貞操逆転世界に産まれて男忍者として戦国時代をエッチなお姉さん達に囲まれながら生き抜く少年のお話♡ 健全版

捲土重来(すこすこ)

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本編

31.「白狐に近寄る変態女がいたらぶっ殺せー!!」

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「貴方はどうしてそう自分を犠牲にしようとするのですか……」


白狐の計画は上手くいった。上手くいった……のだが上手くいきすぎた。
当初の白狐の計画は徴兵役の侍に自分の価値を認めさせ、自分が徴兵される代わりに幾人か徴兵される人数を減らして貰おうとしたのだが……
なんと減らすどころか完全に免除されてしまったのだ。これには白狐も驚いた。
せいぜいが十人分の代わりになるかどうかと思っていたのに、いきなりの全員免除である。
どうやら自分が思っている以上に半化生の忍者というのは価値が高いらしい。

しかもである。兵役の免除のみならずなんと金子まで貰ったのだ。これには白狐もホクホク顔であった。
そんなこんなで村長に報告する為に村に戻ってきた白狐であったのだが、そこで彼を待っていたのは悲しげな顔をした村長であった。
そして白狐の話を聞くなり、涙を浮かべながらそう言って嘆いたのである。


「白狐くん……貴方だけを過酷な戦場に行かせて、私達だけのうのうと暮らすなんて出来ると思いますか?貴方のような幼子を死地に追いやる大人がいますか?」


村長はそう言いながらそっと白狐を抱き締めた。
自分は幼子とは言えぬ年齢なのだが……と白狐は思ったが全身に感じる村長のおっぱいにそんな思考はすぐに霧散する。
柔らかな感触に、ほんわかとした温もり。そして何より優しい匂いに白狐は目を細めた。


「(はぁ~幸せぇ~)」


思わず頬擦りしてしまいそうになるが、流石にそれは恥ずかしいので自重しておく。


「私達大人を信頼してください……!恩人に守られるだけの存在にはなりたくないのです」


おっぱいが押し付けられて幸せな気分になっていると、不意に頭上から声が聞こえてきた。
その声色は真剣そのものなのだがおっぱいに埋もれ思考力が低下している白狐にはよくわからなかった。


「ふぁい……♡」


とりあえず返事を返す白狐であったが、やはりおっぱいが気持ち良くて頭が回らない。
なので、この会話も特に意味の無いものであったりする。


「白狐くんが戦うというのなら、私達も戦います。だからどうか一人で抱え込まないで下さい……!」

「んふぅ……♡」


白狐はおっぱいに埋もれたまま返事をする。すると村長は白狐の頭を撫で始めた。
白狐はうっとりした表情のまま、ただ只その柔らかい幸福を享受し続ける。


「貴方はもうこの村の身内です。家族を守るのは当然の事。それに……私はもう二度と大切な人達を失いたくはないのです」

「はへっ……?」

「私も、いきます」


イク……。イキそう。
絶頂しちゃう。
いや、違うそうじゃない。この人今、行くって言った?


「そ、村長さん?何を言って……」

「貴方を見て私は自らの弱さを思いだしました。これからはもう逃げません。たとえ相手が誰であろうとも立ち向かいましょう」

「え?ちょ……あの……」

「大丈夫ですよ、白狐くん。私達は死にません。必ず無事に帰りましょう」

「え、ああ……はい……?」


白狐は彼女が何を言わんとしているかよく分からなかった。まるで自分が戦場に行くとでも言っているような口振りだが……
しかし、村長自ら徴兵されるなんて聞いた事がないし、いくらなんでもそんな訳ないだろう。
だから白狐は彼女の話を上の空に聞いていた。


この時おっぱいに気を取られてなければ必死に止めていたのに、と白狐が後悔するのは出陣の日になってからであった……



―――――――――



白狐は朝焼けに染まる村の広場にて狐の面に黒装束という出で立ちで佇んでいた。
今日は村に徴兵の迎えが来る日であった。だから白狐は村人に知られないようにこっそりと準備をし、村を出ようとしていたのだが……


「白狐!いよいよ出陣の日だな!オラもオメと一緒に頑張るだよ!」


朝早く村の広場で白狐が見たのは大勢の村人達と、武装した10人の女性達……
予想していなかった光景を見た白狐はあんぐりと口を開け、そのまま固まる。


「みんなー!気を付けてなー!」


見送りであろう村人達が女性達に声を掛けると彼女達もまた笑顔で応えた。


「白狐!死ぬんじゃないよ!無事に帰ったらまた一緒に遊びましょ!」

「大丈夫だべ!白狐はオラ達が守るからな!」

「何言ってんだ、お前は白狐に守られる側だろうが!」


あははははは!と笑い声が響く。
これから徴兵される村とは思えぬ和気あいあいとした雰囲気に白狐は呆気に取られた。


「(え?なにこれ?)」


自分が徴兵される代わりに村の人達は徴兵されずに済んだ筈なのに……何故彼女達は出陣の準備をしているのだろうか。
白狐がそうして混乱していると中央にいる武装した女性達の内の一人がこちらに向かって歩いてきた。


「白狐くん。この村から三十人もの人数は出せませんが……十人程度なら問題ありません。私も同行します」

「はい!?」


村長であった。このような村には似つかわしくない鎧を身に纏っていて一見して誰だか分からぬ程の重装備だが、その爆乳は隠せていなかったので白狐にはすぐに目の前の鎧武者が村長だと分かった。


「安心してください。私だって多少の武芸の心得はあるんです。足手まといにはならないよう努力致しますので」

「いや、そういう事じゃなくて……!」

「白狐くんがくれたお金で私達の武具も買えたしね!これで少しは戦力になると思うよ!」


白狐の言葉に割り込むように、他の女達も言葉を発する。
村長を含めた10人の女性達は農民に見えない程にしっかりとした身なりをしており、とても無理やり徴兵された雑兵には見えない。名のある武士と言われても納得出来そうな佇まいである。
確かに白狐は女侍から貰った契約金を村の為に使ってくれと村長に渡したが、まさかそれで戦の為の武具を買っていたとは……

いや、それはいい。百歩譲って徴兵を受け容れ、自分と共に戦に出るのはしょうがないにしても村長自らが行くのは有り得ないのでは?


「そ、村長さんが村にいなくなったら誰が村の管理を……?」

「ご心配なく。私の代わりは綾子さんにお願いしていますので」

「えぇ……?」


綾子お姉さんに……?彼女はまだ若いが村長の代わりが務まるのだろうか?
心配そうな表情を浮かべる白狐だったが、いつの間にか傍にいた綾子が白狐の両肩に手を置き、にっこりと微笑む。


「白狐!私はアンタと一緒に行けないけど……必ず無事に帰ってくるんだよ!」


そう言って白狐をふわりと抱き締める。
正直、村人達が徴兵されるのは白狐にとって望ましくない事なのだがこうまでやる気に満ち溢れた彼女達を見ると白狐は何も言えなかった。


「ここにいる皆は全員志願して白狐くんと共に行くと決めた者達です。もう貴方一人に全てを背負わせません」

「そう……なんだ」


よく見ると志願した女性達は村長を除いて全員が肌を重ね合わせた仲であった。
度重なる夜這いで白狐も彼女達もすっかりと身体を許し合っており、もはや家族と言ってもいい仲だ。
そんな彼女達は白狐に付いていく為に村長と話し合い、一致団結して準備をしたのだ。

そんな彼女達の勇気を他の村人達は褒め称え、こうして村総出で見送りに来てくれているのだった。


「絶対に白狐と一緒に帰ってくるぞー!!」

「「おぉぉー!!」」


ドン!と槍の穂先を突き上げながら叫ぶ女衆。そんな勇ましい彼女達を見て白狐は心配半分、嬉しさ半分といった複雑な気持ちであった。
みんながここまで自分の事を思っていたなんて……嬉しい。しかし向かう先は戦場だ。命を奪い合う危険な場所だ。
それを分かっていながら女達はやる気に満ちているのだ。


「白狐に近寄る変態女がいたらぶっ殺せー!!」

「「おぉぉー!!」」


…なんだか物騒な事も聞こえたが、白狐は聞こえなかった事にした。


「白狐くん……」


見送りの観衆の中には白狐が見知った顔……薫もいた。彼女は不安げな瞳を白狐に向けている。


「聞いたよ、戦いに……出るって」


薫にまで徴兵の事が知られているのか……
白狐は気まずい思いで顔を伏せた。白狐と近い本当に幼い彼女には戦なんてものを知って欲しくなかったからだ。
しかし、白狐の心情など知らぬとばかりに薫は白狐の手をぎゅっと握った。


「死んじゃダメだよ……!約束……したんだから!」


薫の目は真っ直ぐに白狐を見つめていた。まるで白狐の心の内を全て見通しているかのように。
幼いながらも強い意志を持った彼女の視線に白狐は圧倒されそうになる。
そして同時に思う。この子は自分が思っている以上に大人なのかもしれないと。

そうだ。村の人達だって非力なだけの人間ではない。こんな辺境で逞しく生きている立派な人々だ。
白狐は彼女達を守るべき対象だと思っていたが、そう思うのは逆に失礼なのかもしれない。


「薫ちゃん、大丈夫だよ。僕は必ず帰ってくる。皆と一緒に……」


そう薫に告げると白狐は周囲を見渡す。
武装した女達。肌と心を重ね、絆を結んだ女性達。
彼女達が自分に付いてきてくれるというのなら、なんでも出来るような気がしていた。



―――――――――



山を歩く数百人の集団。彼らは近隣から徴兵されてきた農民達であり、村から村へと徴兵を行いながら最終的に小領都に集まる予定であった。
そんな行軍の最中、先頭にいる女侍がふぅと息を吐く。


「大分集まったな。後は……えぇと、碧波村だけか」


女侍の言葉に部下の女が応える。


「確か碧波村は三十人程度の徴兵でしたね」

「あぁいや、あの村はいいんだ。村からは一人も徴兵しない代わりに凄腕の忍者が仕える事に決まっているからな」

「おや、そうでしたか」


珍しいこともあるものだ。こんな田舎に忍者がいるとは……と女は不思議に思った。
確かに農民兵を集めるよりも英傑とも渡り合える半化生の忍者の方が戦力になるだろうが如何せん彼女達は数が少ない。
人間と共存している半化生は希少なのだ。


「忍者を雇えるとは流石は津子様。彼奴らは中々首を縦に振りませぬからな」


主を持たず放浪する半化生は往々にして独自の価値観を持つ者が多く、金を払えば雇えるといった単純な話ではない。
単独にこの過酷な世界を生き延びる半化生はそれだけ実力があるし、相応にプライドも高い。中には金には興味が無い者もいる。
そういった手合いを味方に付けるのは難しい為、今回忍者を引き入れる事が出来たのは女侍にとって非常に幸運であった。


「ま、私にかかれば朝飯前だ。ふふ……」


今回は故郷を心配する珍しい半化生であった為に上手くいったが、放浪忍者をこんなに簡単に雇えるのは有り得ぬ事だというのは女侍には分かっていた。
だからこそ自身の幸運と才覚に酔い痴れ、思わず笑みを溢す。


「さぁ、そろそろ碧波村に着くぞ。そこで忍者殿をお迎えすればいよいよ小領都に帰れるな」


任務が終わった暁には小領主様の評価が上がること間違いなしだと女侍は上機嫌だった。
そうして例の村が視界に映った時、その村に異様な雰囲気を感じ取る。


「……んん?」


なんだか村にいる人数が妙に多い。
いや、それはいい。出兵する村人を見送るのはよくある事だ。

だが……


「あのぅ、この村からは徴兵はしない筈では……?」


部下の女が顔を引き攣らしながら女侍に尋ねる。確かにその筈だった。
しかし彼女達が見たのは重武装した女達の姿。明らかに戦支度である。
しかもなんだか殺気立っているような……?


「お侍殿、御役目ご苦労様でござる」


女達の真ん中にいた小さい人影……狐の面を被った忍者が前に出てきて口を開く。


「あ、あぁ……白狐殿」


女侍は引きつった表情を浮かべながら答える。
彼女は周囲にいる碧波村の女達に視線を移し、ぐるりと辺りを見渡してから言った。


「その……白狐殿。私の記憶では貴殿が雇われる代わりにこの村の徴兵を免除するという話だったと思うのだが……」


そう、確かに女侍が提案したのは村人の代わりに白狐が仕えるという事だった筈だ。
しかしガチガチに武装した村民といい、出兵の見送りに来ている大勢の女達といい徴兵される気マンマンに見える……一体何故……?


「それがでござるな、村の者達も戦いたいと強く希望した故、こうして選抜された戦士達が集った次第でごさる。と、言っても10人だけでござるが……もしや何か不都合が?」

「い、いや……徴兵に応じてくれる分には歓迎だ。うん……」


何がなんだかよく分からないが徴兵出来るのであればそれにこした事はないだろう。
自ら戦いたいと志願する農民も確かにいるはいるのだ。
しかし、周りにいる碧波村の志願兵達は雰囲気が奇妙であった。なんというか……宝を守る番犬というか、子を引き連れた殺気立った母熊というか……
そんな物騒な雰囲気を放つ女達を見て女侍は不安を覚える。武具ひとつ見てもとても農民兵には見えぬ出で立ちであるし、どうにも彼女達は普通じゃない気がした。

そうして女侍が戸惑っていると武装した女達の中でも一際重厚な武具を纏う鎧武者が彼女の前に出てきた。
明らかに只者ではない雰囲気と威圧感に女侍はごくり、と唾を飲み込む。


「徴兵に応じ碧波村の村民十名、馳せ参じました」


女はそう言うと膝を付き深々と頭を下げた。


「う、うむ。ご苦労」


この村から徴兵するつもりはなかったが、結果的に兵力が増強されたのは喜ばしい事だ。戦力が多いに越したことはないのだから。
しかし、目の前の村民とは思えぬ異様な集団を軍勢に加えるのは少し躊躇われた。
女侍はそう思ったものの、今更それを口に出すことは出来なかった。何しろ自ら徴兵を望む好戦的な奴等だ。それを断ってしまえばこの場で暴れだす可能性だってある。
特に鎧武者は立ち振る舞い言い装備といい武将クラスの強さを感じる。下手なことを言えば斬られるかもしれない。

ていうか明らかに自分より立派な鎧を着ている……


「ではお侍殿、これより我等は貴方の指揮下に入るでござる。先導をお願い致す」

「わ、分かった。付いて来てくれ」


女侍は内心ビクビクしながら先頭に立ち行軍を再開する。
彼女は一抹の不安を覚えながらも、徴兵した軍勢を引き連れ小領都を目指すのであった。
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