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本編
23.「んっ……お姉さん達……そんなにボクと遊びたいんですか……?♡」
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その日、碧波村はにわかに騒がしくなっていた。
「おい、見たか?」
「あぁ、あのめんこい子だろ?狐の尻尾が生えた半化生の…」
「なんでこんな田舎の村に男がいんだろなぁ」
村人達…適齢期の女性である彼女達は突如として村にやってきた少年に興味を示していた。
この村に若い男がいるだけでも珍しいというのに、それが人ではなく半化生なのだから当然だろう。
「おら男なんて初めて見ただよ」
「私も~」
「んだんだ」
まだ若い彼女達の中には男を見た事がない者も沢山いた。
それもそうだろう、基本的に男は大きな街にしかいないのだ。一生をこの村の中で過ごす女性も珍しくない。故に男を初めて見たという村人もちらほらいる。
「でも……なんだべな、あどけない顔してるのに妙な色気があるだよ」
「わかるぅ。ちょっとドキドキするよね」
「うんうん、なんかこう……ムラっとくるねぇ」
そんな彼女達は初めて見る男に興奮しているのか、頬を赤く染めながら会話を続ける。
「話じゃ妖怪を薙ぎ倒す程強いって聞いたけど…とてもそんな風には見えねぇなぁ」
「あんま強そうじゃないねぇ」
「んだんだ。むしろ弱そうって感じだべ」
確かに、白狐は見た目は華奢で、一見妖怪を倒せるようには見えない。
実際、白狐は純粋な力では彼女達にも敵わないだろう。半化生としてはまだまだ未熟な身体だからだ。
だが白狐は膨大な妖力を小さな身体に力を宿していた。そして、己の力を使いこなしていた。
その力を使えば、例え彼女達が束になっても傷一つつけることはできないし、一瞬で消し炭にできる程の圧倒的なもの。
しかし、この村で平和に暮らしている村人達にはそんな事は分からない。
これが武家に生まれた武人ならば白狐の内に秘める力に気付く事が出来るが、戦いとは無縁の彼女達には無理だ。
白狐の可愛らしい少年の見た目に騙され、その実力に気付けない。
だからこそ、彼女達の頭の中では白狐は弱いというイメージが出来上がってしまった。
それがいけなかった。
「男かぁ…そう言えば、オメェは街に行って男と交わった事あるんだっけ?どんな感じなんだ?」
一人の女性が尋ねると、他の女性達は興味津々といった様子で女性の答えを待つ。
「えっとなぁ…なんか…凄くて…気持ちええんだよぉ……♡」
女性は顔を赤らめながら答える。すると、周りにいた女性達から黄色い歓声が上がった。
「うそ!?ホントに?どんな風にぃ?」
「う、うん……まず、最初は痛かったんだけどなぁ……だんだん慣れてきて……最後は頭が真っ白になるくらい……気持ちくて…♡」
頭が真っ白になるくらいの快感…。
女なら誰もが一度は味わってみたいと思うものだった。そしてそれはこんな刺激も何もない村にいては味わえない。
彼女達はゴクリと喉を鳴らす。
「すごぉい!」
「すげぇ!オラもヤリてぇ!」
周りの女性達はきゃーきゃーと騒ぎ出す。
「いいよなぁ……オメェは」
「んだんだ」
羨ましそうな目を向ける彼女達に、話をした女性は少し得意げな表情を浮かべた。
男と交わる為には街まで行かなければならないが村から街までは遠く山賊や妖怪も出る為簡単な事ではない。
それに、男と交わるには多額の金銭をその街の支配者…小領主に納めなければならなく、村の者達にとっては簡単に手が出せるものではなかった。
この世界では女性が男と交わり、子を成したいと思っても中々できないのが現状なのだ。
だから、彼女達は村に来た男…白狐を見て盛り上がった。
もし白狐が彼女達と交われば、彼女達は大きな幸せを手に入れる事ができる。
男を知らない女性にとって、男の肉棒とはどんなものなのか。それを知ることができる。
それだけでも十分すぎる価値があった。
「あぁ……肉棒てどんな感じなんだろう……」
「きっとすごいんだろうねぇ……」
段々と盛り上がっていく村人達。
男を抱いてみたい…男のアレを見てみたい…
彼女達の妄想はどんどん膨らみ、止まらない。
「あの男の子…可愛かったなぁ…」
ポツリと。一人の村人がそう言った。
すると奇妙な沈黙が辺りを包み込む。
「……」
皆がチラリと視線を合わせる。その瞳はギラついていた。
「あ、あの……さぁ……その子って今どこにいるのかなぁ……」
「え?村長の家に間借りしてるはずだけど……」
「……ふぅん」
女性の一人がニヤッとした笑みを見せる。
「あんた、まさかその子襲おうとか考えてんじゃないだろうね?」
「そ、そんな事しないだよ!!ただ、
ちょっとお話ししたいだけ……」
「綾子を妖怪から助けてくれた恩人だぞ!失礼なこと考えるんじゃないよ!」
「んだんだ。それにもし村長に見つかったらどうなるか分かってんのか?」
碧波村の村長は村人から尊敬されると同時に恐れられてもいた、
以前、酔っぱらった女が村長の大事な壺を割ってしまった時は鬼のような顔をしながらその村人の尻を叩きまくっていた。
そんな村長に睨まれたら只では済まない。
最悪、命すら危うい…というのは大袈裟だが、村長は普段は優しい反面、怒らせると恐ろしい存在なのだ。
壺ですらあんなに怒ったのだ。村の恩人であり、大切な客人である男を襲ったと知られたら一体どんな罰を受けるか……想像するだけで恐ろしかった。
だが……
「でもまぁ……やっぱりちょっと興味はあるよね」
「あぁ、あんな可愛い子……一度でいいから抱いてみてぇ」
彼女達の欲望は止まらなかった。
最初は諌めていた女も徐々に周りの雰囲気に呑まれていく。
「ま、まぁ…会って話すだけなら…いいか…」
「そうそう大丈夫だって、ただちょっとお話するだけだから…」
そう言って女性は立ち上がる。そして周りにいる女性達を見渡してこう言った。
「みんなでこっそり会いに行こうぜ」
―――――――――
それは白狐が満腹になり床に就いてから暫くの事であった。
「ん…んん……」
ふと、違和感を感じた。白狐の狐耳が微かな音を拾う。
何やらカタカタと音が聞こえてくる。
「……?」
白狐はゆっくりと瞼を開く。まだ眠い目を擦りながら身体を起こした。
「んー…?」
寝ぼけ眼を擦ると視界がハッキリしてくる。そして白狐は気付いた。
薄暗い部屋の中、何者の姿がある事に。しかも一つではない。複数の影がそこにあった。
白狐は首を傾げる。
「あれぇ…?こんな時間に誰ですか……?」
声をかける。すると、ピタリと動きを止める気配がした。
暗がりでよく見えないが、何やらコソコソとしているように見える。泥棒かなにかだろうか?
確かに鍵も何も無い防犯性皆無の住居ではあるが、白狐が来た日にたまたま泥棒が入るだなんていくらなんでも出来過ぎている気がするが……
「あ…その…えっと…私達は…怪しいものじゃなくて……」
白狐の言葉におずおずと返事をしたのは若い女性だった。そして彼女の言葉を皮切りに他の女性達も口々に喋りだす。
「そ、そうだべ!オラ達は別に悪い事は考えていないだよ!」
「んだんだ!ちょっとお話がしたいだけなんだ!」
「えっと……その……お、お邪魔します!」
女性達は一斉に部屋に上がり込むと、白狐を取り囲むようにして座った。
はて、一体これはなんなのだろうか。白狐は不思議そうに彼女達を見る。蝋燭の光に照らされた彼女達はまるで生娘のように頬を赤らめて恥ずかしそうな様子を見せている。
しかし、よく見ると彼女達の瞳は何かを期待しているような、どこかギラついた輝きを放っていた。
その様子は、例えるなら獲物を狙う獣のよう。
だが悪意は感じられない。むしろ好意に近いものを感じる。白狐はますます混乱した。
「お姉さんたち、村の人ですか?お話って一体?」
白狐が声を掛けると、女性達はビクッと肩を震わせる。そして互いに目配せをしあうと意を決したように一人が立ちあがった。
「わ、私達キミと……その……仲良くなりたいと思ってるんだ!だからその……みんなで一緒に遊ばない!?」
遊ぶ……?こんな夜更けに……?
一瞬、女性が何を言いたいのか分からなかった。夜中にする遊び…女と男がする遊びといえばアレしかないのだが……
白狐が困惑していると、数人の女性が彼の傍に寄ってくる。しかもやけに距離が近い。すると、ある女性が白狐の手を取った。
「い、痛くないからさ!ちょっと触ってみないかい?きっと気持ちいいよぉ……♡」
彼女はそう言って白狐の手を自分の胸に押し付ける。柔らかい感触が手に広がる。同時に、女性特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「(えぇ!?)」
この行動には白狐は驚いた。
白狐はこの世界での女性との距離感というものをまだよく分かっていない。だが、お互いをよく知らない男と女が妄りに肌を重ねるものではないという事くらいは分かっていた。
綾子にキスをした時彼女は気絶してしまったし、村長に抱き着いた時も気絶させてしまった。
鐘樓にも言われたが、この世界では男から女に触る事は貞操観念的に良くないらしい。
というかこの世界の男は性欲が薄く、自ら女を求める事は殆どない。だからこそ、男が女の身体に積極的に触るのはおかしい事なのだ。
白狐はその事を理屈では分かっていたが、気分が昂ぶると女性に抱き着きたくなってしまうんだからしょうがない。
だから女の方から男に触るのも禁忌だと思っていた。
現に幻魔も『お前の身体に触ろうとする女はレイプ魔の変態じゃから気を付けろ』と言っていたし…
しかし目の前にいる女性は白狐に胸を押し当て、その手で白狐の腕を掴んでいる。
白狐が驚いていると、他の女達が白狐に絡みついてきた。柔らかな肢体が白狐の身体に密着する。
「お、男って女の子の乳で興奮するんでしょ!?オラのおっぱい揉んでもいいだよ!」
「いやいや、ここは私の乳の方が気持ちいいに決まってるべ!ほれ、遠慮せず揉め!」
もみくちゃにされる白狐。あちらこちらから女性の乳房が押し付けられる。
「(や、柔らかい…♡)」
おっぱいに囲まれるという今まで味わったことのない感覚が白狐の身体を包み込んだ。
身体中が火照り、頭がクラクラしてくる。密着している彼女達の身体からは女性の汗とフェロモンの混じったような甘酸っぱい匂いが漂ってきた。
思わず、もっと味わいたいという欲求が湧き上がってくる。白狐の身体の奥底から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「あ、あのぅ……♡お姉さん達、どうして……♡」
このままだとまずいと白狐は思った。これ以上は理性が保たない。こんな挑発的な事をされると思わず彼女達を襲ってしまいそうだ。
どうして彼女達はこんな事を…?
白狐は快楽に包まれながら思案する。そしてハッと気付いた。
―――もしかして、これは"お礼"の一貫なのでは…?
村長は自分にお礼をしたいと言っていた。食事だけではお礼が不十分だと考えた村長は村の女達をここに寄越した。
そしてこのエッチな行為もそのお礼なのではないかと思ったのだ。
つまり、これは白狐へのお礼。
ならば、受け取らない訳にはいかない。拒否したら逆に失礼だろう。うん、そうに違いない。
そうと決まれば楽しまなければ!白狐の可愛くて小さい狐の脳はそう結論付けた
「んっ……お姉さん達……そんなにボクと遊びたいんですか……?♡」
白狐の言葉に女性達は目を輝かせる。
「う、うん!遊びたい!」
「いっぱい気持ちよくしてあげるからさ!」
「さ、触ってくんろ!」
彼女達は口々に言う。村長に言われただけにしてはノリノリだなぁ、と白狐は思ったが、それは口にしない事にした。
「お姉さん…♡」
白狐はおっぱいに埋もれていた顔を上げると、彼女達に微笑んだ。
その天使のような笑顔に女性達は息を飲む。そしてゴクリと喉を鳴らすと期待に満ちた眼差しを彼に向けた。
―――なんて可愛くて、慈悲深い少年なんだろう。
彼も自分達が夜這いに来たという事は気付いている筈だ。しかもこんな大人数で押しかけ、無理やり身体を迫り強姦…いや、輪姦しようとしているというのに彼は嫌な顔を一つせずに受け入れようとしている。その寛容さに女性達は感動していた。
この子はきっと私達の想いに応えてくれる。
女性達は確信めいたものを感じ、胸を高鳴らせる。
そして白狐が言った。
「それじゃあ、みんなで気持ち良くなりましょうね…♡」
女性達は歓喜の声を上げた。
蝋燭の光だけが灯る部屋の中で淫靡な宴が始まる…
「おい、見たか?」
「あぁ、あのめんこい子だろ?狐の尻尾が生えた半化生の…」
「なんでこんな田舎の村に男がいんだろなぁ」
村人達…適齢期の女性である彼女達は突如として村にやってきた少年に興味を示していた。
この村に若い男がいるだけでも珍しいというのに、それが人ではなく半化生なのだから当然だろう。
「おら男なんて初めて見ただよ」
「私も~」
「んだんだ」
まだ若い彼女達の中には男を見た事がない者も沢山いた。
それもそうだろう、基本的に男は大きな街にしかいないのだ。一生をこの村の中で過ごす女性も珍しくない。故に男を初めて見たという村人もちらほらいる。
「でも……なんだべな、あどけない顔してるのに妙な色気があるだよ」
「わかるぅ。ちょっとドキドキするよね」
「うんうん、なんかこう……ムラっとくるねぇ」
そんな彼女達は初めて見る男に興奮しているのか、頬を赤く染めながら会話を続ける。
「話じゃ妖怪を薙ぎ倒す程強いって聞いたけど…とてもそんな風には見えねぇなぁ」
「あんま強そうじゃないねぇ」
「んだんだ。むしろ弱そうって感じだべ」
確かに、白狐は見た目は華奢で、一見妖怪を倒せるようには見えない。
実際、白狐は純粋な力では彼女達にも敵わないだろう。半化生としてはまだまだ未熟な身体だからだ。
だが白狐は膨大な妖力を小さな身体に力を宿していた。そして、己の力を使いこなしていた。
その力を使えば、例え彼女達が束になっても傷一つつけることはできないし、一瞬で消し炭にできる程の圧倒的なもの。
しかし、この村で平和に暮らしている村人達にはそんな事は分からない。
これが武家に生まれた武人ならば白狐の内に秘める力に気付く事が出来るが、戦いとは無縁の彼女達には無理だ。
白狐の可愛らしい少年の見た目に騙され、その実力に気付けない。
だからこそ、彼女達の頭の中では白狐は弱いというイメージが出来上がってしまった。
それがいけなかった。
「男かぁ…そう言えば、オメェは街に行って男と交わった事あるんだっけ?どんな感じなんだ?」
一人の女性が尋ねると、他の女性達は興味津々といった様子で女性の答えを待つ。
「えっとなぁ…なんか…凄くて…気持ちええんだよぉ……♡」
女性は顔を赤らめながら答える。すると、周りにいた女性達から黄色い歓声が上がった。
「うそ!?ホントに?どんな風にぃ?」
「う、うん……まず、最初は痛かったんだけどなぁ……だんだん慣れてきて……最後は頭が真っ白になるくらい……気持ちくて…♡」
頭が真っ白になるくらいの快感…。
女なら誰もが一度は味わってみたいと思うものだった。そしてそれはこんな刺激も何もない村にいては味わえない。
彼女達はゴクリと喉を鳴らす。
「すごぉい!」
「すげぇ!オラもヤリてぇ!」
周りの女性達はきゃーきゃーと騒ぎ出す。
「いいよなぁ……オメェは」
「んだんだ」
羨ましそうな目を向ける彼女達に、話をした女性は少し得意げな表情を浮かべた。
男と交わる為には街まで行かなければならないが村から街までは遠く山賊や妖怪も出る為簡単な事ではない。
それに、男と交わるには多額の金銭をその街の支配者…小領主に納めなければならなく、村の者達にとっては簡単に手が出せるものではなかった。
この世界では女性が男と交わり、子を成したいと思っても中々できないのが現状なのだ。
だから、彼女達は村に来た男…白狐を見て盛り上がった。
もし白狐が彼女達と交われば、彼女達は大きな幸せを手に入れる事ができる。
男を知らない女性にとって、男の肉棒とはどんなものなのか。それを知ることができる。
それだけでも十分すぎる価値があった。
「あぁ……肉棒てどんな感じなんだろう……」
「きっとすごいんだろうねぇ……」
段々と盛り上がっていく村人達。
男を抱いてみたい…男のアレを見てみたい…
彼女達の妄想はどんどん膨らみ、止まらない。
「あの男の子…可愛かったなぁ…」
ポツリと。一人の村人がそう言った。
すると奇妙な沈黙が辺りを包み込む。
「……」
皆がチラリと視線を合わせる。その瞳はギラついていた。
「あ、あの……さぁ……その子って今どこにいるのかなぁ……」
「え?村長の家に間借りしてるはずだけど……」
「……ふぅん」
女性の一人がニヤッとした笑みを見せる。
「あんた、まさかその子襲おうとか考えてんじゃないだろうね?」
「そ、そんな事しないだよ!!ただ、
ちょっとお話ししたいだけ……」
「綾子を妖怪から助けてくれた恩人だぞ!失礼なこと考えるんじゃないよ!」
「んだんだ。それにもし村長に見つかったらどうなるか分かってんのか?」
碧波村の村長は村人から尊敬されると同時に恐れられてもいた、
以前、酔っぱらった女が村長の大事な壺を割ってしまった時は鬼のような顔をしながらその村人の尻を叩きまくっていた。
そんな村長に睨まれたら只では済まない。
最悪、命すら危うい…というのは大袈裟だが、村長は普段は優しい反面、怒らせると恐ろしい存在なのだ。
壺ですらあんなに怒ったのだ。村の恩人であり、大切な客人である男を襲ったと知られたら一体どんな罰を受けるか……想像するだけで恐ろしかった。
だが……
「でもまぁ……やっぱりちょっと興味はあるよね」
「あぁ、あんな可愛い子……一度でいいから抱いてみてぇ」
彼女達の欲望は止まらなかった。
最初は諌めていた女も徐々に周りの雰囲気に呑まれていく。
「ま、まぁ…会って話すだけなら…いいか…」
「そうそう大丈夫だって、ただちょっとお話するだけだから…」
そう言って女性は立ち上がる。そして周りにいる女性達を見渡してこう言った。
「みんなでこっそり会いに行こうぜ」
―――――――――
それは白狐が満腹になり床に就いてから暫くの事であった。
「ん…んん……」
ふと、違和感を感じた。白狐の狐耳が微かな音を拾う。
何やらカタカタと音が聞こえてくる。
「……?」
白狐はゆっくりと瞼を開く。まだ眠い目を擦りながら身体を起こした。
「んー…?」
寝ぼけ眼を擦ると視界がハッキリしてくる。そして白狐は気付いた。
薄暗い部屋の中、何者の姿がある事に。しかも一つではない。複数の影がそこにあった。
白狐は首を傾げる。
「あれぇ…?こんな時間に誰ですか……?」
声をかける。すると、ピタリと動きを止める気配がした。
暗がりでよく見えないが、何やらコソコソとしているように見える。泥棒かなにかだろうか?
確かに鍵も何も無い防犯性皆無の住居ではあるが、白狐が来た日にたまたま泥棒が入るだなんていくらなんでも出来過ぎている気がするが……
「あ…その…えっと…私達は…怪しいものじゃなくて……」
白狐の言葉におずおずと返事をしたのは若い女性だった。そして彼女の言葉を皮切りに他の女性達も口々に喋りだす。
「そ、そうだべ!オラ達は別に悪い事は考えていないだよ!」
「んだんだ!ちょっとお話がしたいだけなんだ!」
「えっと……その……お、お邪魔します!」
女性達は一斉に部屋に上がり込むと、白狐を取り囲むようにして座った。
はて、一体これはなんなのだろうか。白狐は不思議そうに彼女達を見る。蝋燭の光に照らされた彼女達はまるで生娘のように頬を赤らめて恥ずかしそうな様子を見せている。
しかし、よく見ると彼女達の瞳は何かを期待しているような、どこかギラついた輝きを放っていた。
その様子は、例えるなら獲物を狙う獣のよう。
だが悪意は感じられない。むしろ好意に近いものを感じる。白狐はますます混乱した。
「お姉さんたち、村の人ですか?お話って一体?」
白狐が声を掛けると、女性達はビクッと肩を震わせる。そして互いに目配せをしあうと意を決したように一人が立ちあがった。
「わ、私達キミと……その……仲良くなりたいと思ってるんだ!だからその……みんなで一緒に遊ばない!?」
遊ぶ……?こんな夜更けに……?
一瞬、女性が何を言いたいのか分からなかった。夜中にする遊び…女と男がする遊びといえばアレしかないのだが……
白狐が困惑していると、数人の女性が彼の傍に寄ってくる。しかもやけに距離が近い。すると、ある女性が白狐の手を取った。
「い、痛くないからさ!ちょっと触ってみないかい?きっと気持ちいいよぉ……♡」
彼女はそう言って白狐の手を自分の胸に押し付ける。柔らかい感触が手に広がる。同時に、女性特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「(えぇ!?)」
この行動には白狐は驚いた。
白狐はこの世界での女性との距離感というものをまだよく分かっていない。だが、お互いをよく知らない男と女が妄りに肌を重ねるものではないという事くらいは分かっていた。
綾子にキスをした時彼女は気絶してしまったし、村長に抱き着いた時も気絶させてしまった。
鐘樓にも言われたが、この世界では男から女に触る事は貞操観念的に良くないらしい。
というかこの世界の男は性欲が薄く、自ら女を求める事は殆どない。だからこそ、男が女の身体に積極的に触るのはおかしい事なのだ。
白狐はその事を理屈では分かっていたが、気分が昂ぶると女性に抱き着きたくなってしまうんだからしょうがない。
だから女の方から男に触るのも禁忌だと思っていた。
現に幻魔も『お前の身体に触ろうとする女はレイプ魔の変態じゃから気を付けろ』と言っていたし…
しかし目の前にいる女性は白狐に胸を押し当て、その手で白狐の腕を掴んでいる。
白狐が驚いていると、他の女達が白狐に絡みついてきた。柔らかな肢体が白狐の身体に密着する。
「お、男って女の子の乳で興奮するんでしょ!?オラのおっぱい揉んでもいいだよ!」
「いやいや、ここは私の乳の方が気持ちいいに決まってるべ!ほれ、遠慮せず揉め!」
もみくちゃにされる白狐。あちらこちらから女性の乳房が押し付けられる。
「(や、柔らかい…♡)」
おっぱいに囲まれるという今まで味わったことのない感覚が白狐の身体を包み込んだ。
身体中が火照り、頭がクラクラしてくる。密着している彼女達の身体からは女性の汗とフェロモンの混じったような甘酸っぱい匂いが漂ってきた。
思わず、もっと味わいたいという欲求が湧き上がってくる。白狐の身体の奥底から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「あ、あのぅ……♡お姉さん達、どうして……♡」
このままだとまずいと白狐は思った。これ以上は理性が保たない。こんな挑発的な事をされると思わず彼女達を襲ってしまいそうだ。
どうして彼女達はこんな事を…?
白狐は快楽に包まれながら思案する。そしてハッと気付いた。
―――もしかして、これは"お礼"の一貫なのでは…?
村長は自分にお礼をしたいと言っていた。食事だけではお礼が不十分だと考えた村長は村の女達をここに寄越した。
そしてこのエッチな行為もそのお礼なのではないかと思ったのだ。
つまり、これは白狐へのお礼。
ならば、受け取らない訳にはいかない。拒否したら逆に失礼だろう。うん、そうに違いない。
そうと決まれば楽しまなければ!白狐の可愛くて小さい狐の脳はそう結論付けた
「んっ……お姉さん達……そんなにボクと遊びたいんですか……?♡」
白狐の言葉に女性達は目を輝かせる。
「う、うん!遊びたい!」
「いっぱい気持ちよくしてあげるからさ!」
「さ、触ってくんろ!」
彼女達は口々に言う。村長に言われただけにしてはノリノリだなぁ、と白狐は思ったが、それは口にしない事にした。
「お姉さん…♡」
白狐はおっぱいに埋もれていた顔を上げると、彼女達に微笑んだ。
その天使のような笑顔に女性達は息を飲む。そしてゴクリと喉を鳴らすと期待に満ちた眼差しを彼に向けた。
―――なんて可愛くて、慈悲深い少年なんだろう。
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この子はきっと私達の想いに応えてくれる。
女性達は確信めいたものを感じ、胸を高鳴らせる。
そして白狐が言った。
「それじゃあ、みんなで気持ち良くなりましょうね…♡」
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