せてあげるわ……珍しい技をねぇ」
不意に蛇紅は両手を上げ、まるで舞うようにゆっくりと動かし始めた。
するとどうした事か、蛇が脱皮をするように蛇紅の身体から皮が脱げていく。あっという間に全身の皮が剥け、中からは真っ白な肌と、無傷の蛇の下半身が露出された。
白狐はその光景に驚愕すると同時に戦慄した。
あれだけボロボロだった蛇紅の身体が、瞬く間に再生してしまったのだ。
「さっきは油断していたけど……もう大丈夫よぉ、貴女はもう逃げられない。さぁ、第二回戦を始めましょうか」
蛇紅の瞳が妖しく光る。それを見た瞬間、白狐の身体に悪寒が走った。
蛇に睨まれた蛙……いや、蛇に睨まれたキツネといったところだろうか。
蛇紅の瞳に見つめられた瞬間に白狐は恐怖を抱いてしまった。蛇に睨まれた蛙の瞳から発せられる威圧感に白狐は思わず後ずさる。
「本気を見せてあげる。貴女だけに、本当の私を……」
蛇紅の身体から膨大な妖力が放出される。
白狐は身構え、蛇紅の瞳を真っ直ぐ見据えた。
蛇紅の瞳孔は先程のように縦長に変化し、瞳の色もまた赤黒く染まっていく。
その瞬間であった。距離が空いていた筈の蛇紅の姿が白狐の眼前に現れる。
「……っ!?」
来た、と思った時には遅すぎた。白狐は反射的に飛び退くも、既に蛇紅は攻撃動作に移っていた。
「蛇腹手刀」
蛇紅の右腕が鞭の様にしなり、白狐の腹部を狙う。神速で放たれた手刀に対し、白狐は認識すら出来ずにまともに喰らってしまった。
「ぐっ!?」
白狐の腹部に衝撃が走る。同時に白狐の視界がグルリと回転し、背中から地面に叩きつけられた。
白狐は何が起こったのか分からなかった。余りの速さに脳が理解を拒んだのだ。
だがそれで終わりではない。蛇の尾が白狐を弾き飛ばし、白狐は宙に投げ出された。
「うぐぅっ!?」
悲鳴を上げる白狐。蛇紅の追撃はまだ終わっていなかった。宙を舞っている白狐に狙いを定め、一気に加速して跳躍。
瞬時に白狐の上に回り込み、白狐の頭を鷲掴みにして地面へと急降下する。
「がっ…!!はぁっ!!」
成す術無く白狐は顔面から勢いよく落下する。激しい衝撃と共に顔から地面に叩き付けられた白狐は苦悶の声を上げた。
「あぁ~……いいわぁ!最高よぉ!もっと、もっともっと遊んでぇ!!」
興奮した様子で叫ぶ蛇紅。完全に我を忘れて暴れ狂うその姿は最早正気とは思えなかった。
鼻や口から血を垂れ流しながらも白狐は蛇紅の手から逃れようと、ありったけの力を込めて叫んだ。
「狐狸…流……忍術……旋風狐…尻尾……!」
白狐の尻尾がグルグルと回転し、竜巻の様な風が巻き起こる。その風に煽られて蛇紅の動きが一瞬鈍くなる。
その瞬間、白狐は蛇紅の手から抜け出すと、すかさず間合いを取った。
「あぁん……つれないわねぇ、もう少し遊びたいのにぃ」
残念そうな声を出しつつも、蛇紅は口元を歪めて笑みを浮かべていた。
「はぁっ……!はぁっ……!」
頭部に大きな衝撃を受けたせいで意識が少し混濁している。それでも白狐は必死に堪えながら、呼吸を整えた。
何とか態勢を立て直そうと試みるが上手くいかない。今の連撃はかなり効いたようだ……
「白狐!」
そんな白狐の様子を見兼ねてか、戦いを見守っていた信根が白狐に駆け寄ろうとする。
だが蛇紅はカッと目を見開き、信根を蛇の尻尾で弾き飛ばした。
「あぐぅっ!?」
「邪魔しないでくれるかしらぁ!?折角の愉しい殺し合いを楽しんでいるんだからねぇ!」
ゴロゴロと転がり、木に激突して止まる信根。蛇紅はそんな彼女を見下ろし、心底楽しげな笑みを浮かべている。
「貴女を攫うより、この子と殺し合ってた方が愉しいわぁ。だから……そこで大人しく見てなさい」
「うっうっ…」
蛇紅は信根を睨むと、白狐に向かってシュルシュルと蛇の下半身をくねらせて近付いていく。
相手は脱皮して無傷。
対する白狐は満身創痍で、しかも尻尾が二本に減っている。
絶望の状況で、だが白狐は諦めていなかった。
白狐の金色の瞳がキラリと煌めいた。
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